ダブルチェックとは、その名の通り「二重に確認すること」をいいます。
医療システムが発達して、機械に頼る業務が増えたとしても、結局は以前から実行されてきたアナログ方式での確認業務が、医療事故の防止には欠かせません。
看護師は、医療施設内において、医療行為や与薬業務などを行う最終提供者です。
医療機関で従事する看護師として、常に人の命に影響を及ぼす医療行為や与薬業務を行っている現場であることを認識して取り組まなくてはいけません。
私達看護師は、ミスが起きない様に実施直前にダブルチェックを行って、安全性と確実性を確認することが大切です。
ダブルチェックの有効性
2人で同じものをチェックする事で、確実にミスの回数は減少します。
例えば1人で100回に1回ミスをするとします。
これに同じミスの頻度のもう1人が加わり、ダブルチェックを実施すると、ミスの頻度は100回に1回から、10,000回に1回へと激減するのです。
この、エラーの頻度の低下こそダブルチェックの有効性であり、何故ダブルチェックが必要であるのか、といった理由なのです。
ダブルチェック機能が低下する問題点2つ
しかし、非常に有効に活用できるはずのダブルチェックにも問題点があります。
問題点の1つは、2人で確認作業をすると「ベテランの人がチェックしてくれているから大丈夫だろう」といった相手への依存や思い込みが出てしまうこと。
こうなるとダブルチェックの効果は低下してしまいます。
ダブルチェックを行う2人は、依存心なくお互いに独立して確認をしなければなりません。
問題点のもう1つは、ダブルチェックを実施する看護師が、チェックするだけの能力を持ち合わせているか?ということ。
ダブルチェックを行う場合、なぜ、なんのために?とチェック項目やチェックすることの意味を考え、充分に理解して実施しないと、機械的なチェックになってしまい、その有効性は低くなります。
薬剤の知識、効果、副作用といった情報から、投与する患者の病態の知識まで理解して、チェックできる能力を持っていなければ「違っているのでは?」と声に出すことは出来ません。
ダブルチェックを実施したけれど、ヒヤリハットになった、インシデントに至ってしまったという場合は、これらの問題点を見なおしてみるのも必要かもしれません。
ダブルチェックの方法
ダブルチェックの方法にも色々ありますが、2人で同時にチェックを行うドリル式と、2人が時間差でチェックするリチェック式の2つが代表的なものです。
どちらの方法で行うにしても、2人で声を出しあって、指先確認をしながら実施します。声に出して確認し、チェックをしたと第3者に伝えることでチェックの意識を高め、責任や行為を明確にします。
ダブルチェック定着の為の体制作りが成功のカギ
有効性の高いダブルチェックですが問題点もあります。それは、2人で行うため仕事量が増えてしまうということ。
みんな忙しく走り回っている中、輸液の薬剤確認に人を捕まえるのが難しい場合も往々にしてあります。
そういった点を払しょくするために、効率的で有効なダブルチェック体制を作り上げることや、定着させる事が必要になります。
例えば、マニュアルを作って方法を統一する。
ダブルチェックを実施するケースや範囲を決める。
ダブルチェックのトレーニングを行い、スタッフの意識改革をしていく。
看護師間だけではなく、患者さんやその家族の方にも名前を確認してもらうなど、参加していただく。といった工夫を積極的に取り入れていきましょう。
個人個人の意識がもちろん不可欠なダブルチェックですが、忙しい中であっても、ダブルチェックの為の時間を効率よく取れる環境づくりも重要です。