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リハビリテーションの看護計画|看護目標や定義と看護師の3つの役割

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リハビリテーションの看護

リハビリテーションは今や医療になくてはならない存在であり、あらゆる時期にあらゆる場所で行われています。リハビリの目的・効果、看護師の役割について考え、看護計画の立案をしていきます。

 

1、リハビリテーションとは

1-1、リハビリテーションの定義

1981年の厚生白書によると、

『リハビリテーションとは、障害者が一人の人間として、その障害にもかかわらず人間らしく生きることができるようにするための技術的および社会的、政策的対応の総合的体系であり、単に運動障害の機能回復訓練の分野だけをいうのではない』

と定義されました。

 

1-2、リハビリテーションの適応

医療におけるリハビリテーションは、治療を終えた人のみならず現在治療中の患者も含まれます。適応は、幅広い疾患に及びます。慶応義塾大学病院リハビリテーション科によると、リハビリテーションの治療手段としての種類には、下の7つがあります。

 

<リハビリの治療手段>

①薬物療法

②神経ブロック

③運動療法

④温熱・電気刺激などの物理療法、作業療法

⑤言語聴覚療法

⑥装具療法

⑦義肢作製

これらの治療法を患者の状態にあわせて組み合わせ、効果的に実施します。また、リハビリを必要とする疾患についても14種類が挙げられています。

 

<疾患別リハビリテーションの種類>

①脳卒中のリハビリテーション

②脊髄損傷のリハビリテーション

③神経・筋疾患のリハビリテーション

④悪性腫瘍のリハビリテーション

⑤小児疾患のリハビリテーション

⑥切断のリハビリテーション

⑦骨関節疾患のリハビリテーション

⑧心臓リハビリテーション

⑨慢性閉塞性肺疾患のリハビリテーション

⑩リンパ浮腫のリハビリテーション

⑪摂食・嚥下障害のリハビリテーション

⑫高次脳機能障害のリハビリテーション

⑬外傷性脳損傷のリハビリテーション

⑭関節リウマチのリハビリテーション

更に、高齢社会に伴い病気ではないものの加齢による廃用症候群を予防するための廃用症候群リハビリテーションも、疾患別リハビリテーションとは別に独立した診療報酬として認められています。

 

1-3、リハビリテーションの流れ

現代医療におけるリハビリテーションは、治療が落ち着いてから行うものではありません。リハビリテーションは急性期・回復期・維持期を主とし、更にその前後に予防期と終末期が存在します。

<リハビリテーションの段階>

①予防期 介護予防、転倒予防、筋力低下予防
②急性期 廃用症候群予防、早期離床
③回復期 機能回復、ADLの向上
④維持期 外来・通所・訪問による継続したリハビリテーション
⑤終末期 緩和ケア、ターミナルケア

急性期はベッドサイドで行うことによって、様々なドレーンやチューブ等が装着されたままでも関節可動域訓練や筋力増強訓練を行うことが可能です。これにより治療上の安静による弊害を最小限に抑えることができ、早期離床につなげることができます。

 

<ベッドサイドにおける急性期リハビリテーション>

ベッドサイドにおける急性期リハビリテーション

引用:社会医療法人医翔会 札幌白石記念病院

 

そして回復期は、回復期リハビリテーション病院などの専門施設に入院してリハビリテーションを受けることもあれば、急性期病院から直接自宅に帰り、そのまま④維持期につなげて外来通院で受けることもあります。高齢者の場合はデイサービスでリハビリテーションを行い、これにより転倒予防や廃用症候群予防といった①予防期につなげることができます。最近では恋ダンスなど、ダンスを取り入れ、楽しくリハビリテーションを行うような取り組みをしている医療機関も出てきました。

 

引用:リズム体操~恋/星野源(東住吉介護センターリフレッシュくらぶ駒川)

 

自宅で行う訪問リハビリも積極的に導入されてきており、リハビリテーションの場は昔と違い、病院で行うものではなくなりました。リハビリテーションは今や発症日のベッドサイドから自宅で亡くなる直前まで、一連の流れの中で行うものとなっています。

 

2、リハビリテーションにおける看護師の3つの役割

リハビリテーションというと、看護師ではなくて理学療法士・作業療法士・言語療法士が行うものと思ってはいないでしょうか。忙しい業務の中で、高齢者や麻痺を抱えた患者の動作をゆっくり待つのは、現場の看護師からすると時間がもったいなく感じてしまいます。しかし、ここで全て看護師が介助したり、食事や洗面・オムツ内で排泄するなど、全てのADLをベッド上で済ませてしまうことは、患者が目標とするリハビリテーションのゴールに到達するのを妨げることになります。

 

社会復帰や自宅退院のためのリハビリテーションは、ベッドサイドから始まっています。患者が起きたくないと言っても洗面や排泄は車椅子で洗面所・トイレで行ったり、食事もベッド上ではなくしっかり起きて、できれば食堂などで摂るように援助しなくてはいけません。今ある機能を活かして自分でADLを向上させるにはどうしたらよいかを患者と共に考え、工夫することが求められます。

また、患者がリハビリテーションに前向きに臨むことができるようにするための、精神的なケアも必要です。リハビリテーションという視点からすると、なんでもやってあげるのが優れた看護師ではない、ということです。

 

リハビリテーションは看護師1人の力ではできません。医師・理学療法士・作業療法士・言語療法士を始め、栄養士やソーシャルワーカーなど患者のゴールに向かって進めるためには、コメディカルとの連携が必要です。同じ目標をもつためには、患者家族との関わりも必要になってきます。看護師は日頃のケアや家族から得た情報をコメディカルと共有し、それぞれの職種の橋渡しを行い、患者・家族の目標とするゴールに皆で協力して近づけるように調整する必要があります。

 

これらをふまえ、リハビリテーションにおける看護師の役割は、下の3つのポイントになると考えます。

<リハビリテーションにおける看護師の3つの役割>

①ゴールを常に視野に入れ、ベッドサイドから始めること

②患者の精神的支援を行うこと

③患者・家族を含め、コディカルとの連携をとること

 

3、リハビリテーションにおける看護問題

リハビリテーションを必要とする患者への看護は、原疾患や現在の病状・家族背景・目標とするゴールによって異なります。ここでは脳血管疾患を発症した患者の回復期リハビリテーションにおける看護問題を挙げ、看護目標と看護計画へつなげます。

<看護問題>

原疾患(脳血管障害)の後遺症による身体可動性障害

 

4、リハビリテーションにおける看護目標と看護計画

<看護目標>

自宅退院に向け、車椅子への移乗を見守りのみで行うことができる

 

<看護計画>

O-P

1原疾患と現在の病態

2麻痺の有無と程度

3知覚障害の有無と程度

4関節可動域(拘縮の有無、筋力低下の状態など)

5患者のリハビリに対する意欲、目標とするゴール

6リハビリの実施状況(リハビリメニュー、効果、参加状況)

7家族の支援状態

T-P

1リハビリの予定を計画、確実に参加できるよう検査や入浴等の時間を調整する

2定期的にリハビリの進み具合についてカンファレンスを行い、評価する

3ベッドの高さを車椅子に合わせる

4手すりの位置を調整する

5本人が車椅子に手が届くよう、車椅子の位置を調整する

6必要時、装具を作成する

7リハビリに対する意欲が低下しているとき、本人の訴えを傾聴し支援する

8実際に自宅を訪問し、問題点がないか検討する

9自宅改修が必要な場合、コメディカルと連携して退院までに進める

10危険防止のため環境整備を行い、ベッドサイドや廊下の物を片付ける

E-P

1移乗するときには、必ず車椅子のブレーキを確認するよう指導する

2目標とするゴールに向けてリハビリが必要であることを説明し、理解を得る3装具の着脱方法を指導する

 

まとめ

急性期からのリハビリテーションの必要性はわかってはいるけれど、ついつい忙しいからと手を出してしまうこともあるでしょう。しかし、看護師の働きかけによって患者の未来が変わると思うと、ワクワクしませんか。それが、リハビリテーション看護の醍醐味と言えるのではないでしょうか。

 

参考サイト

日本リハビリテーション医学会(公益社団法人日本リハビリテーション医学会)

リハビリテーションの流れ(すぐに使える!実践リハビリマスターガイド|長谷川敬一|2011年12月)

リハビリテーション科概要(慶應義塾大学病院)


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