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CPAPの看護|持続陽圧呼吸療法の効果や副作用、3つの看護計画

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CPAPは、気管内挿管をせずに気道に陽圧をかけることができるので、睡眠時無呼吸症候群の治療に広く用いられています。病棟でCPAPを使用する時に正しく看護をすることができるように、または家庭でCPAPを導入する患者に使用方法や注意点を指導できるように、正しい知識を身につけておきましょう。CPAPの基礎知識や効果、人工呼吸器のモードについて、副作用、看護計画をまとめましたので、実際に看護する時の参考にしてください。

 

1、CPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)とは

CPAP(シーパップ)とは、Continuous Positive Airway Pressureを略した用語で、日本語では持続的陽圧呼吸療法と訳されます。

 

CPAP

出典:あおぞら湘南クリニック

 

CPAPは機械を用いて、気道に常に一定の陽圧をかけ続けます。気道を陽圧に保つことで、気道を確保できるほか、肺胞の虚脱を防ぐことができます。

 

CPAPの原理

出典:一般社団法人日本呼吸器学会

 

このCPAPの特徴は、NPPV(非侵襲的陽圧換気)であることです。非侵襲的ですので、気管内挿管や気管切開をする必要はありません。マスクを装着するだけで、気道に陽圧をかけることができるようになっています。CPAP療法は、一般的には睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療に用いられますが、心不全などの治療にも用いられることがあります。

 

2、CPAPの効果

CPAPは気道を陽圧に保つことで、気道を確保でき、肺胞の虚脱を防ぐという効果があります。そうすることで、具体的には次の5つの効果が期待できます。

・気道の確保

・換気の改善

・機能的残気量の増加

・酸素化能の改善

・呼吸仕事量の減少

気道の陽圧を保つことで、気道の閉塞を防ぐことができるため、SASの治療をすることができます。また、肺胞の虚脱を防ぐことで、換気が改善して呼吸仕事量が減少するので、呼吸しやすくなります。さらに、胸腔内圧を高めるので、肺の血流を減少させて、心不全による肺うっ血・肺水腫を改善する効果も見込めます。

 

3、CPAPと人工呼吸器

一般的に「CPAP」というと、BiPAPマスクを使ったNPPV(非侵襲的陽圧)を指しますが、人工呼吸器のモードにもCPAPがあります。人工呼吸器のモードの1つであるCPAPもNPPVのCPAPと同じです。気道に陽圧をかけるモードです。

NPPVのCPAPとの違いは、基本的には気道内挿管(気管切開)が必要か否かだけになります。

ただ、人工呼吸器によっては、CPAPモードにPS(Pressure Support)をかけられるものがありますので、人工呼吸器のCPAPモードを使っている患者の看護をする時には、PSがかかっているかを確認する必要があります。人工呼吸器のCPAPは人工呼吸器離脱前のウィーニングに使われることが多いです。

 

4、CPAPの副作用

NPPVでのCPAPは基本的に重篤な副作用はほぼありません。人工呼吸器でのCPAPでは気道内圧が高くなりすぎることで、気道損傷や肺損傷を起こすリスクがありますが、NPPVのCPAPではマスクを使用するので、気管内挿管に比べると気密性は低くなります。

そのため、10~15cmH2O以上の気道内圧を維持することは困難であり、肺損傷のリスクはありません。1

CAPAは家庭でも安全に利用できる治療方法なのです。ただ、次のような副作用が出ることはあります。

・喉の乾燥

・鼻づまり

・腹部膨満感

・マスク装着とPEEPがかかることでの圧迫感・閉塞感

・入眠困難

・耳の痛み

CPAPは気道を陽圧に保つために、空気を送り込みますので、喉の乾燥や鼻づまり、耳の痛みなどを感じやすくなります。

また、送り込まれた空気を飲み込むことで、腹部膨満感やげっぷなどの症状も現れます。そして、マスクをつけて、常に空気を送り込まれていることで、圧迫感や閉塞感を感じる患者も少なくなく、マスク装着の不快感から入眠が困難になるという副作用もあります。

 

5、CPAPの看護計画

CPAPを装着している患者の看護をする時には、次の3つの看護問題が挙がります。

①ガス交換障害

②CPAPへの不安や不快感

③無呼吸が起こる可能性

この3つの看護問題に沿って、CPAPを装着している患者への看護計画を立案しましょう。

 

①ガス交換障害

CPAPを装着している患者は、SASや心不全による肺水腫などが原因で、1回換気量が低下するリスクがあります。1回換気量が低下すれば、酸素化が低下し、低酸素に陥って呼吸不全になることがありますので、看護師はガス交換障害が起こらないようにケアをしていく必要があります。

看護目標 呼吸不全が起こらずSpO2の低下がみられない
OP(観察項目) ・バイタルサイン(呼吸回数、SpO2)

・血液ガスデータ

・胸部レントゲン画像

・呼吸状態

・息苦しさの有無

・マスクの密着度

・呼吸音

・胸郭の動き

・チアノーゼの有無

・マスクからのリークの有無

TP(ケア項目) ・CPAPの設定の確認

・マスクをしっかり装着してもらう

・リークがあったら、マスクを装着し直す

・指示された薬剤の確実な投与

EP(教育項目) ・息苦しさを感じたらすぐに伝えてもらうように説明する

 

②CPAPへの不安や不快感

CPAPで治療をすると、圧迫感や閉塞感を感じて不安になったり、鼻詰まりや耳の痛みなどの不快を感じる患者が少なくありません。CPAPに対して不安や不快を感じてしまうと、CPAPを自己判断で中断してしまったり、無意識にマスクを外してしまうこともあります。また、不安や不快感が強くなると、CPAP自体がストレスになってしまって、不眠や食欲不振などの症状が出てくる可能性もありますし、治療に積極的に取り組むことができなくなります。そのため、看護介入して不安や不快感を軽減できるようにケアしていきましょう。

看護目標 CPAPへのネガティブな言動が減少し、積極的に治療に取り組むことができる
OP(観察項目) ・CPAPについての言動

・表情

・睡眠状況

・不快感の訴えや種類

TP(ケア項目) ・CPAP用の加湿器を用いる

・室内の加湿をする

・マスクを正しく装着してもらう

・不安を傾聴する

・医師に設定圧の調整を相談する

・気分転換を促す

EP(教育項目) ・治療についてきちんと説明する

・不安や不快感は我慢せずに伝えてもらうように説明する

 

③無呼吸が起こる可能性

CPAPは主に睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療に用いられます。気道を陽圧に保つことで、気道の閉塞を防ぐことができます。しかし、適切に使用できていない場合は、睡眠中に無呼吸が起こるリスクはあります。看護師は無呼吸が起こるリスクを考えながら、看護介入をして、ケアをしていくようにしましょう。

看護目標 睡眠中に無呼吸が起こらない
OP(観察項目) ・バイタルサイン(呼吸回数、SpO2)

・呼吸状態

・胸郭の動き

・マスクのフィット感

・リークの有無

・チアノーゼの有無

・CPAPに対する言動

・睡眠状況

・日中の眠気の有無

TP(ケア項目) ・マスクをしっかりフィットさせる

・圧は適切かどうかを医師に相談する

・CPAPへの不安感・不快感がないかを傾聴する

EP(教育項目) ・家族にも睡眠中に無呼吸がないかを確認してもらうように伝える

・マスクはしっかりフィットさせて適切に利用できるように指導する

・SASのリスクを指導する

 

もし、CPAPを適切な圧設定で、きちんと使うことができているのに、日中の眠気が続くという場合は、SASが原因の眠気ではなく、ほかの原因による睡眠障害の可能性を否定できません。CPAPがうまく使えないことで睡眠中に無呼吸が出てしまっていることによる眠気なのか、それ以外の原因の可能性が考えられるのかを看護師はきちんとアセスメントをしなければいけません。SAS以外の睡眠障害の可能性がある時には、医師に報告するようにしましょう。

 

まとめ

CPAPの基礎知識や効果、副作用、看護計画をまとめました。

CPAPは気管内挿管が必要ない呼吸療法で、SASの治療では保険が適用となり、家庭でも使うことができます。ただ、ICUや一般病棟でも利用することがあります。また、看護師はCPAPを家庭で導入する時にきちんと患者や家族に使用方法を指導する必要もありますので、CPAPについて正しい知識を身につけておくようにしましょう。

 

参考文献

1)肺損傷回避のための非侵襲的呼吸補助による呼吸管理(日本集中治療医学会雑誌 第4巻 第1号|山内順子、丸川征四郎、尾崎孝平、藤田啓起|1997年)


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