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サイトメガロウイルスとは?症状や原因、検査・治療方法を解説

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「サイトメガロウイルス」という言葉を聞いたことはあるけれど、具体的にどのようなウイルスなのか分からないという人は多いと思います。

サイトメガロウイルスの基礎知識や症状・原因、検査方法と治療方法を解説していきますので、参考にしてください。

 

1、サイトメガロウイルスとは

引用:サイトメガロウイルス感染症(CMV感染症)|日和見疾患の診断・治療|診断と治療ハンドブック|国立国際医療研究センター

サイトメガロウイルス(cytomegalovirus=CMV)とは、ヒトヘルペスウイルスの仲間です。ヘルペスウイルス科βヘルペスウイルス亜科に属する2本鎖のDNAウイルスで、ヘルペスウイルス科の中では最も大きいという特徴を持っています。

サイトメガロウイルスは世界中で見られるウイルスであり、成人の60~90%がサイトメガロウイルスの感染歴・抗体を持っています。特に、社会・経済的に低い階層の人たちや発展途上国で、サイトメガロウイルスの感染歴は多く見られます。

 

2、サイトメガロウイルスの症状

サイトメガロウイルスに感染しても、ほとんどの人は無症状です。しかし、どのような状況で感染したかによって、その症状は大きく異なります。

ケース別のサイトメガロウイルスの症状を見ていきましょう。

 

■先天性サイトメガロウイルス感染症の症状

引用:妊婦が感染すると胎児に感染(先天性感染)するサイトメガロウイルス母子感染の実情と症状|厚生労働科学研究費補助金成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業

妊娠中に母親が初めてサイトメガロウイルスに感染すると、胎盤や血液を介して胎児に感染を起こすことがあります。

また、過去に感染していて、妊娠中にサイトメガロウイルスが増殖し、再活性化した場合も胎児に感染を起こすリスクがあります。

胎内でサイトメガロウイルスに感染すると、先天性サイトメガロウイルス感染症を発症することがあります。

先天性サイトメガロウイルス感染症の症状には次のようなものがあります。

・子宮内での発育遅延(低出生体重

・小頭症

・早産

黄疸

・肝機能異常、肝炎

・難聴

・出血斑(紫斑・皮下出血)

・肝脾腫

・脳内(脳室周囲)石灰化

・脈絡網膜炎

DIC

・発達障害

精神発達遅滞

・てんかん発作

先天性サイトメガロウイルス感染症はTORCH症候群の1つであり、深刻な先天性感染症です。

先天性サイトメガロウイルス感染症は妊娠中に母体が初めてサイトメガロウイルスに感染した場合、40%で胎児感染が成立しますが、すべてのケースで症状が現れるというわけではありません。

 

■新生児や乳児での感染

新生児期や乳児期は、母乳や唾液、尿などを介して、サイトメガロウイルスに感染することがあります。

母体から抗体が移行していることが多いため、基本的には感染しても無症状(不顕性感染)、もしくは発熱などはあっても軽症で経過します。

しかし、早産や低出生体重児として生まれた場合、母体からの抗体移行が不十分のため、間質性肺炎や肝機能異常などの重篤な症状が現れることもあります。

 

■小児・成人での感染

小児や成人になってから初めて感染した場合も、不顕性感染で無症状のまま経過することが多いです。

ただ、サイトメガロウイルス単核症(伝染性単核症)やサイトメガロウイルス性急性肝炎を起こすこともあります。

サイトメガロウイルス単核症は潜伏期間が20~60日と長く、発熱や疲労感、気分不快、筋肉痛、頭痛、肝脾腫などの症状が2~6週間も続きます。

 

■移植患者やHIV陽性患者の感染

臓器移植を受けた患者やHIV陽性患者など、免疫力が低下している人がサイトメガロウイルスに感染すると、重篤な症状を引き起こします。

・網膜炎

・肝炎

・間質性肺炎

・結腸や食道の潰瘍性疾患

・脳炎

易感染者においては、サイトメガロウイルスへの感染は死亡原因になりますし、臓器移植患者においては移植した臓器を失うことにつながります。

 

3、サイトメガロウイルスの原因

サイトメガロウイルスの感染原因・感染経路は、唾液や尿、母乳、精液、膣分泌などです。

それらに分泌されたサイトメガロウイルスが体内に入ることで、感染が成立します。

多くの場合、子どもの頃に保育園や幼稚園などの集団生活の中でサイトメガロウイルスに感染して、不顕性感染のまま経過します。

また、精液や膣分泌液にもサイトメガロウイルスは含まれることから、性感染症の一種という一面も持っている感染症です。

妊娠中の女性がサイトメガロウイルスに感染する主な原因は、上の子の唾液や尿であることが分かっていますので、第二子・第三子妊娠中は手洗いや消毒を徹底するなどの予防策が必要になります。

また、過去にサイトメガロウイルスに感染したことがあるけれど、その時は不顕性感染で、体内の各組織に休眠状態で潜伏していることがあります。

その場合、何らかの刺激や免疫力の低下が原因となって、サイトメガロウイルスが体内で増殖し、再活性化することがあります。

再活性化の場合、最近はサイトメガロウイルスの感染原因に思い当たるものがないけれど、症状が出てきたということになりますので、「サイトメガロウイルスに感染した原因はこれ」と断定するのは難しいでしょう。

 

4、サイトメガロウイルスの検査

サイトメガロウイルスに感染しているかどうかの検査方法には、いろいろなものがあります。

・ウイルス分離

・ウイルス迅速同定(シェルバイアル法)

・CMV抗原血症検査(CMVアンチゲネミア法)

・定量PCR法

・細胞・組織病理学的検査

これらの検査方法で、サイトメガロウイルスや感染細胞を検出することで、サイトメガロウイルスに感染しているかどうかを診断します。

 

4ー1、妊娠中のサイトメガロウイルスの検査

妊娠中のサイトメガロウイルス検査では、スクリーニングを目的に抗体検査を行うことがあります。

引用:サイトメガロウイルス抗体|ベックマン・コールター

抗体検査をすることによって、妊婦が過去にサイトメガロウイルスに感染したのか、それとも現在感染している可能性が高いのかをある程度判別することができます。

IgGが高ければ、既往感染であるとわかりますが、IgGが低い場合はサイトメガロウイルスに感染したことがないと推測できます。

また、Ig Mが高いと現在進行形でサイトメガロウイルスに感染している可能性があるんです。

・抗体がない妊婦に感染予防の注意喚起ができる

・初感染の可能性が高い妊婦にフォローアップや治療と行う

・初感染の妊婦に胎児感染予防のための治療・投薬を行う

このスクリーニング検査によって、上記の3つのことを行うことができます。

 

5、サイトメガロウイルスの治療方法

サイトメガロウイルス感染症は軽症の場合は、特別な治療をせずに、そのまま快方に向かうことが多いです。

重篤な症状が出ている場合は、ガンシクロビルやバルガンシクロビル、ホスカルネット等の抗ウイルス薬を用いて治療を行います。

また、先天性サイトメガロウイルス感染症の場合は、胎児腹腔内に高力価免疫グロブリンを投与するという治療法を用いることもあります。

神戸大学の研究では、胎児期に免疫グロブリン製剤を投与し、新生児期に抗ウイルス薬を用いる治療をすると、重い後遺症を残す割合が減ることが分かっています。1

 

まとめ

サイトメガロウイルスの基礎情報とケース別の症状や原因、検査方法や治療方法などを解説しました。

サイトメガロウイルスは健康な状態なら、それほど怖いウイルスではありません。しかし、妊娠中に感染したり、免疫力が低下している人が感染すると、重篤な症状を引き起こすことがありますので、妊婦や易感染者は注意が必要です。

 

参考文献

1)免疫グロブリン製剤を用いた胎児治療と抗ウイルス薬による新生児治療を組み合わせて症候性先天性サイトメガロウイルス感染症児の予後を改善 | Research at Kobe|神戸大学

免疫グロブリンを用いた先天性ウイルス感染症に対する胎児治療の実施に関してのご説明|宮城県立こども病院産科

サイトメガロウイルス感染症について 横浜市

先天性サイトメガロウイルス感染症 概要 – 小児慢性特定疾病情報センター

妊婦が感染すると胎児に感染(先天性感染)するサイトメガロウイルス母子感染の実情と症状| 厚生労働科学研究費補助金成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業

サイトメガロウイルス感染症とは|国立感染症研究所

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