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CNS(専門看護師)とは|資格・領域の種類と実際の業務内容

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CNS(専門看護師)

今や医療業界の間で注目されているCNS(専門看護師)。医療施設内の看護の質向上のための即戦力となる人材として、多くの医療機関が積極的に採用しているなど、今後はさらに大きな役割を果たすこと間違いなしです。

ここでは、CNSの概要や領域、業務内容についてご説明しますので、CNSについてよく分からないという方は、ぜひ最後までしっかりお読みください。

 

1、CNSとは

CNSとは、「Certified Nurse Specialist」の略で、日本語では「専門看護師」のことです。CNSは、水準の高い看護ケアを提供するために、特定の看護領域(後述)の知識や技術を有する者のことを指し、日本看護協会により認められた者しかなることができませんが、

卓越した知識と技術を有していることで、看護実践において頼りになる存在として多くの医療施設で積極的に採用を行うなど、今やCNSは医療施設にとっても患者にとっても非常に重要な存在なのです。

 

2、資格の種類における違い

看護師の資格にはCNS(専門看護師)だけでなく、CN(認定看護師)やNP(特定看護師)といった資格もあります。どれも“専門性に特化した”認定資格ですが、それぞれの“専門性”は異なりますので、各資格の種類における違いを知っておきましょう。

 

  • CNS(専門看護師)

特定の領域において”幅広いケア”をマネジメントしていくのが専門看護師。円滑に治療を行うために率先して指示を与える業務が主となります。

 

特定の領域に特化した知識・経験をもって”集中的なケア”を行うのが認定看護師。つまり、各領域における看護のスペシャリストのことを指します。

 

「診療の補助」の範囲をさらに拡大し、特定の領域における医療行為を実施できる看護師のことを指し、看護師でありながら医師に近い仕事をすることが出来ます。

 

このように、CNSは看護業務の実践よりも業務が円滑に行われるようマネジメントするのが主な役割であり、それに反してCNは看護実践に重点を置いた役割を担っています。また、NPはCNの上級職であり、危険度の高い看護行為を行うことができるため、看護実践におけるスペシャリストと言えます。

 

3、CNSの領域

CNSの認定が開始された1995年には「がん看護」「精神看護」の2つの領域しかありませんでしたが、1997年に「地域看護」、2002年に「小児看護」「老人看護」、2003年に「母性看護」、2004年に「慢性疾患看護」、2005年に「急性・重症患者看護」2006年に「感染症看護」、2008年に「家族看護」、2009年に「在宅看護」の認定が開始され、現在では計11つの領域が存在します。

また、1996年にはCNS認定者は6人だけであったものの、2016年3月時点においては1678人(全領域)が認定を受けています。それぞれの領域がどのような役割を果たしているのか、みていきましょう。

 

※認定者数は2016年3月現在のもの

領域

(※認定者数)

領域の特徴
がん看護

(656人)

がん患者の身体的、精神的な苦痛を理解し、患者やその家族に対してQOLの視点に立った水準の高い看護を提供する。
精神看護

(231人)

精神疾患患者に対して水準の高い看護を提供する。また、一般病院でも、心のケアを行う「リエゾン精神看護」の役割を提供する。
地域看護

(25人)

産業保健、学校保健、保健行政、在宅ケアのいずれかの領域において水準の高い看護を提供し、地域の保健医療福祉の発展に貢献する。
老人看護

(93人)

高齢者が入院・入所・利用する施設において、認知症や嚥下障害などをはじめとする複雑な健康問題を持つ高齢者のQOLを向上させるために水準の高い看護を提供する。
小児看護

(166人)

子どもたちが健やかに成長・発達していけるように療養生活を支援し、他の医療スタッフと連携して水準の高い看護を提供する。
母性看護

(61人)

女性と母子に対する専門看護を行う。主たる役割は、周産期母子援助、女性の健康への援助、地域母子保健援助に分けられる。
慢性疾患看護

(130人)

生活習慣病の予防や、慢性的な心身の不調とともに生きる人々に対する慢性疾患の管理、健康増進、療養支援などに関する水準の高い看護を行う。
急性・重症患者看護

(210人)

緊急度や重症度の高い患者に対して集中的な看護を提供し、患者本人とその家族の支援、医療スタッフ間の調整などを行い、最善の医療が提供されるよう支援する。
感染症看護

(36人)

施設や地域における個人や集団の感染予防と、発生時の適切な対策に従事するとともに、感染症の患者に対して水準の高い看護を提供する。
家族支援

(44人)

患者の回復を促進するために家族を支援する。患者を含む家族本来のセルフケア機能を高め、主体的に問題解決できるよう身体的、精神的、社会的に支援し、水準の高い看護を提供する。
在宅看護

(26人)

在宅で療養する対象者及びその家族が、個々の生活の場で日常生活を送りながら在宅療養を続けることを支援する。また、在宅看護における新たなケアシステムの構築や既存のケアサービスの連携促進を図り、水準の高い看護を提供する。

参照:資格認定制度 | 日本看護協会 » 専門看護師

 

11ある領域の認定者数に大きな差が生じていますが、重症疾患やニーズの高い領域ほど認定者数が多い傾向にあります。

 

4、CNSが行う業務

CNSは、1つの領域に関する豊富な知識を有していることにより、通常の看護業務はもちろん、コンサルテーションやコーディネーション、倫理調整、教育、看護研究など、さまざまな業務を並行して行っていきます。

特にコンサルテーションとコーディネーションは、部署やチームの看護の技術向上において非常に大きな役割を担っているため、CNSに欠かせない業務と言っても過言ではありません。

 

  • 看護業務

合併症の予防や予後の観察、コミュニケーションによる患者・家族の精神的負担の緩和など、卓越した看護技術やと豊富な知識をもって看護を実践します。また、患者・家族だけでなく、看護実践におけるリーダーとして集団単位で看護を提供します。

 

要請に応じて、看護職員個人・チーム・部署を対象にカンファレンスや個人面接などを通して患者への対応・ケアに対する悩み・仕事に関するストレスなどの相談にのります。また、各専門領域の知識と経験を生かして、患者個人に対しても相談業務を行います。

 

  • コーディネーション

部署やチームが円滑に機能するよう、人員の配置や対人関係のトラブルなどの解決を図り、他職種間・病棟間・部門間の関係調整を行います。

 

  • 倫理調整

全ての活動において、医療ユーザー・スタッフの人権・倫理に関する問題の発見に努め、看護部管理者と協働して問題解決を図ります

 

  • 教育

院内で行われる研修の企画・運営、評価の支援を行うとともに、看護職員個人に対して実際に教育活動を行います。また、要請に応じて研究活動の助言・指導など病院外の教育・研究活動の支援も並行して行います。

 

各専門領域の知識と経験を生かして、看護技術の発展・ケアの円滑化など、病院内外の研究活動に参画し、看護の質向上を図ります。

 

このように、CNSはさまざまな役割を担っており、直接的な看護実践はもちろん、部署・チームなど団体単位のマネジメント業務を行います。看護師のキャリアには、看護部長・副看護部長・看護長・副看護長・主任などがありますが、各キャリアで院内の全てのマネジメントを行うのは容易ではありません。

そこで、CNSが代役として、コンサルテーション・コーディネーション・倫理調整・教育などを通して専門領域におけるマネジメント業務を行い、院内の看護の質向上に寄与していくのです。

 

まとめ

認定開始から約20年経った今、CNSは医療施設において、また患者にとって重要な役割を担っており、多くの医療施設がCNSの受け入れを強化しています。

CNSは非常に重宝される存在ですので、専門領域の資格取得を考えている方は前向きに検討しましょう。なお、CNSになる過程や条件は「専門看護師になるには?大学院や給料なども合わせて紹介!」にて説明しています。


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