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防衛機制と看護|基礎知識や11種類と具体例、看護の流れやポイント

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防衛機制とは、不安やストレスにさらされた時に自分を守るための心理メカニズムのことです。患者や家族は、病気という危機に直面し、防衛機制が働いていることが多いですから、看護師は防衛機制をきちんとキャッチし、適切な看護介入をしていく必要があります。防衛機制の基礎知識や種類、具体例、看護の流れやポイントをまとめました。

 

1、防衛機制とは

防衛機制(defence mechanism=ディフェンス・メカニズム)は、危機に直面した時に自分を守ろうとする無意識の心理メカニズムのことです。精神分析で有名なフロイトとその娘であるアンナ・フロイトによって確立された概念です。私たちは、危機的な状況や自分にとって不都合が多い状況、受け入れがたい苦痛にさらされた時には、精神的なストレスを感じます。

そのまま精神的なストレスを抱え続けていたら、精神崩壊を起こしかねません。それを避けようとして、ストレスや不安を軽減するための心理メカニズムが働きます。防衛機制が働くことによって、私たちは精神的な安定を保つことができるのです。例えば、「どうしてもこれが欲しいのに、お金がないから買うことができない」という状況にさらされた場合、その事実をそのまま素直に受け入れることは難しいことがあります。そういう時には、「よく考えてみたら、実はそんなに欲しくなかったかも」とか「そんなに良い品物ではなかったから、買わなくて良かった」と自分に言い聞かせたり、別のもっと安いものを購入して、代用したりしますよね。そして、自分自身を納得させます。これが、防衛機制です。この防衛機制は、意識的に発動させるものではなく、無意識(スーパーエゴ)で発動することが特徴です。

 

2、防衛機制の種類と例

防衛機制には、主に11種類があります。この11種類の防衛機制を具体的な例と共に説明していきます。

 

①抑圧

不安や欲求不満を無意識に封じ込めて忘れてしまおうとすること。心の奥深くまで封じ込めてしまうため、他人に指摘されても思い出すことは難しい。

【例】いじめられていた辛い記憶を忘れてしまう。

 

②否認

不安やストレスの原因から目をそらし、その事実を頑なに認めようとしないこと。

【例】「あなたは末期がんです。」と医師に診断されても、「そんなはずはない。私は健康そのものだ」とがんである事実を認めようとしない。

 

③逃避

ストレスや困難な状況から逃げることで、自分自身を守ろうとすること。逃避には、現実逃避、空想逃避、病気への逃避の3パターンがあります。

【例】

現実逃避 →明日の国家試験が不安だから、部屋の大掃除を始めてしまう。
空想逃避 →明日の国家試験が不安だから、試験合格後の楽しい未来を想像する。
病気への逃避 →明日の国家試験が不安で、高熱を出したり下痢になってしまう。

 

④合理化

満たされない欲求に対して、もっともらしい理由をつけて自分を納得させること。

【例】

・食べられなかったケーキを考えて、「カロリー高そうだし、糖尿病になりそうだから、食べなくて正解」と思い込む。

・あのブランドのハイヒールが欲しかったけれど品切れ。でも、歩きにくそうだし、すぐに靴擦れしそうだから買わなくて良かったと思うようにする。

 

⑤投影(投射)

自分の中にある不快な感情は、自分ではなく他人が持っているものとして非難すること。自分のせいではなく、他人のせいにすること。

【例】

・「私があの人を嫌いなんじゃなくて、あの人が私を嫌いなのよ」と言いふらす。

・「私がカンニングしたのが悪いんじゃない。隣の人が私に答案用紙を見せつけるような位置に置いていたのが悪い」と言い訳する。

 

⑥同一視

他人の真似をして、自分の評価を高めようとすること。

【例】人気モデルのメイクや髪型を真似する。

 

⑦退行

幼児期や年少期の行動・考えに戻ってしまうこと。

【例】弟が生まれたことをきっかけに赤ちゃん返りをしてしまう。

 

⑧反動形成

自分の思っていることと、正反対の行動をとること。

【例】好きな相手にそっけない態度を取ってしまう。

 

⑨代償

叶わない欲求をほかのものに置き換えることで、自分を納得させること。

【例】

・あのブランドのコートが欲しいけれど予算オーバーなので、似たようなデザインのプチプラブランドのコートを買ってみた。

・アイドルに実際に会いたいけれど、写真集を見て我慢する。

 

⑩昇華

社会的に認められない欲求を社会的・文化的に認められる良い方向へのエネルギーに置き換えること。

【例】

・振られたことをきっかけに勉強に取り組む。

・性的欲求を詩や小説として表現する。

 

⑪補償

劣等感をほかの分野で補おうとすること。短所を克服するのではなく、長所を伸ばすことで優越感を得ようとすること。

【例】

・勉強ができないからスポーツを頑張る。

・容姿に自信がないけれど、勉強を頑張る。

 

3、防衛機制と看護のポイント

看護をする上で、人間の心理メカニズムである防衛機制を理解しておくことは非常に重要なことです。なぜなら、患者は「病気」という危機的な状況に直面しているので、防衛機制が働いていることが多いからです。

防衛機制が働くことで、自我を保つことができていますが、それがずっと続いた場合、精神的なバランスを保てなくなる可能性があります。さらに、最善の治療を受けることができない可能性もあるのです。だから、看護師は患者の防衛機制は患者からのSOSであると認識し、防衛機制が働いていることを見破り、適切な看護介入をしていく必要があります。

また、患者だけでなく、家族も防衛機制が働いているケースがありますので、患者だけでなく家族への看護も忘れないようにしてください。防衛機制が働いている患者や家族への看護介入の流れやポイントを押さえておきましょう。

 

①情報収集

まずは、その患者への情報収集を行います。どんなことに対して、ストレスや不安を抱いているのか?それを突き止めるためにも、まずは患者の情報収集を行いましょう。

 

②コミュニケーションをとる

看護をしていく上で、患者との信頼関係を築くことは大切です。だから、カルテなどで情報収集をするだけでなく、患者としっかりコミュニケーションをとって信頼関係を築きましょう。コミュニケーションをとって、信頼関係を築いていけば、情報収集はさらに捗ります。この時には、防衛機制が働いていることを否定したり、無理に指摘したりせず、支持的な態度で接するようにしましょう。

 

③アセスメントをする

情報収集ができたら、アセスメントをします。アセスメントをすることで、看護が必要なのか、どんな看護介入が必要なのかが見えてくるでしょう。

 

④看護介入をする

アセスメントをしたら、看護介入をしていきます。必要なら、看護計画を立案しましょう。防衛機制が働いている患者へ看護介入をする時に、一番大切なことは、患者のニーズをしっかり把握することです。どのように看護介入していくかは、患者の状態・状況によって異なります。防衛機制が働いている状況を変化させて、現実に目を向けてもらうべきかどうかは、ケースバイケースなのです。

例えば、

・初期の大腸がんが発見されたけれど、「私ががんのはずがない!」と否認している患者

・末期の肺がんで緩和ケア病棟に入院しているけれど、「私が死ぬはずない!」と否認している患者

この2人の患者では看護介入の方法は、全く違いますよね。

初期の大腸がんの患者には、がんであるという現実に目を向けさせて、最善の治療が受けられるように援助していかなければいけません。でも、緩和ケア病棟にいる末期がんの患者には、あえて防衛機能が働いていることを指摘して、現実に目を向けさせる必要はありません。だから、防衛機制が働いている患者に対して、全員に現実を指摘するという看護介入は間違っています。あくまで、ケースバイケースですので、適切な看護ができるようにしっかりとアセスメントするようにしてください。

 

まとめ

防衛機制の基礎知識と種類、具体例、看護介入の流れやポイントをまとめましたが、いかがでしたか?防衛機制は精神的な安定を守るための心理メカニズムですので、防錆規制が働いている患者に看護介入をする必要があります。ただ、どのように看護していくかは、その患者の状況によって異なりますので、適切の看護ができるように、情報収集やアセスメントを行うようにしましょう。

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