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高血糖の看護|基礎知識や原因・症状と6つの看護のポイント

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高血糖というと、糖尿病を思い浮べる人が多いと思います。確かに、糖尿病は高血糖の原因の1つですが、それ以外にも高血糖になる原因はあります。

糖尿病内科以外でも、高血糖の患者の看護をする機会はたくさんありますので、診療科に関係なく、看護師なら高血糖の適切な看護ができるようにしておきましょう。高血糖の基礎知識や症状、看護のポイントなどをまとめましたので、実際の看護の参考にしてください。

 

1、高血糖とは

引用:保健指導室だより Vol.8 2012.11 | 健康管理センター|社会医療法人明陽会

高血糖とは、血糖値が高い状態のことです。血液中のグルコース濃度が生理的な範囲を超えて過剰に高いと高血糖になります。

健康な人でも食後は血糖値が上がりますが、インスリンが分泌されることで血糖値は正常値まで下がります。それに対し、糖尿病の人は血糖値が下がらず、高血糖の状態が続きます。食後高血糖の人は食後に一気に血糖値が上がり、下がりにくいことが特徴です。

厚生労働省が定めるメタボリックシンドロームの診断基準では、空腹時血糖が110mg/dl以上を高血糖と定義しています。1

 

1-1、高血糖になる原因

高血糖になる原因で真っ先に思い浮かぶのは糖尿病です。糖尿病はインスリンが十分に働かないことで起こります。

・インスリン分泌低下:インスリンが不足する

・インスリン抵抗性:インスリンの効き目が悪い

厚生労働省の「平成28年国民健康・栄養調査」によると、糖尿病が強く疑われる人・糖尿病の可能性が否定できない人の合計は約2000万人ですので、高血糖の主な原因は糖尿病であるというのは間違いありません。

ただ、糖尿病以外でも高血糖は起こります。糖尿病以外で高血糖が起こる原因を確認しておきましょう。

・感染症

・脳卒中や心筋梗塞

・肝臓がんや肝硬変、すい臓がん

・薬剤(βブロッカー、アドレナリン、ステロイド、ナイアシンなど)

・手術後

また、糖尿病の既往がある患者さんが熱中症等で脱水になったり、血糖降下薬の飲み忘れ・インスリンの打ち忘れ等でも高血糖が起こります。

つまり、糖尿病の基礎疾患がある患者はもちろん、それ以外の患者も内科・外科問わず、高血糖になるリスクがあるということです。

 

2、高血糖の症状

引用:三宅内科胃腸科|糖尿病内科

高血糖の症状には、以下のようなものがあります。

・口渇

・多飲

・多尿、頻尿

・全身倦怠感

・空腹感

さらに高血糖の状態が続くと、血液浸透圧が上昇することにより、浸透圧利尿からの脱水が起こります。そして、電解質バランスが崩れ、昏睡に至ることもあります。

また、高血糖によって、糖尿病性ケトアシドーシスを起こすケースもあります。糖尿病性ケトアシドーシスの症状には次のようなものがあります。

・呼気のケトン臭やアセトン臭

・意識障害

・急性脳浮腫

・クスマウル呼吸

・腹痛

この他、高血糖では創部の治癒遅延、易感染状態等の症状も見られます。

 

3、高血糖の看護のポイント

3-1、高血糖の原因が糖尿病の場合

高血糖の原因が糖尿病であるとわかっている場合、次の3つのポイントに気を付けて、高血糖の看護をしましょう。

 

■血糖コントロール状況の把握

まずは、血糖コントロール状況の把握です。

糖尿病の患者さんが高血糖状態が続いているということは、血糖コントロールがうまくいっていないことになります。

糖尿病と診断されているにも関わらず、血糖コントロールが不良であることには何か理由があるはずです。

・食事の要因(食べすぎ、飲みすぎ)

・運動の要因(運動不足)

・日常生活習慣(ストレスや不規則な生活など)

これらを確認しましょう。

また、血糖降下薬やインスリン注射を用いて治療をしている場合、医師の指示通りに服用・注射されていなかったり、インスリンの自己注射の手技に問題があるケースなどもありますので、看護師は患者や家族から情報収集を行いましょう。

 

■合併症の有無の観察

糖尿病の合併症の有無も看護をする上での重要なポイントです。

糖尿病の患者が高血糖の状態が続いていると、糖尿病の合併症が悪化している可能性があります。

糖尿病の三大合併症を確認しておきましょう。

・糖尿病網膜症

・糖尿病腎症

・糖尿病神経障害

合併症は静かに進行しますので、患者は糖尿病による合併症だとは気づいていないケースもあります。目のかすみや手足のしびれなどはないか等を観察してください。

 

■糖尿病の自己管理のための指導

先ほども説明した通り、糖尿病の患者が高血糖になっているということは、血糖コントロールが不良で、自己管理ができていないことになります。

看護師は患者に対して、糖尿病の自己管理ができるように指導しなければいけません。

ただ、糖尿病の診断を受けている患者は、今までに一度は自己管理のための指導を受けていると考えられます。それでも、現時点で血糖コントロールが不良ということは、「食事療法と運動療法で血糖値をコントロールしましょう!」という単純な指導では、今後も高血糖が続く可能性が高いです。

適切な指導をするために、まずはこれらの情報収集から始めましょう。

・患者の理解度

・糖尿病の病識

・家族の協力の有無や程度

・家族の中でのキーパーソンとなる人物

さらに、次のようなことに留意して、高血糖の患者への指導を行ってください。

・動画やパンフレットなどを用意して視覚的にアプローチする

・食事療法は管理栄養士と連携する
・患者の生活状況、バックグラウンドなどを考慮し、無理なくできる血糖コントロールを考える

糖尿病の看護は「糖尿病の看護、看護の視点とアプローチをする方法とは」でさらに詳しく説明していますので、参考にしてください。

 

3-2、高血糖の原因が糖尿病以外の場合

高血糖の原因が糖尿病以外の場合、つまり脳卒中や心筋梗塞などの超急性期やオペ後、敗血症などの感染症等で高血糖になっている場合の看護のポイントを考えていきましょう。

 

■異常の早期発見

まずは、異常の早期発見が重要です。

高血糖になるほど身体的なストレスがかかっている状態は急変のリスクがあります。また、高血糖になれば、意識障害や糖尿病性ケトアシドーシスのリスクがあります。

・バイタルサイン

・意識レベル

・時間尿

・心電図のモニター

・血糖値

・尿糖や尿ケトンの有無

・血液ガスデータ

これらのことを観察して、異常の早期発見に努めましょう。

 

■既往歴の確認

次に、既往歴の確認です。

糖尿病以外の原因で高血糖になっている場合、既往に糖尿病があるかどうかで、血糖コントロールの難易度は変わります。

糖尿病以外が高血糖の原因であるとわかっていても、看護師は糖尿病の既往があるかどうかは必ず確認しましょう。普段の血糖値や血糖降下薬・インスリン注射の有無も忘れずに情報収集してください。

 

■適切なインスリンの投与と血糖値の測定

高血糖の看護のポイントの最後は、適切なインスリン投与と血糖値の測定です。

心筋梗塞や脳卒中、高エネルギー外傷、高度侵襲手術後はインスリンを持続投与することも多いです。

適切なインスリン投与が行われていないと、高血糖が続くことになります。逆に、低血糖になることもあります。看護師は医師の指示通りに確実にインスリンが投与できるように留意すると共に、血糖値の変化を観察していきましょう。

 

まとめ

高血糖の基礎知識や原因、症状、看護のポイントなどをまとめました。糖尿病内科だけでなく、外科でもICUでも、診療科に関係なく高血糖の患者をすることはあります。適切な看護ができるように、今から正しい知識を身につけておきましょう。

 

<参考文献>

1)高血糖 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

高血糖|看護度分類|鹿児島大学医学部部附属病院

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