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無菌操作の看護技術|目的や2つの方法・手順、注意点

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無菌操作看護

無菌操作は、感染のリスクが非常に高い医療行為において必須となる手技です。一見コメディカルや家族でも出来そうな処置や介助であっても、無菌操作には看護師のエビデンスに基づいた技術が必要です。無菌状態とはどのような状態をいうのか、無菌操作はどのような処置に必要なのか、そしてどのような手順で行うかを基本の手袋の装着・ガウンテクニックをまとめました。

 

1、無菌操作とは

病原体が患者の体内に侵入し、定着して増殖することを感染と言います。感染を防ぐために、病原体の侵入する危険性が高い処置を行う場合には徹底した無菌操作が必要です。もし処置時に病原体で汚染してしまうと、その医療行為自体が感染源となってしまうからです。

無菌操作を行う際には、無菌状態が何かを知らなくてはなりません。ここが、看護師としての専門知識を必要とするところです。

 

<無菌とは何?>

無菌 物体の表面に、微生物が全く存在しない状態
清潔 物体の表面に、病原微生物が存在しない状態(微生物は存在する)
汚染 物体の表面に、病原微生物が存在している状態

 

この清潔と不潔(汚染)の区別は、一般人と看護師とでは違います。無菌操作は、何一つ微生物が存在しない状態を維持しながら患者に触れて消毒をしたり、カテーテルを挿入するといった処置を行うことを言います。

 

1-1、無菌操作が必要となる手技

全ての看護技術に無菌操作が必要となるわけではありません。例えば浣腸には無菌操作は不要です。それは肛門や腸には便がありますから、そもそも無菌状態ではないからです。患者と患者との処置の際に行う手洗いやスタンダードプリコーションといった感染予防は行うべきですが、無菌操作とは違います。

無菌操作は、その処置による侵襲が高ければ高いほど、また病原微生物の侵入が簡単なものほど必要とされる手技です。では、どのような手技で無菌操作が必要となるのでしょうか。

 

<無菌操作が必要となるのは、どんな手技?>

➀手術や外科的処置を通じて病原体が侵入する可能性がある手技

手術 →術野に直接病原体が侵入する
中心静脈カテーテル挿入 →カテーテルを通じて病原体が血管内に侵入する
膀胱留置カテーテル挿入 →カテーテルを通じて病原体が尿路に侵入する
開放式気管吸引 →カテーテルを通じて病原体が気道に侵入する

その他、胸腔穿刺や骨髄穿刺など、多くの外科的処置はその処置を通じて目的の場所に病原体を侵入させてしまうおそれがありますから、無菌操作を必要とする処置はたくさんあります。

➁無菌操作が検査結果に影響を及ぼす手技

血液培養採取 → 採取した血液がコンタミネーション(周囲の常在細菌が混入してしまうこと)を起こすと、病原菌の推定を困難にさせ、治療に遅れが生じる

 

2、無菌操作の目的

侵襲の大きな処置に使用する際のカテーテルを始めとした医療材料は、滅菌処理して単包化されています。そして滅菌ガウンや滅菌手袋を着用し、無菌状態を維持しながら患者への処置を行うことで、外科的処置による医原性の感染リスクを抑えることが無菌操作の目的です。

 

3、基本的な2つの無菌操作をマスターしよう

3-1、滅菌手袋の装着方法・手順

➀手洗いを行う

手洗いは、速乾性アルコール消毒薬・石鹸と流水による手洗いのどちらでも可能。

➁手袋を取り出す

滅菌パックを開き、包装紙の内側に触らないように折りたたんだまま手袋を取り出す。

➂滅菌手袋の包装紙を広げる

包装紙の折り返し部分を持ち、手袋の手首側が手前になるように開く。

➃左の手袋を装着する(右利きの場合)

右手で左用手袋の折り返しの輪になった部分を掴み、左手を中に通す。

折り返し部分は、この時点では伸ばさずにそのままにしておく。

➄右の手袋を持ち上げる

手袋を装着した左手の指先を右手用手袋の折り返しの間に差し込んで、救い上げ

るように持ち上げる。

➅右の手袋を装着する

右手用手袋の中に右手を通したあと手を離さず、そのまま上まで折り返し部分を

伸ばす。

➆左の手袋の折り返しを伸ばす

➃でそのままにしておいた左手の折り返し部分の間に右手の先を入れ、押し出す

ように折り返し部分を伸ばす。

➇手袋をフィットさせる

両手を組むなどしてたるみや指先のあまりを取り、手袋をフィットさせる。

 

下に載せました自治医大消化器一般外科 外科基本手技ビデオの導入部分が滅菌手袋の装着方法になっていますので、参考にしてください。

 

 

3-2、ガウンテクニックの方法・手順

➀ガウンを取り出す

介助者が滅菌パックを開封し、着用者が取り出す。

➁ガウンを広げる

着用者は滅菌パックから取り出したガウンを、身体から離して広げる。

広げる際は内側を持ち、表側の清潔野には触れないようにする。

➂袖に腕を通す

着用者は片方の肩ひもの先を持ち、介助者に渡す。

介助者は着用者の手やガウンに触れないように注意し、肩ひもをしっかり持つ。

着用者は介助者が肩ひもを持ったら袖を通す。

もう片方も同様に行う。

➃肩ひもと腰ひもを結ぶ

介助者はガウンの清潔野に触れないように、肩ひもから腰ひもの順でひもを結ぶ。

➄ベルトホルダーを渡す

着用者は右手でホルダーの白い部分を持ち、左手で左側のひもを外す。

着用者はホルダーを介助者に渡す。

介助者はホルダーの赤い部分を受け取る。

➅腰ひもを回す

着用者は腰ひもを背中にまわすように、その場で1回転する。

介助者はその間、ホルダーをしっかり持つ。

着用者は、左手で持っているひもを右手に持ち替えて、介助者が持っているひもを

左手で受け取る。

➆ベルトホルダーからひもを外す

着用者は左側の腰ひもをひっぱって、ベルトホルダーから外す。

介助者は、腰ひもが外れるまでしっかりとホルダーを持つ。

⑧腰ひもを結ぶ

着用者は腰ひもを結ぶ。

⑨滅菌手袋を装着する (3-1、滅菌手袋の装着方法・手順とは異なる)

着用者は、両手を袖口に入れたままで滅菌手袋の包装紙を開く。

ガウンの袖口に右手を入れたままで、左手の手袋の折り返し部分をガウンの袖にか

ぶせるように伸ばす。

左手で右手の手袋の折り返し部分に手を通し、同様にガウンの袖をかぶせるように

手袋を伸ばす。

両手を組むなどしてたるみや指先のあまりを取り、手袋をフィットさせる。

 

3-3、無菌操作の注意点

➀無菌操作全てに共通する注意点

・使用する滅菌物の有効期限、破損の有無を確認する。

・どこが不潔エリアで、どこが清潔エリアかを考える。

・清潔エリアが汚染されないよう、環境を整える。

(人が出入りする場所、狭い場所、水気のある場所、不安定な場所を避ける)

➁滅菌手袋の装着時の注意点

・滅菌手袋の折り返し部分は、不潔であるとみなす。

・滅菌手袋を装着したら周囲への接触を防ぐため、手を腰から上の全面・指先を上に保持する。

➂ガウン装着時の注意点

・ガウンを装着する際は、着用者と介助者の2人で声を掛け合って行い、清潔を維持

する。

・着用者の腰ひもを回しやすいよう、介助者が一周回ることもある。

・ガウン装着後の滅菌手袋の装着時には、ガウンの袖口を手袋の中に入れる。

 

まとめ

無菌操作は看護の基本的な技術で、どの科に配属されても必須となる手技です。ガウンを着用する機会は手術室などの限られた部署になるかもしれませんが、基本の無菌操作は内科・外科問わず必要な知識です。無菌とはそもそもどんな状態で清潔との区別は何なのか、看護師として経験の長い方は基本に戻り、新人さんはこの機会に基本をきっちり押さえましょう。

 

参考文献

看護技術がみえるvol.2臨床看護技術(MEDICMEDIA|2013年)


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