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口腔ケアの看護手順とケアのポイント

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口腔ケア

口腔ケアは、患者さんのQOLを保つ上でも重要なものです。口腔内に汚れがたまっていると、不快に感じるだけでなく、食欲低下を引き起こしたり、感染症の原因になったりしてしまいます。

また、口腔ケアは、日々の看護ケアの中でも、行う機会の多いものであり、技術に対して「慣れ」が出やすいもののひとつです。

 

基本をしっかり振り返って身につけて、患者さんのQOLの維持・向上を目指していきましょう。

 

 

1、口腔ケアとは

 

口腔ケアは、患者さんの口腔内の清潔を保つために行われる看護ケアです。ただ汚れを取るだけが目的ではありません。きちんとした手技で行われるかどうかで、患者さんの将来の健康や生活にも大きく関わってきます。

 

口腔内の汚れがたまると、食欲低下につながったり、誤嚥性肺炎の原因になるなど、患者さんのQOLを下げてしまう可能性もあります。

 

 

2、口腔ケアを行う目的

 

口腔ケアを行う目的は多岐に渡りますが、主に以下の3つになります。

 

2−1、清潔維持

 

まず目的としてあげられるのは、口腔内の清潔の維持です。自分で歯磨きをすることができない患者さん(上肢に障害のある人や、意識のない人、認知に障害のある人など)は、看護師が介入して、口腔ケアを行っていく必要があります。

 

経管栄養や中心静脈栄養などを行っていて食事を口から摂取することができない人でも、口腔ケアは必要です。食物を咀嚼することがなくなると、唾液の分泌が減るため、かえって汚れやすい状態になるためです。定期的に口腔ケアを行うことで、汚れを取り、清潔な状態を保つことが重要です。

 

2−2、感染予防

 

高齢者や、経口で食事摂取を行えない患者などは、嚥下機能が徐々に弱くなってきます。嚥下機能が弱くなってくると、唾液や食物を誤嚥してしまい、誤嚥性肺炎を起こすことがあります。誤嚥性肺炎は、気づかないうちに唾液を誤嚥してしまうこと(不顕性誤嚥)でも起こってしまう可能性があります。

 

誤嚥性肺炎を予防するためには、定期的な口腔ケアで細菌の増殖を抑えることが重要になってきます。

 

2−3、口腔内のリハビリ

 

ただ清潔にするだけが、口腔ケアの効用ではありません。口腔ケアを行うことで、口腔内を刺激することによって、嚥下機能を維持・向上するためのリハビリにつながります。

 

歯ブラシで舌の縁や表面などを軽く叩いたり、舌を下方に押さえつけることで、感覚を刺戟したり、筋力アップをしたりすることができます。

 

むせやすい患者や、嚥下機能が弱くなってきている患者は、誤嚥を起こしやすくなります。そのような患者は特に、刺激を与えて嚥下機能の低下を予防していくことが重要です。

 

 

3、口腔ケアに関する看護研究の例

 

口腔ケアは身近な看護ケアであることから、様々な視点や事例で看護研究が行われています。

 

〈タイトル例〉

・誤嚥性肺炎予防における口腔ケアの効果

・特別養護老人ホーム入所者における歯肉炎の改善に関する研究

・脳血管障害後遺症患者を対象に保湿ジェルを用いた口腔ケア介入による気道感染症予防効果の検討

(日本老年医学会雑誌よりタイトルを抜粋)

 

研究事例の多さから、口腔ケアがいかに重要かがわかると思います。口腔ケアの方法に迷ったときや、似た事例に対する口腔ケアのアプローチ方法、口腔ケアによる看護の成果など、参考になる部分も多いでしょう。これらの文献をもとにケア方法を考えることも、ひとつの有用な方法かもしれません。

 

 

4、口腔ケアを行うための看護計画立案のポイント

 

患者に対し、看護師が口腔ケアを行う必要性があるのかどうか、必要性があるならば、どのようなケアが必要かをアセスメントしていきます。

 

〈口腔ケアの対象となる患者〉

 

・自力での口腔ケアが難しい患者

・意識のない患者

 

〈計画立案時に注意するポイント〉

 

・口腔ケア時、上体を起こした姿勢を保てるか

・咳嗽が可能か

・義歯を使用しているか

 

以上の点に注意しながら、使用物品やケア方法を選択します。

 

 

5、患者の特性に応じた口腔ケアのポイント

 

上記で挙げたポイントに基づき計画計画を立案し、ケアを行っていきます。

 

5−1、咳嗽ができる患者の場合

 

自力で咳嗽が行える患者の場合は、こちらで歯ブラシなどを用いてケアを行った後、自分で咳嗽を行ってもらいます。

 

上体を起こした姿勢を保てる場合は洗面台を使っても良いでしょう。上体を起こした姿勢が保てない場合や、洗面台までの移動が難しい場合は、ガーグルベースンを用いて咳嗽を行います。

 

5−2、咳嗽ができない患者の場合

 

咳嗽ができない場合、多量の水を口腔内に流し込むことは危険です。適宜、水分を吸引をしながら行い、水が流れて誤嚥を起こさないように注意をしなければなりません。

吸引を行わない場合は、スポンジブラシやガーゼを使用したりして、あまり多くの水を使わなくても汚れをとれるよう工夫することが必要です。

 

自力で開口できない場合は、バイトブロックを使うことも有効です。口腔内に触れることに抵抗をする患者は、ケアをする看護師の手や歯ブラシなどの道具をを噛まれてしまうこともあるので、バイトブロックを活用して、安全にケアを行いましょう。

 

5−3、義歯のある患者の場合

 

義歯を自分で外せる場合は、患者に外してもらいます。自力で外せない場合は、こちらで外しましょう。

 

義歯を外した後、義歯は汚れをガーゼなどで落として水で流します。ブラシで擦ることは、傷の原因になるため避けましょう。

口腔内は、上記と同じように、患者の特性に応じた口腔ケアを行っていきます。残歯がある場合は、ブラシでしっかりと磨き、残歯がない場合は、歯肉を傷つけないようにガーゼなどを用いると良いでしょう。口腔ケアが終わったら、義歯を元通りに装着して、終了です。

 

夜間に義歯を外しておく場合は、しっかりと汚れを落とした後に、水か義歯洗浄剤に浸けておきましょう。乾いた状態で置いておくと、義歯の破損の原因になりますので、注意が必要です。

 

 

まとめ

 

口腔ケアは、日常的に行われる看護ケアのひとつです。簡単なケアに見えますが、その効用は大きく、患者さんの生活に大きな影響を与えます。

 

また、口腔ケアは看護師が行うだけでなく、自宅で家族が行うことも今後さらに増えてくるでしょう。家族へ指導をする際にも、基本を知っておくことはとても重要です。

 

患者さんの状態に合わせて適切なケアを行えるよう、十分なアセスメントを行って、ケアに臨みましょう。


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