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TUL(経尿道的尿管結石破砕術)の痛みや治療、3つの術後看護問題

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TULとは経尿道的尿管結石破砕術のことで、尿道から尿管鏡を挿入して、レーザーで尿管結石を破砕する手術方法になります。内視鏡による手術のため、比較的安全性は高いものの、合併症が起こるリスクもありますので、看護師は合併症を考慮し、術後の看護問題を挙げて、それに応じた看護計画を立案する必要があります。TULの基礎知識や痛み、治療方法、術後看護問題と看護計画をまとめましたので、実際の看護をする時の参考にしてください。

 

1、経尿道的尿管結石破砕術(TUL)とは

TULとはTransurethral ureterolithotripsyの略で、日本語では経尿道的尿管結石破砕術と訳されます。TULは麻酔をかけた状態で、尿道から尿管鏡を挿入し、モニターを見ながら結石をレーザーで破砕し、鉗子を用いて摘出する治療方法になります。

 

TUL経尿道的尿管結石破砕術

出典:TUL経尿道的尿管結石破砕術(船橋クリニック)

 

尿管結石の治療法には経尿道的尿管結石破砕術(TUL)のほかに、体外衝動波腎尿管結石破砕術(ESWL)があります。尿管結石の治療の第一選択は侵襲が少ないESWLになりますが、ESWLでは十分な破砕効果が得られないケースや結石がレントゲンで見えないためESWLでは治療できない時に、TULが適応になります。

ESWLについては、「 ESWL(体外衝撃波結石破砕術)の看護|適応・原理・合併症とその要点」で詳しく説明しています。

 

2、経尿道的尿管結石破砕術(TUL)の痛み

経尿道的尿管結石破砕術(TUL)は尿道口から膀胱を通過し、尿管まで尿管鏡(内視鏡)を挿入し、レーザーを用いて結石を破砕する手術です。麻酔もしくは腰椎麻酔、硬膜外麻酔を用いて治療を行いますので、手術による痛みはありません。

TULでは基本的に尿管ステントは留置しませんが、結石が大きかったり、手術時間が長くなるなどで尿管粘膜の損傷のリスクがある場合は、尿管ステントを留置します。この尿管ステントを留置したことで、排尿時痛が起こることがあります。尿管ステント留置による痛みは抜去後に軽減し、徐々に消失することがほとんどです。

 

3、経尿道的尿管結石破砕術(TUL)の治療方法

経尿道的尿管結石破砕術(TUL)の治療方法について、詳しく説明していきます。

■手術方法

TULは全身麻酔、もしくは腰椎麻酔や硬膜外麻酔で行います。尿道口から尿管鏡を挿入し、レーザーで結石を粉砕し、鉗子で砕いた結石を除去します。

 

TULの手順

出典:医療法人沖縄徳洲会 中部徳洲会病院

 

手術時間は30分から2時間程度が目安になります。通常、術後は尿管ステントを留置しませんが、結石の大きさや手術時間によって、尿管の粘膜損傷のリスクが大きいと判断した場合は、尿管ステントを留置して、手術は終了になります。

 

■入院期間

TULは全身麻酔や腰椎麻酔、硬膜外麻酔を用いた手術になりますので、入院の必要があります。入院期間は1週間以内が多く、経過に問題がなければ、術後2~3日で退院になります。

 

■合併症

TULは内視鏡を用いた手術なので、安全性は高いですが、次のような合併症が起こるリスクはあります。1

・尿路感染(1.7%)

・尿管狭窄(0.1%)

・尿管穿孔(1.1%)

・尿管断裂(0.1%)

・出血(血尿)

尿管狭窄や尿管穿孔では、尿管ステントを留置して対応しますが、ステントを留置しても尿管狭窄が自然解除しない場合は、狭窄部を切除し縫合する手術が必要になります。尿管断裂が起こった場合は、開腹手術や腎瘻造設などの処置を行わなければいけません。

 

4、経尿道的尿管結石破砕術(TUL)の術後看護問題

経尿道的尿管結石破砕術(TUL)の術後看護問題には、次のようなものがあります。

■感染を起こすリスクがある

TULは尿管鏡を挿入しますので、腎盂腎炎を起こすリスクがあります。また、手術当日は術後もバルンカテーテルを挿入したままになりますので、尿路感染を起こす可能性もあります。そのため、看護師は感染リスク状態をTULの術後の看護問題として挙げ、ケアをしていかなくてはいけません。

 

■深部静脈血栓を起こすリスクがある

TULでは全身麻酔、または下半身麻酔を用いて手術を行い、手術当日はベッド上安静となります。そのため、深部静脈血栓を起こし、そこから肺塞栓症を引き起こすリスクがありますので、看護師は深部静脈血栓のリスクを術後看護問題の1つとして挙げ、予防のためのケアを行う必要があります。

 

■術後出血が起こるリスクがある

TULは尿管鏡を用いてレーザーで尿管結石を破砕する治療方法ですので、通常の手術と比べると、出血量は非常に少なく、術後出血のリスクも低いです。しかし、術後出血のリスクが全くないというわけではありません。経過が良好な場合でも、血尿は数日間続きます。また、手術中に尿管周囲の血管を損傷しているリスクもあり、術後にそこから出血が続くということもあります。だから、術後に出血が起こった場合でも、早期発見・早期対処ができるように、術後の看護問題として挙げておかなくてはいけません。

 

5、経尿道的尿管結石破砕術(TUL)の看護計画

経尿道的尿管結石破砕術(TUL)の術後看護問題に沿って、それぞれ看護計画を立案していく必要があります。具体的な看護計画を立案して、ケアに活かしていきましょう。

■感染を起こすリスクがある

TULの術後は、腎盂腎炎などの感染症を予防しなければいけません。

看護目標 腎盂腎炎や尿路感染を起こさない
OP(観察項目) ・バイタルサイン

・発熱の有無
・血液検査データ(WBCやCRP)
・尿の性状

・排尿時痛、違和感の有無

・既往歴

TP(ケア項目) ・バルンカテーテルを操作する時は清潔操作を徹底する

・医師に指示された抗生剤の投与を遵守する

EP(教育項目) ・バルンカテーテルを引っ張ったり、むやみに触ったりしないように指導する

・尿の性状に異常がみられる時にはすぐに報告してもらう

 

■深部静脈血栓を起こすリスクがある

安静臥床による深部静脈血栓を予防するための看護計画の一例をご紹介します。

看護目標 DVTを起こさない
OP(観察項目) ・バイタルサイン
・血液検査データ(Dダイマー)・呼吸状態
・下肢の浮腫の有無・下肢の疼痛、圧痛の有無

・下肢の発赤の有無

・足背動脈の蝕知

・既往歴や服薬歴

TP(ケア項目) ・術前から弾性ストッキングを着用してもらう

・ベッド上安静でも可能な範囲で下肢を動かしてもらう

・安静度に応じて離床、歩行を促す

EP(教育項目) ・DVTの危険性を説明する

・早期離床の重要性を説明する

深部静脈血栓を予防するためには、とにかく早期離床が重要になります。TULの場合、オペ翌日には病棟内歩行OKとなることが多いですので、医師から歩行可の指示が出たら、どんどん離床を促して、歩いてもらうようにしましょう。特に、高齢者の場合、早期離床を嫌がる人が多いので、介助をしたり歩行器を用いるなどの工夫をして、早期離床を進めて下さい。家族に早期離床の重要性を説明して、家族からも促してもらうのも効果的です。

 

■術後出血が起こるリスクがある

TULの術後は、出血が起こるリスクがあります。オペ後は通常、血尿が見られますが、数日から1~2週間で出血は止まります。ただ、出血が自然に止まらない場合、血管造影や開腹手術を行わないといけないこともありますので、早期発見をする必要があります。

看護目標 出血が起こった際の早期発見ができる
OP(観察項目) ・バイタルチェック

・尿の色調、性状、量

・血液検査データ

・患者の訴えや表情

・既往歴や服薬歴

TP(ケア項目) ・尿量や色調の経時的変化を記録する

・異常が見られたら、すぐに医師に報告する

EP(教育項目) ・血尿の色が濃くなった場合はすぐに報告してもらうように伝える

・バルン抜去後に畜尿の指示がある時は、畜尿の必要性や方法を説明する

 

まとめ

経尿道的尿管結石破砕術(TUL)の基礎知識や痛み、治療方法、術後看護問題と看護計画をまとめました。TULは比較的安全に尿管結石を除去できる手術ですが、体に侵襲があることには変わりありませんので、患者に応じた術後のリスクをきちんとアセスメントして、術後の合併症を予防するためのケアをしていきましょう。

 

参考文献

1)TUL 経尿道的尿管結石破砕術(船橋クリニック)


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