Quantcast
Channel: ナースのヒント|明日のヒントが見つかるWebメディア
Viewing all 681 articles
Browse latest View live

専門医が解説!東洋医学が米国で評価される理由

$
0
0

東洋医学

 

1.統合医療とは?

『西洋医学』と『東洋医学』には長所もあれば短所もあります。それぞれの長所を取り入れ、お互いの短所を補い合うような医療、これを『統合医療』といいます。

『統合医療』は通常の『西洋医学』に『東洋医学』や『伝統医学』などの『補完代替医療』を加えることによって、病気の早期発見や予防、根治、健康維持の増進などを目指す新しいタイプの医療体系です。米国では Integrative Medicineと呼ばれ、最近、各地の大学病院にIntegrative Medicineを標榜する専門クリニックが誕生しつつあります。

しかしながら、日本の医療は漢方や鍼灸などの伝統医療を擁しながら、明治以降軽視する傾向が続き、現在は西洋医学一辺倒の医療が主流を占めています。

 

2.東洋医学が科学的に証明されつつある

『伝統中国医学』は、中国において発展し、朝鮮半島や日本に伝わりそれぞれ独自の発達を遂げてきました。伝統医学の総称で『東洋医学』とも呼ばれています。

明治維新以前は、日本では西洋医学に類しない『漢方』や『鍼灸』治療などをもとにした東洋医学による伝統医療が行われてきました。維新以後は急速に西洋医学が導入され、日本の伝統医療は衰退してきていました。

一方で、現代の西洋医学だけでは物足らず、民間の鍼灸や整体などの治療院も依然として根強い支持を得ているのも事実です。米国では最近、西洋医学の視点から東洋医学の治療効果を評価しようという動きが起きています。最近の内外の研究により鍼灸や漢方の有効性が科学的に証明されつつあります。

 

3.米国では成人の50%が東洋医学を受ける

『補完代替医療』とは、通常の医療を補完、相補する医療という意味が込められた用語です。米国では Complementary and Alternative Medicine( CAM)の名称が使われています。鍼灸、漢方薬、指圧、気功、マッサージ、ヨガ、カイロプラクティックなど, 西洋医学の範疇に属さない療法を総称して CAM と呼んでいます。1992年、国民の関心の高さを背景としてアメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)にアメリカ国立補完代替医療センター(NCCAM;http://nccam.nih.gov)が設置されました。

2005年にはNCCAMに1億2000万ドルを超える研究費が費やされ、その額は年々増加の傾向にあります。NCCAMの資金で全米の15の大学に種々のCAMのセンターが創設され、それぞれの大学の得意とする分野でCAM医療の研究が始められました。その研究内容の概要はCAM医療が、本当に効果があるのかという臨床研究と、いままで神秘的とされてきた CAMのメカニズムに関して、科学のメスをあてようという試みの両者があります。

近年、米国において一度はCAMを受けたことがあるという成人が50%に達し、補完代替医療が一般的となってきています。調査では、学歴が高い人や知識人層など時代を先導してゆくとされる人たちほど、補完代替医療を評価し積極的に利用しているということも明らかになっています。

 

4.米国の大学病院では大半が鍼灸クリニックを開設

現在、鍼を患者に行うことができるのは医師と国家資格をもつ鍼灸師のみです。鍼灸師になるためには鍼灸師養成施設で通常3年の学習の後、国家試験に合格しなくてはいけません。

医師は業務として鍼灸を行うことが可能ですが、現在、医学部教育において鍼灸の科目を置く大学はほとんど無く、鍼灸臨床を行うために必要なトレーニングの内容や時間数など法制度の整備もなされていません。

したがって、実際に鍼灸を行う医師数は非常に限られています。日本での鍼灸 は長い歴史があるにも関わらず、その評価が高いとはいえません。一方、アメリカでは鍼は日本よりもはるかに高い評価を得ていると言えるでしょう。

米国民の鍼灸の関心がたかまるに従い、ほとんどの大学病院に鍼灸クリニックが開設されています。

 

4−1. そもそも鍼灸はなぜ効くのか?(東洋医学的解釈)

『気』とは中国伝統医学の根幹となる大事な概念です。我々の身体には生命活動には不可欠のエネルギー(気)が循環しており、この体内の気の流れを良くし『陰と陽』のバランスをとることが重要とされています。

気は不可視であり流動的であり 気が足りないこともまた余分にありすぎることも病気の原因とされています。この気の流れる経路を『経絡』と呼び、主な経絡は左右対象に6つ存在します。

全身には、300カ所以上の『ツボ』がこの経絡上にあると考えられています。鍼灸はツボを刺激し気の流れを整え、臓器の調整を行い病気を改善させる方法と理解されています。ところが、これらの『気』『経絡』『ツボ』の存在は現代科学では未だ証明されていません。

 

4−2. 鍼灸はどうして効くのか ー現代的解釈(西洋医学的解釈)

アメリカ国立衛生研究所のCAM研究センターでは、特に鍼治療の有効性に対する研究が重要視されています。CAM研究センターからの研究費の援助により 鍼治療の有効性の検討が 全米の研究機関により なされています。

身体の表面にある皮膚や筋肉には豊富に知覚神経が分布しています。これらの神経は大脳皮質の知覚神経中枢に、痛み、かゆみ、温感、冷感など様々な情報を送っています。

そして、大脳皮質に至るまでの経路の途中で延髄、中脳、視床下部などの部位にも枝分かれしてその情報を送っています(脊髄視床路;図1)。延髄 は自律神経系の中枢なので、皮膚や筋肉の知覚神経からの情報が自律神経の調節にも関係していることが容易に想像できます。

鍼灸は細い針を身体の表面に挿入します。この手法により皮膚や筋肉に存在する知覚神経が刺激を受け、自律神経系の活動が影響を受けるものと考えられます。

 

このような観点から西洋医学的な手法を用い、鍼のメカニズムが解明されつつあります。古来より、膝下の『足の三里』は胃腸疾患に良く効く『つぼ』として有名です。実際この場所に鍼 をすると胃の運動が高まります。

足三里への鍼により皮膚や筋肉の知覚神経が刺激され、その情報が脊髄を上行し延髄に入力されます。その結果、自律神経 (副交感神経)が興奮し胃運動が亢進 します。鍼の刺激により、 皮膚や筋肉の知覚神経からの情報が延髄をリレーし、 副交感神経を介して、内蔵機能の調節が行われているのです 。

中国伝統医学では、鍼灸は『陰と陽』のバランスを調整すると言われていますが、『陰と陽』のバランスを『交感神経と副交感神経』のバランスと翻訳すれば、鍼灸の機序は理解が可能となります。

 

交感神経や副交感神経などの自律神経以外にも、鍼刺激が脳内の種々の神経に作用を及ぼしています。ハーバード大学のグループは、MRIを用いた臨床研究で、鍼が脳内のモルヒネ様物質(オピオイド;脳内麻薬)を分泌する神経を刺激することを報告しています。

鍼の鎮痛効果は有名ですが、これは鍼刺激によって、脳内からモルヒネ様物質が放出されているためと考えられます。 加えて最近、鍼の刺激が視床下部にも及び、抗ストレスホルモンである『オキシトシン』を放出させることも解ってきました。

 

4−3.鍼灸の適応となる疾患

肩こり、五十肩、腰痛、膝関節痛などの『慢性の痛み』にたいして、西洋医学では鎮痛剤、湿布などで対処しますが、その効果は顕著ではなく、きわめて限られています。鎮痛剤服用による胃痛や、湿布による皮膚炎などの副作用も時々あらわれます。西洋医学の不得手な領域です。

これらの疾患には鍼灸が第一選択の治療法となります。鍼灸の効く理由は脳内から『モルヒネ様物質』の放出を促すためと考えられています。その他、高血圧、不眠、ストレス、うつ病、下痢、腹痛、アレルギー、脳血管障害後遺症などに効果があります。鍼灸が自律神経のアンバランスを整えること、免疫系を活性化させること、抗ストレスホルモンである『オキシトシン』を放出させることなどによると考えられています。

鍼灸の鎮痛効果や、嘔吐抑制効果(むかむか止め)などから、癌の患者さんに対する緩和ケアにも用いられるようになっています。

 

5.前頭葉が活発化されることが判明

一般的に瞑想は、神秘的、宗教的なものと考えられいますが、欧米では20−30年前から、瞑想の手技を心理学的治療に取り入れる試みがなされています。そして、最近の脳科学の進歩により瞑想中の脳の活動が解明されてきました。

前頭葉は、我々の認知や思考を司る場所ですが、ストレスに影響を受けやすい場所としても知られています。特にストレスが長期にわたると、前頭葉が正常に機能しなくなります。そして、不安やうつの原因となります。

瞑想中は前頭葉をはじめ、種々の部位での脳の活動が活発になる事が判明しています。仏教の瞑想には、『座禅』とチベットに伝わる『慈悲の瞑想』が有名です。 『慈悲の瞑想』では、他人への思いやりに精神を集中させます。『座禅』では腹式呼吸に集中する事を教わります。この精神集中が 前頭葉の活動を活発にするようです。『慈悲の瞑想』や『座禅』を続ける事によって、不安やうつが改善されたという報告が散見されるようになってきました。

ヨガや太極拳も欧米で盛んになってきています。ほとんどのスポーツジムでヨガや太極拳のクラスが開かれています。ヨガや太極拳が循環器病、うつ病、慢性疼痛に効果のある事が知られています。 これらの効果は、ゆったりとした動作と精神集中により、前頭葉の活動が高まることによるものと理解されています。

 

6.統合医療の適応

6-1 うつや不安も解消される!?

前頭葉 はストレスに影響を受けやすい場所です。ストレスが長期にわたると 前頭葉が正常に機能しなくなります。そして、不安やうつの原因となります。

視床下部 のオキシトシン がストレス軽減に大きく関与しています。このオキシトシンの発現や放出を刺激する事ができれば、ストレスに起因するうつや不安の解消に繋がります。

瞑想, ヨガ、太極拳による精神集中は前頭葉に直接作用して、その機能異常を補正します。前頭葉の機能が正常化することにより、視床下部のオキシトシン神経への指令が亢進するものと考えられます(トップダウン効果;図1)。一方で、鍼やマッサージは、末梢の知覚神経の刺激を経て、視床下部のオキシトシン神経の活性を高めます(ボトムアップ効果;図1)。この両者(トップダウン効果とボトムアップ効果)により、オキシトシン産生が高まり、うつや不安の解消が期待できます。

 

6-2 鎮痛作用

中脳のオピオイドは鎮痛作用に関与しています。瞑想, ヨガ、太極拳による前頭葉の機能の正常化に伴い、そのトップダウン効果は中脳のオピオイド 神経にも及びます。鍼やマッサージも、末梢の知覚神経刺激を経て、中脳のオピオイド活性を高めます(ボトムアップ効果)。この両者の効果で、オピオイド産生が高まり、疼痛が軽減されます。

 

6-3.自律神経機能の改善作用

延髄 は自律神経機能の調節を行っています。瞑想, ヨガ、太極拳による前頭葉の機能の正常化により、そのトップダウン効果は延髄にも及びます。鍼やマッサージも、末梢の知覚神経の刺激を経て、延髄に働きます(ボトムアップ効果)。この両者の作用で、自律神経機能の改善が期待できます。循環器や消化器は自律神経の調節を受けているので、改善された自律神経機能は循環器や消化器疾患の治療に有益となります。

 

統合医療は、うつや不安などの『心の病』を身体的なアプローチ(鍼、マッサージ)で癒す事が出来ます。逆に、慢性の痛み、消化器病、循環器病などの『身体の病』を心的なアプローチ(瞑想, ヨガ、太極拳)で治す事も可能です。統合医療的アプローチはこれらの効果 (抗不安作用, 鎮痛作用,自律神経機能改善作用)により、癌患者のターミナルケアにとっても有効な手段となり得ます。
高橋徳先生2

図1 トップダウン効果とボトムアップ効果

鍼灸やマッサージなどによる、末梢の知覚神経の興奮が脊髄視床路を経由して、延髄、中脳、視床下部に伝わる。一方、瞑想,坐禅、ヨガなどは、前頭葉を刺激し、この興奮が延髄、中脳、視床下部に伝わる。延髄は自律神経のバランスをを調節し、中脳からはオピオイド、視床下部からはオキシトシンが分泌される。

The post 専門医が解説!東洋医学が米国で評価される理由 appeared first on 看護師あるある - ジョブデポ看護師ブログ《公式》.


職場に女は2人いらない!嫁の嫉妬で解雇された看護師の話

$
0
0

看護師の嫉妬

今まで、27年の間、10か月の産休以外、休まず常に看護師として働いてきた。この間、前職までを合わせ計4か所の医療機関で働いてきた。必然と、「退職願」なるものはご想像どうり4回提出してきたことになる。私がここで話したい事は、4か所目の医療機関において起きた退職に関する件が、ナースとして、また一般社会人として今回のような退職は私にとって経験もしたことがなければ今まで、聞いたこともない退職の形であったため、今回の件の真実を書き記すことにより、これを冷静に受け止め、この件にけじめをつけるべく早く忘 れ新しい環境に一刻も早く慣れることに繋がれるよう、願い記したい。

 

胃液と消毒液の混ざった臭いで一日が始まる

ここは、お茶の産地で有名な、緑豊かなS県にあるホテルのような一般病院。

庭には日本庭園のような手入れされた池や庭木があり、心が癒される。そう、私の職場は自宅から車で3分。大好きなテレサテンの曲が1曲も聞けない距離。白衣に着替え、担当部署に入ると、いつもこの臭いで私の1日が始まる。「胃液と消毒液の混ざった臭い」。うっ!と鼻につくが、9年もこの場所で働いていると、アンカリング効果でこの臭いでやる気スイッチと、アドレナリンが自分の身体から出てくるのがわかる。

ここは私の部屋、内視鏡室。9年もいると自分の部屋と同じ認識。そして業務もややマンネリ。そんな中に緊急の吐血の 患者さんや、飛び入りの下血患者さんの検査が入ると、その出来事の何かが自分を興奮させさらに濃いアドレナリンが出る。仕事では、窮地に追いやられるような急変や未知の事で自分をいじめるような事が好きな私。

 

地獄の始まりは医師の甘い誘いから

ここでは、毎日日替わりで内視鏡医が日々患者さんの胃の中を覗いている。毎日働いていると、各医師の手順、言う事,次に何がしたいのか分かり、面白い。

外科医Dr・M、彼もその一人。常勤、バツ2、子持ち4人。末っ子は昨年二十歳。どんな事情かは知らないが、彼が一人で10年子育てを?という噂。売り上げがあり、こんな家庭状況だと許されるのか信じられないが彼の出勤時間は、なんといつも九時半過ぎの遅刻!患者さんも気がついている。

患者さんへの説明は、馬鹿丁寧過ぎ。そして、ややオーバー。だけど、患者さんやスタッフにはなんとなく頼られる部分も。そんな、ある日、Mは『Sさん、僕はクリニックを開業する事になった。ぜひ、Sさんの内視鏡介助をクリニックで生かしませんか?』と器材を洗う私の背中越しに、飛行機の音とともに投げかけてきた。・・・これが、 入職経緯、つまり地獄の始まりだった。

クリニックがオープンした!

新しい職場は自宅から車で5、6分。今回はテレサテンが1曲聞ける距離。今度は何も無いゼロからのスタート・・・。一般人であろうと医者であろうと、ゼロからの立ち上げは想像を超える大変さがある。

会社を立ち上げた方にはなおさら、ご理解頂けるであろうか。私は、このゼロ地点において27年分の自分の能力、経験、知識をフルに発揮できた事を今でも楽しく、充実していた事、そして新しい刺激 を求め未知の世界を作り上げる為にアドレナリンが出ていた事を記憶に鮮明に憶えている。

クリニックHP文案作成、消防署への提出書類作成、いくつもの検査説明用紙の作成、注射器や物品の発注、待合室の椅子や物品の配置、そして、内視鏡室の物品 薬品のスタンバイ・・・。トライ&エラーを繰り 返しながら、スタッフのみんなと力を合わせクリニックがオープンした。

 

患者が来ない毎日・・・

連日1桁の来院数。来院数が少ないと必然と患者さん一人当たりとの会話時間も長く余裕がある。そんな時、患者さんとの会話で犬の散歩の話が出て「私は、犬の散歩しているから足腰の骨が強い。骨折なんて1度もした事無いぐらい丈夫なの」と言われる方がいた。

私は丁度先日説明を受けた骨密度測定の話を思い出し、その患者さんに自分の骨の健康を知っておく為にと話しかけてみた。患者さんは「あらっ、そんな事ができるの?」等と言いながら期待に胸膨らませ自信満々で検査を受けていた。

ところが結果は・・・要注意状態。患者さんは、驚きを隠せず、今の自分の骨の状態を知り、時々検査を受けていきたいと言われていた。私は、この時、素直に患者さんの健康、病気への意識付けができた事(疾病の予防、健康の増進)を嬉しく思っていた。

 

「扶養」のはずがいつの間にか「フルパート」に

4ヶ月も経つと来院数も増え、待合室で待たさ れてしまう患者さんも増えてきた。どの位自分が待たされるのか、時々はこんな3時間も待たしてと帰る患者さんも出てきた。

そんな中、私は、DrMの診療パターン、検査パターン等を把握していた事から、30分以上待たされている患者さんには、おおよその待ち時間と番数、 新患には、症状から予想される当クリニックでの検査等、おおよその診療経過等のご案内を提供し待ち時間対策として改善を試みてきた。

その結果、イライラした表情で待つ患者さんも少なくなった。この頃になると、扶養範囲で働き始めていた私は仕事がとても楽しくなり,いつの間にか予定勤務時間もオーバーし、医師国保に切り替えフルパートで働き始めていた。

 

看護師なのに「広報部長」と呼ばれる

この時期、地域の広報誌に私自身が応募し掲載された事があった。私は興味本位次いでに広報誌の掲載料やシステム等の情報収集をして院長Mにこの事を報告した。院長Mは「広告等は、僕はまだ看板や広告まで手が回らず、医業でけで精一杯だ。

僕は開業してから、Sさんが患者さんに検査のアドバイスをしたり、またそれを患者さんが納得して受けてくれたり、ホームページの文案表現やクリニックのPRが、あんなにできる人とは思っていなかった。Sさんが勤務の日はクリニックの売り上げに直結している。

これからはクリニックの主任として、また、広告等統括として今後は働かないか?」この辺りから何気に広報部長等と冗談では言われていた事を思い出す。私はクリニックの看護主任とマネージメント主任として日々を送る事になった。

私はトラブル,イベントが大好き!(テニスの松岡修造さんの言葉に崖っぷち大好きと有るがあれと似ているかも)だけど自分に何度も問いかけた。

できる?この仕事?広報の知識なんて無い。PCだって十分に使いこなせないのに・・。でもやるしか無かった。看板設置に交通量を調べ、何社の見積もりを比べ交渉したり、広報誌掲載用の原稿をまとめたり、地域公民館でのセミナーを企画したり設定したり・・。看護師の仕事と同時に広報の仕事、昼ご飯も食べれない日々。いつも忙しかった。業務が終わり、業者との連絡を取るといつも帰りは十時・・・。気がつくと、あっ!子供のご飯・・。自宅に帰ると子供は夢の中。髪の毛が涙で濡れて頬に張り付いていた。

 

院長が婚活に夢中、3度目の結婚をすることに

そんな毎日の中、院長Mは・・・開業して半年で婚活に夢中になっていた。開業して半年で、婚活できる余裕がよく有るなと私は感じていた。他の開業医は借金を1億前後抱え紙1枚も無駄にしない方が多いのに。時折、院長の遅刻、10時出勤や診療中の居眠りも度重なりあり、患者さんに指摘され『今日はアウト!』等と言われる始末もあった。

クリニックが開業して1年と10ヶ月・・・この頃から院長の態度に変化が出始めていた。諸報告しても適当な返事、雑談も私には目も向けず他のスタッフに話しかける。また、私のタイムカードが水に濡れたようによれていたりしていた。

私は気になった為院長に尋ねた。すると、今までに聞いた事の無い言葉が返ってきた。「僕は再々婚する事になった訳なんだが、自分の新しい奥さんがあなたに嫉妬している。しかも狂ったように。僕が引き抜いてクリニックに連れて来た事、しかも仕事はできる上に患者さんのファンも多い。

また広告の仕事もこなしそれによる効果で患者さんも増えている。なのにいくら説明しても理解してもらえない。申し訳ないが・・・」この言葉に続く意味は?院長は何が言いたいのかしばらくの間理解に苦しんだ。これは解雇?退職勧奨?嫉妬?なぜ?私が何をしたと?唖然とした。

 

院長の奥さんの「嫉妬」が理由で突然解雇に!

突発性難聴を患ったある日、突然その奥さんと院長に呼ばれた「来月からあなたの主任手当をカットします。基本給も400円下げ戻します。勤務日数も減らします。あなたは目立ちすぎる」と奥さん。

私は訳が分からくなり強い吐き気に教われた。当然、納得いかなかった。理解できなかった。院長の目は右に左にうろたえておりまるで蛇ににらまれた何かのようだった。

数日後 これが労基法に違反している事を調べ監督署,ユニオンへ。後に院長の土下座謝罪を受けた「Sさんが辞めないから奥さんに減給するよう言われた」と。その土下座と給料の6倍の相場慰謝料で私は会社都合退職を自己都合に書き換えてやっと退職願を出した。お金が問題ではない。なぜ?何がいけなかったのか?院長に指示された事をやってきただけなのになぜ?

今回看護師として1番大変な時期のクリニックのオープンに自分が関われた事、さらに看護師として、患者さんに関われた事、また広告関係に関われ未知の経験ができた事、これらについては一生の宝物である。忘れられない。

上司の指示に従い働いてきたのに 出る悔いは打たれるどころか抜かれたような形になり未だに理解に苦しむ日々。1日何回もクリニックの事が思い出される。

そんな中、とある人材紹介の方から温かい言葉を頂き紹介を受け、明日からやっと救急外来の内視鏡室で勤務が始まる。新たなるアドレナリンを出す為に・・・。

早く忘れよう。

The post 職場に女は2人いらない!嫁の嫉妬で解雇された看護師の話 appeared first on 看護師あるある - ジョブデポ看護師ブログ《公式》.

産婦人科医が教えるオススメの避妊法とコンドームが破れた時の対処法

$
0
0

避妊

1.年間100万人の赤ちゃんのうち20万件が中絶

女性にとって妊娠や出産は大きな出来事です。年間100万人の新生児が生まれている一方で、実に20万件の中絶が行われています。産婦人科の現場のナースでさえも、不確実な避妊法に頼っているのが現状です。自分で自分の未来を決めていくためにも、自分の夢やライフプランを実現するためにも確実な避妊法を使いましょう。

 

昔一緒に働いていたナースは、看護学生の時に予定外に妊娠してしまい、学校を中退せざるを得なくなりました。出産後にがんばって他の学校に入学しなおしてナースになったものの、うまくいかなければ経済的にも精神的にも、後悔の多い人生になっていたでしょう。自らのキャリアを考えて後悔のない妊娠をするためにも、しっかりとした避妊が大事です。

 

 

2.状況によって変わるおすすめの避妊法

絶対に妊娠したくない人=「低用量ピル」または「ミレーナ」

低用量ピルを毎日服用した場合、1年間での妊娠率は0.1%程度です(毎月2500~3,000円)。ピルを飲んでいれば、月経痛が劇的に軽くなりますし、いつ月経が来るのかがはっきりわかり、かつ、出血量もおりものシートで足りるくらい少なくなります。忙しいナースには、有利な点がいくつもある避妊法です。
また、ミレーナという女性ホルモン剤を含んだ器具を子宮内に挿入する方法があります(1回3万円、5年間有効=ひと月500円)。1回挿入すれば毎日薬を飲む必要もなく、かつ、ホルモンが血中に流れ出る量もごくごくわずかなので、血栓症などの全身への影響もほとんどありません。一昨年までは9万円だったものが、3分の1になり、とても使いやすくなりました。(それでも諸外国の2倍以上のようですが・・・)
もちろん、性感染症予防としてコンドームも使うことが大事です。避妊法と性感染症予防は別の話です。性感染症も未来に大きな影響を及ぼすことがあります。コンドームで全てを予防できるわけではありませんが、少しでもリスクを下げるようにしましょう。

 

産んでもよいと思っている人=「コンドーム(+緊急避妊ピル)」

コンドームはどんなに上手に使ったとしても、破れたり抜けたりすることがあります。そのため、1年間に2~3%程度の人が妊娠する可能性があります。産婦人科で中絶手術をする人もコンドームのトラブルの結果という人が結構います。よって、コンドームはもし妊娠してしまったら産むつもりの人の避妊法だと考えています。避妊はしているけど赤ちゃんができたらできたでうれしいなあ、と思っているくらいの人におすすめです。

 

72時間以内であれば緊急避妊ピルを飲めば妊娠の可能性を下げることができる

コンドームで避妊している人達には、もう一つ覚えておいて欲しいことがあります。緊急避妊ピルについてです。もしコンドームが破れてしまったときは、72時間以内に緊急避妊ピル(ノルレボ錠)を飲めば妊娠の確率を下げることができます(1回2万円程度)なるべく早く近所の産婦人科に行って、処方してもらってください。72時間を越えてしまった場合には、5日以内であれば、子宮内避妊リングを入れるという方法もあります。産婦人科で相談してください。

 

時間がたてばたつほど、選択できるオプションは少なくなります。早めに詳しい専門家(この場合は産婦人科医ですかね?)に相談しましょう。

 

3.各種避妊法の失敗率、費用

低用量ピル 0.1% 3000円/月

ミレーナ 0.1%      32000円/5年(一月あたり500円)

コンドーム 3%  30円/回

緊急避妊ピル(ノルレボ)      3% 一回のセックスでの妊娠率10%を3%まで下げる   20000円/回

オギノ式・リズム法 9~25% 妊娠法として考案された

避妊せず             85%

※低用量経口避妊薬の医師向け情報提供資料より

化学療法(抗がん剤治療)の副作用ごとの対処と看護ケア

$
0
0

化学療法の看護

抗がん剤を用いた化学療法を実施する患者は、副作用や病気の不安から、心身ともに大きな負担がのしかかるため、患者の心身状態を細かく観察し、何か問題があれば迅速に対処しなければいけません。

 

そうするためには、まず抗がん剤の種類・副作用や、副作用出現時の対処法など、化学療法に関する深い知識を有しておく必要があります。ここでは、化学療法の概要や看護ケアに関して詳しく説明していますので、適切なケアを実施できるよう、看護学生や臨床経験の少ない看護師は特に、しっかりとお読みください。

 

1、化学療法とは

化学療法とは、血液やリンパ管などを通して全身に散らばったがん細胞を抗がん剤を用いて死滅または少なくする療法のことです。

 

がん治療には主に、「化学療法」「手術療法」「放射線療法」の3種類がありますが、手術や放射線によるガン治療は、直接的かつ局所的な治療法に対し、化学療法はより広範囲に治療の効果が及ぶことが期待できるため、化学療法と手術療法・放射線療法とを組み合わせて行われることが多いのが現状です。

 

また、一種類の薬剤を使う場合と、いくつかの薬剤を組み合わせる場合もあり、また、ひとえに薬剤と言っても経口薬だけでなく点滴薬や注射薬などさまざまです。

 

2、がん細胞のメカニズム

がん細胞は、もともとは正常な細胞ですが、その細胞が変異を起こすことでがん細胞へと変わってしまいます。がん細胞は“無制限に増殖する”という特徴があるため、放置すれば体中に転移し、正常な細胞の数が少なくなることで体の各機能が不全を起こし、最終的には死に至ってしまいます。

 

ゆえに、がんの直接的な影響はがん細胞の増殖ではなく、正常な細胞の数が減ることによる身体の各機能の低下または不全が主な原因となります

 

2-1、がんの発生要因

がんの発生には遺伝子エラーが大きく関係しています。上記の通り、がん細胞は正常な細胞の変異によって生まれますが、発がん物質などによって遺伝子に傷がつき、遺伝子の修復機能が追い付かなくなる、または修復機能が正常に働かなくなることで、遺伝子に傷が残ったままになり、ここにさらに傷が重なることでがん細胞が発生します。

 

つまり、がん細胞の発生は遺伝子エラーの積み重ねによるものなのです。しかしながら、がん細胞が発生したとしても、体の免疫が破壊するよう働くため、基本的にはそれ以上の進行はありません。ただし、免疫機能が不十分であったり、がんの発生要因となる「発がん性物質」「ウイルス」「紫外線・放射線」を体の内外に取り込み続けると、免疫機能の許容範囲を超え、がん化が進み、がん細胞が増殖していきます。

 

①発がん性物質

発がん性物質といえばタバコを連想すると思いますが、実は食品や飲料にも発がん性物質が含まれています。それゆえ、現代社会において発がん性物質を体内に完全に取り込まないようにするのは限りなく不可能なのです。

 

②ウイルス

C型肝炎ウイルス(→肝臓がん)や、ヒトパピローマウイルス(→子宮頸がん)、EBウイルス(→鼻咽頭がん・唾液腺がん)などのウイルスもがん発生の要因となります。

 

③紫外線・放射線

大量の紫外線を浴びることで皮膚細胞の遺伝子に傷がつき、皮膚がんを招く可能性があります。また、放射線も発がん要因であり、紫外線よりもエネルギーが強く体内に浸出することから、皮膚がんだけでなく、乳がん、甲状腺がん、胃がん、肺がん、卵巣がんなど、体の至るところにがん細胞が転移・浸潤します。

 

④加齢

加齢もがん発生の大きな要因です。高齢になると外敵から体を守る免疫機能や、遺伝子を正常化する修復機能が低下します。それゆえ、若年者よりも高齢者の方ががん発症の確率が高く、現にがん患者うち60歳以上が大半を占めています。

 

3、抗がん剤の種類

現在使用されている抗がん剤は実に多くの種類が存在しますが、抗がん剤を用いた最近の化学療法は、一種類の抗がん剤を使用するのではなく、数種類を組み合わせて使用し、効果を強くしたり副作用を少なくするなど、QOLを改善する工夫がなされています。

 

抗がん剤の種類には由来や作用によって、「アルキル化剤」「代謝拮抗剤」「抗がん性抗生物質」「植物アルカロイド」「ホルモン療法剤」に分類されています。

 

アルキル化剤

アルキル化剤は最も古くから存在する薬で、DNAと結合し、その構造を変化させることで、がん細胞の分裂や増殖を抑える効果があります。

一般名 商品名 投与経路
イホスファミド 注射用イホマイド 注射
塩酸ニムスチン ニドラン 注射
シクロホスファミド エンドキサン 注射、経口
ダカルバジン ダカルバジン 注射
メルファラン アルケラン 経口
ラニムスチン サイメリン 注射

 

代謝拮抗剤

代謝拮抗剤に含有している成分は、がん細胞の増殖に必要な物質と似た構造をしているため、がん細胞の中に入りやすい特徴を持っています。がん細胞の中に侵入した後、DNAの合成を止め、がん細胞の分裂・増殖を抑えます。

一般名 商品名 投与経路
塩酸ゲムシタビン ジェムザール 注射
エノシタビン サンラビン 注射
シタラビン オクホスファート スタラシド 経口
シタラビン製剤 キロサイド 注射
テガフール・ウラシル UFT 経口
テガフール・ギネスタット・
オタスタットカリウム配合
ティーエスワン 経口
ドキシフルリジン フルツロン 経口
ヒドロキシカルバミド ハイドレア 経口
フルオロウラシル 5―FU 注射
メトトレキサート メソトレキセート 注射、経口
メルカプトプリン ロイケリン 経口

 

■抗がん性抗生物質

抗がん性抗生物質は、ある種のカビから作られており、多くの種類のがんに適応できるという特徴を持っています。がん細胞のDNAの二重らせん構造の中に入り込むことで、DNAの合成を防ぎ、がん細胞の細胞分裂を阻止し死滅へと導きます。

一般名 商品名 投与経路
塩酸イダルビシン イダマイシン 注射
塩酸エピルビシン ファルモルビシン 注射
塩酸ダウノルビシン ダウノマイシン 注射
塩酸ドキソルビシン アドリアシン 注射
塩酸ピラルビシン テラルビシン 注射
塩酸ブレオマイシン ブレオ 注射
硫酸ペプロマイシン ペプレオ 注射
塩酸ミトキサントロン ノバントロン 注射
マイトマイシンC マイトマイシンS 注射

 

■食物アルカロイド

食物アルカロイドは、自然に存在する食物を原料として作られており、主に肺がんや乳がん治療に用いられる抗がん剤です。神経障害やアレルギー反応などの副作用があるものの、総じて副作用の発現率が低く軽いため、副作用の軽減を希望する患者の変更薬としてよく用いられています。

一般名 商品名 投与経路
エトポシド ベプシド、ラステット 注射、経口
塩酸イリノテカン カンプト 注射
酒石酸ビノレルビン ナベルビン 注射
ドセタキセル 水和物 タキソテ-ル 注射
パクリタキセル タキソール 注射
硫酸ビンクリスチン オンコビン 注射
硫酸ビンデシン フィルデシン 注射
硫酸ビンブラスチン エクザール 注射

 

ホルモン療法剤

ホルモン療法剤は、乳がんなどのホルモンとの関係が深いがんの治療に用いられています。ホルモン(エストロゲン)があると、がん細胞の増殖スピードが速くなるため、必要なホルモンをがん細胞に与えないようブロックし、がん細胞の繁殖を抑えます。副作用が軽く、長期間に継続して服用できることから、乳がん、子宮体がん、前立腺がん、甲状腺がんを患う患者に率先して使用されています。

一般名 商品名 投与経路
アナストロゾール アリミデックス 経口
クエン酸タモキシフェン ノルバデックス 経口
クエン酸トレミフェン フェアストン 経口
ビカルタミド カソデックス 経口
フルタミド オダイン 経口
リン酸エストラムスチン エストラサイト 経口
ネダプラチン アクプラ 注射

 

4、抗がん剤の副作用

抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞も死滅させてしまうため、確実に何かしらの副作用が出現します。使用する抗がん剤の種類や、影響を受ける細胞によって、出現する副作用はさまざまですが、一般的には以下のような副作用が存在します。

症状 出現期間 特徴
貧血 投与後3~5日前後 頭痛、眩暈、動悸・息切れ、立ちくらみ、倦怠感、冷感、皮膚や目の色の変化(白くなる)
悪心・嘔吐 早発性:投与後1・2~24時間

遅発性:投与後24~48時間

悪心、嘔吐、食欲減退、食事量の減少、体重減少
皮疹 投与後1~2週間前後 ざ瘡様皮疹・紅斑・浮腫(投与後1~2週目)、皮膚乾燥・亀裂(5週目ごろ)、爪周囲炎(8週目ごろ)
下痢 早発性:投与後24時間以内

遅発性:投与後3~7日前後

腹痛、尿量低下、水様便、皮膚の乾燥、体重減少
末梢神経障害 急性:投与後すぐ

慢性:投与の繰り返しで出現

手足口・咽頭周囲の痺れや痛み、呼吸苦
血小板減少 投与後7~10日前後 頭痛、吐き気、出血傾向、内出血、潜血便
白血球減少 投与後7~14日前後 発熱、頭痛、咳、下痢、咽頭痛、膀胱炎症状、易感染状態
脱毛 投与後2~3週間前後 全身の脱毛(徐々に、または一気に抜け落ちる)

 

5、化学療法の看護計画

化学療法を実施する患者への看護は、「確実」「安心」「安全」の3項目を目標とし、各患者の心身の状態やがんの種類などをもとに計画を立案していきます。

 

看護目標

・患者が安心し納得のうえ、日常生活・社会 生活と両立させて治療を受けられるように支援する。

・安全・確実に、そして苦痛が少ない状況で、予定された治療を最後まで続けられるようにする。

 

確実に 安心に 安楽に
・レジメン管理

・治療計画の理解

・確実な血管確保

・治療計画に基づいた確実な投与

・適切な器材の選択

・適切な薬剤の調製と安定性の確保

・血管外漏出の予防

・安全な投与量の管理

・抗がん剤の曝露予防

・感染予防

・血管外漏出の予防

・安全な器具の選択と使用方法

・廃棄物の処理

・リスクマネジメント

・意思決定の支援

・適切な支持療法の実施

・急性症状のアセスメントと予防・対処

・血管外漏出

・急性の悪心・嘔吐

・治療環境の調整

・不安の緩和・闘病意欲の維持

・セルフケア支援

 

6、副作用出現時の看護ケア

抗がん剤は正常な細胞をも死滅させてしまうため、さまざまな副作用が出現します。当項目では、数ある副作用の中でも出現率が高い「貧血(骨髄抑制)「悪心・嘔吐」「下痢」「脱毛」における看護ケアについてご説明します。

 

患者の苦痛の主な要因は副作用であるため、副作用出現時の迅速な対処は必要不可欠ですが、それと同時に精神的なケアを積極的に行っていきましょう。

 

6-1、貧血(骨髄抑制)のケア

抗がん剤による貧血は主に、白血球・好中球減少による感染(発熱)、血小板減少による出血傾向、赤血球減少などにより起こり、これらが原因で貧血症状が出現した状態を「骨髄抑制」と言います。

 

赤血球が減少している場合には、体内の赤血球数を増やすために輸血を行いますが、感染による貧血の場合は、安静状態を維持し、さらなる感染を防ぐために清潔保持に努めます。

 

なお、貧血は骨髄抑制だけでなく、鉄欠乏、葉酸欠乏、ビタミンB12欠乏など体内栄養素の不足によっても起こるため、まずは貧血の原因を特定し、それに応じて対処しなければいけません。

 

■貧血(骨髄抑制)の出現率が高い抗がん剤

注射用イホマイド、ニドラン、エンドキサン、アルケラン、サイメリン、イダマイシン、ファルモルビシン、ダウノマイシン、アドリアシン、テラルビシン、マイトマイシン、カンプト、ナベルビン、タキソテ-ル、タキソール、サンラビン、キロサイド、UFT、フルツロン、ハイドレア

 

■貧血発生時の患者へのアドバイス項目

・無理をせずベッドに横になり安静を維持する

・ベッド上から起き上がる場合にはゆっくり起き上がる

・1日3食、規則正しく食べ、十分な栄養素を確保する

・食事や排せつ前後、外出後など、手を入念に洗う

・食事や薬の内服の前後、外出後など、イソジンなどでうがいをする

・食中毒予防のため、加熱処理された食事を摂取する

・ウイルス感染を防ぐため、外出時はマスクを着用する

 

6-2、悪心・嘔吐のケア

悪心・嘔吐には「予測性」「早発性」「遅発性」の3つのタイプがあります。

 

「予測性」は、同室の他の患者の辛い状態をみた経験や抗がん剤治療などによる不安から生じるため、抗不安薬で対処します。

 

「早期性」は、消化管粘膜の腸クロム親和性細胞を刺激することにより。5-HT3と呼ばれる物質が大量に分泌されることで起こるため、5-HT3に対する拮抗薬であるグラニセトロン(カイトリル)、アザセトロン(セロトーン)、オンダンセトロン(ゾフランザイディス)などを投与して対処します。

 

「遅発性」の原因は解明されていませんが、抗がん剤が腸管を刺激し、 インターロイキンやプロスタグランジンなどの物質が多量に生成されることで出現すると言われているため、デキサメタゾン(デカドロン)などの副腎皮質ステロイド薬を用いて対処します。

 

■悪心・嘔吐の出現率が高い抗がん剤

ダカルバジン、ニドラン、アドリアシン、マイトマイシン、キロサイド

 

■悪心・嘔吐発生時の患者へのアドバイス項目

・食事と一緒でなく、食事の1時間前と後に水分をとる

・一回にたくさん食べるのではなく、回数を多く、少しずつ摂取する

・水分が多く飲み込みやすい食べ物・果物を食べるようにする

・食後は横にならず2時間ほど上半身をあげた状態を維持する

・嘔気がある時は、深くゆっくりと呼吸をする

・嘔気がひどい時は、野菜や果物のジュースを飲むようにする

・ミント系や柑橘系の飴をなめるようにする

 

6-3、下痢のケア

抗がん剤が腸内の細胞に影響を与え、腸の運動を抑制する神経(交感神経)と腸の運動を活発にする神経(副交感神経)に異常をきたし、腸の運動が強くなりすぎることで小腸・大腸の腸粘膜への吸収機能に障害が起こり、下痢または軟便になることがあります。

 

通常、下痢は短期的なものが多いため、水分摂取や腹部を温めるなどして対処しますが、強い下痢が長期的に続く場合には、下痢を止める薬を使用し、それでも改善されなければ抗がん剤の変更を行います。

 

■下痢の出現率が高い抗がん剤

カンプト、ベプシド、5-FU、メソトレキセート、キロサイド、アドリアシン

 

■下痢発生時の患者へのアドバイス項目

・腹部を締めつけるようなピッタリとした衣類を着ない

・倦怠感や脱力感がある場合には、無理せず十分な休息をとる

・刺激の強い食べ物を避け、胃や腸管に優しい食べ物を摂る

・脱水を防ぐために水分をしっかり摂取する

・衣類やカイロなどを用いて腹部を保温する

・感染症の防止のため、排泄後は肛門周りを清潔に保つ

 

6-4、脱毛のケア

抗がん剤により毛を形成する細胞も傷をつけてしまい、頭髪だけでなく全身の脱毛を引き起こします。通常、投与開始から2~3週間で全身の毛が抜け始めますが、治療終了後、1~2か月ほどで再生が始まり、3~6か月頃には元通り回復します。

 

脱毛自体を回避することは困難ですが、投与開始から15~20分間ほど頭皮を冷却し、血液中の抗がん剤が毛根に達するのを抑えたり、治療前後に発毛剤やステロイド剤を使用することにより、個人差はありますが脱毛を予防することができます。

 

■脱毛の出現率が高い抗がん剤

ダカルバジン、イダマイシン、ファルモルビシン、ダウノマイシン、アドリアシン、フィルデシン、ベプシド、タキソテ-ル

 

■脱毛時の患者へのアドバイス項目

・刺激の少ないシャンプー、柔らかいヘア・ブラシを使用する

・ドライヤーは低温で使用する

・太陽からの頭皮保護のため、外出時には帽子を着用する

・抗がん剤の投与期間は毛染めやパーマを避ける

 

7、がん化学療法認定看護師

最後に、化学療法の看護において、さらなるスキルアップを図りたいという方のために、がん化学療法認定看護師の概要をご説明します。

 

取得・入学における条件

次の1から3の資格を全て満たしていること。

①保健師、助産師、及び看護師のいずれかの免許を保有していること

②実務経験5年以上(うち3年以上はがん化学療法看護の経験)

③現在、同領域で勤務していることが望ましい。

 

がん化学療法看護の教育機関

都道府県 教育機関名
北海道 日本赤十字北海道看護大学看護開発センター
北海道医療大学認定看護師研修センター
東京都 国立看護大学校研修部
首都大学東京認定看護師教育課程
聖路加国際大学 教育センター
静岡県 静岡県立静岡がんセンター認定看護師教育課程
愛知県 愛知県立大学看護実践センター
兵庫県 日本看護協会神戸研修センター
鳥取県 鳥取大学医学部付属病院看護師キャリアアップセンター
福岡県 久留米大学認定看護師教育センター

※開講月や期間、定員など年によって異なるため、詳細は日本看護協会 分野別教育期間一覧からご確認ください。

 

認定看護師試験

上記の機関で教育過程を終えた後、認定看護師試験を受けることができます。試験内容は経験に基づいた基本的な問題が多いため、そこまで難しくはないものの、教育過程をしっかりと受講しておく必要があります。

 

まとめ

抗がん剤を用いた化学療法は主に、患者の負担を減らしQOLの向上に努めることが看護の肝となります。それゆえ、患者の心身の状態を細かく観察することが非常に大切で、特に副作用を我慢してしまう訴えの少ない患者に対しては、注意深く観察しなければいけません。

 

また、副作用出現時には、沈静化または抑制させる薬物を投与したり、日常的に悪化しないようアドバイスしたりと、迅速かつ適切に対処する必要があります。さらに、精神的な援助も不可欠です。医師の指示通りの抗がん剤を投与するだけでなく、副作用の軽減によるQOLの改善を図るべく、全人的な看護ケアを心がけて実践していってください。

【実話】看護師に選挙活動?本当にあったブラック病院の衝撃的な実態

$
0
0

ブラック病院

病院とはかけはなれた異常な組織

 わたしが新卒から7年間働いた総合病院は、今一番ブラックな病院のような気がする。ここでは名前を出せないくらい、有名な病院だ。地域には貢献していた病院かもしれない。24時間救急体制を取っており、いつでも入院、外来受診を受け入れていた。ただ、入職当時、わたしがこの病院で働いているというと、「あぁ、あの病院ね・・」と苦笑いをされた。当時、入職したばかりのわたしには、みんなのその反応の意味が分からなかった。でも、わたしがその意味を理解するまでにはそれほど時間はかからなかったが・・。最近ではニュースでもチラチラとトップの方たちが逮捕やら何やらとお騒がせしているようだ。おそらく、早かれ遅かれみんながこの事態を予感していたことなのかもしれない。

 

 新卒からの初めてのナースの仕事、期待と不安がありながらも、わたしはどうも病院で働いている気はしなかった。なぜか違和感を感じた。どこか別の会社、または宗教団体かのような雰囲気があった。特に毎朝の全体朝礼。看護業務で忙しい時にこの15分間の全体朝礼のために数人抜けなくてはならなかった。病棟が忙しく、朝礼に行けなかったりすることもあったが激しく罵倒された。本来の仕事が忙しく、正当な理由があるのにも関わらずこのようなことは当たり前のように起こった。

 

 わたしは後に別の病院で働いたが、雰囲気は全く違ったし、奇妙な時間の無駄な全体朝礼などなかった。これが当たり前なのだと思ってきたけど、辞めてからやっぱり色々とおかしかったのだと思った。何が他にもおかしいことがあるのかって?色々あるのだが、わたしがここで言える範囲のことを、その一部を順に書き留めてみたい。

 

看護業務そっちのけで選挙活動?

 あれは確か入社して2,3か月くらいの時だったか、参議院か衆議院選の時期だっただろうか。勤務中に各病棟から二人ずつ、時間差で45分ほど別室に呼ばれた。何が起こるのか分からず、とりあえずわたしは先輩ナースについて行った。部屋には他の職種のスタッフもいて、テーブルには電話と電話帳が各椅子ごとに置かれていた。特に説明などはなく、みんな慣れたように、「○○を、どうぞよろしくお願い致します。」と見ず知らず人に電話をし始めた。わたしはかなりビックリした。なぜこんなことをするのかと。ナースとして期待を膨らませて働き始めたわたしにはかなりショックな仕事だったしやりたくなかった。なんと気まずい電話。そして看護業務には関係ない・・。ぎこちなく電話でしゃべる自分が恥ずかしくてたまらなかった。

 

 こういう選挙活動からみの仕事がこの病院には多々あった。ナース、薬剤師、リハビリスタッフたちでさえこのようなことをしていたのだから、事務系スタッフはこれ以上のことをしていたことは明らかだったのは言うまでもない。ただ、ドクターは、病院長以外はこの病院の奇妙な実態に巻き込まれている感じではなかった。権力の差だからなのか、ドクターはラッキーだなといつも思っていた。

 

残業というタダ働き・消える有給休暇

 ブラックな部分はこれだけではない。ナースにとっては最悪の環境だった。当然のように切り捨てられる有給休暇。サーベイが入ると慌てて、いつの間に用意していたのだ??と思わされる謎のゆるやかな勤務の勤務表にすり替わる・・。年間20日近くある年休は繰り越されることなく何事もなかったように全て切り捨て。使うこともできず、当然休みは少ない。有給休暇届けを見るたびに、こんなに有給あるのに・・といつも嘆いていた。

 

 わたしがこの病院で働いてきた7年間で、一番長い連休は4連休が年に1回だけだった。なんと、4連休だ。たったの。今でも呆れて笑いが出てくる。残業も2,3時間は当たり前。時には5,6時間も当たり前。4時間過ぎたあたりで1時間の残業手当がもらえれば良い方だ。残業だけでなく、出勤前には1時間から1時間半前には出勤してこないと業務が終わらなかった。早めに出勤、残業が暗黙の了解だった。

 

 それでも当時はそれが当たり前なのだと思っており、過酷な状況で働いてきた自分に労いの言葉をかけてあげたいし、世間知らずだったなと思った後悔の念もある。あの時自分が労働基準法に違反している!と声をあげ、厚生労働省にでも潜り込んでいたなら何か変わっていたのだろうか、と今でも思う。

 

看護部長とわたしの温度差-当然の権利

そして極めつけは退職前のことだった。忙しい急性期の大病院であったため、半年以上前には退職の旨を伝えていたし受領されていた。辞める前に、少しでも有給休暇を消化したいと思い、病棟師長にお願いした。師長さんは難しいかもと言っていたが、その年の全ての有給休暇を消化することはできなかったが80%近く、最後の月は数日のみの出勤で済んだ。ほとんどのスタッフは辞める前には1週間ほどしか有給休暇を消化しないのに対し、わたしは3週間頂けたのでこれは掛け合ってくれた師長さんに本当に感謝したい。

 

 そして事件は起こった。忘れもしないこの日は退職日当日のことだった。この病院の300人の看護師を率いるトップの看護部長に一応挨拶に行った。お世話になりましたと当たりさわりなく述べた後、とんでもないことを言われた。自分の耳を疑うくらい信じられなかった。今でもあのシーンをはっきりと覚えている。おそらく、わたしが社会人として働く限り一生忘れることはないだろう。この病院を辞めて本当に良かったと思った日であり、これからは前に進むのみだと、自分を奮い立たせた日だった。その看護部長はわたしにこう言った。

 

「あなたは有給休暇を辞める前にたくさん取ったらしいわね。あなたが休んだせいで残りのスタッフがどれだけ忙しい思いをしていると思うの?自分勝手だと思わないの?身勝手なことをしたと思わないの?」

 

有給休暇(当然の権利)を取りたい

 まさか穏やかな挨拶の後にそのようなことを言われるなんて思いもしなかったし、驚いたし、怒りが込み上げてきた。副看護部長二人もその部屋に居たが、うつむき加減でわたしの顔を見ていなかった。看護部長だけがわたしの顔を睨みつけるように見ていた。わたしは3秒間ほど心の中で、当然の権利を主張しただけで何の非があるのかと、労働基準法に違反していると裁判を起こすしかないのかと、呆然と考えていた。いたたまれなくなり、わたしはこう言い放った。

 

「確かに一人少ない状態で働くことは大変ですし、頑張ってくれたみんなには感謝しています。素晴らしいスタッフに恵まれ、あの病棟であのスタッフとたちと働けたことは本当に感謝でいっぱいです。でもわたしは退職の旨を半年以上前には伝えました。その後スタッフを募集するなり補充するのは看護部長の仕事だと思います。わたしのせいにしないでください。求人を出しても来ないなら、スタッフにとって働きやすい環境は何なのかをもう一度考えてみてください。それと、有給休暇を頂くことは働くうえで当然の権利だと思っています。わたしだけでなく、全ての人に与えられます。みんなに有給休暇をきちんとあげてください。毎年切り捨てられ退職前でさえほとんど使うことが出来ないのは酷すぎます。どうかもう一度考え直してみてください。よろしくお願いします。」

 

 わたし自身、驚くほどに冷静に話していた。悔しくてその場で泣きたいくらいだったがこらえ、平常心を保とうと必死だった。わたしもさすがにその時はかなり緊張していたと思う。しかしわたしの思惑とは裏腹に、看護部長はわたしに対して何も言い返さなかった。わたしは4,5秒ほど反応を待ったあと一礼をし、無言で部屋を出た。部屋を出た瞬間、涙があふれてきた。軽蔑されたような批判をされた悔しさと、やっと言ってやった!という心の底からガッツポーズが出てくるような達成感。きっとわたしの言ったことなんて流されているだけだろうが。

 

 その後後輩たちからは、変わらず有給休暇の消化は難しく、ほとんどの人が未だに奴隷のように働かされていると聞かされる。

 

ブラックだから辞めていく?73人から4人へ

 今思い起こせば、わたしを含めたくさんの人が辞めていったし、この病院にとってそれがごく普通の流れだったのかもしれない。たくさんの人が入職し、たくさんの人が辞めていく、その繰り返し。決して長くいたいと思える病院ではない。

 

 わたしが入職した日、4月1日、73人もの新人ナースがこの病院に就職した。最初の1週間は全体研修が行われていたし、各自番号も与えられていたので後ろの方に居たわたしはこの番号をはっきりと覚えていた。しかし驚くことに、わたしが辞めるまでの7年間、わたしが辞める時に当時のメンバーが残っていたのはたったの4人だけだった。たったの4人。ゲームの勝ち抜き戦くらいの勢いだ。1か月、3か月、1年、3年とたくさんのナースが離れて行った。女性看護師が多い中、もちろん結婚退職なども含めてだが、この数の減り方は異常ではないだろう。みんな薄々と危険だと思っていたに違いない。

 

 この病院は今でもニュースでよく耳にするし、評判は最悪だ。他にもブラックなことは多々あるけど、言い出したらきりがない。ここでは病院名を伏せておきたいが、おそらく勘付く人はいるだろう。病院経営も異常なことながらスタッフの環境も最悪だった。何よりトップがおかしい。上層部も洗脳されているとしか思えず、馬鹿らしいことを当たり前と思い異常なふるまいをしていた。トップが逮捕されたニュースを見たのはわたしが退職してから5,6年経った後だった。あぁ、ついに、やっぱり、と思えた瞬間だった。全てが明るみに出ればいい。本当に最悪な病院だった。もちろん二度と戻らないが。

脳出血の急性期、慢性期におけるポイントと看護計画

$
0
0

脳出血の看護

脳疾患の代表的な疾患は、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の3つが代表的な脳血管障害です。脳神経外科を理解していく上で、脳出血は避けて通れない疾患の一つです。

 

脳は一つの均質な塊としての臓器ではなく、大脳、中脳、小脳、橋、間脳、脳室、延髄などの多くの部分から構成されています。各々の部分で異なった機能がある、とても複雑な形態をしています。

 

脳が損傷を受けると、

・運動系の障害

・認知・言語障害がある高次脳障害

・体温調節や呼吸調節を司る自律神経が、障害される

などの日常生活に大きな影響を与えてしまいます。

 

当ページでは、脳出血を発症してしまった患者様に対して、どのような治療方法があるのかを詳しく記載していきます。また看護計画を立案し、看護過程を展開していくために必要な視点についても詳しく紹介していきます。脳神経外科の経験がない、または経験が浅く自信がない方は特に、しっかりお読み頂き、確かな知識を得て日々の看護ケアに活かしてください。

 

1.脳出血とは

脳内の血管が何らかの原因で破れてしまい、脳の中で出血した状態をいいます。脳には、大脳や小脳、脳幹など様々に分類されますが、出血部位によって意識障害、運動麻痺、感覚障害などの症状が出現します。血腫が大きくなると脳浮腫を起こし、頭蓋内圧が高まります。脳ヘルニアを合併し脳幹部を圧迫すると、死に至ります。

脳出血による死亡数が以前より減少した理由は、高血圧の内科的な治療が行われ、血圧のコントロールをされている患者様が多くなったことが原因と考えられています。

脳出血といっても、出血する部位によって病状が異なり、大きく分けて5つに分類されます。

 

1-1.被殻出血

脳出血の中で約50%を占める、最も出血しやすいタイプです。被殻は脳の中央部にあるため、運動や感覚、さらに言語や理解を司る高次機能もあります。そのため、ここが出血により障害されると、身体が麻痺を起こし動かなくなる運動障害、感覚障害、各種の失語症などの症状が出現します。出血が被殻の部分のみであれば、症状は軽度となりますが、出血が基底核部の内包にまであると、出血部位の反対側に麻痺や感覚障害が起こります。

 

1-2.視床出血

脳出血の約3割を占めるタイプです。視床とは、間脳の一部で運動や感覚を司る、神経の束がたくさん存在する場所になります。そのため、運動障害だけではなく、感覚障害が強く現れる特徴があります。出血が視床だけの場合には、症状はしびれを感じるのみの軽度となりますが、基底核部の内包にまで出血がおよんでしまうと、麻痺が起こります。また脳室が近いことで、脳室内出血を起こすこともあります。

視床出血はしびれ、痛み、意識障害、片麻痺などの後遺症が残ることが多いとされています。

 

1-3.皮質下出血

頭頂葉や側頭葉、前頭葉などの大脳皮質という場所の下で出血が起こるタイプです。軽度の意識障害や痙攣などの症状が出現します。症状が軽いことが多いため、予後が良好な場合が多いのが特徴です。

 

1-4.小脳出血

小脳という、運動全体を調節している部分に出血が起こるタイプです。小脳は、四肢や体感の動きの調節や平衡機能、眼球運動の調節を行います。したがって、これらが障害されてしまうと激しい後頭部痛、回転性めまい、嘔吐が続くなどの原因になります。その後、起立・歩行障害、共同偏視、眼振などが出現します。

 

1-5.脳幹出血

脳の最も奥の脳幹という場所の橋とところで出血を起こすタイプです。脳出血のタイプの中では、一番に予後が悪く発症してから短時間で意識障害を起こし昏睡状態になります。その血とも呼ばれますが、脳の最も奥の部分にある脳幹の中の橋というから出血することです。そのまま死亡することもよくあるため、迅速な対応が必要となります。

 

2.脳出血の原因とは

脳出血の一番の原因は、高血圧であることがわかっています。脳出血を起こした患者様の約半数は、高血圧の治療を行っている方です。血圧をコントロールすることが、最大の予防となります。

 

アルコールの過剰摂取をしている方も、血圧を上昇させてしまうためリスクが高まります。また肝臓が悪い方は、血液を凝固する力が弱まるため、出血リスクを高めるともいわれています。

 

抗血栓薬を内服している患者様の場合は、血液を意図的に固まらないようにしているので、脳出血のリスクが高まります。

 

動脈硬化を患っている患者様の場合は、さらにリスクが高まります。もろくなった血管が破裂して出血を起こすのが脳出血なので、高血圧+動脈硬化は非常に危険であることがわかります。

 

3.脳出血の症状とは

基本的には、意識障害や片麻痺、頭痛や嘔吐などが多くの患者様に見られます。どこが出血しているのかが大事になり、血腫の大きさによっても症状の強さが違います。出血部位毎に、出現しやすい症状を見ていきましょう。

 

3-1.被殻出血の症状

片麻痺や感覚障害、両眼とも片側半分の視野が見えなくなる同名性半盲、これらが主な症状となります。さらに発見が遅れると意識障害が見られることもあります。また失語症が見られることもあります。

 

3-2.視床出血の症状

被殻出血と同様に、片麻痺や感覚障害が出現しますが、感覚障害が優位になることがあるのが特徴です。視床出血の場合は、出血後に半身の強い痛みを伴うことがあります。

 

3-3.皮質下出血の症状

どこの皮質下で脳出血を起こすかによりますが、多い症状としては片麻痺、失語、半盲が挙げられます。程度は中程度以内とされていますが、後遺症が残ることはあります。

 

3-4.小脳出血の症状

突然の眩暈、頭痛、嘔吐などが特徴的な症状です。歩行障害も見られることがあります。

 

3-5.脳幹出血の症状

突然の意識障害、縮瞳、呼吸異常、四肢麻痺、高熱などが特徴的な症状です。脳幹出血は他の出血部位と違い、急激な意識障害など状態悪化をすることがあるため、予後は不良なことが多いです。

 

4.脳出血の治療とは

出血の起こった部位や原因となる疾患、大きさ、合併症の有無など全身状態によって、治療が異なります。

治療の基本となるのは、開頭手術をしない内科的な治療が主となります。出血によって障害を受けた脳は元に戻ることができません。そのため、脳への圧迫を緩和する、再出血の予防、脳浮腫を抑制し頭蓋内圧をコントロールする、合併症の治療を行うこととなります。出血した部位や患者様の全身状態によっては、外科的手術を行う必要もあるので、その時の状況に大きく左右されます。

 

4-1.脳出血に対する内科的治療

発症から6時間以内は再出血が起こりやすい状態なので、収縮血圧を120~140mmHg程度に調節します。降圧剤は点滴を使用します。脳出血の急性期は、脳の自動調節能が障害されているため、血圧がそのまま脳血流に影響してしまいます。なので、過度に血圧を下げることは、予後を悪くします。発症24時間以降は、基本的には内服薬に移行していきます。

 

脳浮腫の治療薬であるグリセロールの投与は、発症24時間以内では基本的には使用しません。急激な脳圧低下は、再出血を助長する可能性があるためです。

 

脳出血の合併症として、全身状態悪化による肺炎や尿路感染症などが起こることもあるので、並行して治療を行う必要があります。

 

このような急性期を脱することができれば、早期にリハビリを開始します。開始時期は、全身状態にもよりますが、比較的早い段階で開始します。

 

4-2.脳出血に対する外科的治療

血腫によって、生命に直結する脳幹が圧迫されている場合には、救命目的に血腫除去術が行われます。しかし既に昏睡状態で、脳幹障害を起こしてから時間が経過している場合には、救命の可能性が低く手術の適応にはなりません。また脳幹が直接出血している場合にも、手術の適応はありません。

手術方法は、全身麻酔下で開頭を行い血腫を除去する方法、局所麻酔下で穿頭し、血腫を吸引、ドレナージする方法があります。発症直後の比較的大きな血腫の場合には開頭術を行います。

 

5.脳出血を患った患者様へのアセスメントのポイント

では脳出血の看護を行う上で、アセスメントの視点を記載していきましょう。

・出血部位によって、出現しやすい症状を十分に把握できているか

・急性期は生命の危機に直面していることを基本とし、血腫の増大、血腫周囲の脳浮腫による症状悪化に注意し、異常の早期発見を行う体制になっているか

・症状や全身状態から、合併症を予測できているか

・全身状態悪化に伴い、呼吸管理やバイタルサイン測定、酸素投与などを行っているか

これらをアセスメントの基本とし、どこに看護ケアが必要な状態であるかを考えていくようにしましょう。

 

5-1.脳出血を患った患者様の看護問題

次に看護問題ですが、急性期と慢性期によって看護問題が大きく異なります。

 

急性期の場合には、血圧のコントロール不良による再出血、血腫の増大、脳浮腫の拡大による全身状態の悪化などがあります。異常の早期発見を行い、生命の危機を脱することが最大の目標となります。したがって看護問題は、

「血圧のコントロール不良による再出血のリスク状態」

「頭蓋内圧亢進による血腫の増大に伴う生命の危機」

このように立案することができます。

慢性期の場合には、高血圧のコントロールや内科的基礎疾患の治療、そしてリハビリが主となります。後遺症によって看護問題は様々になりますが、一般的には

「高血圧による再出血リスク状態」

「運動・感覚障害による転倒リスク状態」

「セルフケア不足による自立困難」

このように立案することができます。

 

6.脳出血を患った患者様への看護計画

では具体的に、看護計画を立案していきますが急性期と慢性期に分けていきましょう。

急性期では、生命に関連する内容が主となります。

 

OP

・意識障害の有無と程度

・呼吸状態

・バイタルサイン

・眼球の位置と瞳孔の異常

・運動麻痺の有無と程度

・排泄状態

・IN・OUTバランス

・不穏な体動

・頭痛の有無と程度

 

TP

・血圧管理(発症後まだ間もない場合には15~1時間毎に測定)

・呼吸管理(状況によって、エアウェイ挿入や気道確保、酸素吸入を行う)

・体温調節(腋窩やソケイ部にアイスノンなどを貼用し、クーリングを行う。それでも

解熱がなければ、医師の指示通りに解熱剤を投与する)

・排泄管理(状態が落ち着くまでは、尿道カテーテルを挿入し尿量チェック)

 

EP

・意識がある場合には患者本人に病状説明

・家族に病状説明

 

続いて慢性期についてですが、ここではセルフケア不足やリハビリに向けての計画が主となります。

 

OP

・運動麻痺の有無と程度

・ADLの状況

・関節の拘縮・変形の有無

・日常生活行動である、移動・洗面・食事・排泄、更衣の自立度

・バイタルサイン

・長期臥床による褥瘡好発部位の有無を確認するために皮膚観察

 

TP

・関節の拘縮・変形予防のために、良肢位の保持・体位変換・リハビリを行う

・ADLの援助(一部歩行介助や車椅子移乗介助など)

・褥瘡予防(体位変換や除圧マットの検討)

 

EP

・良肢位の保持、体位変換、リハビリを行っていく必要性の説明を行う

 

 7.まとめ

いかがでしたでしょうか。脳梗塞の次に発症頻度が高い脳出血ですが、出血部位によって様々な症状の違いや予後について理解できたかと思います。脳出血の一番の原因は血圧コントロール不良による影響が多いです。そのため知識として、高血圧症の患者様は、脳出血のリスクがあると考えながら観察していくのも、一つポイントとなります。さらに循環器内科の疾患を患い、動脈硬化を基礎疾患と持っている場合には要注意となることも理解できたかと思います。

脳出血を患っている患者様の看護は、まずは生命の危機を脱することができるように、異常の早期発見ができることが必要となります。そこをクリアできて、初めて慢性期に移行し今後のことを考えていけるようになります。

当ページを参考にしていただき、脳出血を患った患者様が一人でも多く救命され、日々の看護ケアの質を高めていただければと思います。

心不全患者に対する適切な看護ケアのための基礎知識の習得

$
0
0

心不全の看護

人間の心臓は日々活動しており、生命維持に必要不可欠な臓器です。ゆえに、心臓の機能が正常に働かなくなると、生命を脅かす事態を招いてしまうことになります。

 

経済発展が著しい現代社会において、心不全を患う患者数は軒並み増えてきているため、それに伴い、心不全の看護ケアの必要性も高まっています。

 

ここでは、心不全患者に対する適切な看護ケアを行うための知識の習得と理解を目的として、心不全の基礎と看護ケアに関する情報を記載していますので、ぜひ参考にしてください。

 

1、心不全とは

心不全というのは病気の名前ではなく、心臓病やその他の病気により、心臓のポンプ機能が低下したり、心臓の働きが不十分になり、全身の体組織の代謝に見合うだけの十分な血液を供給できない状態にある症状のことを指すため、厳密には症候の名前です。

 

心臓は「左心」「右心」に分かれており、それぞれが房室弁で心房と心室に隔てられています。左心では肺静脈→左心房→左心室→大動脈→体、右心では大静脈→右心房→右心室→肺動脈→肺というように、血液が循環しています。

 

心臓は体や肺に血液を送り込む役割を持っており、病気などの影響でこの機能が低下することで、身体に送り送る血液量が減る、または各所で血液が停滞(うっ血)し、息切れや倦怠感、むくみなど様々な症状が出現し、放置し続けると死に至ることが多々あります。

 

2、心不全の種類

上で述べたように、心不全は右心または左心の機能が低下した状態のことを言い、その種類は主に「収縮機能不全」「拡張機能不全」があります。

 

・収縮機能不全

心臓の収縮力が弱まることで、心臓に戻ってくる血液に見合うだけの量を送りだすことができず、心室に多量の血液が貯留します。

 

・拡張機能不全

心臓が硬くなり、収縮後に十分に広がらなくなることで、血液を取りこむ能力が低下します。その結果、心室に血液が貯留し、この過程で肺や全身の臓器にも血液が滞留します。

 

なお、収縮機能不全または拡張機能不全のどちらかをきたすことが多いものの、同時に発生することもあります。

 

3、心不全の原因

心不全の原因は実にさまざまで、心機能を低下させる病気のほか、貧血や加齢などによっても起こります。以下に心不全の原因となる主な疾患・症状を列挙します。

 

・心筋症

狭心症や心筋梗塞などで心筋が薄くなる(拡張型心筋症)、または厚くなり(閉鎖性肥大型心筋症)、血液をうまく送り出せなくなります。心筋症そのものが血液の排出に障害をきたすため、心不全と強い関わりを持つ病気です。

 

・心筋炎

心筋炎は細菌やウイルスなどが原因で発生し、次第に心筋が壊れて心臓の心機能が低下します。

 

・収縮性心膜炎

心臓を包んでいる袋を「心膜」と言い、これが細菌やウイルスなどにより炎症が起こり、心膜が癒着したり線維化または石灰化することで硬くなっていきます。その結果、心臓が拡張困難に陥り、心臓が拡張する際に心臓に流れ込む血液量が減少し、心不全が起こります。

 

・不整脈

脈拍が異常に早い「頻脈」は、心室性期外収縮、心筋細動、心筋粗動などに発展し、脈拍が異常に遅い「除脈」は、洞結節不全症、房室ブロックなどを起こします。これらの病気により、心臓に無理な負荷がかかり心機能の低下につながります。

 

・冠動脈疾患

動脈硬化により、冠動脈が狭窄・閉塞することで、血液が心筋に届かなくなります。その結果、酸欠状態に陥り、心筋が正常に働かなくなり、進行すると心臓そのものの力が低下し、心不全へと発展します。

 

・心臓弁膜症

心臓弁膜症を発症すると、血液を塞き止る、または排出するための弁が狭くなったり(弁膜症)、弁機能の低下により血液が逆流を起こす(閉鎖不全症)ことで心臓に多大な負担がかかります。これにより、心臓のポンプの働きが弱くなり、全身へ送り込む血液量が低下します。

 

・心臓の先天異常

心臓の壁や弁の異常形成など、正常な心機能に障害があると心臓に負担がかかり、心不全になることがあります。

 

・腎不全

腎臓が血液から余分な水分を取り除くことが出来なくなり、心臓が送り出す血液量が増加し、継続的に心臓に負担がかかり続けると心不全が発生します。

 

・高血圧

心拍出量の増加や末梢血管抵抗の増加により、血圧が上昇します。高血圧になると、その対処のために左心室の壁が厚くなり(硬くなり)、十分な血液を取りこめなくなります。

 

・加齢

加齢に伴い、心筋間にアミロイドなどの異物が沈下し、心肥大や拡張障害、さらに弁の変性など、心臓にさまざまな変化がみられます。また、安静時・運動負荷時ともに心拍出量が低下することで、心機能が低下し、心不全をきたします。

 

4、心不全の治療

心不全の治療には、生活の改善に加え、重症度に合わせて薬物を用い、場合によっては運動療法を取り入れます。

 

生活改善は主に、心臓に負担をかけないように、体重を落としたり、アルコール・食塩・脂肪・水分の過剰摂取を避けたり、ストレスを排除していきます。

 

薬物療法は、NYHAやAHA/ACCの重症度に合わせて、ACE阻害薬、β遮断薬などの薬物を用いて心筋や血管を保護します。

 

運動療法は、運動耐容能、心機能、血管機能などの改善を図り、心不全になりにくい体づくりを目指します。

 

4-1、生活改善

心不全を悪化させないための生活の改善は、主に「水分制限」「塩分制限」「嗜好品の禁止・制限」「休息と睡眠」「温度調整」から成ります。これらは患者本人が実践する内容であるものの、看護師は患者が適切に実践しているかをしっかりと確認し、在宅療養に移る際には入念に指導し、心不全の改善・予防に努めなければいけません。

 

・水分制限

水分を摂取しすぎると血液量が増えてしまうため、心臓に負荷がかかります。軽度の心不全の場合は水分制限を行う必要はありませんが、中等度・重度の場合は、過剰に水分を摂らないようにしなければいけません。

 

・塩分制限

塩分の成分であるナトリウムは、水分を体に取り込む性質を持っているため、血中のナトリウム濃度が高くなると、細胞内から細胞外へ水の移動が起こり、循環血液量が増えます。その結果、血圧が上がり心臓に負担がかかるため、重症度に関わらず塩分制限は非常に大切です。

 

・嗜好品の禁止・制限

タバコには血管を収縮させる物質が含まれているため、動脈硬化など血管疾患、それに伴う心疾患を助長させます。また、ニコチンが交感神経系を刺激し、血圧の上昇・脈拍の増加を招きます。

アルコールの過剰摂取も厳禁です。アルコールを摂取することにより一時的に血圧は下がりますが、長期的な飲酒は血圧を上げます。また、心拍数が増加するため心臓に負荷をかけます。少量のアルコールなら問題ないですが、多飲傾向にある場合は、制限しなければいけません。

 

・休息と睡眠

不規則な生活や寝不足、ストレス、過労は血圧を高め、心臓に負荷をかけてしまいます。また、これらは心不全だけでなくさまざまな病気を発症する原因であるため、毎日十分に休息・睡眠をとることが大切です。

 

・温度調整

人間の体は、寒さ感じると血圧を上昇させ、体温を調節します。また、寒いところから暖かいところに行くと急激な血圧変動が起こります。それゆえ、日々の生活の中で寒くなれば防寒具やマフラーを着用するなど保温を心掛け、入浴時には急激な体温変化を防ぐために、脱衣所を暖かくしておくなど配慮が必要です。

 

4-2、薬物療法

薬物療法は、NYHAAHA/ACCの重症度ごとや原因や症状などによって、使用する薬物を決定します。薬物療法は心不全の原因そのものを治すのではなく、心筋や血管を保護するためのものであるため、生活改善も同時進行で行っていきます。

 

NYHA(New York Heart Association)の分類

Ⅰ度 心疾患はあるが身体活動に制限はない。日常的な身体活動では著しい疲労、動悸、呼吸困難あるいは狭心痛を生じない。
Ⅱ度 軽度の身体活動の制限がある。安静時には無症状。日常的な身体活動で疲労、動悸、呼吸困難あるいは狭心痛を生じる。
Ⅲ度 高度な身体活動の制限がある。安静時には無症状。日常的な身体活動以下の労作で疲労、動悸、呼吸困難あるいは狭心痛を生じる。
Ⅳ度 心疾患のため、いかなる身体活動も制限される。心不全症状や狭心痛が安静時にも存在する。わずかな労作でこれらの症状は増悪する。

 

AHA/ACC(American Heart Association / American College Of Cardiology)の分類

ステージA 高血圧や糖尿病、肥満などにより、心不全のリスクは高いが、器質的心疾患や心不全はない。
ステージB 左室肥大、心筋梗塞の既往、弁膜症など器質的心疾患はあるが、心不全の兆候・症状がない。
ステージC 器質的心疾患とともに心不全症状の既往歴または現歴がある。
ステージD 最大限の治療をしても心不全症状がある。

 

■重症度による薬物の選択

出典:日本循環器学会 慢性心不全治療ガイドライン

 

無症候性 血圧や糖尿病がある場合には、積極的にACE阻害薬を投与します。ただし、ACE阻害薬に対する忍容性が乏しい場合にはARBを使用します。
軽症 軽症においても無症候性と同様、まずACE阻害薬が適応となりますが、心筋梗塞後の左室収縮機能不全の場合にはβ遮断約を考慮し、心房細動による頻脈が伴う場合には、ジギタリスを使用します。
中等症~重症 ACE阻害薬に加えβ遮断薬の導入を行い、肺うっ血所見や全身浮腫など体液貯留がみられる場合には、ループ利尿剤やサイアザイド系利尿薬を用います。

また、重症度が高い場合にはスピロノラクトンやピモベンダンを追加します。さらにQOLの改善も考慮しておきます。

難治性 体液管理と薬物治療が適正であるか見直し、心臓移植の適応について検討します。積極的な治療においても予後改善が期待できない場合には、本人や家族の同意のもと、苦痛の軽減・排除を主眼とした末期医療ケアに移行します。

 

4-3、運動療法

運動療法は、心機能・血管機能を改善・向上させる効果があり、筋肉量が増えたり、自律神経のバランスが改善されるなど、心不全の悪化を防ぐとともに、再発予防としても非常に有効です。また、運動療法を行うことで気分転換やストレスの軽減につながるため、精神的にも良い影響を及ぼします。

 

なお、心不全患者に適応となる運動療法は、一般的に心疾患の同様であり、「心臓リハビリテーション」と呼ばれています。

 

・運動耐容能への影響

運動することにより、筋肉量の増加、筋肉内の毛細血管の強化に繋がり、身体が多くの酸素を取り込めるようになります。また、骨格筋が増加することで、循環中の血液環流や一回拍出量が増加することで、心機能を強化し、心不全になりにくくなります。

 

・肥満に対する効果

肥満、いわゆるメタボリックシンドロームは内臓脂肪蓄積を病態の根源としており、動脈硬化や高血圧、冠動脈疾患などを発生させる原因の一つです。運動療法を取り入れることで、これら心不全の原因疾患の発症を防ぐことができます。

 

・精神的効果

心疾患患者の約1/3が鬱または抑鬱状態にあり、鬱による気分低下やストレスの蓄積は心疾患の予後を悪化させます。運動療法には鬱を改善させる効果や、気持ちが安らぐなどQOLの改善効果もあるため、精神的にも多大な好影響を与えます。

 

■心不全に対する運動処方

運動の種類 ・早足歩き、自転車こぎ、体操

・軽い筋肉トレーニング(低強度レジスタンストレーニング)

運動の強さ ・最大能力の40~50%で運動(指示されたトレーニング心拍数に準ずる)

・「ややきつい」と感じる、軽く息があがる、軽く汗ばむ程度

運動時間 ・30~60分(15~30分×2回に分けてもよい)
頻度 ・週3~7回(重症例は週3~5回)

・少なくとも週1回は外来リハビリに参加する

 

5、心不全の看護

心不全を患う患者は、上記のような「生活改善」、「薬物療法」、「運動療法」を取り入れて改善を図っていきます。この治療の過程において、各症状の緩和、精神的な安楽、二次的合併症の防止など、患者の状態を的確にアセスメントした上で、適宜、状態に見合う看護を提供していきます。

 

■看護目標

急性期 ①呼吸や循環状態が安定し、生命の危機状態から回復する

②急性心不全により生じる身体的症状が改善する

③急性心不全により生じる不安やストレスが緩和する

④肺炎や尿路結石など、二次的合併症を発症しない

⑤心不全症状を予防する生活習慣を獲得し早期に社会復帰できる

慢性期 ①心不全により生じる身体症状が改善する

②不安やストレスなど精神面の安定が図られる

③心不全に関する確かな知識を有し、自己管理が行える

④心臓の予備能力の範囲内で最大限の活動性を維持できる

⑤心不全の増悪因子を知り、適切な対処が行える

⑥患者・家族が緊急時に適切な対応をとることができる

⑦患者・家族が効果的な社会的支援を得ることができる

 

■看護問題

①機械的要因により心拍出量が低下する可能性がある

②肺うっ血によりガス交換の障害が起こる可能性がある

③体液量が過剰になり、右心不全が増強する可能性がある

④粘膜のうっ血や浮腫により褥瘡や感染を起こす可能性がある

⑤各種ルートの留置により感染を起こす可能性がある

⑥環境の変化や病気に対する不安・ストレスにより不眠状態・精神的不安定となる可能性がある

⑦水分・塩分の摂取制限があり、食事に対する不満がある

⑧心不全を再発する可能性がある

⑨守るべき事柄に対する理解ができず、治癒を長期化させる可能性がある

⑩内服薬の自己管理が困難な可能性がある

 

■急性期・慢性期のアセスメント

自覚的・他覚的症状 ・体重の増加・減少

・浮腫の状態

・呼吸困難、起座呼吸、発作性夜間呼吸困難

・前胸部絞扼感、息切れ、起座呼吸

・チアノーゼ症状

・血圧、心拍数、脈拍(頻脈、徐脈など)

・精神的不穏状態

・薬物療法における薬物の副作用の有無

・心不全により生じる基礎疾患の有無(貧血・甲状腺疾患など)

・血液の混じった痰は肺うっ血または肺水腫の疑い

・顔面蒼白や冷感は心原性ショックの疑い

診察および検査データ ・バイタルサイン

・肺雑音(湿性ラ音・乾性ラ音)

・心音(Ⅲ音、Ⅳ音、ギャロップリズム)

・心電図(ST-T変化、QRS幅)

・胸部X線所見(心肥大、肺うっ血、胸水貯留)

心疾患の既往歴 ・高血圧、不整脈、心筋症、心筋梗塞、弁膜症など
生活における増悪因子 ・水分、ナトリウム、エネルギーの摂取量

・運動量、生活における活動量

・疲労やストレスなどの有無

・感染症の有無

・中断している治療薬の有無

復帰に向けた再調整 ・病気・治療・生活に関する注意点への理解

・家族および職場での役割

・問題やストレスに対する対処

・食事など生活習慣に対する自己管理能力

・ソーシャルサポートの状況

 

6、認定看護師(慢性心不全看護)

最後に、心不全の看護に対してさらなるスキルアップを図りたいという方のために、認定看護師に関する情報を記載します。2014年における慢性心不全看護の認定看護師数は184人で、未だそれほど多くはありません。

 

慢性心不全患者が年々増加する現状において、当該領域の認定看護師の必要性はますます高まっているため、よりより看護を提供したいという強い気持ちをお持ちの方は、ぜひ資格取得へ向けて進んでいきましょう。

 

■必要とされる能力

①心不全患者の身体及び認知・精神機能のアセスメントを的確に行う。

②慢性心不全患者の心不全増悪因子の評価とモニタリングができる。

③症状緩和のためのマネジメントを行い、 QOL を高めるための療養生活行動を支援する。

④慢性心不全患者の対象特性と心不全の病態に応じた生活調整ができる。

⑤慢性 心不全患者 ・家族の権利を擁護し、自己決定を尊重した看護を実践できる。

⑥より質の高い医療を推進するため、他職種と共働し、チームの一員として役割を果たすことができる。

⑦慢性 心不全 看護の実践を通して、役割モデルを示し、看護職者への指導・相談を行うことができる

 

取得・入学における条件

次の1から3の資格を全て満たしていること。

①保健師、助産師、及び看護師のいずれかの免許を保有していること

②実務経験5年以上(うち3年以上は慢性心不全看護の経験)

③現在、同領域に従事していることが望ましい。

 

①~③の条件を満たした上、以下の指定の教育機関で6か月(615時間以上)におよぶ教育課程を修了し、筆記試験に合格すれば、認定看護師の資格を取得することができます。

 

■教育機関

都道府県 教育機関名 住所
神奈川県 北里大学 看護キャリア開発・研究センター 相模原市南区北里1-15-1
兵庫県 兵庫県看護協会 神戸市中央区下山手通5丁目6−24
熊本県 熊本保健科学大学 キャリア教育研修センター 熊本市北区和泉町325

 

■筆記試験

マークシート方式で四肢択一、試験時間は100分。

出題方式 出題数 配点 出題範囲
問題①客観式一般問題 20問 50点 慢性心不全看護における、教育機関のカリキュラムに準ずる(共通科目・専門基礎科目)
問題②客観式状況設定問題 20問 100点
40問 150点

 

まとめ

今や心不全は、高齢者だけでなく若年層や中年層の人にとっても身近な疾患であり、再発リスクの高い疾患でもあります。また、一度発症すると、容易には改善されないため、継続的な治療を必要とします。

 

心不全の看護は観察と指導を主体としますが、精神的なケアも必要不可欠であり、重症度問わずQOLの向上を支援していかなければいけません。心不全の悪化や二次的合併症を防ぐために日々入念に観察し、患者が心身ともに安楽な状態で治療に専念できるよう、心不全に関する確かな知識を持った上で、適切なケアを提供して頂ければと思います。

整形外科の講師の立場でセクハラ?看護師が遭遇したトンデモ医師の話

$
0
0
こんなドクターは嫌
 
世の中の『お医者さま』という人間方々が作られるには、家族をはじめ、学校、大学の医学部等の教授や指導者らが彼らに、お金と、膨大な時間をかけすばらしい医学を唱え 教え込んできた事かと思われる。人、一人の命がかかっているわけだから。しかし、教えなければいけない事、そして彼らが教わらなければいけない事はこれだけなのだろうか?
何か、いつも足りないのではないか?私は たびたびそのような医師に今まで何回か遭遇してきた。なかでも、これから私が書こうとする事は、『お医者さま』と呼ばれる前に、『常識ある普通の人間』であってほしいと強く願う医師がいた事、そしてこれが、今後医師として活躍していく方や医療業界で働く方々の参考意見になればと願い、これを記したい。
 
 

チャラ男「先生」参上!

看護師になり二カ所目の病院、結婚のため移動する事になった先での出来事で 普通、そんな事しないでしょ?
と、常識に欠けた整形外科医師に遭遇した。それまで 『お医者さんて すごい人なんだな』と思っていた何かが崩れていった。強い香水、自身の音楽CDを作る為の練習で近隣の迷惑も顧みず楽器を弾きあさったり、看護学校でわいせつ?とも思われる行為をしたり・・・。ここはどこよ?病院でしょ?人間としてのマナー守ってくださいよ『先生』。 しっかりしてください。
 

こんな病院は嫌だ!強烈な香水

転居の為、私はS県のS市にあるS中央病院にハローワークの紹介で、社会人としては2カ所目の就職をする事になった。四階建ての病院で、約80床。近くには お菓子の工場、化粧品の工場があった。
当時 病棟勤務であったが、その当時にはまだ、付き添いさんと言われる方がいて、入院患者さんの食事、排泄介助等を担当してくれていた。経験の長い付き添いの方には痰の吸引までもしてくれたり、時には自分が指導されてしまったり・・・。今では考えられないが、ナースステーションの奥に休憩室がありそこには灰皿があり 付き添いさんがナースと一緒にタバコを吸うなんていう場面にも出くわし、嘔気がした事があった。
そんな中、S医大医局から 派遣できたというT医師。朝礼が行われるいつもの狭い待合室で、彼の紹介があった。と、同時にどこかで嗅いだ事のある臭いが強烈にプーンと鼻についてきた。一瞬、周りの職員と私は目が合ったがとりあえずは我慢・・・
キツイ香水。その場から、遠く離れたく、病院にいるのに新鮮な空気を吸いたかった事を思い出す。こう感じたのは、私だけではないはずだが。それから毎朝、九時前の申し送りの頃になるとT医師のお決まりの香水で吐き気を催し業務が始まっていた。
いつもT医師に、キツイ!と言いたかった。しかし、病院の経営者の院長だって何も言わない。ましてや師長も。本人がいなくなると、コソコソと、今日もすごいね・・・等と囁くような会話はどこからと無く看護師間で聞こえていた。そんな囁きの後T医師の整形回診は始まる。病棟は6人部屋が5室。他個室。大部屋には整形、外科、内科の患者さんが入り混ざっている。
最初の大部屋はナースステーションから10メートル程。包交車(回診車)を押しながら、無理くりきつい臭いの香水が酸素だよと自分に言い聞かせ、患者さんの下肢包帯をほどく日々。当然 入院患者さんで嗅覚障害等無い方へは、その方の嗅覚を刺激していたに違いない。患者さんたちは何食わぬ顔でT医師と会話をしていた。
後に点滴で訪室すると、いきなり「いや~、俺は何も言えないよ。病気は治してもらったし手術してもらってるからさあ。(人工膝関節置換術、TKA)だけどありゃ、キツイ!俺にはそれは治せないなあ・・・(笑)」と、隣の同室患者さんとT医師の香水についてなじり話し始める方もいる始末。また、指示の確認を取る為にT医師を探さなければいけない時、看護婦間からは「今エレベーターにいたと思うよ。だって、道筋ついてるもん。あの臭いがさっ」と。

「唄う 整形外科医」でCDデビュー

T医師が来てから二年がたったある日、食堂で何やら師長数人が話をしているのが聞こえてきた。「隣の家から 夜中にうるさいと苦情が来ているみたいだよ」と。苦情?何の?どうやら、夜中にエレキギターの音が病院から近隣住民のお宅に響いているという話らしい。誰?だって,病院だもの、そんな音する訳無いでしょ?と私は思った。
犯人は・・・、そう、あの医師、T医師だった。
なぜ、何の為に?他の職員の話によると、どうやら、夜の飲食店で歌声を評価され、CDを出す事にしたらしい。その為に夜な夜な病院の待合室で練習をしているとの話だったのだ。しかも「唄う 整形外科医」というタイトルで。開いた口が、顎関節が、外れて、閉まらない・・・。こんな気持ちだった。
まあ、CDを出す事については 全く以て自由であり、売れたらラッキーですね!
となる事であろうか。「問題は、そこではない」。そのCDを作る練習の為に、あの酸欠状態になった、あの待合室でエレキギターを鳴らすなんて!しかも夜に!さらには、病院周囲の立地等すでに分かっているであろうに。何を考えとるんじゃ?!と、腹立たしく怒りが込み上げてきた。そんな事って許されていいのか?!
あなたの頭の中の常識は どうなっているか?医者としての仕事ができれば何をしてもよいのか?この事について、経営者の院長からコメントはあったようだが、1ヶ月後、先のタイトルで「す・ば・ら・し・い」ファーストシングルを出す事になり、ナースステーションには段ボール箱山積みに詰められたそのCD置かれ「皆 買ってね!」と誇らしげな彼の表情が蘇る。相変わらず ナースステーションは,あの香りで息苦しかった。
 

看護学校でセクハラ?

その頃私は、その病院の新人看護師担当や臨地実習指導者として忙しい毎日を送っていた。各看護学校の学生さんの受け入れ用意や、学校との打ち合わせ、時には入卒式参加などで、とても充実した毎日を送っていた。
そんな中、T医師がどうやら、看護学校に整形外科の講師として招かれる事になった事を総師長から聞いた。何か、嫌な予感がした・・・・。総師長だって、そう思ったのではないか?その予感はやがて、後に的中する事になる。
T医師の仕事ぶりはというと・・・
私の目からすると、医業としてはまずまず、抜け目は無かったように思い出す。ある時、夜間救急車で交通事故の患者さんが搬送された。意識レベルクリア、大腿部の骨折と肋骨の骨折が認められた。同時に、右肺の気胸が発覚!私は、思った。
さあ!、どうするよ?気胸ですよ、整形外科の先生。T医師はしばらく医学書を読んでいたが、『トラッカール用意して』と、呟いた。私は耳を疑った。誰がやるの?もしかして?
まさか、大丈夫?気胸だよ、しかも右なんだから肝臓刺しかねないよ!やめて!!
と、身震いし神様に祈った。が、なぜか平然とした表情でトラッカールを右胸部から刺し低圧地蔵吸引器に繋いでいた。と、医業では、まずまずをこなすT医師だった
しかし、事件はやはり起こったのだ。T医師は 1週間に1度看護学校を訪れ、整形外科について講義を行っていたわけだが・・・。ある時、私が看護学校の打ち合わせで学校にお邪魔した時、看護教務主任に「実は、ちょっとお話ししたい事がありまして・・・近日理事長か、師長さんかとお話を」と声をかけられた。数日後、師長と会議室へ。中に入ると、いつもの優しい看護教務主任の顔が、険しくこわばり、顔面蒼白にも見えた。ただならぬ予感がした・・・。恐る恐る師長と椅子に腰掛ける。「実は・・・。」看護教務主任の険しい表情から、嘔吐するような口調で言葉が吐き出された。『今、T医師に看護学校の講義に来て頂いていますが、実はその事で・・。
先日、骨盤から下肢の講義がありました。その授業で、先生は、ご自分のお気に入りだったという学生を、他の生徒もいる目の前でわざわざ教壇の上にまっすぐに立たせ、「いいか。ここが骨盤で、ここが尾骨。恥骨は・・・」と、嫌がっている学生を模型代わりに骨盤や足を触り、説明をしていたそうです。教室中、いたたまれない雰囲気になったと、他の学生が私たちのところに報告してきたのです。』私は、背もたれのついた椅子に座っているのに、背中が後ろに引き込まれ体がフワッと宙に浮いた感覚がした。同時に、並んで座っていた師長の口から「はあっ~」と、重いため息が聞こえた。
自分に言い聞かせた。しっかりしなさい!意識をしっかり持って!。そんな事に揺らいではいけない。自分がおかしくなってしまう・・・。
 
 

あのドクターは「今」

誰が言うまでもなく、T医師はその後、病院を去って行った。当然の事であろう。T医師は今・・・東京都のN市にクリニックを構え、数年経つらしいが、駅に置かれている求人誌には、常に求人が掲載されている様子。あれでは、誰が見てもそうなるであろう。
記憶に新しい『面接に来た職員に、白衣のサイズを測るから・・』と詰め寄り警察に逮捕されたH医師。彼とは、前職で関わった。聞けば、N大学でも、同じような事件を起こしている。『お医者様』、全員がそうではないかもしれないが、あなた方が長い時間かけて教わってきた事はなんですか?医学だけですか?そこでは、もっと大事な事は教えてくれないでしたか?あなたの常識はどこですか?と私は声を張り上げ、胸ぐら掴み聞きたいほどである。

看護学生や看護師において、カンファレンスとは

$
0
0

カンファレンス看護

看護師をする上で、カンファレンスという言葉は良く耳にします。病院の入院病棟で働く看護師は、かなり頻繁にカンファレンスを行います。普段は個々の看護師が、個々のスキルを活かして看護ケアを行っています。その日々の患者様に対してのケアが、妥当なのかを考える良い機会なのがカンファレンスとなります。

 

経験上の話しになりますが、経験年数を積んでいくと、具体的な疑問や提案などが見えてくるようになりますが、看護学生時代や新卒は、特に何が問題点なのか把握することが困難なことが多いです。

 

当ページでは、カンファレンスの視点や提案の方法、疑問の持ち方などを紹介していきます。特にカンファレンスが苦手であると感じている方には、是非参考にしていただき日々の看護ケアの向上に役立てていただければと思います。

 

1.カンファレンスとは

一般的には、学術的な意味で会議や研修会などを言います。入院病棟の看護師が頻繁に行うカンファレンスの意味は、日々の看護ケアの問題点、治療上の問題点について意見を出し合い、解決策を見つけるために行います。また2交代、3交代制の勤務形態のため、各チームの情報共有の場とし、看護スタッフの意思統一の意味も含めて行うこともあります。

 

例えば看護師は、基本的な看護技術やコミュニケーション技術は持ち合わせ対応しています。通常であれば問題ありませんが、個別性が必要な患者様もいるのが現状です。個別性に看護を展開する場合には、個々の看護師のスキルや感性によって変化することもあります。その際にカンファレンスを行うことで、看護師個人の対応のみで終わることなく、チームスタッフ全体で同じ対応ができるようになります。

 

また治療上の問題を抱えている患者様に対してでは、一人の目では気づかないこともあります。複数の目で見ていれば気づいていることもあるので、個々の持っている情報を出し合うことで、有効な解決策を見出すことができることもあります。

 

看護師にとってカンファレンスは、ただ参加するだけでは解決することはできません。参加している看護師全員が、各々で主体性を持ち、日々の看護ケアを向上する気持ちや疑問を持つことが大事です。根拠をもって、問題解決に向けての道筋を立てる力が必要となります。

 

2.看護学生が挙げるカンファレンステーマとは

看護学生は、一人の患者様に対して関わり、アセスメントを行っていきます。日々の指導者から助言をもらい、計画・行動を繰り返していきます。そして全体でカンファレンスを行いますが、カンファレンスのテーマを決めるのが難しく感じてしまいます。私も、看護学生時代には、毎日テーマを考えるのが辛かった記憶があります。

 

看護学生において、カンファレンスに挙げるテーマとしては、基本的には現場で働く看護師と似ている部分もあります。患者様に対して、セルフケア不足を補うための方法であったり、コミュニケーション方法など様々な議題はあります。これらが見つかればよいのですが、学生時代の視点ではなかなか到達できないこともあります。そこで看護学生のテーマ立案としては、

 

  • 受け持ち患者様でこんなことがあったが、どう思うか
  • 患者様の特徴的な出来事について話してみる
  • 患者様の事例に対して、どのような計画を立てたら良いか
  • コミュニケーションがうまく行かない方であれば、どのように情報収集をするか

 

など様々な視点からテーマを決めることができます。基本的には、自分が困っていることを素直にテーマとして出していくことが良いと思います。

 

2-1.看護学生が挙げる具体的なカンファレンス例

上記で述べた内容でも、テーマ選定に困る方もいると思います。具体的なテーマ例をいくつか挙げますので、参考にしていただければと思います。

 

  • 入浴介助が必要な患者様の場合、どのような声かけが効果的か
  • リハビリを行っている患者様の場合、どのように介入することがリハビリの向上心につながるか
  • 看護ケアを患者様が拒否した場合の対応方法について
  • 患者様と良好な関係を作るためのコミュニケーション技術について
  • 体感抑制などを行っている患者様に対してのストレス軽減方法について
  • 患者様に関わり、困ったことについて
  • 認知症を患っている患者様の場合、どのような関わることが大切か
  • ADLが低下傾向の患者様の場合、維持するために必要な関わりとは
  • ナースコールを認識できない患者様の関わりについて
  • 言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーションを使い分け方について
  • 失語症がある方に対して、非言語的コミュニケーションの方法について

など様々な視点でテーマをあげることができます。受け持った患者様に関わり、困ったことを素直に議題に出していくことが大切です。自分だけがわからないと思いがちですが、学生なので皆が理解していないことも多く、情報共有し解決することはお互いにとってよいです。積極的に出していきましょう。

 

2-2.看護学生が行うカンファレンスの目的・必要性について

上記で看護学生が挙げるカンファレンステーマを書いていきましたが、そもそもカンファレンスをなぜ行うのかを理解していないと、カンファレンスを円滑に進めていくことは困難になりがちです。カンファレンスを行う目的は、

 

  • 個々の体験や学びを共有することで、学習の向上につながる
  • 自分の意見のみではなく、各々の視点によって考え方が広がる
  • 個々の意見を取り入れることで、価値観を高めることができる
  • 知識を共有することで、知らない知識を得ることができる
  • 困っていることをテーマに挙げることで、カンファレンスによって解決策を見出せることがある

 

などの目的があります。基礎看護技術以外、基本的に看護は、人間に対して提供する技術です。患者様一人一人の生活習慣や背景は多種多様であり、看護には正解がないことが多いです。色々な意見を取り入れることで、その患者様にとっての適切な看護を探す手がかりとなります。これがカンファレンスの目的・必要性となります。

 

3.カンファレンスにおいて、司会者の役割とは

まずは、グループ内で司会を決めます。司会の役割ですが、カンファレンスが円滑に進められるように、気を配らなければいけません。あるテーマについて、話が脱線した場合には、話しをまとめ修正する力が必要となります。始めから上手に司会ができる方は、才能がある方を除いては難しいでしょう。「人のフリみてわがフリ直せ」という言葉がありますが、上手に司会できている人の真似をしてみましょう。

 

上手な司会者は、他の人の発言を良く聞き、大事だと思われるポイントは確実にメモしています。それと同時に、頭の中でそれをまとめて話せる状態にしています。なので、話しが脱線したとしてもすぐに修正できるのです。私も学生の頃は、基本的には流れに身を任せる側で、ほぼ発言したことがありませんでした。そのため、不意に司会者から質問されても答えられることが難しいことがありました。自分が司会者ではなくても、司会を行っているつもりでまとめることが、大事だと痛感した瞬間でもありました。それからは、カンファレンスに参加時には、常に司会のつもりで臨むようにしました。今では、カンファレンスの場では、発言することに対して臆することもなくなりました。経験値が増えたのもありますが、日々の訓練によって誰でもできるようになれます。カンファレンス参加時には、受け身にならずに積極的に参加することによって、自分自身のレベルをあげることにつながります。

 

4.カンファレンスの具体的な進め方について

基本の流れとしては、

  • 導入
  • 展開
  • まとめ

このような構成を意識してカンファレンスを行っていきます。

 

導入では、自分が今回の司会者であることを宣言し、テーマや予定時間について、各参加者に伝えます。テーマについて、なぜこのテーマを選んだのかを説明します。メンバー全体で情報共有をするため、もしくはメンバーが共通して困っていることを話し合うためなど、具体的な理由を話してからスタートをした方が、各参加者の意識を高めることにつながるでしょう。

 

次に展開ですが、議題提案者の発表、もしくは各メンバーの発表を行います。その後に意見交換を行いますが、活発な意見交換ができるように、司会者である自分が途中でまとめや意見を交えるようにします。話しの論点がずれないように、修正をしながら進めていきます。時間内に話しがまとまるように配分していきます。

 

そして最後にまとめですが、展開で話し合った意見をまとめ、指導者や教員からアドバイスをもらいます。その後、結びの挨拶を行います。内容としては、アドバイスを受けて学んだことを交えると印象が良いので、是非行っていきましょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。経験上看護学生にとって、カンファレンスはテーマ選定が難しく、できれば避けたい出来事の一つです。看護の視点を交えてカンファレンスを行うことは、学生にはハードルが高いのが現状です。看護の視点を気にしすぎた結果、カンファレンスで発言することが少なくなりがちです。語弊があるかもしれませんが、看護学生時代にしか、変なことを言うことはできません。

積極的にカンファレンスに参加すると、反対意見が出ることも多いと思います。それをマイナスに考えずに、常にプラスに考えるようにすることが大事になります。反対意見を言われるのは、正直面白くないと思いますが、自分の意見が必ずしも正しいとは限りません。最も有効な方法が見つかる手段として考えるようにしましょう。

実際に看護師としてカンファレンスを行う際には、個々の患者様に発生した問題について、チーム全体で看護の視点を持って最善の方法を模索します。カンファレンスを行い、個々の意見を取り入れることで様々な事例に対して解決することが多々あります。看護学生時代は、看護師になる前の学習期間なので、積極的に話し合いができるように努力をしましょう。それが結果として、未来の患者様のより良い看護につながります。

看護における病態関連図・全体関連図の書き方のコツ

$
0
0

関連図看護

看護学生の誰もが壁にぶちあたる関連図。文献や資料をみると複雑に構成されているため、見た目に難しく感じるのも無理はありません。しかしながら、意外にも関連図はそう難しいものではありません。

 

なぜ、難しく感じるのか、それは関連図の構造や本質を未だ理解できていないからです。ゆえに、それらを理解できれば簡単に効率的に、適切な関連図を作成することができます。

 

ここでは、関連図とは何かといった基本的な内容から書き方のコツなど、関連図を簡単に書くためのノウハウを紹介しますので、関連図が書けない!と頭を悩ませている方は、ぜひ最後までしっかりお読みいただき参考にしてください。

 

1、関連図とは

関連図とは、患者の情報の関連を示した図のことを指します。これにより、患者の病気や健康状態、さらには看護問題を視覚的に容易に把握することができます。

 

なお、関連図には「病態関連図」「全体関連図」の2つがあります。

 

・病態関連図

病態関連図は、主に「病気に関する情報」を図にまとめていきます。たとえば、患者が患っている病気や治療法、その病気・治療により発生する症状・副作用、その症状・副作用により起こる生活への障害、その障害に関する看護問題、などです。

 

・全体関連図

全体関連図は、病態関連図に患者の家族背景や生活習慣、入院による変化などを加えたものを図にまとめていきます。つまり、全体関連図は病気だけでなく患者の全ての情報を図に表したものと認識してください。

 

 

2、なぜ関連図が必要なのか

看護学校の授業の一環としてや看護師の業務の1つとして、関連図を書くことがよくありますが、なぜ病態関連図や全体関連図を書く必要があるのでしょうか。

 

まず、多くの人は複雑な情報を瞬時に論理的に一つの情報にまとめることができません。また、その情報を記憶し続けることができません。看護師は多くの患者を受け持つ必要があるため、一人の患者の情報を論理的にまとめ、記憶し続けることは不可能なのです。

 

そこで患者の情報を瞬時に視覚的に把握できる関連図が役に立つのです。関連図は矢印(↑↓←→)を用いて、関連する情報をつなぎ合わせた図であり、最終的には「看護問題」につきあたります。

 

患者に対してケアを実施する際、看護師が最も懸念しなければいけない点が、この「看護問題」であることから、一人一人の患者に対する生活上の問題を瞬時に把握できる関連図は適切なケアの実施において必要不可欠なのです。

 

 

3、病態関連図の書き方

では、ここから病態関連図の書き方を詳しくご説明します。病態関連図は、患者の病気の名前や治療法、その病気や治療により発生する症状や薬の副作用、その症状・副作用により起こる生活への障害、その障害に関する看護問題、その問題に対する看護ケアなど、関連する情報を矢印(↑↓←→)で繋いでいきます。

 

書いていく順番は以下の通りです。

 

①病名(診断名)

②病気を発症した原因

③病気の症状と発生原因

④症状に対する治療法

⑤治療法に対する副作用・障害

⑥副作用・障害に対する看護問題

(S:患者の主観的データも記載する)

⑦看護問題に対する看護ケア

 

図1―病態関連図の構成

病態関連図の構成

分かりやすいように簡易的な図を用いましたが、基本的にはこのような順番で矢印をのばしていくと頭で簡単に整理ができ、書きやすくなると思います。

 

なお、各項目ごとに矢印は1つである必要はなく、関連するものがあれば2つでも3つでも繋げていきます。

 

注意が必要なのは「③病気の症状」と「④症状に対する治療」、「⑥看護問題」と「⑦問題に対するケア」の間にある矢印です。この時、必ず「④症状に対する治療」から「③病気の症状」、「⑦問題に対するケア」から「⑥看護問題」に向けて矢印を向けるようにしてください。

 

3-1、病態関連図を書く際の注意点

病態関連図を書く際に注意しなければいけないことがいくつかあります。

 

・関係のないことは書かない

関連図というのは、その名の通り“関連”を示す図であるため、関連した情報のみを記載しなければいけません。序盤は書く内容が少ないため軸が逸れる心配はありませんが、後半になり情報量が多くなった時には、情報の大元である「病気」とは関係のない情報を記載してしまいがちです。

 

その関係のない情報からまた派生させてさまざまな情報を加えてしまうと、“まとまりのない”関連図になってしまうため、どの情報に関しても患者が患っている“病気”に関連した内容でなければいけません。

 

・配置は気にしなくても良い

関連図は人それぞれ情報の配置が異なります。多くの人は文献や専門書を参考に関連図を書き進めると思いますが、その通りの配置で書く必要はありません。もちろん、情報を整理できない場合には同じ配置で書いても構いませんが、症状や治療法などは各患者によって異なるため、同じ配置にする場合にはかえって書くのが難しくなることがあります。

 

それゆえ、「図1―病態関連図の構成」のように、頭の中で整理しやすいように分かりやすく書いていくことをお勧めします。

 

・グループごとに記載すること

関連図に関する文献など専門書の多くは、情報量が非常に多く、矢印が多方面に伸びて、瞬時に情報を把握できないものが多いのが実情です。もちろん、それらの関連図は“専門家”にとっては見やすく分かりやすい図ですが、関連図に慣れていない人にとっては意味が分からないことが多いでしょう。

 

それゆえ、まずは「症状」や「治療法」、「副作用」、「看護問題」など、グループに分けて書くようにしましょう。乱雑になればなるほど情報を読み取るのが難しくなるため、臨床において役に立たない関連図になってしまいます。複数の疾患を患っている場合には、情報量が多くなり乱雑になりがちですが、できる限りグループ化して頭で整理しつつ、情報を瞬時に読みよりやすいよう記載していきましょう。

 

 

4、全体関連図の書き方

全体関連図は、病態に加え、“患者のすべての情報”を図で表します。ゆえに、病態関連図は全体関連図の情報の1つであるということです。

 

全体関連図で書くことは、

 

・患者の家族背景

・入院前の生活習慣

・入院による身体・環境の変化 など

 

これら患者に関する情報を、病態関連図とともに一枚の紙に書いていきます。

 

図2―全体関連図の構造

全体関連図の構造

家族背景や入院前の生活習慣などは病気とは直接関係していないものの、これらの事柄により生活に障害が起き、QOLの低下を招くことがあります。関連図と言えば「看護問題」を導き出すためのものですが、家族背景や生活習慣など、全体関連図に記載する各事項にも看護介入が必要なことがあります。

 

基本的には病態関連図のみで終わらすことが多いのですが、特に学生の頃は全体関連図を作成する機会が多々あり、看護師の業務の一環として作成する機会もあるため、病態関連図だけでなく全体関連図も書けるようにしておきましょう。

 

なお、「看護問題」がない場合は無理に記載する必要はありません。それに応じて「問題に対するケア」も必要ありません。また、「問題に対するケア」から「看護問題」に対して矢印を向けるようにしてください。

 

4-1、全体関連図を書く際の注意点

基本的には、病態関連図で挙げた「関係のないことは書かない」「配置は気にしなくても良い」「グループごとに記載すること」の3つの注意点が主となりますが、

 

全体関連図の場合、“憶測”で書きがちなので、「家族背景」や「入院前の生活習慣」など、視覚的かつ日常的な観察によって得ることができない情報に関しては、必ず患者や家族から直接聞いた情報を基に書くようにしてください。

 

 

5、関連図を効果的に書くポイント

初めての人にとって関連図の作成は難しく、誰しもが壁にぶち当たります。しかしながら、“あること”を理解・把握していれば、思いのほか容易に作成することができます。

 

その“あること”というのは、「病態」のこと。心不全なら心不全の症状や治療法、障害・副作用など、心不全に関わる情報を有しておくことが何より大切です。「病態の理解度・把握度=関連図の完成度」といっても過言ではなく、何よりもまず病態に関する知識を深めなければいけません。

 

また、患者のアセスメントも非常に大切です。客観的・主観的に観察やデータ、さらには患者とのコミュニケーションによって、さまざまな情報を収集することにより、“濃い”関連図の作成が可能となります。

 

さらに、科学的根拠に基づいた具体的な情報でなくてはいけません。科学的根拠に基づいていなければ、最終的にどのように看護を提供すれば良いのか、はたまたどのような看護が適切なのかが見出せなくなってしまいます。それゆえ、必ず科学的根拠に基づいた具体的な情報を記載するようにしてください。

 

最後に、常に“なぜ”という疑問を持っておくようにしましょう。関連図における矢印はすべて “なぜ”という疑問と関わりを持っています。なぜこの症状が出現するのか、なぜこの治療を行うのか、なぜ副作用や障害が起こるのか、などの疑問を常に持つことで、関連図が容易に作成できるのはもちろん、通常の業務を適切かつ効率的に行うことができるようになります。看護師として適切かつ効率的に看護を提供できるよう、この機会に全ての事柄に関して“なぜ”という疑問を持つようにしましょう。

 

関連図を効果的に作成する上でのポイントをまとめると、

 

①病態に関する理解を深めておくこと

②客観的・主観的に患者の情報を取得しておくこと

③科学的根拠に基づいた具体的な情報を記載すること

④“なぜ”という疑問を常に持ち続けておくこと

 

また、書き始めは混乱することは少ないものの、後半になると混乱し乱雑になってしまいがちなので、まずは配置など気にせず、病態関連図なら病態の情報、全体関連図なら患者の情報を□(四角)などの図を用いず、まずは字だけで書いてみましょう。

 

その上で、関わりが深い情報を関連付けていけば、不恰好ながら自ずと関連図が完成しますので、そこからさらに配置など整理して作成していけば、混乱することなく書いていけるのではないかと思います。

 

 

6、参考になる書籍

最後に、参考になる書籍を紹介します。ネット上や手持ちに資料のみで関連図を書くのが難しい場合には、ぜひ以下の書籍を参考にしましょう。看護学生の方は今回だけでなく、看護師になってからも関連図を作成することがあるため、最低でも1冊は持っておくようにしましょう。

 

そうすれば、いざという時に役に立ち、さらに時間のある時に読み直すことで、関連図の内容が頭に定着し、図を見ることなく病気から看護問題までの流れを瞬時に見出すことができます。

自分で描ける病態関連図

自分で描ける病態関連図 (プチナース・ブックス)

炎症・腫瘍・梗塞・出血の4つの病理学的変化と疾患の場を組み合わせることで、受持ち患者の病態関連図が描けるようになる、今までにない「病態関連図の描き方」お手本ブック。

 

病態関連図が書ける観察・アセスメントガイド

病態関連図が書ける観察・アセスメントガイド (看護学生必修シリーズ)

看護学生が解剖・病態生理を把握した上で、患者の観察、アセスメント、情報整理を行えるようにポイントをまとめた1冊。系統別に人体の構造と機能、観察ポイントとアセスメントの根拠、関連図、代表的な疾患について順を追ってわかりやすく解説されている。

 

病期・病態・重症度からみた 疾患別看護過程+病態関連図

病期・病態・重症度からみた 疾患別看護過程+病態関連図 第2版

初版を踏襲しつつ全科106疾患について、病気がみえる、カルテが読める“イラストでみる病態生理、症状、診断、合併症、治療、薬剤一覧”。病期・病態・重症度 からみたケアのポイントがみえる“看護過程フローチャート、情報収集、アセスメント、ケアプラン、評価”。患者の全体像がみえる“病態関連図”。欲しい情報がすべて揃ったオールインワンの1冊。

 

エビデンスに基づく症状別看護ケア関連図

エビデンスに基づく症状別看護ケア関連図

症状ごとの病態生理と看護ケアを関連図として図式化し、一覧できるように整理。疾患を持った患者にどのような問題があり、病態学的・心理的にどのような影響をもたらすかを認識し、安心して看護ケアを提供するための1冊。

 

まとめ

関連図は構造や本質さえ理解できれば簡単に書くことができます。ただし、“濃い”関連図を書くためには、病態に対する理解や情報の収集が必要不可欠です。

 

それゆえ、関連図の構造ばかりに捉われず、まずは病態に対する深い知識を習得するとともに、患者から多くの情報を収集するよう努めてください。

 

関連図を作成していく際に、一度混乱すると訳が分からなくなってしまうため、頭の中で整理しながら文章のみで1つの項目を追求し、最後に関連する項目をつなぎ合わせていきましょう。そうすれば、より簡単に効率的に書くことができます。

 

どう書けば良いのか、また分からなくなったら再度お越しいただき、参考にしていただければと思います。

なぜ看護師は責任をとるのか?責任感の無駄使いをオフにする3つ方法

$
0
0

責任感で悩む看護師

こんにちは。ココロ社です。今回は看護師さん向けのサイト向けの記事なので、責任感について書きたいと思います。

 

「責任感」はいいこととは限らない

「責任感がある」というのは、中高生のころから、すばらしい人間の代名詞のように語られてきました。しかし、よく考えてみると、「すばらしい」というのは、先生や上司にとって「すばらしい」のであって、本人やその家族にとっては、かえって「最低」と思われてしまうことも少なくありません。たとえば自分の担当でない仕事まで手を伸ばした結果、帰りが遅くなってしまい、家族から非難を受けたり……という悲劇はあらゆるところで生まれています。

 

看護師など、特に責任の重い職場では、「人数が少なく、責任も重いので、転職しようと思ってもなかなか転職できない」という悩みが発生しがちで、いまの職場での待遇がよくないのに転職活動すらままならない、というか、今の職場での待遇が悪すぎて、転職の道を閉ざされている方もいらっしゃると思います。

 

上司の責任を代わりに取る必要はない

では、あなたが、「人数が少なくてわたしが抜けたら大変」という職場にいたとして、責任をとるのは「わたし」でしょうか。いえ、そもそも人員設定を少なく設定し、法的な問題もなく退職する人が円滑に退職できなくなるような体制を作った上司に責任があります。つまり、上司が責任をもって対処しなかったために、部下がその尻拭いをさせられてしまうことになっているだけなのです。

 

「責任」をとった結果、より事態が悪化することもある

また、そこで無理をして現場が責任をとって「やめない」という選択肢を採ったらどうなるかというと、このままの体制で存続できるので、苦しい状態が続いてしまうのです。つまり、「責任感のある行動」をしたために、他の人たちをも不幸にしてしまったということになります。

「いま辞めたら他の人の迷惑になる」という場合、「いま辞めないでいると、もっと他の人の迷惑になる」あるいは「いま辞めないでいると、誰かが辞めたとき、自分が困ってしまう」ということになりかねません。

 

責任感の無駄遣いをやめる方法

このように、「責任」という言葉に囚われてしまうと、不自由な生き方しかできなくなってしまいますし、人を不幸にすることにもなりかねません。ここからは、責任感を無駄遣いしない方法について考えてみましょう。

責任感は幼いころからの刷りこみのようなものなので、そこから自由になるためには大変な努力を必要とします。少なくとも「責任感とか考えていてもしょうがない」と頭の中で思っている程度なら、たちまち責任感ワールドに引きこまれてしまって元の黙阿弥です。意識的に「責任感から自由になる方法」を実行していくことをお勧めします。

 

責任を取って損をした事例を数えてみる

責任を取ることは無条件によいことだと考えられがちですが、その陰でどれだけ多くの犠牲が払われているかについて考えてみると、無条件によいことともいえないことがわかります。たとえば休んでもさほど咎められなかったときに無理に仕事をしてしまったこと、他の人の尻拭いをしたらかえって自分が悪者にされてしまったことなど、責任を取ることで損をしたことを思い出し、馬鹿馬鹿しい気持ちになってきたら、冷静さを取り戻しているということでしょう。

 

他人の無責任さについて考えてみる

責任感の強い人は意外に視野が狭く、「これくらいが責任感としては平均値である」というのをあまり考えて行動していません。責任感のありすぎる人間になってしまうと損ですから、せめて「平均的な責任感くらいでいこう」と考えて、他の人がどの程度責任を取っているか意識して観察してみてください。意外に休むと大変なタイミングで休んでいるな、などの感想を持つと思います。常に「自分が思う責任」を客観的に見るようにしていけば、バランスが取れるはずです。

 

「責任」に優先順位をつける

たとえば自分が何のために仕事をしているのかを考えてみます。お客様の笑顔のためと答える人もいるかもしれませんが、家族を泣かせてまでお客さまの笑顔のためにがんばろうとは思わないと思います。責任というのはあくまで相対的なもので、「家族を幸せにする」という責任から逃れているという言い方もできます。必ずしも、狭い職場での責任を取るという行為がすばらしいこととはいえないのだ、ということを念頭に置いて、「責任」の優先順位に従って行動すべきでしょう。

 

以上、「責任」を無駄に背負わないすすめについてお話しさせていただきました。冷静に考えて、二度と顔を合わせることのない職場の人に対して、無駄に「責任」を負って、一生つきあわなくてはならない家族や、自分自身の人生を犠牲にすることのないようにしてきたいものですね。

患者に対する看護目標と個人目標への考え方・立て方

$
0
0

看護目標

看護の質を高めるために実施される看護目標の設定。看護目標には大きく分けて、「病院・看護部の全体を通した目標」、「病棟患者への看護目標」、「各患者への看護目標」、「看護師個人の目標」の4つがあります。

 

ここでは「各患者への看護目標」と「看護師個人の目標」の概要にくわえ、目標設定における考え方をご説明します。

 

1、患者に対する看護目標

看護目標とはその名の通り、看護をする上での目標のことを言います。看護過程においてはアセスメントと看護診断を経て、「看護計画」の段階にあたります。

 

■看護過程の5つの段階

①アセスメント 患者の健康に関する情報を収集し、解釈・分析・評価をする
②看護診断 アセスメントの結論として、看護行為によって解決可能な問題を決定する
③看護計画 判別された看護診断の優先度を決定し、その目標を設定し、目標を達成するために適切な看護活動を考え計画を作成する
④看護介入 計画した看護活動を実行する
⑤看護評価 実施した看護活動の効果を目標に照らして、問題の解決がなされたか、目標が達成されたかどうかを判定する

 

患者の症状をよく観察し、現状抱えている(または抱えるであろう)問題を解決するために最適となるケアを決定し、それを看護目標として設定するわけですが、多くの場合、退院(完治)に向けた“最終的な目標(長期目標)”だけでなく、その過程で起こりうる問題を解決するための“段階的な目標(短期目標)”も必要になってきます。

 

  期間 概要
長期目標 1か月~ 看護問題が解決される最終的な目標
短期目標 数日~1か月程度 長期目標が達成させるまでに起こる問題に対するケア目標

 

1-1、短期目標・長期目標

上記のように看護目標には「短期目標」と「長期目標」が存在します。長期目標とは“最終的な目標”のことを指し、短期目標とは“最終的な目標を達成するまでの過程で起こる問題への目標”のことを言います。

 

つまり、「短期目標①」、「短期目標②」、「短期目標③」をクリアして、「長期目標」が達成されるというイメージです。

 

例えば、糖尿病の患者の場合、

長期目標 ・  患者自身で血糖コントロールができるようになる
短期目標 ・  自身の生活上の問題点を理解する

・  カロリーと栄養バランスを意識した食生活を送ることができる

・  インスリン自己注射の手技を身につける

・  インスリンの副作用について理解する

 

このように、1つの長期目標に対してさまざまな短期目標を立てることができ、1つ1つクリアしていくことで、最終的な目標(長期目標)が達成されるというわけです。ただし、患者によって看護問題は異なるため、しっかりアセスメントした上で目標を設定しなければいけません。

 

1-2、目標設定への準備(アセスメント)

目標設定を行う際に、最も重要となるのがアセスメントです。疾患の症状や薬物による副作用・合併症における看護問題は、疾患や薬物ごとに同一になることが多いものの、患者の心理状態や生活習慣など、患者ごとに異なる看護問題が多々出てきます。

 

これらの問題を導き出すためにアセスメントを行うのであり、不十分なアセスメントでは“個別性がない”看護目標になってしまいます。また、根拠の乏しい看護目標になってしまう可能性もあります。ゆえに、看護目標を立てる際には十分なアセスメントが必要不可欠なのです。

 

看護目標が立てられない!という場合には、見直すか、再度アセスメントを行い、症状や薬物による副作用など全般的なものだけでなく、患者にまつわる様々な情報を取得してください。

 

2、看護師個人の目標

個人目標とは、その名の通り、看護における個人個人の目標のことです。看護部ならびに病棟では1年に1度、全体を通した看護目標を立てますが、この際に看護師1人1人が個人の目標を立て、3か月または6か月ごとに目標を達成できたか、できなかった場合には何が原因だったのかなど、自己評価が行われます。

 

自分の能力向上に必要なこと(実践能力・対人関係能力・問題解決能力、、、)、すべての患者に対して適切なケアを行うために必要なことなど、目標とするものはさまざまありますが、何を目標にしたらいいのか分からないという方は多いのではないでしょうか。

 

個人目標というのは個人個人異なるものであり、実質的には正解も不正解もありません。ただし、達成困難な目標はNGです。評価されたいから“良い目標”を立てようと必死になるあまり、途方もない目標を立てる人がいますが、これは完全にナンセンスですので、自分のために、患者のために、何をしたいかを今一度じっくり考えてみてください。

 

2-1、例えばどんな個人目標があるのか

個人目標は人それぞれ異なるため、どのような目標でも構いません。しかしながら、どのような目標があるのか気になる方は多いと思います。そこで参考となるのが各病院で設定している「クリニカルラダー」です。

 

これはそもそも、質の高い看護を提供できる看護師を養成するための教育プログラムの設定目標ですが、個人目標として置き換えることができます。各病院によって異なりますが、

 

一般的には、レベルⅠ(1年目の新人看護師)、レベルⅡ(2~3年目の看護師)、レベルⅢ(4年~5年目の中堅看護師)、レベルⅣ(6年目~中堅・熟練看護師)、の4段階に分けて目標設定されています。

 

レベルⅠ(1年目)

到達目標 ・  指導を受けながら基本的看護技術をマニュアルに沿って実践できる

・  指導を受けることにより自己の学習課題を見つけることができる

看護実践 ・  患者を理解し患者・家族と良好な人間関係を築くことができる

・  看護過程の展開を習得する

管理 ・  各病棟および他部署の役割、業務内容を理解できる

・  医療安全、感染についての自己の役割を理解し、指導を受け行動できる

倫理 ・  日本看護協会の「看護者の倫理網領」にある患者の権利の内容が理解できる
社会性 ・  患者・同僚・上司の考えや意見をよく聞き、尊重できる

・  部署の人と人間関係を築くためのコミュニケーションができる

教育 ・  自己の看護観を表現できる

・  主体的な自己学習の必要性が理解できる

研究 ・  看護研究に関心をもつことができる

 

レベルⅡ(2年目~3年目)

到達目標 ・  自立して看護実践を安全、確実に提供できる

・  チームメンバーとしての役割を果たし、業務が実践できる

看護実践 ・  カンファレンスでの患者情報を共有し、看護実践に活用できる

・  意思決定し、問題解決できる

管理 ・  チームナースとしての役割を理解し、患者受け持ちができる

・  リーダーシップについての理解を深めることができる

倫理 ・  日常ケアで自分自身の倫理的問題に気づき、改善できる
社会性 ・  自分自身の感情、思考、行動の傾向を知ることができる

・  チーム内で良好な人間関係を築くことができる

教育 ・  自己の看護観から看護に対する課題を見つけることができる
研究 ・  看護研究メンバーの一員として参加できる

・  ケーススタディに取り組み発表できる

 

レベルⅢ(4年目~5年目)

到達目標 ・  各受け持ちナース、チームリーダーとしての役割を理解し、実践できる

・  各単位における看護実践の役割モデルとなれる

看護実践 ・  個別性を考慮した看護ケアの実践ができる

・  自分の行った看護を評価し、意識的にフィードバックできる

管理 ・  患者管理、環境物品管理を行うことができる

・  看護業務活動における経済的側面を意識し、行動できる

倫理 ・  自律して患者を擁護し、代弁者として行動を起こすことができる
社会性 ・  患者、同僚、上司の立場を尊重し、相互に気持ちよい人間関係を築くことができる

・  他の医療チームとの信頼関係を保ち、調節ができる

教育 ・  能力開発、キャリア開発を主体的に実践できる

・  学習の成果を後輩育成に活かし、教育的活動を実践できる

研究 ・  自己の研究テーマを明らかにし、臨床に直結した看護研究を進めることができる

・  看護研究メンバーの中心として参画できる

 

レベルⅣ(6年目~)

到達目標 ・  看護部内の問題を理解し、組織の目標達成のために行動できる

・  看護実践者としての役割モデルになり、指導・研究的能力を有し、看護部内でリーダーシップがとれる

看護実践 ・  独自の意思決定基準を持ち、予測困難な場面にも臨機応変に対応できる

・  専門領域における教育的役割がとれる

管理 ・  各病棟および他部署の連携および調整を円滑に推進する

・  医療安全、感染について防止策を考え、指導および実践ができる

倫理 ・  倫理的視点で日常ケアを後輩に指導できる
社会性 ・  職場風土の向上に向けて働きかけができ積極的に実践できる

・  リーダーシップを発揮し、関係調整に努めることができる

教育 ・  専門領域において、能力開発を積極的かつ継続的に行い、その結果を有効的に活用できる

・  人材育成の視点で院内の教育活動を実践できる

研究 ・  看護研究を推進し、メンバーの調節を行うことができる

・  看護研究を臨床で応用できる

 

なお、上記で記載した各目標は一例であり、病院や看護部によって異なります。現在、看護師として就業されている方は、ご自身の就業病院のクリニカルラダーを調べてみましょう。

 

3、SMARTを用いた目標設定

看護目標を設定する際に役に立つ原則があります。この原則はSMARTの原則」と呼ばれ、看護部の看護目標、看護師個人の目標、患者への看護目標と、すべてを対象としています。

 

SMARTの原則は、「Specific(具体的であること)」、「Measurable(測定可能であること)」、「Achievable(達成可能であること)」、「Relevant(関連性があり妥当であること)」、「Time(期日が明確であること)」の5つから構成されています。

 

これは、看護における目標だけでなく、すべての職種において参考となる原則です。ただし、5つの原則をすべて当てはめなければいけないというわけではありませんので、目標設定の1つの参考として覚えておいてください。

 

Specific

具体的であること

目標は具体的な表現で示す必要があります。具体的であれば、実現するための方法や計画を考えやすくなります。
Measurable

測定可能であること

測定が可能でなければ、達成度の評価が難しくなるため、できる限り数値を用いて目標を設定します。数値化が難しい場合には、「達成された状態」を具体的な言葉で表現します。
Achievable

達成可能であること

夢物語のような達成が困難な目標、またはすぐに達成できてしまう目標ではなく、達成可能な適切な難易度のものでなければなりません。
Relevant

関連性があり妥当であること

自分のため、患者のために何をするかが明確であり、それらが看護の趣旨に沿っていなければいけません。
Time

期日が明確であること

目標は達成すべき期限やスケジュールが明確でなければなりません。期限が明確であれば達成のため計画設定、進捗管理、達成度の評価が行いやすくなります。

 

4、看護目標はなぜ必要なのか

ここまで看護目標の概要や考え方について述べてきましたが、 “面倒くさい”、“煩わしい”と感じる人は多いのではないでしょうか。確かに、生活をするために看護職として働いているという人も多いのが実情ですが、看護職に携わっている以上、患者に適切な看護を提供しなければいけません。

 

患者の命を直接的に守るのは医師ですが、患者の安心・安全・安楽な生活を支援できるのは看護師であり医師ではありません。特に個人目標に関して“面倒くさい”、“煩わしい”と感じる人が多いのですが、目標を設定することでモチベーションが高まり、自ずと各看護師の看護の質が向上していきます。

 

各看護師の看護の質が向上すれば、病院または看護部としての組織の看護の質が向上し、最終的には患者に対する適切なケアに繋がるのです。個人目標は年に1回、場合によって2回・3回設定する必要がありますが、患者の安心・安全・安楽な生活のために必要不可欠な過程ですので、必ず、自分の成長のため、患者のために“何をしたいか”、“何ができるか”をしっかり考えた上で、目標を設定してください。

 

まとめ

看護目標というのは、看護の質を高めるために必要不可欠であり、患者への看護目標、自分に対する目標ともにしっかりとその時々の“終着点”を設定しておかなければ、患者の安心・安全・安楽な生活をサポートすることができません。

 

患者に対して長期・短期目標をどのように設定すればいいのか分からないという場合には、アセスメントした内容を再確認し、不十分だと感じれば再度しっかりとアセスメントを行ってください。

 

個人目標をどのように立てればよいか分からないという場合には、自分の成長のために、また患者のために“何をしたいか”、“何ができるか“を今一度、しっかりと考えてみてください。

アラサー看護師の悲惨な恋愛事情9選

$
0
0

看護師の恋愛事情

白衣の天使である看護師は、男性からの人気が高い「モテる職業」と言われています。でも、さぞかしモテるだろうと思っているのは単なる素人。看護師の恋愛事情は、想像以上に悲惨なんです。

 

医師と結婚できるのは「ツワモノ」ナースのみ

 

医者と結婚する看護師は、実はそんなに多くない。でも、若手有望株の医者を捕まえて結婚する看護師は、女から見ても羨ましくなるほどリアルに女子力が高い。

身だしなみはいつも整っているし、どんなに忙しくても髪型は乱れず、化粧崩れもない。さりげなく気配りも上手だし、仕事もそこそこできる。医者を捕まえられるのも納得の女子力を持つツワモノナースばかり。

(「医者を捕まえられるのが羨ましいんじゃない!その高い女子力が羨ましいだけ!」と強がってみるものの、単なる負け犬の遠吠え状態。医者と結婚できるのは羨ましくない?ううん、医者じゃなくても良い、誰でも良いから結婚したい!が本音だったりする・・・。)

 

イケメン医師は売却済み、残っているドクターは・・・

看護師は出会いがない。看護師は9割以上が女性だし、ちょっとカッコいいドクターは既に売約済み。残るは変人ドクターくらい。

毎日のように、「ナースって出会いがない!」と嘆いているのに、嘆くだけで積極的な婚活とかはほとんどしていないのが現実。

(だから、出会いがないんだよね。でも、私より年上で独身の先輩看護師が結構いるから、恋愛や結婚にそこまで本気で焦っていないのも事実。)

 

合コン終了まで「白衣の天使」を演じられない!

★合コンで職業を「看護師です♪」というと、結構食いつきが良くて、「白衣の天使なんだ~!」とか言われる。やっぱり看護師は男性から人気の職業!

でも、合コン途中で本性を出して、日本酒やら焼酎やらをガンガン飲みだしたり、タバコを吸い始めると、あまりのギャップに口数が少なくなる男性陣。

(合コン終了まで白衣の天使を演じてても良いんだけど、白衣の天使は仕事だから演じてるんだよね。白衣の天使は有料なんです!こんなことしてるから、結婚できないんだけどさ。)

 

看護師が患者と付き合うは妄想!その理由とは?

仕事関係以外の友人に、「看護師さんって患者さんと付き合ったりするんでしょ?」とよく聞かれるんだけど、うちの病棟の患者さん、平均年齢70歳以上よ?最年少でも40代とか。

どんなに出会いを求めていても、さすがに平均年齢70歳以上で病気や怪我持ちの人に恋愛感情は抱かないわ!

(実際に、患者さんと付き合ったり結婚したナースっているの?私の周囲にはいないんだけど・・・。どんなに若くても、患者さんは恋愛対象に入らない気がする。あ、超イケメンだったら話は別です!)

 

夜勤明けの看護師が合コンのとき、照明暗めの店をリクエストする理由

夜勤明けの日のデートや合コンは、メイクの乗りが悪いし、顔色も悪くて目の下にクマがあるから、照明が暗めのレストランをリクエスト!

(20代前半の頃は、夜勤明けでもメイクの乗りとかあまり気にならなかったのになぁ)

 

男性看護師は恋愛対象になり得るのか?

女性看護師の中で、医師は男性としてカウントされるのに、なぜか男性看護師は男性としてカウントされず、恋愛対象に入ることはない。男性看護師は異性ではなく同性でもない不思議な存在。

(男性看護師も女性看護師を女として見ていないので、おあいこなんだけどね)

 

アラサー看護師の憧れ「寿退社」

アラサー以上の独身看護師の憧れの言葉、それは「寿退社」。今まで何度も寿退社をする先輩や後輩を見送ってきたけど、「いつかは自分も寿退社したい!」と憧れずにはいられない。

そんなに美人じゃなくて、仕事もサッパリできない後輩の「私、結婚するので来月末で退職します。」という寿退社宣言を聞くと、「何であんたが結婚できて、私は結婚できないのよ?」と心の中は嫉妬の嵐!

(後輩の結婚を心から祝ってあげられる心の余裕がないから、結婚できないのかも・・・)

 

「専業主夫」でもいいから結婚したい!

看護師になったばかりの頃は、「将来結婚したら、専業主婦か共働きで!」と思っていたけど、アラサーを過ぎても結婚できない現実を知ると、「ちゃんと家事をやってくれるなら、専業主夫でも良いわ。私が稼ぐから。」と思えてくる。

(ここまで妥協しても、なかなか良い出会いもないし、結婚もできないのはなぜ?)

 

30代以上の独身看護師あるある=高い確率でマンションとペットを購入する

30代半ばで独身、結婚の予定がないどころか彼氏もいないとなると、本気でマンションとペットの購入を検討中。

既婚の先輩看護師に「マンションとペットを買ったら、さらに結婚が遠のくよ!」と止められていてるんだけど、先輩に「それなら良い人紹介してくださいよ!」とついつい愚痴ってしまう。

(やっぱり、マンションとペット購入は、結婚が遠のく?それでも、1人は寂しいし、このまま独身なら自分の城が欲しいんです・・・)
看護師って、男性から人気の職業なんて言われているけど、実際は恋愛とはあまり縁がない生活を送っているんです・・・。

ケモ(化学療法)の看護手順と注意点[副作用・血管外漏出]

$
0
0

ケモ看護

ケモ(化学療法)を受ける患者は抗がん剤による急性反応や副作用・合併症などによる肉体的・精神的負担が大きくのしかかります。看護師が行う最も重要な業務は、患者の安心・安全・安楽な生活を支援することであるため、患者のQOL向上のために尽くさなければいけません。

 

当ページでは、ケモ実施における看護手順や、抗がん剤による副作用・血管外漏出など注意すべき点について詳しく説明していますので、最後までしっかりお読みいただき、適切な看護ケアのために、ケモや抗がん剤に関する知識を深めてください。

 

1、ケモとは

ケモとはChemotherapy(ケモセラピー)」のことで、抗がん剤を用いた「化学療法」のことを言います。化学療法は抗がん剤を用いるため、がん(悪性腫瘍)に対する治療法であると広く認識されていますが、がんだけでなく、悪性リンパ腫や急性骨髄性白血病も適応となります。

 

抗がん剤というのは、非常に強力な薬剤であり、正常な細胞をも死滅させてしまうため、頭痛、貧血、悪心、皮疹、下痢、神経障害、脱毛など、さまざまな副作用が出現します。また、血管外漏出の可能性があるなど、ケモを行う際には注意深い観察と迅速な対処が必要不可欠なのです。

 

2、ケモにおける看護師の業務

ケモを実施する際、直接的に治療に関与するのは医師と薬剤師ですが、看護師にも以下のようなさまざまな役割が存在します。

 

①医師・薬剤師と連携して副作用の観察とその対処

抗がん剤を用いるケモでは、副作用が懸念されます。頭痛、貧血、悪心、皮疹、下痢、神経障害、脱毛など、さまざまな副作用の発現を観察し、医師と薬剤師との連携を図った上で、患者の状態に応じて適切に対処します。

 

②点滴・注射の穿刺

抗がん剤の血管穿刺は原則として医師が行いますが、副作用緩和のための点滴・注射は主に看護師が行います。適切な手技のもと、正確な場所・手順で穿刺しなければいけません。

 

③血管外漏出予防のための観察

投与中に抗がん剤が血管外に漏出することがあります。抗がん剤は細胞毒性を示す非常に強力な薬剤であるため、漏出することで皮膚細胞の壊死を招いてしまいます。ゆえに、漏出予防・早期発見のために、患者の状態や刺入部の十分な観察が不可欠です。

 

④患者のセルフケア能力に合わせた療養支援

ケモを実施する患者の多くは外来で済むことが多く、入院が必要な場合にも早ければ3か月程度で退院が可能です。在宅療養における支援や、治療中のみならず退院後のアフターケアも行っていかなければいけません。

 

⑤ケモを受ける患者や家族への心理的援助

抗がん剤のリスクや副作用の発現に関して、患者やその家族に多大な心理的負担がのしかかります。恐怖や不安といった心理的負担を軽減できるよう、積極的にコミュニケーションを図るなど、QOL向上に努めていくことが大切です。

 

⑥急変時・事故発生時の対応と調整

時として、急に容態が悪化し意識不明に陥る、恐怖や不安など心理的負担による事故が発生することがあります。この際には、迅速かつ適切に対処しなければいけません。また、医師や薬剤師との連携を図った上で、使用薬剤の変更や事故の再発防止にも迅速に取り組む必要があります。

 

⑦紙カルテ・電子カルテへの実施入力と観察記録

使用薬剤の種類や患者の経過などが記載されているカルテは、医師ならびにすべての看護職員が情報を共有し、患者に適切な治療・ケアを行うために不可欠なツールです。正確な情報を記載するのはもちろん、誰にでも分かりやすい内容であることが必須です。

 

3、抗がん剤投与の看護手順

ケモを実施する際には、医師と薬剤師が使用する薬剤の種類や期間などの調製を行います。この治療計画を「レジメン」と言い、レジメンに沿った治療を厳守とし、効果がみられない場合や、重い副作用の発現などで中断する場合には、新たなレジメンのもと治療が行われます。

 

レジメンは、がんの種類や使用する薬剤(併用薬剤)の種類によってさまざまで、医療基準として基本的には定められていますが、病院によって異なる場合もあります。

 

レジメンの一例

≪胃がん≫

薬剤名 標準投与量 投与日 Day1 Day8 Day15 Day22 Day29
シスプラチン注 25mg/㎡ Day8,15,22
TS-1Cap 80mg/㎡ Day1-21 Day1-21連続投与
投与間隔:3週投2週休、1クールの日数:5週間

 

≪肺がん≫

薬剤名 標準投与量 投与日 Day1 Day8 Day15
シスプラチン注 40mg/㎡ DIV30分
ジェムシタビン注 1000mg/㎡ DIV30分
投与間隔:3週間 Day1,8、1クールの日数:3週間

 

≪乳がん≫

薬剤名 標準投与量 投与日 Day1 Day22 Day43 Day64
エピルビシンRTU注 100mg/㎡ 全開
CPA(エンドキサン)注 500mg/㎡ DIV30分
5-FU注 500mg/㎡ 全開
投与間隔:3週毎 Day1、1クールの日数:3週間

 

3-1、抗がん剤投与に関する患者への説明

患者本人が抗がん剤の副作用や合併症のリスクを正しく理解した上で治療を行う必要があり、また、そのほか投与中の生活においても気をつけるべき事項がさまざまあります。

 

これらのことを投与前にしっかりと説明することは事故防止のために必要不可欠なことであるため、必ず詳しく説明した上で治療を行うようにしてください。

 

・投与する抗がん剤のリスク

使用する抗がん剤が持つ組織侵襲のリスクや起こりうる副作用について詳しく説明し、同意の元で治療を行います。

 

・血管外漏出の症状

抗がん剤の中には、起壊死性抗がん剤または炎症性抗がん剤(後述)と呼ばれる、血管外に漏れた際に皮下症状を及ぼす薬剤が存在します。それらの薬剤を使用する際は特に、血管外漏出のリスクや漏出時の症状・対処について事前に説明します。

 

・投与中の穿刺部位の安静保持

投与中に動くとルートが外れることにより血管外漏出を招く可能性があるため、事故防止のために穿刺部位を安静について説明をします。また、抗がん剤により肉体的なストレスがかかるため、穿刺部位の安静はもちろん、できるだけ体の安静を図るよう指導してください。

 

・血管の管理

血管に負荷がかかると血管外漏出や血管・皮膚組織の損傷を招いてしまうため、重い荷物はなるべく穿刺部位とは反対の腕で持つ、毎回同じ血管に穿刺しないなど、血管の管理について説明をします。

 

3-2、投与時の一般的な看護の流れ

抗がん剤の投与を行うのは原則として医師が行い、看護師は患者の状態や穿刺部の皮膚状態、そのほか急性反応や副作用の有無を適宜観察します。この段階における看護師の役割は主に「観察」であるため、変化を見逃さないよう入念に観察を行ってください。

 

①使用薬剤と患者の状態を確認する

使用する抗がん剤が正しいか、血管外漏出などの急性症状において危険性の高いものかどうか、そのほか副作用の発症率が高いかなど確認し、合わせて患者の健康状態も観察します。

 

②静脈投与ラインを確保する

血管外漏出のリスク因子を十分に考慮し、より末梢側から太く弾力があり穿刺針の固定が容易な部位を選択し穿刺します。

避けた方が良い穿刺部位
・肘関節窩

・下肢静

・利き手側

・蛇行している血管

・硬化組織のある部位

・骨突出部位や関節付近

・神経や動脈に隣接した部位

・放射線照射を行っている患側上肢

 

③静脈投与ラインの開通性を確認する

血液の逆流・自然滴下を確認し、自然滴下確認時には痛みや圧迫感の有無を確認します。

 

④抗がん剤を投与する

必要な前投薬が正しく投与されたかを再確認し、指示された注入速度を厳守し投与を行います。

 

⑤急性反応や副作用の有無を観察する

血管外漏出の兆候や急性悪心・嘔吐、アナフィラキシーなど、抗がん剤による急性反応・副作用の有無を確認し、何かしらの症状出現時には早急に対処を行います。

 

4、抗がん剤使用時の注意点

ケモの実施時には、抗がん剤の取り扱いに注意しなければいけません。抗がん剤の取扱い者への薬剤の曝露による健康上の危険性を示す報告が多々あるため、抗がん剤使用時には細心の注意を払う必要があります。

 

取扱いにおける全般的な注意事項

①各種抗がん剤に関する知識・投与手順に精通した職員が取り扱う。

②投与前に必要な薬剤・器具・用具などを適切に準備する。

③器具・用具は出来るだけディスポーザブル製品を使用する。

④汚染予防のため、可能な限り市販品の使用を心がける。

⑤投与中に抗がん剤に直接接触しないよう工夫する(設備・防具など)。

⑥誤って接触した時の対応法を決定しておく。

⑦使用した作業台・安全キャビネットなどを十分清掃する。

⑧各作業終了後に作業者の十分な手洗いとうがいを励行する。

⑨スピル・キットを所定の場所に用意する。

 

また、抗がん剤投与を行う患者に対しても、「抗がん剤による副作用」や、投与時における「抗がん剤の血管外漏出」に細心の注意を払う必要があります。

 

抗がん剤による副作用

抗がん剤の特徴として、がん細胞のように増殖の速い細胞を死滅させる働きがありますが、正常な細胞の中にも速く増殖するものがあり、それらの正常な細胞をも死滅させることで、それが副作用として出現します。出現する副作用は、頭痛、貧血、悪心、皮疹、下痢、神経障害、脱毛など多岐に渡り、主に抗がん剤の投与後1時間~10日で症状がみられます。それゆえ、この期間は特に、患者の状態を入念に観察する必要があります。

 

抗がん剤の血管外漏出

血管穿刺にて抗がん剤投与を行う場合、針先が正しく血管に刺入されていない、血管が脆くなっている、体動により針が抜ける、などの理由で血管の外に抗がん剤が漏出してしまうことがあります。血管外漏出が起こると、漏出直後から刺入部位周辺の皮膚に軽い発赤・腫れ・痛みなどの症状が現れ、数日かけて症状が増悪していきます。皮膚症状が増悪していくと、水泡→潰瘍→壊死形成へと移行していき、場合によっては外科手術が必要になるため、血管外漏出を未然に防ぐのはもちろん、細やかな観察のもと早期発見・早期改善を図らなければいけません。

 

4-1、抗がん剤による副作用

抗がん剤の副作用は大きく分けて、「貧血」、「悪心・嘔吐」、「皮疹」、「下痢」、「末梢神経障害」、「血小板減少」、「白血球減少」、「脱毛」があり、これらの副作用によりさまざまな症状が出現します。

 

症状 出現期間 特徴
貧血 投与後3~5日前後 頭痛、眩暈、動悸・息切れ、立ちくらみ、倦怠感、冷感、皮膚や目の色の変化(白くなる)
悪心・嘔吐 早発性:投与後1・2~24時間

遅発性:投与後24~48時間

悪心、嘔吐、食欲減退、食事量の減少、体重減少
皮疹 投与後1~2週間前後 ざ瘡様皮疹・紅斑・浮腫(投与後1~2週目)、皮膚乾燥・亀裂(5週目ごろ)、爪周囲炎(8週目ごろ)
下痢 早発性:投与後24時間以内

遅発性:投与後3~7日前後

腹痛、尿量低下、水様便、皮膚の乾燥、体重減少
末梢神経障害 急性:投与後すぐ

慢性:投与の繰り返しで出現

手足口・咽頭周囲の痺れや痛み、呼吸苦
血小板減少 投与後7~10日前後 頭痛、吐き気、出血傾向、内出血、潜血便
白血球減少 投与後7~14日前後 発熱、頭痛、咳、下痢、咽頭痛、膀胱炎症状、易感染状態
脱毛 投与後2~3週間前後 全身の脱毛(徐々に、または一気に抜け落ちる)

 

中でも「骨髄抑制による貧血」、「悪心・嘔吐」、「下痢」が好発であり、これらは多くの患者が経験する副作用です。それぞれに対して出現率の高い抗がん剤が存在するため、その種類をしっかり把握しておきましょう。

 

貧血(骨髄抑制) UFT、注射用イホマイド、アドリアシン、アルケラン、イダマイシン、エンドキサン、カンプト、キロサイド、ダウノマイシン、タキソテ-ル、タキソール、テラルビシン、サイメリン、サンラビン、ナベルビン、ニドラン、ハイドレア、ファルモルビシン、フルツロン、マイトマイシン
悪心・嘔吐 アドリアシン、キロサイド、ダカルバジン、ニドラン、マイトマイシン
下痢 5-FU、アドリアシン、カンプト、キロサイド、ベプシド、メソトレキセート

 

副作用が発現した際には、主に抑制する薬物をもって対処していきますが、生活面においてもあらゆるケアを行っていかなければいけません。詳しくは、「化学療法(抗がん剤治療)の副作用ごとの対処と看護ケア(http://j-depo.com/news/post-1568-1568.html)」をご覧ください。

 

4-2、抗がん剤の血管外漏出

血管外漏出を防ぐためにはまず、「リスク因子」や「血管外漏出時の組織侵襲に基づく抗がん剤の分類」をしっかりと把握しておく必要があります。また、漏出時には適切な対処が求められるため、その対処法も知っておきましょう。

 

リスク因子

①高齢者(血流量の低下や血管の弾力性)

②栄養不良の患者

③肥満患者(血管を見つけにくく刺入困難)

④血管が細くて脆い患者

⑤皮膚結合織疾患や糖尿病などに罹患している患者

⑥化学療法を繰り返している患者

⑦多剤併用化学療法中の患者

⑧循環障害のある四肢の血管

⑨輸液などで既に使用中の血管ルートの再利用

⑩抗がん剤の反復投与に使われている血管

⑪腫瘍浸潤部位の血管

⑫放射線療法を受けた部位の血管

⑬最近施した皮内反応部位の下流の血管(皮内反応部位で漏出が起こる)

⑭同一血管に対する穿刺のやり直し例

⑮24時間以内に注射した部位より遠位側

⑯創傷瘢痕がある部位の血管

⑰関節運動の影響を受けやすい部位や血流量の少ない血管への穿刺例

 

血管外漏出時の組織侵襲に基づく抗がん剤の分類

分類 重症度 薬剤名
起壊死性抗がん剤 強度 アクチノマイシンD、アムルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ビノレルビン、ピラルビシン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンブラスチン、マイトマイシンC、ミトキサントロン
炎症性抗がん剤 中程度 5-フルオロウラシル、アクラルビシン、イホスファミド、イリノテカン、エトポシド、カルボコン、カルボプラチン、ゲムシタビン、ダカルバジン、シクロホスファミド、シスプラチン、チオテパ、ドセタキセル、ニムスチン、ネオカルチノスタチン、ネダプラチン、パクリタキセル、ラニムスチン
起炎症性抗がん剤 軽度 L-アスパラギナーゼ、エノシタビン、シタラビン、ブレオマイシン、ペプレオマイシン、メトトレキサート

 

・起壊死性抗がん剤

少量の漏出であっても強い痛みや、腫脹・水泡・壊死などの皮膚障害を起こし、潰瘍形成に至ることもあります。

 

・炎症性抗がん剤

漏出部位に痛みや発赤が生じることはあるものの、潰瘍まで進展することはほとんどありませんが、軽視することなく、早急な対処が必要不可欠です。

 

・起炎症性抗がん剤

筋肉や皮下への注射が可能な抗がん剤であるため、漏出してもほとんど炎症症状は起こりませんが、高齢者や皮膚の弱い人には稀に痛みや発赤が生じることがあります。

 

漏出時の対処

・起壊死性抗がん剤

 

・炎症性抗がん剤

(大量漏出時)

①すぐに留置針を抜かず、薬液や血液(5ml程度)を吸引・除去する

②注射針・ルートを抜去する

③デクスラゾキサンの静脈注射、ステロイド剤の局注、ステロイド軟膏の塗布など、局所の処置を行う

④ステロイド外用剤の塗布と冷湿布の貼付を継続的に行う

⑤漏出量が多い場合には、ステロイド剤の内服を併用する

・炎症性抗がん剤

(少量漏出時)

・起炎症性抗がん剤

注射部位の変更、消炎剤・鎮痛剤を用いて対処する。

 

血管外漏出の早期発見

漏出することによる皮膚症状は、即時ではなく概ね数時間後に出現しますが、軽度な初期症状が必ず出現するため、早期に発見できるよう、輸液ラインや刺入部の確認、患者の状態などを観察しておきましょう。

①輸液ラインの確認 ・点滴の滴下速度が通常時より減少している

・抹消動脈ライン内の血液逆流が消失している

・自然滴下がない

②刺入部の確認 ・刺入部が発赤・腫脹など皮膚症状がみられる
③患者の状態の観察 ・焼けるような痛み(灼熱痛)がみられる

 

まとめ

抗がん剤を用いたケモは今や一般的な治療法となりましたが、副作用や合併症の発症リスクが非常に高いため、看護師は症状の早期発見のための細やかな観察、症状発現時には迅速に対応しなければいけません。

 

また、抗がん剤は毒性の強い薬物であるため、看護師自身が細心の注意を払って取り扱う必要があります。患者のQOL向上のため、さらには自身の安全のために、ケモや抗がん剤に関する正しい知識を持った上で、適切な看護ケアを実施していきましょう。

看護管理者の役割|組織を円滑に動かすためのマネジメント

$
0
0

看護管理

師長や主任など看護管理者になると、さまざまな問題に直面することでしょう。今まで患者のケアのみに注力してきたものの、看護管理者は患者の疾患に対する治療やQOL向上などのケアのみならず、組織を円滑に動かさなければいけません。

 

看護管理とは何か、どのように管理を行えば良いのかなど、当ページでは看護管理の基礎を説明していますので、看護管理に関する知識を深めたい方は、ぜひ最後までお読みください。

 

1、看護管理とは

看護管理とは、患者の安心・安全・安楽な生活をサポートするため、また、組織として円滑にやりくりするための業務の一環であり、主に師長や主任などのマネージャークラスが行います。しかしながら、役職の持たない看護師(スタッフナース)も日々の業務の中で無意識的に看護管理を実践していることから、役職の有無に関わらず、看護職に携わる全ての者が、看護管理について知っておかなければいけません。

 

看護管理の主な業務は、「マネジメント」することであるものの、患者に対して日々行っている看護過程に通じています。看護過程とは、患者が抱えている問題(看護問題)を導き出すために、アセスメントや診断を行い、得た情報をもとに計画を立案し、ケアの実施・評価を行う看護プロセスのことで、看護管理においても同様のプロセスを辿ります。

 

たとえば、看護職員が円滑に業務を行えるよう、妨げとなっている問題を導き出すために現状を把握し、問題解決に向けた計画を立案し、実施・評価していくというプロセスを辿ります。

 

2、看護職員の役職別にみた業務内容

①看護部長 ・  病院長・副院長との折衝

・  新人看護師の採用計画の作成

・  看護部の業務計画の作成

・  看護師長への計画の指示

・  看護師の教育方針・教育計画の作成

・  看護部の代表として対外的な交渉、など

②副看護部長 看護部長の業務内容に加え、看護部長の補佐を行う。
③看護師長 ・  職員の能力開発の支援と人材の育成

・  創造的に看護が実践できる職場環境・風土作り

・  看護部門の方針に基づいた目標の達成

・  看護単位を効率的に運用するための組織体制の整備

・  質の高い看護サービスの継続的な提供・評価・改善

・  地域社会との連携、社会資源を活用した継続的な看護の提供

・  看護職員の健康管理

・  病院の使命や役割の推進と危機管理

・  看護師長の特性や看護管理者の望ましいあり方の意識の確立

・  看護研究の推進と支援、など

④副看護師長 看護師長の業務内容に加え、看護師長の補佐を行う。
⑤主任 ・  看護単位の運営状況を把握、スタッフへの認識の促進

・  看護案の方針・目的・目標におけるスタッフへの実施の促進と目標の達成

・  資源の有効活用、看護単位の運営

・  役割モデルとしての自立的かつ創造的な看護の実施。

・  社会資源を活用した継続看護、スタッフへの指導。

・  互いに啓発できる職場づくりの確立

・  スタッフへの看護の倫理の自覚促進と行動援助、など

⑥看護師(スタッフナース) 指導を受けながらの基礎的看護技術のマニュアルに沿った看護を行う。

 

このように、役職の有無などで業務内容は大きく異なります。一般的に看護管理においては、「看護部長・看護副部長看護師長・看護副師長」、「看護師長・看護副師長主任」、「主任看護師(スタッフナース)」というように、役職の高い者から低い者へのマネジメント業務であると考えると分かりやすいのではないでしょうか。

 

なお、上述したように、患者に対する日々のケア業務も看護管理の1つであるため、「看護師(スタッフナース)」→「患者」も当てはまりますが、看護管理は患者の安心・安全・安楽な生活をサポートすることを根本としているため、「すべての役職」→「患者」となることは理解しておきましょう。

 

3、看護管理者の役割

看護管理者が行うべき最も重要な役割は、質の高い組織的看護サービスを提供することです。そのためには、部署や病棟、さらには各看護職員が抱えているさまざまな問題を解決していかなければいけません。

 

しかしながら、質の高い組織的看護サービスを提供するために解決していかなければいけない問題というのは、部署や病棟、各看護職員によって異なります。

 

看護技術における部下への指導はもちろんのこと、たとえば、オペ室看護であれば看護師と患者のコミュニケーションが少ないことで、コミュニケーション力に乏しく、各看護師が自発的に発言しないという問題に対して、人前で話すことへの羞恥心をなくすために、スピーチする機会を持つなど、改善すべき問題は多岐に渡ります。

 

また、部署や病棟などグループ間での看護職員同士の良好な関係を築くこと、事故がないよう安全面に配慮すること、業務の効率化を図ることなど、看護管理の役割はさまざまですので、今何が問題となっているのかを正しく見極め、改善に取り組んでいってください。

 

4、日本看護管理学会

看護管理学会は、看護実践のあらゆる場における看護サービスの発展を目指して、看護サービスの組織的提供の仕組みを社会的要因との関係において学術的に追求し、人々の健康とQOLの向上に寄与することを目的として1996年に設立されました。

 

年に1回の学術集会や定期的な例会の開催、年に2回の学会誌の発行など、学術的なさまざまな活動が行われており、2015年7月時点では、3705人もの正会員を有しています。

 

会員になることで看護管理に関する最新の学術的情報を入手できるだけでなく、学術集会など割引で参加できるため、看護管理に関する知識を深めたいという方は、ぜひ入会を検討しておきましょう。

 

事業内容

・学術集会の開催

・会誌等の発行

・看護管理学の発展に資する教育・研究の推進

・看護の適正評価の推進

・看護の質向上に関する事業

 

入会方法

≪入会要件≫

以下①または②のいずれかが必要。

①看護管理関連の業績

②社員(評議員)1名の推薦

 

≪入会金≫

・10,000円(年会費)

 

5、認定看護管理者

認定看護管理者とは、日本看護協会が認定する資格のことで、多様なヘルスケアニーズを持つ個人・家族及び地域住民に対して、質の高い組織的看護サービスの提供や、看護管理者の資質と看護の水準の維持及び向上の寄与、保健医療福祉に貢献することを目的として、1998年に発足され、2015年10月時点で合計2664の看護師が認定を受けています。

 

認定看護管理者になったからと言って給料や年収を上がることはほぼありませんが、より高いレベルでの管理を行うことができるようになるため、看護管理者として高みを目指したい方は、ぜひ認定に向けて進んでいきましょう。

 

看護管理者になるには

① 日本国の看護師免許を有すること

② 看護師の免許取得後、実務経験が通算5年以上あること

上記に加え、下記にいずれかの要件を満たすこと。

・  認定看護管理者教育課程サードレベルを修了している者

・  看護系大学院において看護管理を専攻し修士号を取得して いる者で、修士課程修了後の実務経験が3年以上ある者。

・  師長以上の職位で管理経験が3年以上ある者で、看護系 大学院において看護管理を専攻し修士号を取得している者

・  師長以上の職位で管理経験が3年以上ある者で、 大学院において管理に関連する学問領域の修士号を取得 している者。

 

上記の要件を満たした上で、認定審査(書類及び筆記試験)に合格すれば、認定を受けることができます。

 

教育課程

  時間 受講要件
ファーストレベル

(1st

150時間 ①日本国の看護師免許を有する者

②看護師免許を取得後、実務経験が通算5年以上ある者

③管理的業務に関心があり、管理的業務に従事することを期待されている者。

セカンドレベル

(2nd

180時間 ①日本国の看護師免許を有する者

②看護師免許を取得後、実務経験が通算5年以上ある者

③認定看護管理者教育課程ファーストレベルを修了している者

(または看護部長相当の職位にある者、もしくは副看護部長相当の職位に1年以上就いている者。)

サードレベル

(3rd

180時間 ①日本国の看護師免許を有する者

②看護師免許を取得後、実務経験が通算5年以上ある者

③認定看護管理者教育課程セカンドレベルを修了している者。

(または看護部長相当の職位にある者、もしくは副看護部長相当の職位に1年以上就いている者。)

 

教育機関

都道府県 教育機関名 1st 2nd 3rd
北海道 公益社団法人北海道看護協会
札幌市立大学教育支援プロジェクトセンター
青森県 青森県看護協会
青森県立保健大学地域連携・国際センター
岩手県 岩手県看護協会
宮城県 宮城県看護協会
秋田県 公益社団法人秋田県看護協会
山形県 山形県看護協会
福島県 福島県看護協会
茨城県 茨城県看護協会
茨城県立中央病院認定看護管理者教育課程
栃木県 栃木県看護協会
群馬県 群馬県看護協会
埼玉県 埼玉医科大学認定看護管理者教育課程
埼玉県看護協会
上尾中央医科グループ協議会
千葉県 千葉県看護協会
地域医療機能推進機構本部研修センター
東京都 国際医療福祉大学看護生涯学習センター
国立看護大学校研修部
昭和大学看護キャリア開発・研究センター
聖路加国際大学 教育センター
東京女子医科大学男女共同参画推進局 看護職キャリア開発支援センター
東京都看護協会
東京都福祉保健財団
日本看護協会看護研修学校
日本赤十字社幹部看護師研修センター
神奈川県 神奈川県看護協会
神奈川県立保健福祉大学実践教育センター
北里大学看護キャリア開発・研究センター
新潟県 公益社団法人新潟県看護協会
富山県 富山県看護協会
石川県 石川県看護協会
福井県 福井県看護協会
山梨県 山梨県看護協会
長野県 長野県看護協会
岐阜県 岐阜県看護協会
静岡県 聖隷福祉事業団 聖隷三方原病院 認定看護管理者教育課程
静岡県看護協会
愛知県 愛知県看護協会
三重県 三重県看護協会
滋賀県 滋賀県看護協会
京都府 京都府看護協会
大阪府 学校法人藍野学院 キャリア開発・研究センター
大阪府看護協会
兵庫県 日本看護協会神戸研修センター
兵庫県看護協会
奈良県 奈良県看護協会
和歌山県 和歌山県看護協会
鳥取県 公益社団法人鳥取県看護協会
島根県 島根県看護協会
岡山県 岡山県看護協会
広島県 広島県看護協会
広島大学病院看護実践教育研修センター
山口県 山口県看護協会
徳島県 徳島県看護協会
香川県 香川県看護協会
愛媛県 愛媛県看護協会
高知県 高知県看護協会
福岡県 国際医療福祉大学九州地区生涯教育センター
西南女学院大学 認定看護管理者教育課程
福岡県看護協会
佐賀県 佐賀県看護協会
長崎県 長崎県看護協会
熊本県 熊本県看護協会
熊本県立大学 認定看護管理者教育課程
大分県 大分県看護協会
宮崎県 宮崎県看護協会
鹿児島県 鹿児島県看護協会
沖縄県 沖縄県看護協会

 

6、参考になる書籍

最後に、看護管理を学ぶ上で参考となる書籍をご紹介します。看護管理者として組織を改善し、患者の安心・安全・安楽な生活をサポートできるよう、ぜひ活用しましょう。

 

看護管理概説

看護管理学習テキスト(日本看護協会出版会)

看護管理領域において、看護組織論、看護経営・経済論、看護制度・政策論、看護マネジメント論、人的資源活用論、看護情報管理論など、さまざまな領域について学ぶことができる。

 

看護管理

看護管理(医学書籍)

社会の変化を的確にとらえながら,看護管理者として直面するさまざまな問題について解決策を探る月刊誌。看護師長を中心に主任から部長まで幅広い読者層に役立つ情報をお届けする。

 

主任業務見える化

行動レベルでわかる主任業務見える化

看護現場における主任業務と管理・コミュニケーション術を解説したテキスト。主任の立つ位置、看護管理の目標、目指すところを意識した上で71項目の行動・業務を導き出し、「何を、いつまでに、どうすべきか」を分かりやすく解説。

 

まとめ

看護管理は組織を円滑に動かし、患者に質の高い看護を提供することが根本の役割であることから、軽視すべきではありません。

 

今何が問題となっているのか正しく見極め、その問題に対する計画・実践を行い、見直した上で再度実践に移るという過程を経る必要があるため問題解決には時間がかかります。

 

しかしながら、1つ1つ段階を踏んでいくことで、新たな問題を発見できたり、効率的かつ効果的な解決策を見出すことができるため、毎日切磋琢磨し、抱えている問題を1つずつ解決していきましょう。


看護診断(NANDA・NIC-NOC)に対する理解と知識の習得

$
0
0

看護診断

患者へ適切な看護ケアを行うために必要不可欠な「看護診断」。病気や心理的要因などから起こる患者の様々な問題に対する解決策を導き出す過程(看護診断)は非常に重要であり、この過程なくして患者のニードを満たし、早期治療を図ることはできません。

 

ここでは、看護診断とはどのようなものなのかを解説していますので、看護診断の概要を掴めていない方はぜひ一読ください。

 

1、看護診断とは

看護診断は、看護過程の5段階の1つであり、アセスメントから得た情報をもとに、看護問題を導き出すための診断のことです。

 

看護過程の5つの段階

①アセスメント 患者の健康に関する情報を収集し、解釈・分析・評価をする
②看護診断 アセスメントの結論として、看護行為によって解決可能な問題を決定する
③看護計画 判別された看護診断の優先度を決定し、その目標を設定し、目標を達成するために適切な看護活動を考え計画を作成する
④看護介入 計画した看護活動を実行する
⑤看護評価 実施した看護活動の効果を目標に照らして、問題の解決がなされたか、目標が達成されたかどうかを判定する

 

患者の病気の症状や心身の状態から、どのような看護を行っていけば良いのかを決める上で看護診断は非常に重要な過程であるものの、その必要性が日本で導入されたのは1980年代と最近のことであるため、未だ開発途上です。

 

また、診断の基準は曖昧な点が多く、診断を行うためには多くの知識が必要であるため、臨床においてあまり実践されていないのが現状です。

 

2、NANDA看護診断とは

NANDA看護診断とは、北米看護診断協会(North American Nursing Diagnosis Association)が提唱する看護診断のこと。患者の問題を診断する際、同じ問題であっても看護師によって診断に違いが出てきます。統一性がなければ異なる解釈をされてしまう可能性があるため、同一の診断のもと解釈を統一しようという考えで作られました。

 

しかしながら、看護診断は確立されていないため、NANDA看護診断においても改変が多々行われています。なお、NANDA看護診断において、以下の13領域に分類され、これら各領域ごとに診断を行います。

 

NANDA看護診断13領域

領域1:ヘルスプロモーション 領域8:セクシュアリティ
領域2:栄養 領域9:コーピング/ストレス耐性
領域3:排泄と交換 領域10:生活原理
領域4:活動/休息 領域11:安全/防御
領域5:知覚/認知 領域12:安楽
領域6:自己知覚 領域13:成長/発達
領域7:役割関係

 

また、NANDA看護診断には「実在型看護診断」、「リスク型看護診断」、「ウェルネス型看護診断」の3つの表現形式が存在します。

 

診断タイプ

タイプ 概要
実在型看護診断 個人・家族・地域社会に存在する健康状態/生活過程に対する人間の反応を記述する
リスク型看護診断 その状態を起こしやすい個人・家族・地域社会に生じることのある健康状態/生活状態に対する人間の反応を記述する
ウェルネス型看護診断 より高い状態へ促進される準備状態にある個人・家族・地域社会のウェルネスのレベルに対する人間の反応を記述する

 

さらに、「①診断ラベル」、「②定義」、「③診断指標」、「④関連因子」、「⑤危険因子」の5つの要素によって構成されています。

 

5つの構成要素

表示 概要
①診断ラベル ・  診断ラベルに名称を与えているもの。

・  診断ラベルは関連のある手がかりのパターンを表現する簡潔な用語または語句。

・  診断ラベルには修飾語を含むことがある。修飾語がついていないものもある。

②定義 ・  診断ラベルの明確で正確な記述であり、その意味を的確に説明している。つまり、それが何かを明芽確に説明しているものである。

・  類似の診断と区別する時に定義を確認し、該当するかどうかを判断する。

・  NANDA看護診断の診断ラベルにはすべて定義が示されている。

・  定義を見れば、その診断ラベルが何を意味しているのか明確に理解できる。

・  定義は診断ラベルとは矛盾しない。

③診断指標 ・  実在型看護診断とウェルネス型の看護診断の証拠として挙げられる観察可能な手がかりや推論であり、看護診断には必ず診断指標が表記されている。

・  定義および診断名と一致した徴候(sign)や症状(symptom)のことである。

・  特定の看護診断が存在するかどうかを考えていくプロセスにおいて、患者に観察された診断指標をチェックする。

・  診断指標が観察されればその看護診断が存在し、観察されなければその診断は存在しないと見なす。

④関連因子 ・  診断指標ではなく、ある看護診断との間に関連しているように見える観察可能な手がかりや推論である。

・  ある種のパターンに見える関係を看護診断との間に示すように見える因子のことである。

・  「…に先行する」「…に伴う」「…に関連した」「…の一因となる」「…を起こさせる」と記述することができる。

・  特定の看護診断が存在するかどうかを考えていくプロセスにおいて、患者に観察された関連因子をチェックする。

・  関連因子はどの看護診断にも表記されているわけではない。関連因子が確定していない場合は「開発中」と表記されている。

⑤危険因子 ・  不健康な状態に個人・家族・地域社会を陥りやすくする環境因子および、生理的、心理的、遺伝的、科学的要素である。

出典:NANDA看護診断一定義と分類

 

このように、NANDA看護診断は詳細に構成されているため、正確な診断がしやすく問題を共通認識しやすいという特徴があります。

 

2-1、NIC(看護介入分類)とNOC(看護成果分類)

上記のように、NANDA看護診断は看護問題を導き出すための診断基準ですが、NANDA看護診断をもとに、どのように看護介入すれば良いのか、どのようなケアを行うのかを分類するものとして、NOC(看護成果分類)NIC(看護介入分類)があります。

 

NANDA看護診断 アセスメントをもとに看護問題を明確にするための診断
NOC(看護成果分類) 問題解決において期待される看護介入が、どの程度有効であるかを看護感受性成果として具体的に数量化して示したもの
NIC(看護介入分類) 実際にどんな観察やケアを行うのかを記述したもの

 

NANDA看護診断を使って看護診断し、NOCで看護結果を決定し、NICで看護介入するというように、リンケージ(連動)しているため、「NANDA-NOC-NIC」というように看護診断の1つのプロセスとして定着しつつあります。

 

これらを1つにすることで、より効果的かつ適切に患者のニードを満たすことができるとして、さまざまな臨床現場において活用されています。

 

なお、NOCの測定には「1=重度に障害」、「2=かなり障害」、「3=中程度に障害」、「4=中程度に障害」、「5=軽度に障害」というような、5段階からなるリッカート尺度を用いて指標を評点します。つまり、介入前(成果の基礎評点)と介入後の成果の評点の差を導き、その差が介入によって達成された成果を示すのです。

 

NICにおける看護介入は、直接的ケア・間接的ケアの両方が含まれ、介入の対象は個人だけでなく家族や地域社会も含まれます。また、介入を選択する際には、「①期待される成果」、「②看護診断の特性」、「③介入の研究的基盤」、「④介入の実行の可能性」、「⑤患者の受容の可能性」、「看護師の実践能力」の6つの因子を考慮しなければいけません。

 

3、日本看護診断学会

日本看護診断学会は、適切な看護を行うために看護診断や介護介入、それらの成果に関する研究・開発・検証・普及を行う団体で、今から約25前の1991年に「日本看護診断研究会」として設立され、その3年後となる1994年に「日本看護診断学会」に改名されました。

 

2015年4月時点での会員数は1233人にのぼり、会員になることで、学会誌を読めたりと看護診断に関する深い知識を習得でき、さらに会員同士の交流を図ることができます。なお、1995年より年に1回の学術大会が開かれていますが、これは非会員でも参加することできます。

 

≪事業内容≫

  • 定期学術大会、課題研究会、講演会などの開催
  • 学会機関誌、学会ニュースレターおよび学術図書の刊行
  • 国内外の関連諸学会、職能団体との連絡ならびに協力
  • NANDAインターナショナルとの国際交流と連携活動、および関連国際学術団体との交流
  • 看護診断に関する研究の推進
  • 研究の助成

 

≪入会案内≫

入会に際して特に条件はありません。必要書類を提出し、理事会の承認を得た後、会員になることが出来ます。なお、入会時には入会金5000年と年会費7000円の計12000円を納入する必要があります。

 

看護診断は未だ確立されていないため、領域や基準など様々な点において改変が行われています。これら改変は日本看護診断学会が先頭となって行っており、今後、看護診断の必要性はますます高まってくるため、看護診断に関する先進的な知識を修得したいという方は、同学会への入会を強くお勧めします。

 

4、参考になる書籍

最後に、看護診断を理解・把握する上で参考となる書籍を紹介します。看護診断は非常に難解で、臨床現場において未だ導入の是非が問われていますが、今後間違いなく必要となってくるため、看護学生だけでなく看護師の方も、この機会にしっかりと学んでおきましょう。

 

看護診断ハンドブック

看護診断ハンドブック 第10版

 

NANDA-Iが採択している看護診断および原著者が臨床で使えると考えている看護診断の基本情報(定義・診断指標・関連因子)と,NOC(看護成果),NIC(看護介入),さらに実際の看護介入を示した書。似たような看護診断の使い分けや臨床での使用の仕方などを原著者が解説している点が特徴。看護診断名と定義を知るだけでなく,臨床でいかに活用し,看護介入につなげるのかまでがわかる。

 

看護診断 定義と分類

NANDA-I看護診断 定義と分類 2015-2017

 

NANDAインターナショナルで承認された看護診断を収めたハンドブック。26の新しい看護診断が追加、13の看護診断が改訂されたほか、看護診断の基礎からNANDA-I看護診断に関するよくある質問と回答(FAQ)などの解説もさらに充実。臨床でのレファレンスに、また看護診断の学習に役立つナース必携の書。

 

入門 看護診断

黒田裕子の入門・看護診断―看護診断を使った看護計画の立て方

 

新人看護師ゆう子が試行錯誤をくり返しながら看護診断を学ぶ過程を、読者も一緒になってたどります。看護過程の流れに沿った解説を、ひとつひとつ確かめながら学んでいけます。NANDA‐I看護診断だけではなく、NIC(看護介入分類)、NOC(看護成果分類)も具体的な事例で学べます。

 

まとめ

看護診断が日本で導入され始めたのは1980年代と最近のことであり、アメリカなど海外においても歴史は古くありません。それゆえ、未だ診断基準が確立されておらず、臨床においては導入の是非が問われています。

 

しかしながら、看護診断は患者のニードを満たし、早期改善・早期治療を行う上で非常に大切な過程であるため、今後その必要性はますます高くなってくるでしょう。

 

複雑で理解するのは困難ですが、看護診断の詳細を理解することで、カルテの作成や読み取りだけでなく、頭の中で論理的に問題への解決策を導き出すことができますので、日本看護診断学会への入会、または参考書籍を活用して、看護診断に関する深い知識を修得しましょう。

Facebookが起こした奇跡!赤ちゃんの時に助けてくれた看護師と再会

$
0
0

看護師と赤ちゃん元記事:http://www.freep.com/story/news/nation/2015/09/29/woman-burned-baby-finds-nurse-who-cared-her/73021434/

 

Facebookで、1977年のニューヨーク州・アルバーニで、火事で負傷した赤ん坊を抱っこしている看護師の写真を投稿したアマンダ・スカピナティ(38)。彼女は、傷ついたとき、いつもこの写真に元気をもらっているといいます。

 

助けてくれた看護師にお礼が言いたい

 

ニューヨーク州・アルバーニ。幼少時にひどいやけどを負ったアマンダは、当時病院で赤ちゃんだった彼女を助けてくれた看護師にお礼をいうチャンスをつかみました。それは、SNSに投稿した、38年前の看護師の写真のおかげでした。

 

アマンダは、若い看護師の腕に抱かれる当時の写真を、宝物のように思っているといいます。この写真は、アルバーニ・メディカルセンターの1977年の年間報告書に匿名で記載されたものでした。写真家のカール・ハワードによるこのモノクロ写真は、まるで名画『聖母子像』のように、人々に力を与えるものでした。

 

当時の火傷のせいでいじめの標的に

 

「成長するにつれて、火事によって身体的に醜くなってしまいました。そのせいで、目をつけられ、いじめられました」と、アマンダはいま、アルバーニから25マイル南にあるアテネに住んでおり、過去を振り返りました。

 

「たとえこの看護師がだれなのかわからなくても、いつもこの写真を見ていつも彼女に語り掛けていました。この看護師の女性を見ているといつも元気がわいてきて、彼女が私を守ってくれるような気がしているのです」(アマンダのFacebook:https://www.facebook.com/HugnKiss77/posts/10206679522682577

 

アマンダは20年前、この看護師を探そうと試みましたが失敗に終わってしまいました。友達に勧められてFacebook上で今月、写真を投稿したときには、「看護師の顔に名前のタグをつけてください」という彼女の願いが叶うとは思ってもいませんでした。

 

投稿から12時間で5,000シェアされ、地元テレビ番組でも取り上げられる

 

「12時間の間に、地域中で5000シェアされました」とアマンダは言います。彼女は今、ある会社の人事部のマネージャーとして働いています。

「しかも、次の朝には地元のテレビニュース番組で取り上げられたのです。私はもうふっ飛んでしまうくらい驚きました」

 

元アルバーニメディカルセンターの看護師のアンジェラ・ライリーは、アマンダにFacebookでメッセージを送りました。「写真の中の看護師は、スーザン・バーガーで、シラキュースに数年前に移りました」と。

 

「写真のように、彼女はとても優しくて面倒見がよいの」とライリーはメッセージに書き残しています。

 

ローカルテレビのリポーターがスーザンを捜索した結果、いまは、ニューヨークのフィンガーレイク地方にあるカゼノビアカレッジのヘルスセンターで監督職についていることが分かりました。

 

38年振りに看護師と再会

 

アマンダは、スーザンと電話で話すことに成功しました。

 

「本当に素晴らしかったわ」とアマンダ。「スーザンはとても丁寧で優しい声をしていて、むかしの私のイメージそのままだったの」

アマンダが火傷で重症を負ったのは生後3か月のときでした。当時赤ちゃんだったアマンダはソファーに寝転がっていましたが、近くに熱い蒸気スチーマがある床に落ちてしまい、蒸気スチーマの上に転がってしまいました。そして、スチームによって火傷を負い、メントールを含んだ軟膏を溶かしてしまいました。その結果、何年間にもわたり、彼女は皮膚の再生手術を受けなければなりませんでした。

 

スーザンは写真当時、大学を卒業したばかりの21歳で、メディカルセンターの小児回復ルームで勤務していました。写真の中で、彼女は長いウェーブヘアーをバレッタで後ろにまとめ、パフスリーブの真っ白なナース服を着ていました。赤ちゃんのアマンダの頭は、ガーゼでしっかり包まれています。

 

「私は彼女のことを覚えています。彼女はとてもおだやかでした。ふつう、赤ちゃんが手術から戻ってくると寝ているか泣いているかのどちらかです。でも、アマンダはとても落ち着いていました。それはすごいことなんです」とスーザンはコメントしています。

一方で、スーザンは、「患者と再会することは恐怖でもあった」と語ります。

 

最後に

 

「私には、どれだけ多くの看護師に、こんなに幸せでラッキーなことが訪れるか分かりません。誰かが、ずっとずっと、看護師のことを覚えてているなんてことが」とスーザンは言います。「私は、何年も患者さんをケアする全ての看護師を代表して、とても名誉なことだと思います」

せん妄に対する予防的看護ケアと夜間せん妄の対応・対処

$
0
0

せん妄の看護

入院患者の多くが発症するせん妄。その発症率は10%~30%と言われており、判断や対応の難しさから軽視してしまいがちです。しかしながら、発症することにより基礎身体疾患へ悪影響を及ぼし、さらに死亡率の増加や入院の長期、医療費の増大など、患者やその家族に多大な負担がのしかかります。

 

それゆえ、看護師はせん妄を未然に防げるよう努めると共に、発症時には適切な対応のもと治癒を促進していかなければいけません。せん妄に関する知識を深めことで、予防・早期発見・早期改善を図ることができますので、当記事を参考に、せん妄に関する確かな知識を習得してください。

 

1、せん妄とは

せん妄とは、病気や薬剤などによって、幻覚・錯覚、注意力・思考力の低下、覚醒などの症状をきたす精神機能の障害で、多くの場合突発的に発生します。

 

せん妄は精神障害に分類されていますが、あらゆるタイプの“混乱状態”を指すことがしばしばあるため、医学用語としての具体的な定義は存在するものの、その実態は厳密ではありません。

 

多くの場合、突発的に発生しますが、これは正常ではなく、深刻な問題が新たに発生した兆候であるという見方もでき、特に高齢者の場合はこの傾向が強いと言えます。それゆえ、治癒に向けた迅速なケアが必要不可欠です。

 

2、せん妄の症状

せん妄の症状は下表のようにさまざまですが、中でも「注意障害」「見当識障害」「知覚障害」を呈する患者が多い傾向にあります。これらの症状は大抵、数日で治まりますが、場合によっては数週間~数か月続くこともあり、一度せん妄を経験したことのある人は高い再発のリスクがあります。

 

注意障害 注意が散漫し会話に集中できない。言葉や行動にまとまりがない
記憶障害 昔のことは覚えているが、さっき話した内容もすぐに忘れてしまう
見当識障害 日時や場所がわからなくなる
知覚障害 幻視(実際には無いものが見える)、

幻聴(実際にしない音が聞こえる)、

錯視(天井のシミが虫に見えるなど実在するものを異なって知覚する)

精神運動障害 興奮、多動、多弁、刺激に反応しない、自発的な言動がない
情動障害 不安、恐怖、怒り、抑うつ、無欲、多幸など
睡眠覚醒周期障害 断眠、不眠、昼夜逆転

 

3、せん妄の診断基準

「ぼんやりする」、「集中ができない」など本人からの訴えがある場合や、「言ってることがおかしい」、「忘れっぽくなっている」、「昼間にウトウトし、夜は寝ていないみたい」など客観的に上記のような症状が発現した際には、せん妄を疑います。

 

しかしながら、せん妄の診断基準は曖昧であるため、不眠症や鬱病、認知症と誤診されやすいのが現状です。なお、米国精神医学会診断基準(DSM-IV)において、以下の全てが該当する場合に「せん妄」と診断されます。

 

①意識障害 ボーっとしていて、周囲の状況を良く分かっていない
②認知機能 認知機能・知覚の異常、見当識障害、幻覚、妄想など
③日内変動 一日の中で症状にムラがある、夜間に悪化する
④原因の存在 原因となる薬物、あるいは身体要因が存在する

 

3-1、せん妄と認知症の違い

上記で述べたように、せん妄と認知症は誤診されやすく、特に高齢者でせん妄症状が持続している場合には、認知症と診断されることが多々あります。せん妄と認知症の症状は似ているものの、5つの点において決定的に違いが存在するため、誤診しないよう、または誤診された後に早期発見できるよう、せん妄と認知症の相違点をしっかり理解しておきましょう。

 

せん妄 認知症
意識 障害されている(意識混濁) おおむね正常
発症の仕方 急激(数時間~数日)

発症日が明確である

潜在的(数か月~数年)

発症日を特定できない

経過 一過性 持続性
症状の動揺性 あり 目立たない
精神症状 興奮・幻視など多彩に認められ、変動することが多い 記憶障害や見当識障害が主であり、精神症状が出現することもあるが持続的であることが多い

 

4、せん妄の原因

せん妄の原因は多岐に渡り、病気や薬剤だけでなく環境の変化や心理的不安、さらには加齢によって起こることもあります。

 

≪直接因子≫

身体的要因

中核神経疾患

頭部外傷、脳血管障害、けいれん発作、変性疾患

内分泌・代謝性障害

貧血、脱水、低酸素症、電解質異常、低血糖、腎不全、高血糖肝不全、ビタミンB1欠乏症、甲状腺・副甲状腺疾患

循環・呼吸器系疾患

不整脈、心筋梗塞、うっ血性心不全、呼吸不全、肺塞栓、ショック

他の疾患/状態

悪性腫瘍、重症外傷、手術侵襲、アルコール離脱、感染症、低体温、高体温

薬物

ベンゾジアゼピン系(抗不安薬、睡眠導入薬)、抗パーキンソン病薬(抗コリン作用薬・ドーパミン作動薬)、三環系抗うつ薬、抗ヒスタミン薬、非ステロイド性抗炎症剤、抗生物質、抗がん剤、H2ブロッカー(シメチジン)など

≪誘発因子≫

促進要因

環境の変化

不慣れな環境、緊急入院、見慣れない人の存在、家族などいつもそばにいる人の不在

感覚過剰・遮断

騒音、過剰な照明、視覚・聴覚障害、日時が確認できない状態、眼鏡・補聴器などの補助具未装着

不動・身体拘束

身体拘束(抑制帯の使用など)、安静、点滴、胃管、酸素マスク、ドレーンなど管類の挿入、心電図モニターなどの装着

疼痛

コントロールされていない疼痛

排泄に関する問題

便秘、頻尿、失禁、普段と異なる排泄方法(膀胱留置カテーテル、おむつ、ポータブルトイレなど)

睡眠障害

不眠、コントロールされていない眠剤投与

心理的ストレス

不安、気がかりな出来事、喪失体験

 

せん妄を引き起こす主な薬剤

せん妄の多くは病気が障害の治療に用いられる薬剤によって引き起こされます。せん妄を引き起こす薬剤は多岐に渡るため、どのような薬剤がせん妄の原因となっているのか知っておきましょう。

 

抗不整脈薬 キニジン、ジソピラミド(リスモダン)、プロカインアミド(アミサリン)、メキシレチン(メキシチール)、リドカイン(キシロカイン)など
抗生剤 アミノグリコシド系、アムホテリシン(ファンギゾン)、イソニアジド、クロラムフェニコール、スルホンアミド、セフェム系、チカルシリン(チカルペニン)、テトラサイクリン系、バンコマイシン、メトロニダゾール(フラジール)、リファンピシンなど
抗コリン作用を持つ薬物 アトロピン、抗精神病薬(コントミン)、抗パーキンソン病薬(アキネトン、アーテン)、抗ヒスタミン薬(アタラックスP)、三環系抗うつ薬、フェノチアジン系、点眼薬、点鼻薬など
抗けいれん薬 フェニトイン(アレビアチン)など
降圧剤 カプトプリル(カプトリル)、クロニジン(カタプレス)、メチルドパ(アルドメット)、レセルピン(アポプロン)など
抗ウイルス剤 アシクロビル(ゾビラックス)、インターフェロン、ガンシクロビル(デノシン)など
バルビツール酸系 チオペンタール、フェノバルビタールなど
β遮断薬 チモロール(プロカドレン)、プロプラノロール(インデラル)など
H2拮抗薬 シメチジン(タガメット)、ファモチジン(ガスター)、ラニチジン(ザンタック)など
ジギタリス製剤 ジスルフィラム(ノックビン)
ドパミン作動薬(中枢神経系) アマンタジン(シンメトリル)、ブロモクリプチン(パーロデル)、レボドパ(ドパストン)など
GABA作動薬 バクロフェン(ギャバロン)、ベンゾジアゼピン系など
免疫抑制剤 シタラビン(キロサイド)、ダカルバジン、タモキシフェン(ノルバデックス)、プロカルバジン(ナツラン)、ビンクリスチン(オンコビン)、ビンブラスチン(エクザール)、フルオロウラシル(5-FU)、メトトレキサート(メトトレキセート)、L-アスパラギナーゼ(ロイナーゼ)など
MAO阻害剤 イソニアジド、プロカルバジンなど
麻薬系鎮痛剤など イブプロフェン(ブルフェン)、インドメタシン(インダシン)、スリンダク(クリノリル)、ナプロキセン(ナイキサン)など
交感神経刺激薬、覚醒剤 アミノフィリン(ネオフィリン)、エフェドリン、コカイン、テオフィリン、フェニレフリン(ネオシネジン)など
その他 エルゴタミン製剤、ステロイド製剤、リチウム、ACTH

 

5、せん妄の治療

せん妄は二次的に発生する精神障害であり、確実に治せる確立した治療法は未だ存在していません。しかしながら、ほとんどの場合、原因を取り除くことで改善を図ることができます。せん妄の発症期間はおおよそ1週間~2か月と短期的であるため軽視されがちですが、患者の負担は多大であるため、以下のような対策をとり、早期改善を図ってください。

 

①誘因となる薬剤の中止

せん妄の多くは使用薬剤により発症し、誘因となる薬剤は実にさまざまです。まずは、使用薬剤の中止を検討します。しかしながら、治療上どうしても中止することができない場合は、せん妄の発症率の低い同種の薬剤に切り替えるなど対策をとる必要があります。なお、根本的な治療ではないものの、せん妄の症状緩和を目的として鎮静薬を用いる場合もあります。

 

②身体疾患における症状の軽減

特に高齢者においては、現在患っている病気の症状、たとえば発熱や下痢などから脱水を起こすことがあります。脱水はせん妄の誘発因子であるため、脱水にならないようにすることで予防・改善を図ることができます。その他、貧血や低栄養状態化でもせん妄が起こる場合があります。ゆえに、体調管理を徹底することが重要となります。

 

③環境の改善・QOLの向上

入院や転居など異なる環境下での生活で多大なストレスがかかり、このストレスによりせん妄が引き起こされることがあります。そのため、“安心できる環境”を作ることが大切です。たとえば、適度な刺激を与え五感を刺激する、ラジオを聞かせる、カレンダーなど見慣れたものを身近に置く、などです。また、話をすることで精神的な安楽を確保することができるため、コミュニケーションも非常に重要です。これら環境の改善によりQOLが向上され、せん妄のみならずその他の精神障害や、身体疾患の治癒にも効果があります。

 

④睡眠・覚醒リズムの改善

せん妄の多くは日中に消退し夕方から夜間にかけて好発します。そのため、昼夜逆転してしまい、睡眠・覚醒のリズムに障害が起こります。この場合、一般的にはせん妄の発症リスクの少ない睡眠導入剤または精神安定剤をもって睡眠・覚醒リズムの是正することで、せん妄の症状が軽減されることが多々あります。

 

6、せん妄の予防的看護ケア

せん妄は偶発的障害ではなく、必ず何かしらの原因が存在します。特に病気や手術後に発生するせん妄(術後せん妄)は防ぎようがないと言っても過言ではありません。

 

しかしながら、環境的・心理的要因または生理的要因によって起こるせん妄は予防することができます。以下に予防的看護のポイントをご紹介します。なお、各項目はせん妄発生時の治療的ケアにも通じています。

 

■観察

①病気に対して多大な不安を感じていないか

②疼痛・呼吸困難感・口渇など不快な症状はないか

③水分・電解質バランスが保たれているか

④排便・排尿の量・回数に問題はないか

⑤早期発見のために患者の行動や生活習慣を理解しておく

 

■環境の調整

①家族やペットの写真を飾る

②愛用品や身近な物を目のつくところに置く

③見当識を整えるために目につくところに時計やカレンダーを置く

④転室を極力避け、同じ病室で入院生活を送るようにする

⑤家族や友人の面会回数・面会時間を増やす(可能であれば)

⑥朝に早めにカーテンを開け、太陽光を取り入れる

⑦窓からの景色が見られるようベッドの配置を調節する

⑧不安感を抑えるために消灯後は豆電球などで適度な暗さを保つ

⑨アラーム音や話し声、ドアの開閉音など不快な騒音を減らす

⑨頻繁に担当看護師を変えず、馴染みの関係を構築する

⑩眼鏡・補聴器・義歯などを使用して感覚器の障害を補う

⑪プライバシーが保護されるよう配慮する

⑫身体的拘束を最小限に抑える

 

■コミュニケーション

①明確で分かりやすく話し、混乱させないようにする

②安心に繋がる態度・表情・声で接する

③質問の繰り返しや記憶の回帰などを避ける

④言動を否定しない

 

生活習慣の調整

①夜間の睡眠を阻害しないよう看護処置のタイミングを調整する

②可能であれば日中に運動や活動を取り入れる

③マッサージなどにより緊張の緩和、身体的リラックスを図る

 

7、夜間せん妄に対する対応

せん妄は夕方から夜間にかけて症状が出現する、または激しくなる傾向にあり、これを「夜間せん妄」と言います。この原因の1つに睡眠障害があり、昼夜が逆転することで夜間に興奮状態に陥り、不安感や寂しさから人を呼ぶ(叫ぶ)、暴れる、錯覚や幻覚による徘徊などの行動をとります。

 

この時、患者は興奮状態を呈していますが、心情・精神における状態は不安感で一杯です。自分がどこにいるのか分からない、周囲の状況が分からない、幻覚や妄想などにより不安感が高まり、奇声や徘徊などの行動をとります。

 

それゆえ、看護師は毅然とした対応をもって患者を安心させることが大切です。「静かにしなさい」、「早く部屋に戻りなさい」というように叱ることは逆効果で患者の不安感をより一層募らせてしまうため、必ず患者の精神状態を理解した上で優しく対応するようにしてください。

 

患者によって安心できる環境は異なりますが、「①安心に繋がる態度・表情・声で優しく傾聴する」、「②病室の電気をつけて少し明るくする」、「③背中や足をさすってあげる」、「④ぬいぐるみを抱かせる」など、不安感を軽減できるよう努めてください。

 

8、せん妄における安全確保

せん妄において、直接的な看護ケアは非常に大切であるものの、安全確保も忘れてはいけません。せん妄発生時には点滴ルートの抜去や転倒・転落などの事故の危険性があり、看護を行う上で事故は未然に防がなければいけません。以下に挙げるポイントをしっかり抑え、事故防止につなげてください。

 

①点滴ルート・点滴時間の工夫

ルートを首から通して見えなくする、点滴を視界に入れないなどの工夫のほか、可能であればせん妄症状が出現しない時間帯に点滴を終わらせましょう。

 

②障害物や危険物(ナイフ・ハサミなど)の除去

転倒・転落防止のためベッド上・ベッド下、床などに障害物がない状態を保ち、自傷・他傷行為を防ぐために室内にナイフやハサミといった鋭利な物を置かない、または目の届かないところに置くようにしましょう。

 

③離床センサーの設置

離床センサーを設置することで、徘徊時に早急な対応ができるほか、転倒予防にも効果的です。

 

まとめ

入院患者の10%~30%もの高い発症率があり、さらに再発リスクも高いため、軽く考えられているのが現状です。しかし、せん妄は患者やその家族に身体的・精神的な負担が大きくのしかかり、患者の基礎身体疾患への治癒を遅らせてしまいます。

 

せん妄患者に対する看護や対応の仕方は容易ではありませんが、せん妄に関する知識と患者の心情に対する理解があれば、どのように対応すれば良いのか自ずと見えてきます。一過性で発症率の高い精神障害だからと言って軽視するのではなく、確かな知識・理解をもって、せん妄ケアに努めていってください。

ターミナル期における看護・介護ケアとプラン作成のポイント

$
0
0

ターミナルケアの看護

ターミナルケアは1950年代にアメリカやイギリスで提唱された考えで、今日まで死を目前に迎える患者に対するQOL向上のための全人的なケアとして行われています。

 

人が死に向かってゆく過程を理解すること、全人的なアプローチのもと包括的にケアを提供すること、その人らしい人生を送れるようサポートすることが、死を目前に迎える患者に対するケアであり、質の高いケアを提供するためには、死やターミナルケアの概念を詳しく知っておかなければいけません。

 

ここでは、質の高いターミナルケアを提供するために必要な情報を詳しく記載していますので、どうすればQOLを向上させられるのか、どうすればその人らしい人生へのサポートができるのか、分からない方は最後までしっかりお読みください。

 

1、ターミナルケアとは

ターミナルケアとは「終末期」のことを言い、進行した末期のがん患者や、そのほか臓器の不全などにより、余命約6か月以内の患者に対するケアのことです。

 

回復不可能なことから疾患に対する直接的な治療や延命は行わず、症状や痛みを緩和させるとともに、安らかに死を迎えられるよう環境整備や心のケアなど、さまざまな看護ケアを行いQOLの向上を図るのがターミナルケアの目的です。

 

しかしながら、ひとえにQOLの向上と言っても、単なるルーティーンワークでは適切な看護とは言えません。それゆえ、死に対する深い知識と理解を持っておく必要があります。

 

2、死をどのように受け止めるか

ターミナルケアを受ける患者のほとんどは、予後不良として「余命宣告」を受けており、この段階において、死に対する不安や恐怖から精神不安定な状態に陥ります。

 

アメリカの精神科医であるエリザベス・キューブラー=ロスが1969年に、死に直面する人々の心理状態を表す5つのプロセス(著作:「死ぬ瞬間」より)を提唱し、これは現在でも参考になる死の受容プロセスとして活用されています。

 

ターミナルケアを適切に行うためには、患者の心理状態を理解しておく必要があるため、エリザベス・キューブラー=ロスが提唱した5つの心理プロセスを知っておいてください。

 死ぬ瞬間

参考文献:『死ぬ瞬間』 エリザベス・キューブラー=ロス/著

 

上図のように、死を宣告された後の患者の心理状態は、第一段階に「否認」、第二段階に「怒り」、第三段階に「取り引き」、第四段階に「抑うつ」、第五段階に「受容」というように、宣告から死までに5つのプロセスを辿ります。

 

・第一段階:否認

「何かの間違いだ」、「自分が死ぬなんてありえない」など、自己防衛の心理が働き、現実を受け入れられず、死の運命の事実に対して拒否し否定します。

 

・第二段階:怒り

死の運命に対して認めざるを得ない事実であることが分かっているため、否認と是認が頭の中を駆け巡り、次第に「怒り」、「憤り」、「羨望」、「恨み」などの感情が現れます。「なぜ自分がこんな目に合うんだ」、「なぜ自分が死ななければいけないのか」など、あらゆることに対して怒りが向けられます。

 

・第三段階:取り引き

十分な「怒り」を体験した後、怒りを向けてもどうにもならないことに気づき、「長年会ってない娘に会うまでは死ねない」、「善い行いをするから助けて欲しい」など、自分の中の神と条件交渉や取り引きを行い、死への回避の可能性を探します。

 

・第四段階:抑うつ

条件を提示しても死を避けられないことが分かると、必ず死ぬという事実を認め、「抑うつ」へ移行します。死ぬことに対する不安・恐怖、残される家族への不安、経済的重圧など、さまざまなことが頭の中を駆け巡り、大きな喪失感に苛まれます。

 

・第五段階:受容

抑うつ状態を経た後、自分は死ぬしかないという事実を完全に認め、来たるべき自分の終焉を静かに見つめることのできる受容の段階に入ります。全てを受け入れることで、平穏な気持ちになることが多いものの、死の事実を受け止めきれず、「抑うつ」の状態が続くこともあります。

 

このように、死に直面すると「否定」「怒り」「取り引き」「抑うつ」「受容」の5つのプロセスを辿りますが、中でも負担が大きく精神的に不安定な状態になるのは第二段階~第四段階の「怒り」「取り引き」「抑うつ」です。それゆえ、この段階においては特に慎重な対応が必要になります。

 

3、ターミナルケアの看護・介護項目

ターミナルケアは患者のQOLを高めることが最重要課題であり、そのためには「身体的ケア」、「精神的ケア」、「社会的ケア」、「霊的ケア」の4つのケアを包括的に実施する必要があります。

 

身体的ケア ①身体的苦痛の軽減、②身体症状へのケア、③清潔で美しい身体へのケア、④日常生活動作へのケア
精神的ケア ①精神的苦痛の軽減、②不安・恐れ・苛立ち・怒り・うつなど感情に対するケア、③平穏な日々へのケア
社会的ケア ①社会的苦痛の軽減、②家族の中の役割喪失の防止のケア、③家族などとの関係性へのケア
霊的ケア ①霊的苦痛の軽減、②自分の人生の意味づけや満足感へのケア、③死の受容に対する心のケア

 

「身体的・精神的ケア」を行うことで“QOL”を向上させることができ、さらに「社会的・霊的ケア」を行うことで“その人らしい人生”を獲得することができます。

 

3-1、身体的ケア

身体的ケアは主に“苦痛”と“症状”を緩和させることが主となります。患者が抱える苦痛には「痛み」「悪心」「嘔吐」「食欲不振」「便秘」「呼吸困難」「不眠」などがあり、さらに寝たきりによる「褥瘡」や、免疫力の低下に伴う「感染」「出血」、そのほか「脱水・栄養不足」など、さまざまな症状の緩和を図ります。

 

また、常に清潔な状態に保つことや、食事・更衣・移動・排泄・整容・入浴など生活を営む上で不可欠となる日常的な動作を援助することも忘れてはなりません。

 

身体的苦痛の軽減

痛み・悪心・不眠などによる苦痛には、薬物を用いて緩和を図っていきます。痛みに対しては、①飲み薬を基本とする、②時間ごとに服用し、痛みが出ないようにする、③最初は弱い薬から始め、効き方によって強い薬に移行する、④個人の特性に合わせて使い方を工夫する、⑤使用には最新の注意を払う、というWHOが提唱する5つの原則に従い実施します。

 

身体症状へのケア

褥瘡・感染・出血などの症状においても、基本的には薬物を使用して痛みや不快に対する緩和を図ります。しかしながら、各症状が進行することで痛みが強くなるなど症状が増悪するため、増悪させない一時的治療を行うこともあります。特に褥瘡の発症率が極めて高いため、ターミナルケアを行う看護師・介護師は、褥瘡ケアについて習熟しておかなければいけません。

 

清潔で美しい身体へのケア

身体を清潔に保つことで精神的な安楽を図れるほか、感染予防にもなります。ゆえに、十分かつ適切に身体全体を清拭してください。また、身だしなみを整えることも非常に大切です。体毛の処理や化粧など、希望があれば美容に関する援助も行います。

 

日常生活動作へのケア

食事・更衣・移動・排泄・入浴など、日常に不可欠な動作への援助・介助も重要です。これらの動作が上手くいかないと、精神的な負担がのしかかり、QOLを低下させてしまうため、積極的に援助・介助を行ってください。

 

3-2、精神的ケア

ターミナル患者は、「不安」「苛立ち」「抑うつ」「諦め」「疑い」といった感情・心理が働きます。「2、死をどのように受け止めるか」で述べたように、死に至るまでに「否認」→「怒り」→「取り引き」→「抑うつ」→「受容」の5つのプロセスを辿ることも踏まえて、精神的苦痛の緩和や感情コントロール、さらには平穏な日々が送れるようコミュニケーションを図るなど、さまざまなケアを行っていきます。

 

精神的苦痛の軽減

死に対する不安や恐怖、環境の変化に伴うストレスなど、ターミナル患者は多大な精神的苦痛を感じます。これを軽減するためには、まずリラックスできる環境を整備することが第一となります。自宅にあるものを身近に置く、好きな音楽をかけるなど、普段とあまり変わらないような落ち着いた環境を作ってあげましょう。

 

感情に対するケア

ターミナル患者は、精神不安定な状態に陥り、さまざまな感情が出現します。中でも多いのが「苛立ち」であり、日常生活動作困難による苛立ち、死に対する不安や恐怖からくる苛立ち、処置や看護の不十分な展開による苛立ちなど、その要因はさまざまです。感情に対する適切なケアを行うためには、まずは要因を知り、背景をしっかり理解した上で傾聴してあげることが大切です。

 

平穏な日々へのケア

多くのターミナル患者が生活に対して、また死に対して「孤独」を感じています。誰でも一人の時間が長くなれば考え込む時間が多くなり、気分が低下していき、これはターミナル患者においても同様です。理解的態度で積極的にコミュニケーションを図りましょう。ただし、患者の気持ちに焦点をあて、安易な励ましはしないよう心掛けてください。

 

3-3、社会的ケア

社会的ケアとは、「仕事上の問題」「経済上の問題」「家庭内の問題」「人間関係」「遺産相続」など、患者本人や周りの人たち(社会)において様々な問題を援助することです。特に40代~60代の患者は、家族においても社会においても中心的な役割を果たしているため、大きな社会的負担がのしかかります。

 

社会的苦痛の軽減

金銭的負担が大きく家族を養うことができない、入院費を捻出できないといった場合に、入院から在宅に切り替えるのも苦痛軽減の1つです。実際、患者が抱える社会的問題は看護師・介護師が容易に踏み込めない問題であるものの、要望があれば可能な限り応えるよう尽力してください。

 

家族の中の役割喪失の防止のケア

入院すること、死することに対して、支えられる身となったことで家族の中での役割の喪失を感じることがあります。これも介入することは非常に困難で、かなりのスキルを要しますが、まずは役割喪失における精神的負担について理解し、傾聴してあげる、または気軽に話ができる関係を構築していくことから始めましょう。

 

家族などとの関係性へのケア

家族間の関係性が悪くなることもしばしばあり、この状況下に陥ると患者のQOL低下を招いてしまいます。これもやはり介入するのは困難ですが、看護師・介護師など職員が間に入ることによって改善されることが多々あります。しかしながら、深入りしすぎないよう注意し、面会時間を最大限確保すること、誤解を招かないよう入院や死することに対して家族にも詳しく説明し理解を得ることから始めてください。

 

3-4、霊的ケア

霊的ケアとは、いわゆる葛藤や自問といった精神の叫びによる苦痛を緩和するケアのことです。「私の人生の意味は何であったのだろう」、「なぜ私がこのような病気になるのだ」、「許し、許されるとはどういうことか」、「死んだ人はどこに行くのか」、「残りの人生に価値はあるのか」、「私は何か悪いことをしたのか」など、さまざまな叫びによる苦痛が出現することがあります。

 

これら霊的苦痛の軽減には、まず真剣な態度で傾聴することが第一です。「早く死にたい」といった叫びに対して、「でも…」「しかし…」など否定的に話始めるのではなく、なぜそのように感じるのか、聞くことが大切です。

 

多くの場合、「早く死んでしまいたいほど苦しんでいる自分」を理解してもらいたいという気持ちが強いため、寄り添いながら真剣な態度で傾聴してあげましょう。

 

4、ケアプランの作成

ターミナルケアのプランを作成する際、患者の状態に応じた臨機応変さが重要となってきます。いかに患者の心身の状態を的確に観察するかがポイントとなってくるため、入念に観察しQOLを最大限に向上できるよう努めてください。

 

プラン作成におけるポイント

ステージⅠ

(宣告時~)

①ターミナル期を迎える場所に対する意向確認

②生きる意欲に対するアプローチ・役割作り・ふれあいの場作り

③身体的苦痛・心理的不安の除去

④患者家族との綿密な連携(家族の不安・緊張感を軽減)

⑤状況に応じた基本的な生活の確保と細やかな援助

⑥各医療機関との綿密な連携

⑦他の利用者へのアプローチ

ステージⅡ

(危篤時~)

①寄り添うコミュニケーション

②残された時間を良質なものにするための生活援助

③身体的苦痛・心理的不安の除去

④死の迎い入れに対する敬虔な気持ち・態度などの心構え

⑤安らかな死の誘いの為の環境づくり

⑥家族の看取りの環境づくり

⑦臨終過程の状態把握

ステージⅢ

(死後)

①死直後の儀式への介入

②家族へのアプローチ

③湯かん(遺体を清める)

④葬儀に関する手続きの助言・支援

⑤故人との別れ

 

苦痛へのケア

病的苦痛 病的苦痛に対しては、主にモルヒネなどの鎮痛薬を使用して対処します。しかしながら、効果の限界や副作用があるため、これらを十分に理解した上で使用し、投与後は適宜、細やかな観察が必要不可欠です。
身体的苦痛 寝たきり・安静保持におけるケアは以下の通りです。

・手をさする、指圧、マッサージを行う

・頻回な体位交換、クッションなどを利用した安楽な体位の援助

・呼吸困難に上半身を上げるなど適切な体位を確保する

・手足の冷感に対しては保温に留意する

精神的苦痛 不安や恐怖などに対するケアは以下の通りです。

・患者の言葉を親身になって真剣に傾聴する

・頻回に訪室し、寄り添う看護を実施する

・優しい言葉遣い・まなざしで対応する

・手を振るなどスキンシップによる非言語的コミュニケーション

 

日常生活へのケア

食事管理 ・食欲不振・嚥下困難に対しては無理に介助せず回数に分けてすこしずつ介助を行う

・ゼリーやプリンなど口当たりの良いものや好物を積極的にメニューに加える

・食物は細かく刻むなど嚥下しやすい形にする

・少しでも栄養価の高いものを選択する(患者の好みに合うもの)

・上体を上げ、嚥下状態を確認しながら時間をかけて介助する

・水分摂取時にむせる場合はゼリーなどを利用し、頻回に介助する

排泄管理 ・患者の意志を尊重し、トイレへの誘導・自律排泄を促す

・オムツ交換は可能な限り2人で介助し、清拭・洗浄を手早く行う

・排泄物を観察する(尿量・混濁等チェック、性状等)

・汚物はすぐに片付け悪臭の除去に努める

清潔・安楽管理 ≪身体≫

・更衣は負担のかからないよう2人で手早く介助する

・発汗がみられる場合は都度清拭・更衣を行う

(ただし、頻回による更衣が負担になる場合は臨機応変に対応すること)

・自歯がある場合は歯ブラシを使用し口腔内の清潔保持に努める

・自歯がない場合はガーゼなどで拭き取る

・唇の乾燥が強い場合は食後にリップクリームを使用する

・負担がかからなければ洗面所にて顔の洗浄・洗髪の介助を行う

・眼脂は都度ガーゼなどで拭き取り、状況に応じて点眼処置を行う

≪環境≫

・患者が落ち着いてゆっくり過ごせるよう原則、個室を確保する

・寝具は常時シワやゴミの除去に努める

・室温は日中18~25度、夜間は13~17度に保つ

・湿度は常時60%程度を保つ

・朝・排泄後・清掃中は積極的に換気を行う

・適度な明るさを保ち、朝・夜の区別がつくよう明度を調節する

・騒音(話し声・物音など)の予防に努める

・心地よく過ごせるようベッド周辺の整理整頓を行う

・家族やペットの写真など安心感が持てる物を身近に配置する

 

これらの各ポイントをもとに、患者の状態に応じてプランを作成していきます。プランは原則として「長期目標」と「短期目標」を立て、QOLを最大限に向上できるよう、改善すべきことを看護問題として捉え、「ケアの実施→見直し→修正→ケアの実施」という手順を繰り返していきます。

 

5、その人らしい人生のために

ターミナル期のケアにおいて、苦痛に対する緩和ケアも当然重要ですが、その人らしい人生を送れるようサポートすることが最も重要であるということを忘れないでください。死を間近にして何を想い何を考えるのかは患者によってさまざまです。

 

医療関係者としての立場上、痛みを避けるために、家族の意向を考慮し死期を少しでも延ばすために、はたまた他の患者に迷惑をかけないように、患者の行動を制限することが多々ありますが、果たしてそれが真に患者の“ため”になることなのでしょうか。

 

ターミナル患者にとって最良となる看護、それは可能な限り願望を叶えてあげることです。そうするためには医療チームとしての体制整備、患者・家族間の意志の一致が不可欠であり、看護職員は各方面との連携を図るとともに、患者・家族の想いや考えをしっかりと把握しておかなければいけません。

 

その人らしく生きられるよう、患者の価値観を最大限に尊重し、尊厳に配慮し、寄り添う看護を提供していってください。

 

まとめ

死を目前に迎える人の心理は非常に複雑で、こればかりは経験しないことには完全に理解することはできません。それが、ターミナルケアが難しいと言われる所以です。しかしながら、完全に理解できなくても、患者一人一人が何を想い何を考えているか、何がしたいか、ということはコミュニケーションを図ることで自ずと見えてきます。

 

また、ターミナル期におけるQOLは「痛みや苦しみのない生」という認識を持っている方が多いのが現状ですが、苦痛を軽減したからといって患者の余生を充実なものにできるとは限りません。

 

確かに、さまざまな苦痛を軽減することで実質的にQOLを向上させることはできますが、ターミナルケアの本質は、「その人らしい生」のために尽くすということなのではないでしょうか。

 

まずは、患者のことを詳しく知ることから始め、患者にとって安心のできる人物になれるよう真剣な態度で親身になって対話し、可能な限り要望に応え、1日1日が充実したものになるよう全人的にサポートしてあげてください。

ナラティブ看護の考え方、ポイントになることは

$
0
0

ナラティブ看護

ナラティブという言葉を聞いたことがありますか。今、医療現場ではこのナラティブを用いて看護を振り返ることが行われています。キャリア開発ラダーを進めていくうえで、看護をどのように考えているか、大変重要な指標となります。

ナラティブを導入している病院では、「ナラティブで書いてください。」と言うでしょう。文章が得意な方やシナリオを順序立てて、書ける方も中にはいると思います。しかし多くの看護師は「どのように書いていいのかわからない。」・「ナラティブに書けているか心配。」・「具体的な例がないとわからない。」という声が多いのが現状です。

 

当ページでは、

・そもそもナラティブとは何なのか?

・メリットは何なのか?

・看護にどう活かすのか?

・具体的な書き方やポイントは何か?

 

これらについて記載し、ナラティブを理解し看護の質を高める一つの材料として、参考にしていただければと思います。

 

1. ナラティブとは

臨床での出来事やその場面を一人称の物語風に記述したものをいいます。つまり、普段の看護実践での出来事を、自分の言葉を用いて、「私」を使って会話スタイルで書き表していくことです。ケーススタディと混同しやすいですが、ナラティブは物語風に書くということを意識していきます。

ケーススタディと決定的な違いは、ナラティブに記述することによって、あなたの普段行っている看護実践の内容が見えやすくなります。また物語風に臨床での出来事や場面を記述していくことは、あなたが実践で大切にしている看護観が反映されていきます。

 

2. ナラティブを看護としての書き方

実際にどのように書くか、ストーリーを選んで書いていく形になります。

具体的なストーリーの選び方は下記を参考にしてください。

 

  • 普段行っている看護実践の中で、印象に残っている出来事
  • あなたが満足感を感じた出来事
  • あなたが何か新しいことを学んだ出来事
  • あなたにとって特別な意味を持つ出来事
  • 患者様との関わりの中で、あなたが一役を演じた状況
  • あなたの介入によって、患者様とのアウトカム(こうなってもらいたい状態)が変化した状況

 

これらのストーリーをまずは、頭の中で思いだしてみます。

 

2-2.どのような看護情報を書いたらよいか

上記のストーリーを選んだ後に重要なのは、情報をどのようにまとめるかです。事例を読む人は、あなたの普段の看護や仕事上の役割を知りません。また、記述した領域のケア全般について精通していないかも知れません。つまり、読んでいる人が、あなたの選んだ出来事や場面を心に思い浮かべることができ、ストーリーの流れを理解できるように、詳しく記載していく必要があります。

 

では実際にどのような情報が含まれていると、望ましいのかを下記に挙げます。

  • その出来事はどこで起きたのか
  • その出来事が起きたときの時間、または勤務帯(日勤や深夜など)
  • その時の職場の状況(多忙など)
  • その出来事や場面の中で、あなたが感じたことや考えたこと
  • あなたが決断したことや行動したこと
  • 対象者がどのような反応をしたか
  • 出来事の後に、あなたが感じたことや考えたこと
  • 対象者や家族、医療チームメンバーとあなたが持った、重要だと思われる会話について
  • なぜ、この出来事や場面があなたにとって、重要なのかについて

 

これらの情報を書き、詳細に記述していくことが、ナラティブに文章を書いていくことになります。

 

2-3.どのように書けばよいのか

ナラティブに書くということは、ただ事例を書くのではなく、「自分の言葉で、会話的なスタイルを用いて、出来事を詳細に書く」ということになります。状況を省略あるいは要約は推奨しません。現実に起こったことが伝わらないような雑な表現は極力避けたほうが良いでしょう。ここが重要で、あなたが何を見て、何を感じて、何を考えて、どう行動をしたのか、どう結果として起きたか、これらを省略せずに詳細に書いていくことが大切になります。

 

3.ナラティブを書くのは難しいか

ナラティブのように書くことに対して、下記のように考えてしまう傾向があります。

  • ナラティブは、小説家のような人でないと書けない
  • ナラティブとは、普通の人が体験できないような出来事である
  • 長編でなければならない

 

また様々な不安や疑問が出てきます。

  • 上手く表現できなかったらどうしよう
  • 上手くいかなかった看護についても記述してよいのか

 

ナラティブを書く際に、誰もが思うことでしょう。ナラティブに書くことは、その人の看護実践内容や看護観を反映することにつながります。したがって、優れた人にしか書けないという事は、ありません。

また、看護実践での成功事例だけではなく、上手くいかなかった看護事例の中にも、あなたにとって良い意味のある出来事があることでしょう。

 

ナラティブに書くことは、難しいと感じますが、まずは書くことから始めてみましょう。書き始めると、会話口調で文章が進むので、スラスラ記述できることもあります。

 

4.ナラティブアプローチの意味

ナラティブアプローチという言葉を聞いたことがありますか。

生活の場の様々な場面で私たちは物語を育んでいます。人の行動を理由づけて説明するのに、私たちは無意識に物語を進めています。心のなかでも私たちは常に物語を作っています。何かの出来事を思い出すときや、さらにそれを誰かに語るときは、いくつかの場面を組み合わせていきます。そして、何かの繋がりがあったものとして筋書きをつけていきます。日々出会う多種多様なことを誰かに話すときに、相手にわかるようおもしろく話しますよね。必ず語り手の強調したい点、聴き手に伝えたい出来事が選ばれ物語が作られていきます。

 

大切なのは、話を自分のことのように楽しむこと、聞いてくれる誰かがそばにいることになります。それによって、物語はさらに生き生きとしていきます。聞き手も相手の物語づくりに参加しているのです。

つまりナラティブアプローチとは、生きている人を内側から描く、もう一つの人間理解へと挑戦することとなります。

 

5.ナラティブ事例を書く前に

私たち看護師は、学生の頃よりケース発表を行ってきました。事例発表となると、

ケースの紹介→家族背景→看護問題→看護介入→結果という項目などに、系統立てて書いてきました。

しかし、ナラティブ事例になるので、友達と話しているかのようにどんどん書いてみるようにしてみましょう。一見メリットがないように感じるかもしれませんが、でもやってみてください。ケース発表とは違う、あなたが大切にしている何かが見えてくる可能性が十分にあります。

なぜ、その出来事が心に残っているのか、分かっているようで分かっていなかったことなど、話し口調で書いていると不思議と理解できることがあります。

 

5-1.ナラティブ事例

では、実際に私が過去に書いたナラティブを参考にしていただければと思います。

 

ナラティブ事例

 

症候性てんかんで入院をしていたN・Tさん67歳、女性についてふり返りをしたいと思います。6西病棟に転棟時には、意志疎通は難しい状態で体動が強いため、体幹抑制で様子を見ていました。体重が29kg前後しかなく、とても細い方で体幹抑制からすり抜けてベッドから転落したことがありました。また皮膚にも発赤などがみられていました。転落したことを受けて、抑制カンファレンスをチームで行い、経管栄養時にはMa自己抜去の危険性があるため両手の抑制は必要ではあるが、身長が124cmぐらいしかなく、小児用のサークルベッドが良いのではないかと話し合いがされました。小児用のサークルベッドに変更してから数ヶ月、皮膚は改善し転落などの大きな危険もなく経過していきました。その後、医師の薬剤調整により意識レベルの改善がされ、徐々に意思疎通がとれるようになりました。経口摂取も可能になり、Maも抜去となったため抑制フリーにもなりました。リハビリも進んだある日、日中で小児用サークルベッドから降りて床に患者がいるという報告を受けました。患者に確認すると、「サークルに捕まりながら降りた」と話していました。明らかに転落をした形跡はありませんでしたが、ADLが拡大し、小児用サークルベッドは一般的に使用するベッドより高さがあるため、転落をした場合は骨折などの危険性が高いと感じました。その日の看護スタッフ間でカンファレンスを行い、元のベッドに戻すことも考えましたが、皮膚トラブルにつながることや抑制のストレスを考え、ゴザの上に布団を引いて様子を見てみるのはどうかと話しが出ました。これならば、ベッドから転落する危険もなく、体幹抑制も使用せずに離床センサーのみで経過を見られるという話し合いの結果になりました。その後、退院まで離床センサーのみで大きなトラブルはなく、表情よく過ごされているようでした。

今回の事例を通して感じたことは、各々の患者に対して抑制カンファレンスをチームで行っていくことの大切さを感じました。チームで検討しなければ、安全を第一に考え抑制強化だけをしていたかもしれません。抑制は、患者に大きなストレスがかかる事を常に考えながら、各々の患者の最適な状態を作ってあげることができたらよいなと、より考えた事例でした。

 

5-2.ナラティブ事例の振り返り

事例を読んでみて、あなたは何を感じましたか。上記で記述した、あったほうが良い情報をいくつか含めているので、説明していきます。

 

  • その出来事はどこで起きたのか

日中の病室で起きたことを記述しています。

 

  • その出来事が起きたときの時間、または勤務帯

日中で発生したことを記述しています。

 

  • その出来事や場面の中で、あなたが感じたことや考えたこと

病院のため、ベッドを使用するのが基本ですが、抑制をしない方法はないか考えたことが記述しています。

 

  • あなたが決断したことや行動したこと

今までやったことがありませんでしたが、ゴザを引いて布団を引き、本人の生活の質を大切にしたことが記述しています。

 

  • 対象者がどのような反応をしたか

離床センサーのみで表情よく、退院まで過ごしていたことについて記述しています。

 

  • 出来事の後に、あなたが感じたことや考えたこと

チームカンファレンスを行うことで、患者様にとって最善であろうことが検討できたのではないかと記述しています。

 

  • なぜ、この出来事や場面があなたにとって、重要なのかについて

当たり前だと思っている看護が、対象者にとっては当たり前ではないということです。安全強化の視点だけではなく、患者様にとって何が最善なのか環境を整えることが大事であることを記述しています。

 

このように、ナラティブ事例に必要とされる情報が記述していると、聞き手が場面を想像しやすくなります。

 

6.まとめ

いかがでしたでしょうか。ナラティブを書こうと考えると、「私には書けない。」「文章が得意ではないから。」などの声が多いのが現状です。しかし、看護スタッフや友達に話す時は、容易に話すことができますよね。その時、無意識に読み手がわかりやすいように、ストーリーを作り上げて話していることが多いのではないかと、私は考えています。

無意識に話していることを、文章に書き起こしてみる、このようなスタンスでやってみてはどうでしょうか。慣れてくると、ケーススタディより書きやすく、そして看護の質を皆で向上する、一つの方法に十分になり得ます。是非チャレンジして見てください。

Viewing all 681 articles
Browse latest View live


<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>