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看護師長の「ちょっと…」が、ちょっとで終わらない|看護師あるある【vol.18】

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看護師長
師長がこっちを見て「あ!」っていう顔をした時は要注意。というか、逃げ出したくなります。だって、師長が「○○さん、ちょっといいかしら?」と言ってきた時は、ちょっとで済んだ試しがないんですから。

たいていは長丁場。最低15分は覚悟しておかなくてはいけません。しかも、話の内容が面倒くさいことだらけ。

「今度の感染委員会に出席してほしいんだけど~」とか、「今の新人さんの指導方針についてなんだけどね」とか。あぁ、面倒くさい。しかも、ようやく話が終わったと思ったら、「あ!そうそう、ついでなんだけど」とかまた話が始まるし。

これを夜勤の勤務後にやられると、「あなたは元気いっぱいでも、こっちは眠くて死にそうなんですが。。。」と殺意すら覚えることも。


貧血症状を訴える患者の観察項目と看護計画・ケアのポイント

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貧血

近年では極端なダイエットを行ったり、偏食や頻繁な外食、特にファストフード、そしてインスタント食品の流行などで、栄養が偏って貧血症状を訴える人が多くなっていますが、医師の診断や治療が必要とは考えない場合が多く、症状が悪化して初めて病院へ受診するケースがほとんどです。

貧血にはさまざまな種類があり、それぞれで観察項目や看護が異なるため、原因に応じたケアを実施していくことが重要となります。以下に貧血の概要や原因、症状に加え、観察項目や看護ケアについてご説明します。

 

1、貧血とは

貧血とは一般的に、血液中のヘモグロビンが不足して、身体全体に運ばれる酸素量が減少する、いわゆる酸欠状態のことを指します。重度になると昏睡状態になる場合もあります。

立ちくらみやめまい等、貧血とよく似た症状を呈する脳貧血は、起立性低血圧症と呼ばれるもので、ヘモグロビンの量とは関係なく、急に起き上がったり立ち上がったりした時に血圧が下がって起きるもので、横になっている時には正常な血圧を示します。原因も異なり、降圧剤や血管拡張剤、利尿薬などを使用している場合や、寝たきり生活が長かったりする場合が挙げられます。

また、若い人では自律神経障害、高齢者では心臓や血圧調整機能の衰えによる場合もあります。貧血も脳貧血も、血液中の酸素が不足した結果ですが、脳貧血が脳の酸欠であるのに対して、貧血は身体全体の酸欠と言えます。

貧血らしい症状を訴える患者さんは、採血して赤血球とヘモグロビンの量を確かめます。正常時の血液中のヘモグロビン量が基準値より低くなると(男性の場合:ヘモグロビン量13.0g/㎗以下、女性の場合:12g/㎗以下)貧血と診断されます。

 

2、貧血の主な原因と種類

原因は色々ありますが、一番多いのは「鉄欠乏性貧血」で、ヘモグロビンの合成に必要な鉄分が不足することにより、身体全体に酸素を運ぶヘモグロビンの量と働きが低下した状態を指します。鉄分の不足は、偏食や過度のダイエットで摂取量が足りない場合、女性では妊娠・授乳中に必要な量が摂取できていない場合、そして十分な鉄分は摂れているのに吸収できない場合があります。

また、事故や手術による大量の失血や、女性では月経や出産による急性失血性貧血、子宮筋腫、子宮内膜症などによる慢性失血性貧血、男女を問わず胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃腸の癌などにより長期的に少量ずつ体内で出血している慢性失血性貧血も、血液が失われる結果ヘモグロビンが足りなくなります。

貧血にはこの他に赤血球の産出に不可欠なビタミンB12や葉酸が不足する「ビタミン欠乏性貧血」、ビタミンや葉酸の量は足りているのに、吸収に必要な内因子が不足して吸収できない「悪生貧血」、骨髄機能の低下により赤血球の産出能力が低下する「再生不良性貧血」、赤血球の寿命が短かったり壊されてしまう「溶血性貧血」などがあります。

また、他の貧血と同様の症状が出ますが、原因が血液でなく感染症や膠原病、腎臓や肝臓の疾患、ホルモンに関係する内分泌疾患などが原因となる貧血は、二次性貧血あるいは「続発性貧血」と呼ばれています。

 

3、貧血の症状

一概に貧血と言っても、原因によって異なる症状が出るので、原因を確定することが重要となります。一般的な貧血の症状としては、下記があげられます。

 

1.   めまいがしたり、くらくらする。

2.   疲れやすい、手足が冷える。

3.   顔色が悪く、爪が薄く反り返っていて、色が白っぽい。

4.   瞼の裏が白っぽい。

5.   朝起きるのが辛く、首や肩が重たい。

6.   動くと息切れしたり、胸に痛みが出る。

7.   頭痛がする。

8.   抜け毛が多い。

9.   舌炎や口角炎がある。

 

これらの他に貧血の種類によって特徴的な症状があります。

 

貧血の種類 特徴的な症状
鉄欠乏症貧血 氷を食べたくなる氷食症
ビタミン欠乏性貧血 身体の痛み、感覚の鈍り
悪生貧血 知覚麻痺、精神症状
再生不良性貧血 傷などの出血が止まりづらい、血尿、
溶血性貧血 黄疸、脾臓の腫れ
二次性貧血 疾患によりさまざま

 

4、貧血で入院する患者の観察項目

上記のように、貧血の症状を訴える患者には、単に鉄分やビタミン等が不足しているだけで、不足分を補給すれば完治する患者、補給しても吸収できない患者、貧血が他の病気の兆候である患者の場合があるため、良く観察して重篤な疾患が隠れていないかを確認することが大切です。

鉄欠乏性貧血は、たいていの場合、注射や内服薬、食生活の見直しや鉄分の吸収を助けるビタミンCの摂取などで、通常は1~3か月で症状が改善されます。

また、ビタミン欠乏性貧血では、不足しているビタミンB12や葉酸の投与で改善しますが、葉酸を吸収しにくい体質の場合は、治療を永続的に続ける必要があります。

しかし重篤な鉄欠乏性貧血や、血液を作る機能などに問題がある場合、そして貧血が他の疾患の兆候である場合は、入院しての治療が必要となります。薬物療法と食事療法の他に、輸血や時には骨髄移植も必要となります。貧血で入院する患者さんに対しては、上記の症状の他に下記の項目を特に注意して観察する必要があります。

 

貧血の種類 観察すべき項目
重度の鉄欠乏症貧血 嚥下障害、舌炎、口角炎の有無
悪生貧血 手足のしびれや歩行障害、舌炎、知覚障害などの有無
再生不良性貧血 点状出血や出血症、歯肉出血、口内炎、血尿の有無
溶血性貧血 黄疸、脾臓の腫れが無いか
二次性貧血 疾患によりさまざま

 

これらの症状が新出したり、既存の症状が軽減しない場合は、医師と相談してください。

 

5、貧血患者の看護では何を目指すのか

血液検査や生化学検査などの結果と臨床症状から基礎疾患を推定しますが、時には内分泌検査や自己抗体その他の検査も必要となります。

診断が確定し、入院が必要となった患者さんには、症状の原因と治療の必要性や、今後の治療法などを説明して理解してもらい、看護計画を立てて毎日の観察時間と項目をリストアップします。

貧血の種類によって必要な処置や看護方法、看護期間などが異なります。何れの場合も血液中のヘモグロビンを増加させるのが目的です。

鉄欠乏性貧血やビタミン欠乏性貧血の場合は、ほとんどの場合入院せずに注射や内服薬で改善されますが、それが重度の場合やその他の貧血では、原因となっている疾患の治療も必要となります。また、ビタミン欠乏性貧血は、巨赤芽球性貧血を招く危険性があるので、注意が必要です。

貧血の一般的な治療法には食事療法、安静療法、薬物療法などがありますが、時には輸血療法や酸素療法が必要となり、重度の溶血性貧血の場合は脾臓摘出術を行うこともあります。また、他の疾患が原因で貧血を起こしている場合は、その治療と同時に貧血の治療を行うのはもちろんです。

 

6、貧血患者に対する看護計画

貧血患者の看護は、基本的には血液中の不足した成分を補うことで症状を改善する事ですが、その間患者さんの症状や苦痛の緩和に努める事が大切です。安静を保ち、食事療法と薬物療法をきちんと施し、必要な場合は輸血等の援助もします。

 

1.   患者が全身を清潔に保てるよう、入浴できない場合は清拭を行います。

2.   口腔内を清潔に保つようにします。(⇒口腔ケアの看護手順とケアのポイント)

3.   食事で必要な栄養素が取れるようにします(タンパク質・ビタミン・鉄分の高い食物)。

4.   注射や内服薬を時間通りにきちんと投与します。併せて、アドヒアランスの推進に努めます。

5.   身体の痛みやだるさを軽減するためにマッサージなどが必要な場合は、それを施します。

6.   合併症や二次的障害の発症を予防するために、異常の早期発見に努めます。

7.   貧血が他の疾病による二次的なものの場合、元となる疾病を患者が理解し、治療に努めるよう手助けします。

 

まとめ

貧血で入院する患者さんは、鉄分やビタミンが足りないだけの人から、重篤な病人までさまざまです。貧血は軽く見られがちで、入院するまでに至った患者さんは、貧血以外の症状を呈していますから、それらを軽減してあげて、治療に専念できるようにすることが必要です。

貧血が他の重篤な疾患の兆候として表れている場合も、貧血への対処が大切です。症状が改善した後も、日常のストレスや栄養不足、睡眠不足などによって貧血が再発する可能性があるので、退院後も規則正しい生活やバランスの取れた食習慣、ストレスの発散などを心がけるよう助言してあげてください。

看護師長が作る勤務表は、師長のやりたい放題|看護師あるある【vol.19】

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看護師長勤務表
看護師は希望どおりに休めないのは分かっている。でも、月に1回くらいは希望休をとりたいですよね!

月1回くらいは、何とかシフトを調整して希望した日を休みにしてほしい。ほかの日が、少しくらいきついシフトでも我慢するから。というのが看護師の本音。

でも、休み希望を出した時に、それを見た瞬間に「う~ん、その休み希望は難しいかなぁ?」と言われた時のショックと言ったら。別に4連休、5連休が欲しいわけじゃなくて、ただの2連休なのに。

しかも、ふとシフト表を見たら、師長はなんか4連休とかついているんですけど…?え?何この差別。

色々調整してどうしても難しいっていうなら諦めもつくけど、休み希望を見た瞬間に「難しいわ」って言われると、かなりムカつきますよね。

看護師さんではなく、名前で呼ばれると嬉しい|看護師あるある【vol.20】

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看護師名前
患者さんから、いつも何て呼ばれていますか?ほとんどの場合、「看護師さん」ですよね。別に「看護師さん」って呼ばれることに不満はないんです。「私の名前は看護師じゃありません!」なんて言うつもりはないし。

でも、時々ふとした時に「○○さん」と患者さんから名前で呼ばれると、ほっこりして嬉しくなっちゃいますよね。「あ、名前を憶えていてくれたんだ」と思うと、少し顔がにやけてしまったりします。

特に、その患者さんがかわいいおばあちゃんだったりすると、その日1日の勤務を頑張れることもあります。そして、その患者さんのために良い看護をしてあげたいなって思いますよね。

別に呼ばれ方で患者さんを差別するつもりはないですけど、ちょっとだけ贔屓しちゃうこともあるんです。

たまに可愛いおじいちゃんおばあちゃんに癒される|看護師あるある【vol.21】

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看護師老人
働いている時って、いつも時間に追われていて、イライラして余裕がない看護師さんは多いですよね。

面倒くさいドクター、仕事のできない後輩看護師、ナースコールを連打する患者。心の中では、「もういい加減にしてよ!」と思いながら働いています。

そんな時に、患者さんに内服薬を持って行っただけで、「あら、ありがとうね。助かるわ。」なんてニコニコ顔で言われたら、肩に入っていた力がふと抜けて、思わずほっこりしてしまうんです。

そういう患者さんって、たいていかわいいおじいちゃんやおばあちゃんが多いんですよね。そういう患者さんは、看護師たちの間でアイドル的存在。患者さんのニコニコ笑顔を見ると、もっと余裕を持たなくちゃいけないなと反省してしまいます。

前立腺生検の看護|検査前から術後までの看護手順と看護計画

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前立腺生検看護

がんの発見に役立つ前立腺生検。比較的に簡単な検査であるものの、初めての方は実際にどのように検査を行うのか分からないと思います。そこで今回は、前立腺や前立腺生検の概要に加え、検査の手順・看護についてご紹介します。

 

1、前立腺とは

前立腺は男性のみにある器官です。精液の一部をつくる働きを持っていることで知られています。「恥骨」という、骨盤を形成する骨の一部の裏側に位置している臓器で、「栗の実」のような形をしています。

この前立腺の細胞が本来の正常な細胞増殖機能を失ってしまうことで、必要以上に無秩序な自己増殖を繰り返すことにより、がんが発生します。この発生のメカニズムは、ほかのほとんどのがんと共通しています。

アメリカでは10年ほど前から患者数が増え続けており、もともと患者数の多かった肺がんを抜き、現在では男性が罹患するがんのなかで発症率が1位となっています。

こうした動きに比べると、日本での前立腺がんは肺がん、胃がん、大腸がんといったがんに次ぐ4位の患者数で、全体のがん患者の9%であり、まだまだ患者数は少ないともいえます。

しかし、1975年には年間に約2000人ほどであった患者数が2000年には2万人以上に、そして2006年には4万人以上にと急激に増えてきており、2020年には8万人規模に達してしまうのではないかと推測されています。

 

2、前立腺がんの発症要因

前立腺がんの原因は、残念ながらまだ完全には解明されてはいません。ただ、食生活のような生活習慣や遺伝要素が原因のひとつなのではないかと推察されています。他のほとんどのがんの原因ともなっている生活習慣。前立腺がんの原因としても注目されています。

前立腺がん患者が北米や欧州に多いことからも、動物性の脂肪や乳製品の過剰摂取がリスク因子であると推察されており、日本の国立がん研究センターの大規模な調査によっても、乳製品を多く摂取するほどに前立腺がんのリスクがあがってしまうことが発見されました。

もともとは日本人に少なかった前立腺がんが戦後に急速に増えてきていることからも、だんだんと欧米化していた食生活が前立腺がんの原因になっていると考えていいでしょう。また、前立腺がんはがんの中でも遺伝的な要因が比較的強いものであるとも言われています。

高齢者に多い前立腺がんですが、比較的若い世代で発症するものは遺伝性の場合が多いといえます。親族に1人でも前立腺がんに罹患した人がいる場合の発症リスクは2倍に、そしてその人数が増えていくにつれ、リスクは9倍以上にも上昇するとされていますので、親族に前立腺がんの患者がいる場合には、検査を積極的に推奨しましょう。

 

3、検査をしっかり行い早期発見すれば怖いがんではない

最近、増加傾向にある前立腺がんではありますが、他のがんに比べると進行が遅く、予後もいいがんであることが知られています。

がんの予後を示す目安として用いられている「5年生存率」は、がんの診断を受けた時点から5年後に生存している人の割合を示すものです。

前立腺がんではこの5年生存率が、初期である「I期」の場合は90%、比較的に進行してししまった「Ⅲ期」でも80%近い数値です。

ただ、がんはそれ自体の悪性度とともに、他の器官への転移が危険な病気でもあります。ですので、前立腺がん自体が危険度の低いがんであったとしても、早期に発見・治療を行い、他の器官への転移を防ぐことが肝心であるともいえます。

 

4、前立腺生検の看護手順

そこで、ここからは前立腺がんの早期発見に有効な前立腺生検の具体的な看護についてご説明していきます。

前立腺生検とは、近年増加傾向にある前立腺がんの診断に不可欠な組織検査のことです。検査用の特殊な針を前立腺に刺し、組織の一部を採取し、検査をします。

万が一、前立腺にがんがあった場合に、その後の治療計画を適切に立てるためにとても重要な検査であるとともに、がんがあるかないかだけではなく、あった場合の腫瘍の悪性の度合いや大きさなどを測ることもでき、前立腺がんの対策としてとても重要な検査です。

前立腺生検には、2つの種類があります。陰嚢と肛門の間の「会陰」といわれる部分の皮膚を切開し、組織を採取する方法と、会陰部や直腸から針を用いて組織を摂取する方法の2つです。一般的には、まず直腸に超音波を当て、超音波の画像上に異変の見られる部分へ針を刺す手法が多く使われます。

前立腺生検を行う際は、前立腺に針を刺すため、出血や合併症の対策のためにも、入院検査が必須となります。ですので、看護計画をしっかり立て、患者さんを安心させてあげることが重要です。

一般的な前立腺生検の検査の看護手順は以下の通りです。

 

4-1、検査前の看護手順

■検査前の説明

検査をする目的や方法、所要時間やその他連絡事項を伝達し、患者の理解を深めます

 

■検査前の準備

  1. 患者に入浴を促したりすることで、陰部を清潔に保ちます。
  2. 麻酔の方法に応じて、飲食をしないように指示します。(脊椎麻酔を行う場合には飲食をすべて禁止しますが、麻酔をする予定がない場合は食事可能です)
  3. 検査前に排尿を済ませてもらいます。
  4. 超音波を当てる超音波プローブは、数回続けて検査する場合などはガス滅菌ができませんので、30分ほど消毒液に浸しておき、直前に注射用蒸留水などで洗浄しましょう。
  5. 下半身の衣類を脱いでもらいます。この際、なかなか脱ぐことをしない患者さんも中にいますが、患者さんのペースに合わせて、無理に急かしたりしないようにしましょう。
  6. グリセリン浣腸を行います。
  7. 医師が血管を確保する介助をします。
  8. 血圧計を患者に装着します。

 

4-2、検査中の看護手順

  1. 患者の状態を確認します。
  2. 麻酔の準備をします。その際、麻酔の種類によって患者に以下の体位になることを指示します。
・粘膜麻酔:砕石位

・仙骨麻酔:腹臥位(まくらを腹の下に入れ、仙骨裂孔が開くようにする)。

・脊椎麻酔:端座位(足台を置き前かがみの体勢をとる。)

また、粘膜麻酔の場合は浣腸器でベノキシールゼリーを直接肛門より直腸に注入し、15分待機します。仙骨麻酔や脊椎麻酔の場合は、麻酔を施術した後、仰臥位に変更するように注意しましょう。

  1. 医師が直腸内をイソジン消毒する介助をします。
  2. 医師が生検を行う介助を行います。(この際、採取するごとに生検に用いる針の先を生理食塩水で洗浄します。)
  3. 採取された組織に極小量の墨汁をつけ、ホルマリン液の入った標本瓶に早急に入れます。
  4. 針を刺した部分に消毒後も出血が見られる場合、直腸にイソジンガーゼを挿入します。
  5. 医師がバルーン・カテーテル留置をする介助をします。粘膜麻酔の場合は基本的に検査後のバルーン・カテーテル留置はしませんが、血尿が認められた場合に留置を行います。
  6. ストレッチャーにてベッドへ患者を移送します。

 

4-3、検査後の看護手順

  1. 主に血圧に注意して、患者の状態を観察します。特に、針を刺した部分の出血の有無や血尿、疼痛の有無に注目しましょう。
  2. 検査後に直腸へガーゼを挿入した場合は、検査の3時間後に抜去します。
  3. 患者への術後の説明を行います

検査後には水分を500~1000ml摂取することや、出血や疼痛などの異常が発生したときは、すぐに報告するように説明します。また、検査当日の入浴は禁止しましょう。

 

まとめ

検査後は特に検査結果を不安に思っていたり、慣れない患者が多いので、安心させてあげるように努めるとともに、しっかり観察し、変化を見落とさないように留意しましょう。

こっそり外出する患者さんがいても、看護師にはバレバレ|看護師あるある【vol.22】

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外出患者
日中の一般病棟は、医師や看護師の人数が多いし、面会の人の出入りも多いのでいつもゴミゴミしています。それにまぎれて、外出許可も取らずにソ~っと抜け出してしまう患者さんがいるんです。

でも、バレバレなんですよね。質が悪いのが、抜け出す時に見つけられず、抜け出してから発覚すること。

患者さん本人は「ばれないし、ちゃんと戻るからいいでしょ」と思っているんだと思いますが、その日の受け持ち看護師は、インシデントレポートを書かなくちゃいけないんです。

患者さん本人に注意する時は、「外出はダメですよ。せめて許可を取ってくださいね」と穏やかに言いますが、内心は「勝手に出ていくんじゃねーよ!こっちは師長からの説教とインシデントレポートだよ!」毒づいてます。

肺がん患者への看護計画(OP・TP・EP)と終末期におけるケア

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肺がん看護

近年、日本人が罹患するがんの部位は、大腸、肺、胃、前立腺、乳房の順に多くなっていますが、がんによる死亡原因のトップは肺がんです。

 

2015年の統計1)によると、がんによる部位別死亡数は、男性53.208名、女性21.170名となっており、男女合計では7万4378人で最多となります。今回は、患者数の多い肺がんとその看護について、知見を深めていけたらと思います。

 

1、肺がんとは

肺は呼吸をするための器官で、体内に酸素を取り込み、体外へ二酸化炭素を排出しています。口や鼻から吸った空気は、気管と気管支を通して肺に入り、気管支が分岐を繰り返して、肺胞で血液中の二酸化炭素と空気中の酸素を交換しています。

肺がんとは、肺の気管、気管支、肺胞の一部の細胞が正常の機能を失い、なんらかの原因でがん化したものです。進行するにつれてまわりの組織を破壊しながら増殖し、血液やリンパの流れにのって広がっていきます。

肺がんの基礎知識

出典:肺がん 基礎知識 がん情報サービス

 

肺がんは、採取した組織を顕微鏡で精密に調べる病理検査によって、主に腺がん、扁平上皮がん、小細胞がん、大細胞がんに分類されます。治療上では、経過や治療方法や治療効果の違いから、非小細胞肺がんと小細胞肺がんの2種類に大きく分けられます。

 

■非小細胞がん

肺がんの約80-85%を占めています。腺がん 、扁平上皮がん 、大細胞がんなど、多くの異なる組織型があり、がんの発生しやすい部位、進行の度合いとその速さ、症状などはその種類によって異なります。いずれの部位でも化学療法や放射線治療で効果が得られにくく、手術を中心とした治療が行われます。

 

■小細胞肺がん

肺がんの約15-20%を占めています。がん細胞の増殖のスピードが速く、転移(肺から離れたリンパ節、脳、肝臓、副腎、骨などにがん細胞が移動し、そこで増殖すること)しやすい悪性度の高いがんです。発見時には、すでに多臓器へ転移していることがしばしばみられます。しかし、非小細胞肺がんよりも抗がん剤や放射線治療の効果が得られやすいと言われています。

 

組織分類 多く発生する場所 特徴
非小細胞肺がん 腺癌 肺野部 女性の肺がんで多い
症状が出にくい
扁平上皮癌 肺門部 喫煙との関連が大きい
大細胞癌 肺野部 増殖が速い
小細胞肺がん 小細胞癌 肺門部 喫煙との関連が大きい
転移しやすい

引用:肺がん 基礎知識 がん情報サービス

 

1-1、肺がんのステージ

肺がんのステージは、がんの広がり・転移の有無により、進行を潜伏がん、0、I、II、III、IV期に分類されます。肺がんでは上記表のステージIAまでを早期がん、それ以降を進行がんと判別されます。

 

ステージ 状態
0期 がんがまだ粘膜内に留まっている。進行がかなり浅い
ステージI IA がんが肺の中に留まっており、リンパ節転移の無い状態で、がんの直径が3cm以下である。
IB がんが肺の中に留まっており、リンパ節転移の無い状態で、がんの直径が3cm~5cmである。
ステージII IIA リンパ節転移の無い、がんの直径が5cm~7cmである。

がんが転移しているが、肺の入り口までで留まっているものであれば、がんの直径は3cm~5cm。

IIB リンパ節転移の無い、7cmより大きいが手術で摘出できる大きさのがん。

がんが転移しているが、肺の入り口までで留まっているものであれば、がんの直径は5cm~7cm。

ステージIII IIIA 最初にがんができた側の肺の周辺組織(縦隔リンパ節・胸膜・胸壁・横隔膜・心膜など)にがんが広がっている。
IIIB 最初にがんができた側の肺の反対側の周辺組織(縦隔リンパ節・胸膜・胸壁・横隔膜・心膜など)にまで、がんが広がり転移している。
ステージIV がんが脳・肝臓・副腎など、肺から遠い位置にある他の臓器や組織にまで転移している。悪性の胸水を伴っている。

 

1-2、肺がんの症状

肺がんの初期症状は、主に以下のような症状が挙げられます。

 

■初期の肺がんの症状

・   咳(なかなか治りにくい咳)

・   発熱

・   呼吸困難

・   息切れ

・   息苦しさ・呼吸時のゼーゼー音(喘鳴)

・   声のかれ(嗄声:させい)

・   体重減少

・   痰

・   血痰 (血の混じった痰)

・   胸の痛み

 

しかし、これらは必ずしも肺がん特有の症状では無い場合があり、呼吸器疾患の症状と区別がつかないことがあります。また、早期の肺がんは進行度に関わらず、症状がほとんどない場合が多く、症状があったとしても風邪や体調不良の為だと考えてしまうケースが珍しくありません。

 

進行肺がんには以下のような症状があります。初期の肺がんと異なり、進行した肺がんは、骨転移や肺転移、肝臓転移、脳転移などの遠隔転移を起こすため、さまざまな自覚症状が現れてきます。

 

■進行肺がんの症状

骨に転移 肩や背中、腰の骨などに痛みを感じるようになります。
副腎に転移 ホルモン分泌の異常によって顔が浮腫んだり、骨粗鬆症や多毛になることがあります。その他、悪心や嘔吐、低血圧の症状が出ることもあります。
肝臓に転移 背中や腰、お腹が張るような痛みを感じる、食欲不振、体か重く感じる、黄疸がでるなどの症状が出ます。
脳に転移 目のかすみや、ふらつき感、味覚の変化、ろれつが回らなくなるなど、さまざまな症状があります。

 

2、肺がんの看護

肺がんも他の看護と同様に、看護過程を経て看護問題を作成します。以下の項目などについて、アセスメントと看護診断によって、適切な看護問題を取り上げます。

 

患者の背景、現病歴、既往歴、職業、生活習慣、飲酒、栄養状態、排泄状態、病気についての認識、苦痛の有無、コミュニケーション能力など

 

2-1、肺がんの看護過程・関連図

看護過程における関連図は、患者に関連した情報を示す図になります。全体像を把握するのに有用なツールとなります。関連図によって「病態関連図」と「全体関連図」に分かれ、それぞれ病気に関する情報の認識と、患者の健康状態や、生活習慣、家族関係などを把握することができます。関連図によって病気と患者の全体像を理解することによって、的確な「看護問題」を抽出することができます。

 

2-2、肺がんの看護計画・目標

患者の症状や治療方法によって、肺がんの看護計画と看護目標を作成し実施してきます。

 

例)化学療法の看護

・   看護問題 - #1 腎毒性

・   看護目標 - 尿量が維持される

・   看護計画

 

OP(観察項目)

  • 血液検査データから、腎機能の低下がないか確認する
  • 排尿回数、尿量、IN OUTバランスに注意し、尿量が確保されているかを確認する
  • 浮腫みの有無、体重の変化、動悸、呼吸困難の有無、頻脈
  • バイタルサインに注意し、心拍や血圧に変化があった際は医師に報告する

 

TP(ケア項目)

  • 日常生活に応じた排泄介助を行う
  • 点滴管理を適切に行う
  • 急性心不全、呼吸不全の症状が現れた場合は医師に報告する

 

EP(教育・指導項目)

  • 排泄の重要性を説明する
  • 浮腫み症状を感じたら、看護師に報告してもらう
  • 必要飲水量の説明をし、水分不足にならないよう気を付けてもらう

 

3、肺がん治療

肺がんの治療方法は、主に外科手術、化学療法(抗がん剤)、放射線療法の3つがあります。肺がん治療を行う際には、がんの種類、がんのステージ、患者の体力などの身体的状態によって治療方針を決定します。

 

3-1、肺がん外科手術

肺がんの外科療法は、がんの転移や浸潤がみられない段階初期の場合に選択される治療方法です。主に以下の3種類の外科手術が行われます。

 

■標準手術

肺がんの外科手術の基本となる手術で、がんのある肺葉を切り離す「肺葉切除手術」になります。転移を防ぐために、肺の周囲にあるリンパ節も同時に切除されることがほとんどです。肺がんが大きい場合は、肺葉のみだけではなく、片方の肺を切除する症例もあります。

 

■縮小手術

5つに分かれた肺葉は、さらに肺小葉という小さなブロックに分かれます。肺がんが小さい場合には、「縮小手術」と呼ばれる、肺小葉の切除が行われます。標準手術よりも身体への負担を減らすことができるため、肺機能の低下を防ぐことができます。

 

■拡大手術

肺がんが肺の周囲に浸潤している場合に行われる手術です。がんが広がっている周辺の臓器や組織も含めて広範囲を切除することから「拡大手術」と呼ばれています。拡大手術は、身体にかかるダメージが大きいので、患者の体力を考慮して手術が行われます。術前に放射線治療などを行ってがんを縮小させた上で手術を行うことも少なくありません。

 

3-2、肺がん化学療法(抗がん剤)

肺がんの化学療法は、抗がん剤を用いた治療方法です。抗がん剤の効力で、がんを抑制し減少させることを目的として行われます。外科手術で取り除くことが難しいがんや、多臓器に肺がんの転移がみられる際に、化学療法が行われるケースが多くなっています。

 

■非小細胞がんの化学療法

非小細胞がんは、小細胞がんに比べて抗がん剤の効果があらわれにくいという特徴があります。非小細胞がんの治療は、外科手術による切除が基本的な治療となっているため、外科手術の準備段階として化学療法が併用されることが多くあります。

 

■小細胞がんの化学療法

小細胞がんには「抗がん剤が高い効果を示す」という特性があるため、化学療法は手術よりも有効な治療法だと考えられています。小細胞がんは、がん細胞の増殖スピードが早く、初期段階から転移がみられます。そのため、外科手術が行われるケースは稀で、手術が実施される場合であっても、化学療法や放射線治療が併用されます。

 

なお、化学療法の看護に関しては、以下のページで詳しく解説しています。

ケモ(化学療法)の看護手順と注意点[副作用・血管外漏出]

化学療法(抗がん剤治療)の副作用ごとの対処と看護ケア

 

3-3、肺がん放射線治療

放射線療法とは、X線やγ線などをがん細胞に直接照射することでダメージを与えて、がん細胞を死滅させる治療法です。肺がん細胞が比較的小さく、周囲の臓器などに広がっていない場合に有効な治療法になります。

放射線治療は、細胞の増殖スピードの速いがんに効き目が高いため、非小細胞肺がんよりも小細胞肺がんへの治療に高い効果を発揮します。また、がん細胞縮小により、痛みの軽減や、術後のがん再発予防を目的として、放射線治療が行われることもあります。

 

4、肺がんの終末期(ターミナル)

肺がんの終末期によくみられる症状としては、痛み、極度の疲労感、咳、息切れ、死前喘鳴、せん妄、発熱、出血などがあります。最終的な末期になると浮腫や痛みが強くなり、食欲もなくなるので衰弱が進みます。

がんの治療から、苦痛や痛みを和らげる緩和ケアの移行選択が必要不可欠になってきます。緩和ケアによって患者自身のQOLを改善させるために、痛みや呼吸困難の症状を薬で和らげながら精神的なサポートも行われます。

緩和ケアで使われる鎮痛薬には種類がありますが、最終的にはモルヒネを使用します。モルヒネで痛みは緩和されますが、悪心嘔吐、血圧低下、便秘、眠気、呼吸抑制などの副作用があり、またモルヒネの使用量によって患者は眠るように楽になりますが、コミュニケーションはできなくなってしまいます。緩和ケアの選択には患者を含む家族の意思決定が重要になってきます。

終末期の患者・家族に対する看護計画と適切なケアの実施

ターミナル期における看護・介護ケアとプラン作成のポイント

 

まとめ

肺がんは、数あるがんの中でも死亡率が高く、軽快したとしても再発や転移することが少なくありません。

観察や基本的な看護ケアはもちろんのこと、精神的ケアも非常に重要となりますので、患者が安心して治療を行えるよう、また安心して療養生活を送れるよう、寄り添う看護を実施していきましょう。

 

参考文献

1)平成27年(2015)人口動態統計(確定数)の概況 厚生労働省


目の前にいるのに、ナースコールを押される|看護師あるある【vol.23】

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ナースコール
大部屋の病室で検温をしている時に、ナースコールが鳴ってPHSを見てみると、自分がいる病室の部屋番号が表示されている。。。

「うん?」と思って、病室を見回すと、こちらを見つめてニコニコ手招きしている患者さんと目が合う。

「なんで、ナースコール押すのよ?目の前にいるじゃない!」と心の中で思いつつ、「どうしました?」と聞いてみると、「体温計がピピッて鳴ったから、測り終わったよ」と体温計を手渡されるだけ。

なんで、目の前にいるのにナースコールを押すんでしょうか?直接声はかけられないんでしょうか?そもそも、そんな用でナースコールを押す?

「次からは直接声をかけて下さいね」と言っても、次の日もまた、目の前にいてもナースコールを押される。私って、そんなに声かけにくいのかなぁ?

低カリウム血症・高カリウム血症患者への看護のポイント

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低・高カリウム血症

私たちにとって身近な食物から摂取できるミネラルの代表でもあるカリウムは、体内での貯蔵量が不足または過剰になったりして、濃度に異常が発生すると低カリウム血症や高カリウム血症を引き起こします。

いずれも初期段階では無症状であったり、さまざまな原因が考えられるといった共通の特徴があり、慎重かつきめ細かい看護が求められます。

低カリウム血症・高カリウム血症が疑われる、もしくは発症する可能性が高い患者に対して、どのような場面でどのような事柄に注意を向けることが重要になるのか、ポイントを踏まえた上で対処していくことが大切です。

 

1、低カリウム血症・高カリウム血症とは

カリウムは細胞内の主要電解質で、体重の約4割を占める細胞内液に含まれています。カリウムには、神経刺激の伝達や筋肉収縮、細胞内の浸透圧の維持を図る働きがあります。

低カリウム血症および高カリウム血症は、カリウム濃度に異常がきたされることで起きます。細胞内外のカリウム濃度比は細胞膜の分極のほか、神経伝導や筋細胞の収縮などに影響を及ぼすため、血清カリウム濃度に小さな変化が起きるだけで、大きな臨床的な症状をもたらすこともあり、重症化すると生命にも危険が及びます。

 

■低カリウム血症

低カリウム血症は、血清カリウム濃度が3・5mEq/Lを下回る状態を指します。この状態は、体内の総カリウム貯蔵量が不足するか、カリウムが細胞内に異常に移動して、細胞外のカリウム濃度が低くなることによって起きます。

通常は腎臓や消化管からカリウムが過剰に失われて起こります。血清検査によって診断され、カリウム投与や、原因疾患への対処などの治療法が取られることになります。

 

■高カリウム血症

高カリウム血症は、血清カリウム濃度が5・5mEq/Lを上回る状態を指します。この状態は、体内の総カリウム貯蔵量が過剰になったり、カリウムが細胞の外に異常に移動することによって起きます。

血清や血漿のカリウム濃度の測定結果をもとに診断し、治療としては陽イオン交換樹脂投与のほか、緊急性が高いケースであればインスリンやグルコン酸カルシウムを投与したり、透析などの手法が取られることになります。

 

1-1、カリウムの摂取

カリウムは、果物や海藻類、肉、野菜、魚介類などの食物に多く含まれていますが、食品の加工や精製度が進むにつれて、その含量は減っていきます。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、日本人はナトリウムの摂取量が多いため、ナトリウムの尿中排せつを促すミネラルであるカリウムを摂取することの重要性が述べられています。この中で、成人の1日のカリウム摂取の目安量は、男性が2500mg、女性は2000mgとされています。

 

1-2、カリウムの細胞内外移動

前述したように、低カリウム血症・高カリウム血症ともに、カリウムの貯蔵量だけでなく、カリウムが細胞内外に移動することも発症に影響します。

カリウムを細胞内に移動させる因子としては、インスリンが挙げられます。インスリンが高値になると血漿カリウム濃度は低下し、反対に低値になるとカリウムが細胞外に移動して血漿カリウム濃度は上昇します。

他には、βアドレナリン作動薬はカリウムを細胞内に移動させ、β遮断薬やα作動薬はカリウムを細胞外に移動させる機能があると言われています。

 

2、低カリウム血症の原因

低カリウムの血症になってしまう原因としては、嘔吐や下痢、アルカローシス、カリウム摂取不足、腎機能障害、高血圧疾患などが挙げられます。

夏場にかく大量の汗とともに、カリウムが失われて発症するケースもあります。利尿薬や緩下剤を乱用することで、持続的な低カリウム血症に陥る可能性も指摘されています。

 

3、低カリウム血症の症状

軽度の場合は無症状であることが多いのですが、中等度になると嘔気、脱力、筋力低下などの消化器や骨格筋に症状が現れます。長期化すると、尿の濃縮力が低下し、多尿症を引き起こします。

また、インスリン分泌低下やインスリン受容体の感受性低下を起こし、糖尿病の人は病状悪化を招くことも指摘されています。そして重度に至ると、四肢や呼吸筋の麻痺、イレウスも引き起こします。また、低カリウム血症は心室細動などの致死的不整脈の原因にもなります。

低カリウム血症は、心電図上のQT時間(心臓の電気的収縮時間)の延長症候群を引き起こす原因にもなります。QT延長症候群は低カリウム血症などの電解質異常や薬剤、徐脈などが影響して生じ、めまいや失神、突然死を起こすこともあります。

低カリウム血症および高カリウム血症の心電図パターン

出典:低カリウム血症および高カリウム血症の心電図パターン カリウム濃度の異常 MSD

 

4、低カリウム血症に関する看護

ここで、低カリウム血症にかかった患者を看護する上でのポイントを挙げてみましょう。低カリウム血症につながりやすい疾患の例として、心不全患者への接し方も取り上げます。

また、血清カリウム値を下げることが求められる対象として透析患者を例として、食事指導についても触れてみましょう。

 

■低カリウム血症の患者に対する看護のポイント

低カリウム血症の症状が現れた患者に接する際には、利尿剤の内服歴、嘔吐・下痢や糖尿病などの病歴を確認することが重要となってきます。たとえ患者が落ち着いている様子だったとしても、容体に異常が起きていないかどうか、しっかりとチェックして、不整脈などが起きてしまった時に速やかに対処できるような体制を整えておくことも重要です。

特に、もともと心疾患を抱えている患者の場合、致死的不整脈を招きやすくなりますので、低カリウム血症の症状が軽度であっても注意が必要です。

 

■心不全患者に対する注意点

心不全治療を受けている患者の場合、ループ利尿薬などの薬剤あるいは心不全そのものの影響により、致死的不整脈を招きかねない低カリウム血症に陥る可能性が指摘されています。心不全で低カリウム血症になっている患者には、利尿薬の種類や量などをしっかりと調べて把握した上で、致死的不整脈が起きていないかどうか、継続的に観察しましょう。

 

■患者への食事指導

食事の摂取不良や栄養障害が潜んでいると低カリウム血症にかかりやすいとも言われていますが、特に透析後の患者に対しては、血清カリウム値が低くならないように注意することが重要です。イモ類、野菜類、果物類などのカリウムの含有量が多い食品を摂取し、カリウム値を上げるように指導することで、心不全の防止にも役立ちます。

 

5、高カリウム血症の原因

高カリウム血症の原因には、腎不全、アシドーシス、カリウムの過剰摂取、降圧剤の投与などが挙げられます。インスリン枯渇による高血糖のため、血漿浸透圧が上昇してカリウムが細胞外に流出した場合などでも、発症します。

また、災害現場でがれきなどに身体を挟まれていた被災者が救出された後、突然容体が悪くなって死亡したケースなどが「クラッシュ症候群」として報告されていますが、ここにも高カリウム血症が関わってきます。

身体を挟まれて圧迫されていくうちに筋肉の壊死が始まり、血流が滞っている状態だったのが、救出後に長時間の圧迫から解放されて血液が再灌流すると、壊死した細胞から一気にカリウムが流出して血中での量が多くなることが影響しています。

 

6、高カリウム血症の症状

高カリウム血症は、筋力低下にもつながる神経筋症状が指摘されます。弛緩性麻痺が認められることもあります。重度の場合は心室細動や心停止といった事態に及ぶ危険性があるものの、通常は心毒性が現れるまでは無症状です。

また、高カリウム血症にかかると、心房停止などの徐脈といった心電図異常が起こることも指摘されています。

低カリウム血症および高カリウム血症の心電図パターン

出典:低カリウム血症および高カリウム血症の心電図パターン カリウム濃度の異常 MSD

 

7、高カリウム血症に関する看護

それでは、低カリウム血症と同様、高カリウム血症に関する看護のポイントをまとめてみましょう。検査や診断の段階から災害現場での対処法、予防のための食事指導など多岐に渡りますが、いずれの場面でもポイントを踏まえて、業務にあたることが重要と言えます。

 

■偽性高カリウム血症の確認

高カリウム血症が疑われる患者に接する際には、採血の段階から特に注意しなければいけません。なぜならば、もしも高カリウム血症が疑われる場合でも、局所的に血清カリウム値が偽性上昇となっている可能性があるからです。このような現象を、偽性高カリウム血症と呼びます。

例えば、何度も手を握ったり、強く握った状態でいると、前腕の筋肉由来のカリウムが局所的に増えることがあります。検査結果に溶血が影響する可能性も考慮してください。溶血は、静脈穿刺時の機械的溶血のほか、採血スピリットを振りすぎて起こることもあります。

採血の際には細い針を使って急に血液を吸引したり、血液検体を過度に撹拌しないようにしましょう。また、検体を長時間放置した状態にしておくと、細胞内からカリウムが移動するという現象も発生しますので、そのような状況になっていないかどうかも、チェックすることが重要です。

 

■高リスク患者への注意

低カリウム血症の患者に接する場合と同様、患者の病歴や内服歴のチェックがポイントとなります。重度である場合は速やかな治療が不可欠ですが、腎不全やACE阻害薬、カリウム保持性利尿薬を使用中の重症心不全を抱える患者の場合、高リスクと言えます。

さらに不整脈なども見られる場合は要注意です。患者のリスクの高さを把握した上で、容体観察をより入念に行うなどの配慮が必要となります。

 

■患者への食事指導

腎臓障害が継続する慢性腎臓病により腎機能が低下すると、腎臓からの排せつが阻害されるため、高カリウム血症につながります。慢性腎臓病が進行している患者には、不整脈の原因となる高カリウム血症を防止するため、新鮮な生野菜や果物などの食事に制限をかける必要があります。

食事療法は医師や看護師、栄養士らスタッフがサポートしていくことで有効に進めていくことができますので、他のスタッフと協力して患者に働きかけましょう。

 

■クラッシュ症候群への対処

災害支援ナースとして被災地に赴いた場合、クラッシュ症候群が疑われる被災者をがれきの下などで発見した際は、救出後に高カリウム血症などによって容体が急変することを防ぐ必要があります。

現場では応急処置として、圧迫されている身体の部位よりも心臓に近い部分をタオルで縛ったり、輸液や経口での水分補給といった手法が挙げられていますが、救出された後に直ちに医師の診断が受けられるように対処することも重要です。周辺にどのような医療施設があるか、どのような搬送手段があるのかといった情報を把握して、患者が速やかに搬送されるように努めましょう。

救出された患者が病院に搬送された後は、血液浄化法などの処置が取られます。もしも勤務先の病院に被災者が運ばれてくることが考えられるような場合は、クラッシュ症候群および高カリウム血症にかかっている患者を看護することを想定して、迅速に対応しましょう。

 

まとめ

血清カリウム濃度の異常が原因で起こる低カリウム血症と高カリウム血症ですが、いずれも特に初期状態であれば無症状の可能性を秘めているということですので、要注意な症状と言えます。

さらに、さまざまな原因が考えられるため、診断や治療に当たって原因の特定が重要な作業になり得ることや、診断や治療のために、患者の病歴や薬物の内服歴などをチェックする点も共通しており、患者へのアプローチがとても重要になってきます。また、患者の病歴・内服歴など諸々の情報の共有・伝達が現場で行き渡っていることで、診断や治療をよりスムーズに進めていくことができます。

低カリウム血症や高カリウム血症になることを防ぐための食事指導も、有効に進めていくために、栄養士ら現場スタッフとの連携が求められます。日ごろから情報共有や連携が図れる現場づくりに取り組む姿勢が、ポイントになってくるのではないでしょうか。

患者「私の血管は一発じゃとれないわよ」というプレッシャー|看護師あるある【vol.24】

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患者血管
採血の時の「私の血管は一発じゃ取れないわよ」という患者さんからのプレッシャー、何なんでしょうか?

そんなプレッシャーをかけられたら、緊張するじゃないですか!緊張したら、思わず針先がぶれてしまったり、手に変な汗をかいて上手く採血できなかったりするし。

そんな変なプレッシャーをかけられても、お互い得することなんてないのに。それなら、「ここなら取りやすいわよ」とか良い血管の場所を教えてくれれば良いと思うのは私だけでしょうか。

そもそも、「私の血管は一発じゃ取れない」って、あなたの血管が脂肪に埋まっているから、駆血帯をしても、血管が浮き出てこないんじゃない!

それなら一発で採血できなくても、私の責任じゃなくて、患者さんの脂肪の責任ですよね?

尿失禁を呈する患者への看護目標・看護計画とケアのポイント

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尿失禁看護

自分の意志に関わりなく尿が漏れてしまう事で悩んでいるけれど、恥ずかしくて我慢しているという人が大勢います。特に比較的若い女性の場合など、家族にも言えず、医師に相談する事もできずに悩んでいるのが実情です。

尿失禁は何も高齢者特有のものでも、珍しいものでもありません。尿漏れの原因もその症状もさまざまで、放っておくと尿路感染症や、時には腎不全など他の疾患を起こしたりする身体的な面だけでなく、心理的・社会的にも大きな影響を及ぼす事になります。

家族が尿失禁の世話をしている高齢者の場合、本人だけでなく家族の生活にも影響が出てしまいます。尿失禁の予防も大切ですが、既に発症している場合も、速やかに診断を受けて対処する必要があります。

1、尿失禁とは

尿失禁とは、自分の意志とは関係なく尿が漏れてしまう事です。加えて、これにより社会的・衛生的に支障を生ずるものと定義付けられています。(日本泌尿器科学会による)

膀胱に250~300mlの尿が溜まると尿意を覚えますが、尿道括約筋が尿の出口をコントロールしていて、放尿できる状況になる(トイレに入って態勢が整う)と膀胱が収縮すると同時に、尿道括約筋が緩んで尿が出ます。このコントロールが効かなくなると、失禁が起きます。

尿失禁が女性に多いのは、男性に比べて尿道が短く、膀胱や尿道を支えている靭帯や骨盤底筋群が元々弱い上、妊娠・出産で負担が増えて益々弱くなるからです。また、排尿機構の異常だけでなく、ADL障害などから排尿がうまくできなくなることによる失禁もあります。

 

2、尿失禁の種類

尿失禁は、そのさまざまな症状から大きく4つに分けられます。検尿などの他に、膀胱や尿道の内圧、尿の流量や失禁量の測定など、さまざまなテストで特定されます。

 

2-1、腹圧性尿失禁

尿失禁で一番多いのは、咳やくしゃみをしたり、笑ったり急に立ち上がったり、重い荷物を持ったりして腹圧が急に上がった時に尿が漏れる腹圧性尿失禁です。尿失禁の70%を占め、実に女性の約4割が苦しんでいると言われています。

妊娠・出産による大きな負荷や、加齢による女性ホルモンの分泌量低下によって、骨盤底筋群が弱るためですが、肥満や便秘による腹腔内圧の上昇も骨盤底筋を弱めます。男性の場合には前立腺摘出術の後などに起こります。

腹圧性尿失禁

参照:腹圧性尿失禁とは? 排尿トラブル改善.com アステラス製薬株式会社

 

2-2、切迫性尿失禁

腹圧性失禁の次に多いのが切迫性尿失禁です。一旦尿意を催すと、すぐに排尿しないと漏らしてしまう症状を言います。我慢ができず、トイレに行くのが間に合わないため、頻繁にトイレへ行く事で失禁を免れている人もいます。

これといった原因も無しに、膀胱が勝手に収縮してしまう場合もありますが、排尿をコントロールする脳の指令が、脳硬塞脳内出血、脳腫瘍、その他パーキンソン症候群などによってうまく働かなくなったり、膀胱炎や尿道炎、男性の場合は前立腺肥大症などが原因の場合もあります。

 

2-3、溢流性(いつりゅうせい)尿失禁

直腸癌や子宮癌の手術の後や、前立腺肥大症や前立腺腫瘍、抗コリン剤やジソピラミドなどの薬剤投与の影響による排尿障害から起きる失禁です。排尿しようとしてもなかなか出てこず、時間をかけてちょろちょろしか出ないにも拘わらず、尿が溜まると少量ずつ漏れる症状です。

 

2―4、機能性尿失禁

尿道や膀胱の機能が正常なのに、トイレに間に合わずに尿が漏れてしまう症状です。知能障害や肉体的機能障害、精神的または環境的な障害が関連しています。水頭症やパーキンソン病、脳血管性障害による痴呆などの知能障害、種々の心理的不安による情緒障害、精神錯乱といった意識障害などから溢流性尿失禁の症状を呈することがあります。

また、身体的な原因として、認知症などによるADL障害や、関節リウマチや脳卒中の後遺症などによる運動機能の低下で、手足の自由が利かないなどが挙げられます。

これらの他にも、中枢神経の疾患や脊髄の損傷により、少量の尿が膀胱に溜まると、尿意が無いのに尿が漏れる反射性尿疾患や、尿道括約筋の完全損傷からほぼ連続的に尿を漏らす完全尿失禁と呼ばれるものもあります。

 

3、尿失禁患者への看護目標

尿失禁の患者の看護では、治療によって肉体的・衛生面的・社会的な症状を改善するのはもちろんですが、恥ずかしいという精神的な面でのサポートが非常に重要になります。

尿失禁の種類や症状によってさまざまな治療法があり、簡単な運動でほぼ完治するものから、薬物療法や手術が必要になるものまであります。

患者の命に直接係わる疾患ではありませんが、QOLに大きく影響を与えるので、本人や家族が気持ち良く生活できるようにするのが目標です。

 

3-1、尿失禁の看護計画

  • 尿失禁で入院する患者には、入院による環境の変化や種々の検査・治療処置や手術に対する不安に加えて、尿の匂いに対する恥ずかしさがあります。患者に症状の原因や治療法を丁寧に説明し、不安や恥ずかしさを取り除く事が大切です。
  • 尿失禁の患者の一般的な看護は、下記のようになります。
①   プライバシーを確保し、気兼ねなく排尿できるようにする。

②   精神的な状況を確かめ、心を安らげるようにする。

③   外陰部などの皮膚の状態を調べ、清潔度と発疹・発赤などの有無を確かめる。

④   自分で排尿できるかどうか確かめ、必要なら介助する。

⑤   失禁した場合は、遠慮せず速やかに援助を求めるよう指導する。

⑥   排尿時に痛みや違和感、残尿感が有るかどうかのチェック。

⑦   排尿の回数、尿の量や性状のチェック

⑧   失禁の程度や頻度、おむつや尿瓶・ポータブルトイレ・防水シートなどの必要性と使用状況のチェック。

⑨   日々の水分摂取・食欲・睡眠や活動状況のチェック。

 

腹圧性、切迫性、溢流性及び反射性尿失禁には、薬物療法を用いる場合があります。

 

■腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁が軽症で、比較的年齢層が若く、体力や根気がある患者の場合は、骨盤底筋群の訓練で症状が改善するので、下図のような骨盤底筋群の鍛え方を指導します。ただし、効果が出るまで2~3か月かかります。

骨盤底筋体操

参照:骨盤底筋体操 Urogyneネット

 

■切迫性尿失禁

切迫性尿失禁の場合は、骨盤底筋群の訓練に加えて膀胱訓練も有効です。一日1,200~1,600mlの水分を取り、トイレを我慢する時間を少しずつ伸ばしていきます。

 

■真性尿失禁

真性尿失禁の場合は尿路異常、膀胱膣ろう、尿道括約筋の麻痺や尿管異所開口などが原因であるため、尿路再建術が必要となります。

 

■機能性尿失禁

機能性尿失禁では、原因となる疾患や障害の治療が可能な場合と、完治は望めませんが適切なケアによって症状を改善できる場合があります。

 

テストの結果、失禁量が多い場合や尿失禁が日常生活に大きな影響を与えている場合は、手術で対処します。体への負担は少なく効果がありますが、通常の手術後の看護と同時に尿失禁の改善に関する看護も必要です。合併症の発症を防ぎ、早期回復ができるよう、下記に注意します。

・   痛みの部位や程度など

・   尿道バルンカテーテルが挿入されている場合、抜去や屈曲・逆流を防ぐようしっかり固定されていて、挿入部や周りが清潔に保たれていること

・   手術前後の排尿パターンの変化、尿の流出状態・量・性状など

・   残尿感がある場合は、自己導尿(下腹部を抑える)を指導

・   感染症による発熱・腎機能低下などの有無のチェック

 

3-2、尿失禁患者へのケア

尿失禁患者へのケアで大切なのは、失禁を減らす事や無くす事ではなく、できるだけ不快感を軽減して快適な生活を送れるようにする事です。

 

■ケアのポイント

①  失禁行為や尿の匂いは、本人に罪悪感や自責の念を招きやすいので、恥じる必要は無いと説明します。

②  手術をした場合でも、再発予防としての骨盤底筋訓練の大切さを説明し、症状が改善した後も生活習慣として継続するよう指導します。

③  失禁を恐れて水分を控えずに十分な水分を摂取した上で、夕食後の摂取は控えるように指導します。

④  原因が肥満の場合には体重コントロールを、便秘の場合はその改善を指導します。

⑤  定期的にトイレへ行く利点を説明し、習慣付けるようにします。必要ならトイレへ誘導し、排尿の時刻・量・性状などを記録する排尿日誌の利用も勧めます。

⑥  寝たきりの人でも、できればトイレで座って排尿するよう介助します。

⑦  尿漏れや下着の汚れの状態に注意し、陰部を清潔に保ち、必要ならおむつや下着の交換を介助します。

⑧  排尿しやすい下着や衣服の着用を指導します。

⑨  咳やくしゃみが出そうなときに、男性では陰部のつけ根を、女性では尿道口のあたりを押さえると失禁が防げる事を説明します。

 

特に機能性尿失禁の場合は、どうやって失禁を避けられたかなどに注目し、本人が成功を喜ぶように導きます。また、認知症などによるADL障害の場合は、本人にできることを探して、できるだけ本人が自分で排泄できるようにします。

 

まとめ

尿失禁は恥ずかしさが先立つので、診断や治療を求める段階では、既に長い間苦しんでいた可能性があります。患者の心を和らげ、症状の改善に専心できるよう手助けするのが看護のポイントです。

また、認知症などによるADL障害の場合は、家族の理解を求め、おむつなどの活用法なども指導して、本人も家族もできる限り快適な日常生活が送れるようにする事が重要です。

「転んだ」という事後報告。言うならすぐ言え、すぐ言わないなら最後まで言うな!|看護師あるある【vol.25】

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患者転倒転落
患者さんが転倒したら、骨折や脳内出血などのリスクを考えて、念のためすぐに医師に診察してもらって、必要ならレントゲンやCTの検査をしなくてはいけません。

でも、看護師の目が届かないところで転ぶと、患者さんが事後報告してくることがあるんですよね。「あ、看護師さん。ここ見てよ。この前転んで、ぶつけちゃってさぁ」膝の内出血を見せてきたり。

そんな2日前の転倒を今言われても困る。。。一応医師に報告しなければいけないし、しかも転倒があるとインシデントレポートを書かなくちゃいけないし。

1~2日経って何もなければ、特に大きな怪我ではないから、事後報告するくらいなら、正直なところ報告しないでほしい。だって、面倒なんですもん。

構音障害の看護|観察項目とコミュニケーションに関するケア・指導

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構音障害の看護

病気が原因で、言葉が不明瞭になったり、会話のリズムが乱れたりするのを「構音障害」といい、のどや呼吸器、舌、あご、唇など発語、発音器官が麻痺してスムーズに動かせなくなる運動機能の障害で、脳卒中(脳梗塞や脳出血)の後遺症が典型です。

脳卒中は日本人の死因の第4位を占め、一昔前より死亡率は下がっていますが、厚生労働省が2016年4月に発表した「平成26年(2014)患者調査の概況」によると、患者数は117万9000人で後遺症に悩む人が多いのが現状です。

歌手の西城秀樹さんは、「月刊文藝春秋」2016年12月号で自身の脳梗塞(ラクナ梗塞)の後起きた構音障害のため、「言葉がでにくく、うまくしゃべることができなくなった」という体験を語っています。

 

1、構音障害とは

言葉を作る機能は、肺から送られてきた呼気が声帯を通過する時に声帯を振動させる「発声」、のど(咽頭)から口、鼻までの空間の形を変化させる「共鳴」、そしてのどから唇、鼻の穴までの通路の形を狭めたり閉じたりしながら言語に変える「構音」に分かれます。

人体の器官でいえば、肺とのどが「発声器官」、声道(声帯から唇までの声の通る道)を取り巻くものが「構音器官」です。

構音障害は、その構音器官、あるいは発声器官の損傷や麻痺によって言葉がうまく話せない状態をいいます。脳卒中が原因となってその後遺症で、発声、構音器官のどこかに運動麻痺が残るとか、舌癌の治療で舌や口腔内の一部を切除したために起こる障害です。

構音障害の多くは、運動性構音障害であり、運動神経が麻痺して呂律が回りにくくなることが多いため、「運動性」を冠しているのです。

よく似た症状に失語症や音声障害(発声障害)があります。構音障害と音声障害は言語知識に問題はなく発声に関する筋肉、神経が障害された状態ですが、失語症は「大脳の病変」によって得た言語知識が障害された状態を指し、話す、書く、読む、聞く、の4つの側面すべてにおいて障害が現れます。

なお、以下のように失語症と構音障害は明確な違いが存在します。

 

言語障害
構音障害 失語症
・  発声に関する筋肉群の協調運動が障害され、正しい発音ができない

・  脳神経、小脳の障害により、構音の筋肉が障害を受けた可能性がある

・  大脳の言語中枢が障害され、言語の理解も、言語を発することも障害される

・  運動性失語、感覚性失語、全失語などいくつかの種類がある

共通点=コミュニケーション障害としてあらわれる

 

原因は異なりますが共通点としては、①言葉が不明瞭になる、②声の大きさや高さが一様となって発話が単調に聞こえる、③発話速度の変化やリズムの乱れが生じる、などがあります。

 

2、構音障害患者に対する看護目標

・  患者が、話す意欲を失わず、コミュニケーションに関する欲求不満を減らせるよう援助すること

・  リハビリの意欲がわくように努めること

 

看護師の仕事は、ほとんどのコミュニケーションを言葉で行います。構音障害の患者に対しても言葉で説明しようという思いが先走りがちで、患者の方はそれに対して「言いたいことがうまく伝わらない」という「もどかしさ」「ふがいなさ」「いらいら感」を感じることがよくあります。

脳卒中の後遺症の場合は、身体の不自由さも伴い、発症前には普通にできていた動作ができなくなり、日頃からストレスを感じやすくなっている上に、なにげない言葉であっても本人が傷つく内容、例えば励ますつもりで「しっかりして」と投げかけられると、患者は逆にますますストレスがかかってしまい、人との関わりを避ける方向になってしまう可能性が高くなります。

また、うつの亢進や、場合によると認知症を招くきっかけになる可能性もあります。そのため、構音障害患者に対して看護を行う場合には、ほかの疾病の看護とは違う側面があるということを知っておかねばなりません。

 

3、構音障害における観察項目

1、コミュニケーションの不自由さの程度を測る

・声の大きさ、強さはどの程度か、しっかりした話し方かどうか

・話し方の調子、発話速度や抑揚、リズムはどうか

・発する音の誤りがあるか。母音と子音でどのような傾向か

・全体として発話の明瞭度はどうか

2、 言葉を出す能力、受容に影響する身体障害、特に声帯の麻痺、口の奇形、変形や奇形の有無、程度。難聴かどうか視覚障害がないかどうか

3、 発話に伴うストレスがある様子かどうか

4、 会話だけでなく、他の人とのコミュニケーションの状態はどうか

 

構音障害が失語症と異なる点は、発語に障害に出ても言葉を聞いて理解することについては問題がないということです。そこを観察することで、失語症なのか、構音障害なのかを間接的に判断する材料にもなります。

 

4、構音障害患者への看護の取り組みと指導

基本的な対処方法として、患者自身が「喋りにくい」と感じている心情を理解してあげることが必要です。喋りにくいと訴える人の気持ちが、「気にする必要はない」という方向に傾くように支援します。

 

■短く、ゆっくり話してもらうように促す

患者が感じるほどには、周りはなんとも思っていないことを告げて、安心して話せる環境を作りましょう。

 

■姿勢を安定させて話してもらう

お腹から空気をゆっくり出すような姿勢をして声を出すと、本人が思っている以上に、声は大きくなります。そうなったら、「大きい声になった」、ということを患者本人にも告げてあげましょう。

 

■静かな環境のもとで話を聞く

テレビの音量を下げる、扉を閉めるなど、ゆっくりと話せる雰囲気を作ることで、患者自身の気持ちも落ち着きます。

 

■「イエス、ノー質問」を使う

言いたいことが話せない、と思っている患者に対しては「イエス、ノー質問」(質問して、「はい」「いいえ」だけを答えてもらう)を使って話題を絞っていきます。

 

■道具を用いた他のコミュニケーションの実践

重い症状の患者の場合は、他のコミュニケーション手段、例えば、ノートを使った筆談、五十音表などの文字盤を使って指を指して会話してもらいます。

 

※避ける方が良いこと

・  患者を「◯◯ちゃん」などと呼んで赤ちゃん、幼児扱いしてはいけません。自分が赤ん坊扱いされていると感じることでプライドを傷つけられ、落ち込んでしまいがちです。

・  分かったふりをしてはいけません。誤解につながり、あとあとにその間違いを引きずってしまいます。

 

5、構音障害のリハビリテーション

構音障害のリハビリの基本は、脳卒中(脳梗塞、脳出血)の再発の防止、日常生活での機能障害からの回復を通じて、生活の質(クオリティオブライフ)の向上を図ることにあります。

治療を始めてできるだけ早期に、看護師と理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士ら専門家によるチームを立ち上げリハビリを開始します。先の西条秀樹さんは、あごの筋トレ、舌のストレッチ、風船の膨らませの訓練を繰り返し「歌を取り戻した」と話しています。

看護師は、最も早い段階から患者と接しているわけなので、退院後のリハビリに協力してもらう役割の家族の状況も含め、詳しい説明が求められます。

 

5-1、リハビリの3つの段階

リハビリは、発症直後から3週間位までの「急性期」、病状安定後から3〜6か月程度までの「回復期」、それ以降の「維持期」の3段階に分けられます。

一般的には、急性期のリハビリは病院で、回復期のリハビリはリハビリ病棟や専門施設で行えれば良いのですが、地域によってはリハビリ施設の不足気味のとこもあります。患者家族とも協力して、適切なところを選ぶようにしたいところです。

 

■急性期リハビリ

急性期のリハビリは、病後の廃用症候群の予防が目的となります。廃用症候群は筋力が衰えたり、関節が固まることで、肺炎や認知症の二次的障害を起こすリスクも高まりますから、残存機能を活性化する必要があります。

一方、患者が体力的にも精神的にも不安定な時期なので、運動による血圧の急変を避ける必要もあります。医師やリハビリの専門家の指導のもと、慎重に行う必要があります。

 

■回復期リハビリ

回復期リハビリは、日常生活で必要な食事、歩行、排泄などの身体機能の回復に力点を置き、さまざまな訓練が行われます。脳梗塞を例にとると保険治療上、上限180日です(例外はあります)が、大部分の人はこの期間内に日常生活を営める程度に回復します。

 

■在宅リハビリ

回復期の日数を経過すれば、主に自宅を中心に身体的機能の維持が目的となります。一旦失った身体的機能は脳機能に原因がある場合、一度死んでしまった脳神経細胞自体は再生できないものの、リハビリを続けることで、その近くにある脳細胞が新しくネットワークを形づくり、ある程度まで肩代わりできることが分かってきています。

脳梗塞の場合、発症の時の症状と、障害の程度で後遺症からの回復がどの程度見込めるか、という「あるべきゴール」の目安がつきます。そのゴールを目指して、リハビリを行うことになります。

 

まとめ

構音障害は、脳卒中(脳梗塞や脳出血)の後遺症が典型です。患者にとっては、日頃、当たり前にできた会話が不自由になるのでストレスが高まります。看護に当たっては病状の観察とともに、患者がこのストレスにうまく対処できるように働きかけ、リハビリへの流れを作っていくことが必要です。

 

脳梗塞の看護|急性期と慢性期における看護計画とは

脳出血の急性期、慢性期におけるポイントと看護計画

自分は寝れてないのに患者さんに「良く眠れましたか?」|看護師あるある【vol.26】

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看護師は睡眠不足
夜勤中の朝、起床後の検温の時に、「おはようございます。よく眠れましたか?」と患者さん1人1人にテンプレのように尋ねますが、そんな自分は一晩寝ずに働いているので、眠くて眠くて仕方がない状態。

「ちょっとでも気を抜くと、立ったままでも眠れます」状態の看護師がフラフラしながら、笑顔で患者さんに「眠れました?」と聞くのって、なんか変ですよね。

しかも、患者さんが「いや~、なんか眠れなくてね~。」なんて言っているのを聞くと、「あなた、夜にいびきかきながら、熟睡していたじゃない!こっちは、働いていたから寝てないのよ!!!」と少しだけ殺意が湧くことも。人間、寝ていないとちょっとしたことにイラッとしちゃいますから。


指導者に見られると、緊張から測定があやふやになる|看護師あるある【vol.27】

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看護師指導者
新人看護師の頃は、血圧測定や採血の時など、後ろにプリセプターや指導者が立っているだけで、異常に緊張してしませんか?

いつもはスムーズにできることでも、後ろに立っているというプレッシャーや威圧感を感じるだけで、動悸や息切れがするんです。変な汗をかいてしまうことも。

血圧を測る時なんて、ゴム球のバルブを緩めすぎて、空気がとんでもなく早く抜けてしまって、全然血圧が測れなかったり、採血は針先がぶれて、血管に刺さらなかったり。。。

失敗すると、後ろからの威圧感が増し、さらに緊張して、また失敗。新人時代にこんな悪循環に陥ったことは、誰にでもあるはず!

プリセプターや指導者のあの威圧感って何なんでしょうか?

なんやかんや患者とお別れするときは寂しい|看護師あるある【vol.28】

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看護師と患者
患者さんが退院する時は、看護師にとって一番嬉しい時。特に、自分が中心になって受け持った患者さんが、元気に退院していくのを見ると、看護師としてのやりがいを感じます。

その患者さんが、食事制限や就寝時間を守らないようなちょっと面倒な患者さんだったりすると、「ようやく退院かぁ~。」なんて、ちょっとせいせいしたりすることもあります。

「やっとあの面倒な患者さん、明日で退院だよ~。」と、ナースステーションで噂話することも。

でも、実際に退院する姿を見送る時は、ちょっとだけ寂しさを感じるんです。元気になったのは嬉しいし、面倒がなくなるからせいせいするけど、でもなんだか寂しい。退院する患者さんを見送る時は、なんだか複雑な気分になるんです。

髄膜炎の看護|発症機序と種類、患者に対する予防・観察・ケア

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髄膜炎看護

髄膜への感染によって引き起こされる髄膜炎には、さまざまな発症のきっかけがあり、予防策の徹底や迅速な診断が特に求められる病態です。発症機序や症状の種類を把握した上で、看護の現場では患者の状態に合わせた観察やケア、感染予防策を進めていくことが肝心です。

 

1、髄膜炎とは

脳やせき髄の周囲にある被膜で炎症が発生した場合、脳炎のほか、髄膜炎といった病態が引き起こされる可能性があります。髄膜は脳や脊髄を包んでいる膜で、髄膜炎は髄膜に細菌やウイルスが感染して発症します。細菌が原因の場合を細菌性髄膜炎、ウイルスや真菌、結核など特定するのが難しい細菌が原因となる場合を無菌性髄膜炎と言います。

診断には、腰椎穿刺が用いられます。針を使って採った髄液の中に、リンパ球が増えているかどうかを調べる方法です。髄膜炎は致死的であったり、重い後遺症を残すケースもあり、速やかに発見や適切な処置が施されることがポイントとなります。

 

2、髄膜炎の症状

髄膜炎の症状としては、発熱や頭痛、嘔吐、けいれんなどが挙げられます。項部硬直もみられます。これは、首周りの筋肉が硬くなり、首を曲げたり伸ばしたりする動作ができにくくなったり、曲げようとするとひどく頭が痛くなったりする症状として現れます。

最初は発熱の症状から現れ、炎症が髄膜に及ぶ段階に入ると、頭痛も発生します。頭重感や軽いめまい感が出る場合もあります。

髄膜炎の症状

出典:無菌性髄膜炎(ウィルス性髄膜炎) 町医者の「家庭の医学」みやけ内科・循環器科

 

3、髄膜炎の種類と発症に至る経緯

髄膜炎を発症するまでのプロセスはさまざまあり、また種類も多岐に渡ります。以下に例を挙げてみます。

 

■髄膜炎菌性髄膜炎

敗血症などさまざまな感染症の原因となる髄膜炎菌は本来病原性も低く、髄膜炎菌性の髄膜炎は近年の国内での報告例はわずかです。髄膜炎菌は飛沫感染のほか、口腔と口腔の接触や性行為によって伝播されるとも言われています。髄膜炎菌感染症の患者と濃厚に接触した人に対しては伝播の危険性が高く、抗菌薬による予防投与がすすめられます。

 

■小児細菌性髄膜炎

小児細菌性髄膜炎の原因としては、インフルエンザ菌b型(ヒブ菌)、肺炎球菌、B群溶連菌、大腸菌などが挙げられます。この中で感染経路としても大きな割合を示すヒブ菌は、乳幼児が感染しても抗体ができないため、感染を繰り返したり、発育障害や聴力障害、てんかんといった後遺症を残す可能性が指摘されており、世界各国でワクチンが導入されています。

 

■無菌性髄膜炎

無菌性髄膜炎に関しては、病原体によって感染経路は接触、飛沫、食物など一般媒介物や媒介動物を介したルートが存在します。成人の場合、膠原病など非感染性疾患からも、無菌性髄膜炎を引き起こすケースがあります。また、ムンプスウイルスによって起こる流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の合併症として発症することもあります。

 

■癌性髄膜炎

腫瘍細胞が脳脊髄液を介して脳室内や脳槽内に進展・浸潤したケースは、癌性髄膜炎と言われます。癌性髄膜炎は、原発性脳腫瘍が理由で発症する場合もあれば、他の原病巣からの転移性による場合もあります。

 

■細菌性髄膜炎(術後)

術後の感染性合併症などとして、細菌性髄膜炎が挙げられるケースも見受けられます。髄膜炎と術後合併症の関係性を挙げれば、例えば聴神経腫瘍摘出術で発生し得る合併症の一つとして髄液耳漏、髄液鼻漏が生じる可能性があり、髄液漏が自然に閉鎖されずに感染を起こすと髄膜炎の発生にもつながります。

 

このように髄膜炎を発症するにはさまざまなプロセスが考えらえます。髄膜炎の治療には一般的に抗生物質などを使った対処療法が実施されますが、起因病原体によって異なります。

 

4、髄膜炎と看護

髄膜炎を罹患している患者、髄膜炎と疑われる患者と接触するケースもさまざまな場面が想定されます。いくつかのケースに分けて、髄膜炎と看護に関わるポイントとなる事柄をピックアップしてみましょう。

 

■感染予防

髄膜炎菌など飛沫による感染が想定されるケースでは、病原体を含む患者のせきやくしゃみなどの飛沫が他者の結膜や粘膜に付着することを防ぐため、該当患者は個室対応としたり、室外に出る時にサージカルマスクを着用してもらうなどの対策を講じることが重要です。該当患者を看護する際にはサージカルマスクを着用し、後で手洗いや手指消毒をするようにしましょう。

無菌性髄膜炎の場合も、症状が軽くなってからも患者がウイルスを便中に排せつする可能性があり、感染予防のために手洗いを徹底するなどの対応が重要となってきます。

 

■症状の変化に注目

初期の段階での細菌性髄膜炎は風邪の症状と似ており、直ちに髄液検査に移行する可能性も低いため、診断が難しいという点が指摘されています。特に赤ちゃんの場合、頭痛があっても症状を訴えることができないため、不機嫌、哺乳不良、顔色不良といった症状となって出てきたりします。発熱を伴う子供の病気も多く、熱があっても細菌性髄膜炎によるものかどうか、直ちに見分けるのは困難と言えるでしょう。

ですが、風邪のような症状や不機嫌、顔色不良を抱えていた赤ちゃんが数時間あるいは数日経ってからぐったりとしたり、けいれんを起こしている…といった場合、髄膜炎を大きく疑う余地が出てきます。そのため、このような状況の赤ちゃんが来院した際には、症状の変化をしっかりと観察・把握していることがポイントとなります。

「いつ、どのような症状が出ていたか」といった情報を、医師などスタッフ間で常に共有できているような現場作りを進めていくことも、重要なカギとなってくるでしょう。

 

■ドレナージ器具の徹底管理

術後のくも膜下血腫除去などのために採用される脳槽ドレナージのドレーンの管理には、厳重な注意が必要です。ドレーンを無菌操作できるように注意していなければ、細菌による汚染を許すことになり、操作した際に髄膜炎を引き起こすことにつながる危険性が発生するためです。

日ごろから医療器具の管理徹底を心がけることが重要なのはもちろんですが、特にドレーンの管理不全が重症な髄膜炎につながってしまうことになれば一大事ですので、厳密な管理体制が要されます。

 

■予後のケア

髄膜炎には、厳しい予後が控えるケースも考えられます。わずかな変化を見逃さないように患者の状態を細かく観察したり、精神的なケアなども含め、予後の改善に貢献できるような対応を心がけることも、ポイントとなるでしょう。

 

まとめ

看護の現場でも髄膜炎を起こした患者に直接対応するだけでなく、予防を意識した器具管理や観察などの行動を起こす場面は、多彩に存在すると考えられます。髄膜炎は起因病原体も多種多様で多くの感染ルートが想定されることや、初期症状からは速やかに診断がつきにくいという点からも、発症が疑われる患者に対しては、病歴の確認や状態観察にこと細かく努める姿勢が重要となってきます。

髄膜炎の発症が診断された場合、感染予防や予後のケアなどに現場スタッフが連携して十分に取り組めるように、看護体制の整った環境が求められます。

血圧再測定の値が変とイチャモンつける患者|看護師あるある【vol.29】

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看護師血圧
高血圧の患者さんの血圧を測った時、「150/94ですね」のように測定結果を伝えると、「家ではそんなに高くなかった!」と言い訳してくる患者さんは多いですよね。

言い訳してくるだけなら良いんですが、「血圧計が壊れているだ」とか「あんたの測り方がおかしいんだろう!」といちゃもんをつけてくる面倒な患者さんもいます。

高血圧の患者さんは、血圧を測る時に緊張するので、血圧が普段よりも高くなるのは分かるんですけどね。

いちゃもんをつけてくる患者さんには、「じゃあ、もう一度測ってみましょうか」ともう1回測るようにしています。

でも、たいていは2回目の方がさらに血圧が高くなっているんですよね。だって、患者さんは「また血圧高かったらどうしよう?」とさらに緊張しているんですから。

乳がんの看護|術前・術後・終末期における乳がん患者への看護計画

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乳がん看護

乳がんは日本人の女性の部位別がんの発症数第1位です。1年間に9万人近くの人が乳がんに罹患し、1万3000人以上の人が乳がんで亡くなっています。

乳がんの患者に質の高い看護を提供できるように、乳がんの基礎知識や乳がんの看護計画を確認しておきましょう。また、乳がん看護を深めていくために認定看護師になる方法やスキルアップのための看護セミナーの情報をまとめています。

 

1、乳がんとは

乳がんとは、乳房の乳腺に発生するがんのことです。乳房には乳腺組織と脂肪組織がありますが、脂肪組織からはがんは発生しませんので、「乳がん=乳腺のがん」になります。

乳がんについて

出典:乳がんについて | ライブラリー 社会医療法人博愛会【鹿児島】相良病院

 

乳がんはがんの広がりや特徴によって、3つの種類に分けることができます。

 

■非浸潤がん

非浸潤がんは、乳管や小葉の中だけにがん細胞がとどまっていて、それ以外にはまだ広がりを見せていないがんのことです。非浸潤がんは乳がんの中でも早期のがんで、転移などは起こしていないため、この段階で治療をして、手術を行えば完治します。

非浸潤がんはマンモグラフィーや超音波などのがん検診で発見されたり、乳頭からの血性分泌物で発見されることがほとんどです。乳がん全体の5~20%程度を占めます。

 

■浸潤がん

浸潤がんは、がん細胞が乳管や小葉の外にまで広がった状態のがんです。乳がんは胸のしこりで発見されることが多い傾向にありますが、しこりで発見される乳がんのほとんどが、この浸潤がんになります。浸潤がんはリンパ節転移を起こします。

 

■パジェット病

パジェット病は乳頭のびらんで発見される乳がんです。がん細胞が乳管を通って表皮に達したために乳頭にびらんが起こります。パジェット病は乳がん全体の1%未満しかありません。

 

乳がんの治療は手術療法、化学療法、内分泌療法、放射線療法の4つがありますが、手術療法を基本として、乳がんの種類や進行度に応じて治療法が選択されます。

 

2、乳がんの看護計画

乳がん患者は、がんになってしまったという恐怖や不安と共に、女性のシンボルともいえる乳房を失うことで、ボディイメージが変化するという恐怖や不安を抱えています。そのため、身体的な問題への看護だけでなく、精神的な看護がとても重要になります。

 

2-1、術前の看護計画

術前の乳がんの看護計画は、乳がんという病気や手術への不安の軽減、手術後の肺合併症の予防、身体的苦痛の緩和、家族の不安という4つの看護問題に沿って看護計画を立てます。

 

①疾患や手術に対する不安や恐怖の軽減

看護師は患者に対して、疾患や手術の情報提供を十分に行い、必要であれば、医師からの説明を何度でも受けられるように調整する必要があります。また、常に受容的な態度で接することで、患者さんが術前の不安を表出できるように心がけていきます。

 

②手術後の肺合併症の予防

乳がんの手術後は、創部の痛みや術後の圧迫、麻酔後の気道内分泌物の増加から、術後肺炎や無気肺などの肺合併症などを起こしやすいので、腹式呼吸やトリフローを用いた呼吸訓練や排痰訓練、禁煙指導などを行います。

 

③身体的苦痛の緩和

皮膚への浸潤やリンパ節への転移などによって、身体的な苦痛があること、疾患や手術への不安による食欲低下や無気力が起こることで体力の低下が起こり、手術までに全身状態が整えられないという問題が起こります。

身体的苦痛を緩和するために、全身状態の観察や鎮痛剤の使用、ADL介助による苦痛の軽減などのケアを行うと同時に、気分転換を促して不安を軽減できるように援助する必要があります。

 

④家族の不安

乳がん患者の家族は、乳がんへの不安や家族の役割の変化への不安、経済的な不安などを抱えているので、家族にも情報提供を行い、積極的にコミュニケーションをとって、不安の表出を促す必要があります。

 

2-2、術後の看護計画

乳がんの術後は、術式によって患者さんの状態が変わってきますが、基本的には術後の管理と精神的なサポートに重点を置いて看護を行います。

 

①全身管理

乳がんの手術は全身麻酔下で行いますので、全身麻酔後の全身管理を行います。

 

②呼吸の管理

乳がんの手術後は疼痛や麻酔後の影響、創部の圧迫などで肺合併症が起こりやすいので、疼痛コントロールを行いながら、痰の喀出や腹式呼吸などを促します。

 

③疼痛コントロール

術後の疼痛は呼吸抑制が起こったり、心血管系への負担をかけることになりますので、痛みのアセスメントをして、疼痛コントロールをする必要があります。

 

④創部やドレーンの管理

術後はドレーンからの排液量や性状を確認しつつ、創部感染が起こらないように観察します。また、創部周辺は皮膚トラブルが起こりやすいので、皮膚トラブル予防のためのケアも行います。

 

⑤患側上肢の保護

患側の上司は挙上制限・運動制限があることが多いので、患者さん本人にきちんと説明すると同時に、患側上肢への点滴や血圧測定は行わないように注意します。

 

⑥精神的なケア

女性のシンボルである乳房を切除した場合、患者さん本人の精神的なショックは計り知れないほど大きいので、少しずつそれを受容できるようなケアが必要になります。

 

2-3、末期の看護計画

乳がんの末期の看護計画は、終末期における患者さんの苦痛を緩和させることに重点を置いた看護計画を立てます。乳がんの末期になると、身体的苦痛、精神的苦痛、社会的苦痛、霊的苦痛(スピリチュアルペイン)の4つの苦痛が生じてきます。

乳がんの末期の看護計画

出典:2 ガイドラインを理解するための基礎知識 – JSCCR | 大腸癌研究会

 

患者さんが苦痛や不安を表出できるように受容的な態度で接しながら、情報収集を行い、アセスメントをして、苦痛を1つ1つ緩和させるケアを行っていきます。

終末期の患者・家族に対する看護計画と適切なケアの実施

 

3、乳がん看護認定看護師について

乳がん看護認定看護師は、乳がんの予防から終末期に至るまでの患者と家族のQOL向上のために、質の高い看護を提供できる看護師のことで、乳がん看護のプロと認められた看護師と言えるでしょう。

乳がん看護認定看護師になるためには、看護師免許を取得して、臨床経験が5年(うち乳がん看護の経験が3年以上)あり、さらに次の条件を満たす必要があります。

 

1.         通算 3 年以上、乳がん患者の多い病棟または外来等での看護実績を有すること。

2.         乳がん患者の看護を 5 例以上担当した実績を有すること。

3.         現在、乳がん患者の看護に携わっていることが望ましい。

 

この条件を満たして、認定看護師の教育機関の入学試験に合格し、6ヶ月以上の総時間数615時間(+45時間)の研修を受けて、認定試験に合格する必要があります。

乳がん看護認定看護師は5年ごとに更新が必要になります。更新が認められるためには、5年間で看護実践時間が2000時間以上に達していて、学会や研究会への参加や発表等の研究実績が一定以上(50点以上)あることが条件になります。

 

4、乳がんの看護セミナーや研修について

乳がん看護をもっと専門的に学びたい、将来的に乳がん看護認定看護師の資格を取得したいという方は、院内の乳がん看護に関する研修に参加するのも良いのですが、外部の看護セミナーや研修会に積極的に参加しましょう。

日本乳がん看護研究会では、乳がん看護Webセミナーや年に1回の総会(日本乳がん看護研究会)が開かれていて、最新の乳がん看護を学ぶことができます。また、日本がん看護学会特別関心活動グループ(SIG)に乳がん看護のグループがありますので、そこに参加することで、交流集会や情報交換会に参加できます。

このほか、民間企業が主催している乳がんの看護セミナーもありますので、乳がん看護を学びたい方は、外部の看護セミナーや研修会に積極的に参加することをおすすめします。

 

まとめ

乳がんは女性にとってのシンボルである乳房を切除しなければいけないこともありますので、一般的ながん看護に加えて、ボディイメージの変容を受け入れられるような精神的なケアも重要になります。

乳がん看護を専門にしたいなら乳がん看護認定看護師の資格を取得したり、日本乳がん看護研究会のセミナーに参加するなど外部の看護セミナーや研修会に参加すると良いでしょう。

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