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基本的日常生活動作能力(BADL)とは|評価方法やIADL違いを解説

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あなたは毎日の看護の中で、患者や施設利用者の基本的日常生活動作能力(BADL)を考慮していますか?BADLは1人1人違います。特に、高齢者の看護をする時にはBADLを考慮して看護をしないと、安全な看護ができません。また、患者や施設利用者のセルフケアの自立を促すこともできません。

安全かつセルフケアの自立を促す看護をするためにも、基本的日常生活(BADL)について正しい知識を持ち、きちんと評価できるようになって、実際の看護に活かしていきましょう。

 

1、基本的日常生活動作能力(BADL)とは

基本的日常生活動作能力(Basic Activities of Daily Living=BADL)は、日常生活を送る上で必要最低限の動作がどの程度できるかを表すものです。「基本的日常生活動作能力」のほかに、「基本的日常生活動作」や「BADL」と呼ぶこともあります。

BADLは以下のような動作を指します。

・起居動作(立ち上がり、ベッドからの起き上がり、座位の保持など)

・移動(歩行、階段の昇り降りなど)

・入浴(一人で入浴し、身体の清潔を保つ)

・食事(自分で食事ができるか、嚥下の状況)

・排泄(トイレに行って排泄できるか、オムツ等の使用の必要性)

・更衣(服を自分で着替えられる)

・整容(身だしなみを整えられる)
これらの動作は日常生活を送る上で必要不可欠なものであり、これらの中の1つでも、自力でできなければ、介護が必要な状態になります。

 

1-1、BADLは狭義のADL

これらのBADLの項目を見て気づいた人も多いと思いますが、BADLは一般的にADL(日常生活動作)と同じと考えて良いです。

ADL(日常生活動作=Activities of Daily Living)は、厳密には次の2つに分けることができます。

・BADL=基本的日常生活動作能力

・IADL=手段的日常生活動作能力

ただ、一般的にはADL=BADLとして認識されています。狭義のADLがBADLと言って良いでしょう。

 

1-2、糖尿病患者はBADLが低下しやすい

特に、糖尿病患者の看護をする時にはBADLに留意するようにしましょう。糖尿病患者の場合、BADLが1.82倍低下しやすい(IADLは1.65倍)というデータがあります。1

また、6年間糖尿病患者を追跡した調査では、6年間でBADLは13.6%低下し、特に男性はBADLが低下しやすい2という結果が出ています。

糖尿病患者はBADLが低下しやすいことを念頭に置いて、BADLを評価し、それに基づいて看護するようにしてください。

 

2、BADLの評価方法

BADLを評価する方法はいろいろありますが、日本では主に次の2つが用いられています。

・Barthel Index(バーセル指数・バーセルインデックス)

・FIM(機能的自立度評価表(Functional Independence Measure))

バーセル指数は「できる能力」を評価するのに対し、FIMは「している能力」を評価するという違いがあります。

 

■バーセル指数

引用:ADL低下(日常生活動作) | 健康長寿ネット

バーセル指数はBADLの能力を評価するテストです。食事・車椅子とベッド間の移乗・整容・トイレ動作・入浴・歩行・階段昇降・更衣・排便コントロール・排尿コントロールの10項目に分かれていて、自立度に応じて15・10・5・0点で採点します。満点で100点、最低点は0点です。点数が高いほど、自立度が高いことを表します。

 

■FIM(機能的自立度評価表)

FIMは「しているADL」を評価し、介助量測定を目的としたBADLの評価方法です。セルフケア6項目、排泄2項目、移乗3項目、移動2項目、コミュニケーション2項目、社会的認知3項目の合計18項目から構成されています。

項目ごとに完全自立~完全介助まで7段階に分けて、1~7点で採点します。最高点が128点で最低点は18点です。

 

このバーセル指数とFIM以外にも、Katz Index(カッツインデックス)やDASC-21(ダスク21)などが評価に用いられることもあります。

バーセル指数とFIMについては、「ADLの評価をする目的とは?BIとFMIの最低2つは覚えよう」でより詳しく説明しています。

 

2-1、BADLの評価と看護

看護師がBADLをきちんと評価することは、毎日の看護を行う上で非常に重要です。

 

■同じ指標で患者を評価できる

患者は疾患によって、関節拘縮や可動域の制限、麻痺の有無などが出てきます。

疾患による障害の違いはあっても、BADLという視点で見ることで、同じ指標で患者を評価することができ、セルフケア不足などの看護計画に活かすことができます。

 

■看護目標を定めやすくなる

BADLを評価することで、今の患者さんの状態・セルフケア能力を客観的に知ることができます。

そして、BADLの評価データが積み重なることで、「この疾患のこの時期に、このBADLなら、看護やリハによってこの程度は回復する」ということがわかってきます。そのため、看護目標をどこに設定すべきかが分かるようになるのです。

 

■連携・情報共有がしやすくなる

説明したように、BADLの評価方法は限られています。日本ではBarthel IndexかFIMが主に使われています。ということは、院内・施設内だけでなく、日本全国でどこでも同じ指標を用いて、BADLを評価しているということです。

同じ指標を用いてBADLを評価していれば、転棟・転院、施設への入所の時でも看護師やリハ職、ケアマネージャーと連携が簡単であり、患者さんの情報を的確に情報共有できるのです。

正しくBADLを評価できるようにするために、まずはあなたの職場ではどの評価方法を使っているかを確認し、それについて勉強しておきましょう。そうすることで、より良い看護ができるようになります。

 

3、BADLとIADLとの違い

引用:令和元年7月17日 日常生活動作(ADL)について院内勉強会を開催しました。|明石市でリハビリテーション|阪田整形外科リハビリクリニック

 

ADLは厳密には次の2つに分けることができます。

・BADL(基本的日常生活動作能力)

・IADL(手段的日常生活動作能力)

BADLとIADLとの違いを確認しておきましょう・。

BADLは狭義のADLであり、日常生活を送る上で最低限必要な能力のことで、移動・入浴・食事・整容・排泄などがあります。

それに対して、IADLは手段的日常生活動作能力であり、BADLの次の段階のADLを意味します。IADLの具体例には、次のようなものがあります。

・買い物

・食事の準備

・洗濯

・掃除

・服薬管理

・金銭管理

・スケジュール管理や調整

・交通機関を使っての外出

・電話での応対

IADLはBADLに比べて、より複雑で多くの動作・能力が必要とされる日常生活動作になります。

IADLの評価方法には、次の3つあります。

・ロートンの尺度

・老研式活動能力指標

・DASC-21

この3つの中で最もよく用いられるのが、ロートンの尺度です。

ロートンの尺度は電話を使用する能力・買い物・食事の準備・家事・洗濯・移送の形式・自分の服薬管理・財産取り扱い能力の8つの項目(男性は食事の準備、家事、洗濯を除く5項目)に分けて、自立度を評価します。

まず基礎の部分にBADLがあり、その上にIADLがあると考えて良いでしょう。

 

まとめ

BADL(基礎的日常生活動作能力)の意味や評価方法について、BADLとIADLとの違いをまとめました。BADLを正しく評価することは、安全で1人1人に合わせた看護をする上で非常に重要なことです。

BADLは看護やリハビリのほかに、装具の使用などで向上させることができます。看護師はBADLを考慮して、安全で適切な看護を行っていくようにしましょう。

 

<参考文献>

1)ADLの評価法 | 高齢者診療におけるお役立ちツール | 社団法人 日本老年医学会

2)櫻井孝「4.ADL 低下のリスクと対応策」第 54 回日本老年医学会学術集会記録(日老医誌 2013;50:60―64)

ADL・IADLの着眼点「認知症高齢者の基本的理解」高知市

「ADL評価法について」頚椎症の症状に関する 腕と手指の リハビリテーションについて|鳥取市立病院

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