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ルート確保が得意な看護師が心がけている5つのコツ

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ルート確保が得意だと、看護師としての自信が一気にアップしますね。看護師1年目2年目は特にルート確保に苦手意識を覚えやすいものです。しかし、ルート確保はコツさえつかんでしまえば、いっけん難しい血管の患者の腕にも自信をもって留置することができるようになってきます。どうすれば1回で成功できるのか、ルート確保が得意な看護師が必ず気を付けているコツについて紹介します。

 

1、ルート確保とは

ルートとは、点滴ラインのことで、点滴静脈注射を行うために静脈内に針やチューブを留置する看護手技です。

 

2、ルート確保の方法とコツ

■準備物品

・点滴指示簿

・輸液製剤(トレイにのせましょう)

・点滴台

・未滅菌手袋

・マスク

・消毒液

・駆血帯

・マジックペン

・針破棄用容器

 

【トレイ内】

・静脈留置針

・消毒綿

・固定用テープ

・ドレッシング剤

・防水シーツ

・延長チューブ

 

2-1、本人確認と点滴の説明

上記準備物品が揃ったら訪室します。点滴の内容が正しいか、患者のフルネーム確認と、注射指示簿で再度確認します。なぜ点滴をしなければいけないのか、点滴開始前に説明を行います。点滴が長引く場合、点滴開始前にお手洗いに行くよう促しておきましょう。

 

2-2、自信をもって穿刺できる血管を探す

安楽な体位になってもらったら、腕の下に防水シーツを敷きます。留置針に逆流防止弁がついていないと、止血に失敗した際シーツに血がついてしまうからです。駆血帯をしばり、触診しながら血管を探しますが、関節に近い所をさけ、まっすぐで太い血管を選択しましょう。関節に近い所に穿刺してしまうと、動かした際にルート閉塞でアラームが鳴りやすいです。

 

2-3、消毒し穿刺する

アルコール消毒でアレルギーを起こしたことはないか尋ね、アレルギーがあればアルコールを含有しない消毒綿でしっかり消毒します。消毒液が乾燥したのを確認して、留置針の刃先が上を向いていることを確かめてから、30度の角度をつけて穿刺します。穿刺したとき、手の先にしびれが出てないか、必ず確認してください。神経損傷の恐れがあります。神経の走行は以下の画像を参考にしてください。

 

末梢神経損傷

引用:採血時、末梢静脈ルート確保時の末梢神経損傷(北海道訪問看護ステーション連絡協議会)

 

2-4、逆血を確認して針を進める

逆血があったら、針を少し寝かせて3mmから5mm針を進めます。というのも逆血があった時点では針が血管壁すれすれの位置にあるかもしれないので、確実に血管内に入れるためです。

 

2-5、外筒を進め、内針を抜く

内針の位置を固定したまま外筒を進めます。外筒を最後まで進めることができたら、駆血帯を外して、外筒の先端があると思われる部位を圧迫止血してから内針を抜きます。(逆流防止弁がついている留置針なら止血する必要はありません)

 

2-6、点滴開始

外筒と点滴チューブの先の延長チューブを接続し、クレンメを緩めて自然滴下を確認します。この時、刺入部に痛みがないか、腫れてこないかをチェックしましょう。刺入部が怪しい場合は生食シリンジを使い逆血があるか確認します。点滴の途中で痛みが出たり腫れてきた場合はナースコールするよう説明します。

ルート確保の順番についてはこちらの動画も参考にしてください。

 

引用:常磐病院看護部マニュアル 末梢静脈路確保篇

 

3、ルート確保した後の固定法

ルート確保し点滴を落とし始めたら、まず刺入部が中心にくるようにドレッシング剤を貼付します。続いて、ドレッシング剤からルートチューブが出ているところを中心にしてテープを固定し、その後ループを描くようにゆとりをもたせて上方で固定します。

 

ルート確保した後の固定法

出典:メディア(HAGINO-NAIKA-CLINIC)

 

4、ルート留置中の患者の観察項目

点滴をすることは、リスクを背負うことでもあります。ルート留置の患者と接する時、どんなことに気を付ければ良いのでしょうか。

 

4-1、ルート留置は感染リスクを高める

ルート留置中、ルート刺入部から感染する恐れがあります。シャワー時防水保護がうまくいかずシャワー中に水が入ってしまったり、汗や垢が刺入部から入ったりなどしてしまったりすることがあるからです。病棟によっては、ルートがある患者は必ず「感染リスク状態」の看護計画を立てる部署もあります。熱発はないか、ルート刺入部に痛み、発赤、腫脹はないか確認しましょう。

 

4-2、皮膚トラブルを起こすことがある

ルート留置中、テープでかぶれを起こしたり、テープを剥がすときに皮膚を損傷してしまうことがあります。中には生食ロック後、延長チューブの側管がガーゼからはみ出し直接皮膚に接触することで皮膚障害を起こす患者もいます。ロック中の延長チューブは丁寧にガーゼで巻くか、包帯を優しく巻くなどして、直接肌に触れない工夫が必要です。

 

4-3、転倒リスクがある

点滴中、点滴台を押しながら移動する患者にとって、点滴チューブにつまづくと転倒の恐れがあります。長すぎる検査用チューブ、手術用チューブは点滴台のネジに引っ掛ける、束ねてテープで留める、患者に手でまとめて歩いてもらうなど工夫しましょう。何本もラインがある場合はライン整理を行いましょう。

 

4-4、点滴がもれる

ルート確保がうまくできたとしても、患者がよく動く人であったり、患者自身の血管がもろい場合、点滴がもれることがあります。点滴がもれた時、痛みを訴えナースコールする患者もいますが、中には痛みを感じない患者もいるため、必ず刺入部の腫れを確認しましょう。

 

4-5、血管炎を起こすことがある

抗生剤、浸透圧の高い薬剤を使用する場合、静脈炎を起こすことがあります。刺入部だけでなく上方の皮膚に血管沿いに発赤・腫脹・疼痛がないか確認します。もし静脈炎を認めた場合、痛みに応じて鎮痛剤を服用しながら温罨法で血行促進します。たいていは2~3日で軽快します。

 

5、ルート確保成功のコツ

5-1、細くてもろい血管

細い血管にどうしてもルート確保しなければいけない場合、22G~24Gの細い針を用い、浅く浅く刺します。突き破ってしまわないようにそっと針を進めること。

 

5-2、こりこり動く血管

こりこり動く血管は、しっかり捕まえないと逃げられます。狙うところは血管の分岐点です。血管を捕まえすぎると血管がつぶれて突き破る恐れがあるので引っ張り加減に注意してください。

 

5-3、前腕の裏側に良い血管がある時がある

前腕の前面で探してもどうしても血管が見つからないのに、裏側を探してみると良い血管があることがあります。患者さんに体位を協力してもらい穿刺しましょう。前腕をくまなく探すことが大事です。

 

5-4、血管が出にくい人の場合

できたらシャワー後など体が温まっている時に血管を探しルート確保します。できなければ温めたタオルを握ってもらうなどして血管が広がったときにルート確保しましょう。

 

5-5、皮膚が固い人の場合

皮膚が固い人の場合、24Gの細い針ではしなって確保に失敗するときがあります。22G以上を選択し、角度をつけて穿刺します。

 

まとめ

いかがでしたか。血管は十人十色。一人一人にあわせたルート確保の方法があります。コツをつかむまでは何度も何度も練習が必要ですが、慣れてきたとき、コツが手に取るようにわかる瞬間がきます。一度失敗すると自信をなくしてしまうことで有名なルート確保だからこそ、最初の1回に集中して、一発で成功できるように、今回のコツを頭に入れて何度もイメージトレーニングに励んでください。


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