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ストレスコーピングの看護|方法、看護アセスメント、看護計画

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ストレスコーピング看護

ストレスコーピングとはストレスに上手く対処することです。入院中の患者はたくさんのストレスを抱えていますので、看護師が患者のストレスコーピングの援助をすることで、治療をスムーズに進めることができます。

ストレスコーピングの基礎知識やストレスコーピングの方法、看護アセスメント、看護計画について説明していますので、今後の看護ケアの参考にしてください。

 

1、ストレスコーピングとは

ストレスコーピングとは、ストレスとなっている基(ストレッサー)に上手く対処しようとすることです。ストレスに対して、きちんと対処し、上手に付き合っていくようにしないと、健康に様々な悪影響が出てきます。

入院中の患者は、手術への不安、痛み、食事制限、行動の制限など多大なストレスを抱えています。

看護師が患者さんのストレスに介入して、ストレスコーピングへの援助をしないと、神経系や内分泌系のバランスが狂って身体的側面の問題が生じるだけでなく、心理的・社会的・霊的な問題も生じるようになります。

看護師がストレスコーピングへの援助をして、患者がストレスに上手に対処できるようにすることは、疾患と向き合い、回復を早める上でとても大切なことなのです。

 

2、ストレスコーピングの方法

ストレスコーピングの方法には、問題焦点コーピングと情動焦点コーピングの2種類があります。それぞれどのような方法で、ストレスコーピングをしていくのかを説明していきます。

 

■問題焦点コーピング

問題焦点コーピングとは、ストレッサーそのものに働きかけて、そのストレスをなくすことで問題を解決しようとするストレスコーピングの方法です。

ストレス自体をなくして、ストレスに対処しようとする方法ですので、ストレスコーピングとしては、最も良い解決法であり、効果が高い解決法と言えるでしょう。

ただ、この問題焦点コーピングは効果が高い分、実際に行うのが難しいことが多いのです。

例えば、先ほど挙げた入院中の患者の主なストレスで考えてみましょう。入院中の患者のストレスは、手術への不安、痛み、食事制限、行動の制限などがあります。

この中で、問題焦点コーピングで解決できるのは、痛みのストレスだけです。適切に鎮痛薬を投与すること、冷罨法や体位の調整をすることで、痛みを軽減したりなくしたりできますので、問題焦点コーピングで解決できます。

でも、手術への不安を問題焦点コーピングで解決しようとすると、手術を中止するという方法になります。

食事制限・行動制限のストレスをなくすためには、制限を解除することになりますが、それでは病気は治らずに、悪化していきますし、治療することができません。そのため、問題焦点コーピングでは、ストレスを解決できないのです。

 

■情動焦点コーピング

情動焦点コーピングは、ストレッサーそのものに働きかけるのではなく、ストレスに対する考え方や感じ方を変えることで、ストレスに対処する方法になります。

情動焦点コーピングは、先ほどの問題焦点コーピングでは解決できない場合に選択するストレスコーピングの方法です。

情動焦点コーピングはストレスに対する考え方を変えて解決するので、ストレス自体はそのまま残ります。

例えば、手術の不安がストレスになっている患者には、手術の情報提供をし、手術をすることでどうなるか、どう回復するかを考えてもらう、手術をしないメリットよりも手術をしないデメリットの方が大きいことを説明します。

そうすることで、手術への認識を改めてもらって、手術への不安を軽減し、ストレスに対処するのです。

情動焦点コーピングは、物事への考え方を変えることで、ストレスに対処するのですから、問題焦点コーピングとは違い、ほとんどのストレスに用いることができるストレスコーピング方法になります。

 

3、ストレスコーピングの看護アセスメント

看護師が患者のストレスコーピングの援助をする重要性は、最初に説明した通りです。ストレスコーピングへの援助をしないと、ストレスによって身体的・心理的・社会的・霊的な問題が発生する可能性があるため、看護介入が必要になるのです。

1978年には全米看護診断分類会議でストレスコーピングが看護診断に加えられていますし、ゴードンの11の機能的健康パターンの中にもコーピング・ストレス耐性の項目があります。

看護師が患者のストレスコーピングへの援助をするためには、まずはきちんとした看護アセスメントをする必要があります。ストレスコーピングの看護アセスメントをするためには、次の6つの項目の情報収集をしましょう。

<ストレスコーピングの援助のための6項目>

①ストレスになっているものは何か

②ストレスに対して患者はどのように解釈しているのか

③ストレスに対して患者はどのようなコーピング反応をとっているのか

④コーピング反応について患者はどのように評価しているのか

⑤過去に患者がストレスフルな状況でどんなコーピング反応を使ったのか

⑥患者個人が持っている心理的・社会的資源にはどのようなものがあるか

この6つの情報を集めて、アセスメントをしましょう。③の「ストレスに対して患者はどのようなコーピング反応をとっているか」は、患者自身はそのストレスに対して、問題焦点コーピングと情動焦点コーピングのどちらの方法で、ストレスコーピングをしようとしているのかをチェックします。

また、⑥の「患者個人が持っている心理的・社会的資源にはどのようなものがあるか」は、例えば、家族の援助があるのか、職場からは病気で入院していることに対しての支援(病気休暇の取得、労災申請等)はあるのかなどを確認すると良いでしょう。

この6つの情報収集をして、今患者が抱えている問題は何か、どのようにストレスコーピングに介入すべきか、患者のニードは何かを考えて、看護計画を立案するようにしましょう。

 

4、ストレスコーピングの看護計画

患者のストレスコーピングのアセスメントをしたら、次は看護計画を立案しましょう。

看護目標 ストレスに対して適切な行動を取れることができる

ストレスが軽減したと実感できる

OP(観察項目) ・患者の訴えや行動

・睡眠障害やイライラなどのストレスが原因と思われる症状の有無

・ストレッサー

・ストレッサーに対する反応

・ストレッサーに対する考え方

・現在の治療の状況とその効果

・家族とのコミュニケーションの状況、支援の有無

TP(ケア項目) ・恐怖や不安を緩和するためのケアを実施する

・睡眠障害や倦怠感等ストレスが原因の症状を緩和させるケアをする

・患者と共にケア計画を立案する

・ストレッサーに対しての説明やアプローチに一貫性を持たせる

・医師に相談して、心理カウンセリングの専門家を紹介する

・不安やストレスへの考えを傾聴する

・リラックスや気分転換が図れるように援助する

EP(教育項目) ・気分転換やリラクセーションの方法を指導する

・必要な心理カウンセリングが受けられることを伝える

・家族への指導を行う

ストレスコーピングのためには、3Rが重要とされています。

・Rest(レスト)=休息、睡眠

・Recreation(レクリエーション)=趣味娯楽、気晴らし

・Relax(リラックス)=ストレッチ、音楽

この3Rを意識して、患者1人1人に合った看護計画を立案すると良いでしょう。

 

まとめ

ストレスコーピングの看護の基礎知識やアセスメント、看護計画をまとめました。入院中の患者は少なからずストレスを抱えているものです。そのストレスに上手く対処しないと、健康への様々な悪影響が出てきて、治療がスムーズに進まなくなります。

看護師は、患者のストレスコーピングのための援助をして、ストレスに患者が対処できるようにケアしていきましょう。

 

参考文献

1)茶園美香「看護における「ニード論」「ストレスコーピング理論」」日集中医誌2006,Vol13


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