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内視鏡検査の看護|内視鏡検査の3つの種類と看護のポイント

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内視鏡検査看護

内視鏡とは、先端に小型カメラを内蔵した細い管で、口や鼻、肛門からその管を挿入し、食道・胃・十二指腸大腸などの観察を行う医療機器です。内視鏡の歴史は古く、古代ギリシア・ローマ時代にその起源はさかのぼると言われています。よく「胃カメラ」という言葉を耳にしたことがあると思いますが、これは開発当初の内視鏡を表わしていて、現在、医療現場で「胃カメラ」という言葉が使われることはほとんどありません。内視鏡は、時代の経過とともに様々な開発を経て、病気の早期発見や治療等に用いられるようになりました。

 

1、内視鏡検査の目的と種類

内視鏡検査は、食道や胃、十二指腸、大腸などの粘膜を観察し、病気の有無や、重症度などの鑑別のために行われます。また、病変を切除したり、治療に用いられたりする場合もあります。

 

■上部消化管内視鏡検査

胃内視鏡検査とも言われています。口から内視鏡を挿入し、食道や胃、十二指腸を観察します。最近、より細い管を鼻から挿入する経鼻内視鏡検査が行われることもあります。経鼻内視鏡検査は、口から内視鏡を挿入するよりも管が細いため、嘔吐反射が起こりにくく、患者の負担が少ないと言われていますが、鼻腔の形状などにより挿入が困難なケースや鼻出血等を伴う場合があります。上部消化管内視鏡検査は逆流性食道炎や胃炎等の炎症性病変、ポリープ、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなどの病気の発見、疾患の重症度や進行度の判定や経過の観察等に有用です。

 

■下部消化管内視鏡検査

大腸内視鏡検査とも言われています。肛門から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸までの大腸全体を観察することができます。その場でポリープの切除や生検が行われる場合もあります。下部消化管内視鏡検査では潰瘍性大腸炎やクローン病等の炎症性腸疾患、ポリープ、大腸癌や直腸がんなどの病気の発見、疾患の重症度や進行度の判定や経過の観察等に有用です。大腸内視鏡検査については「CF(大腸内視鏡検査)の看護手順と留意すべき観察項目」をご覧ください。

 

■肝・膵内視鏡検査

胆のうや胆管、膵臓の観察や治療に用いられます。X線検査と組み合わせた内視鏡的逆行性胆膵管造影法(ERCP)は、胆管や膵管に造影剤を直接注入し、X線を撮りながら検査が行われます。また、内視鏡の先端に超音波装置が付いた、超音波内視鏡(EUS)が用いられる場合もあり、超音波装置により、病変の画像をより鮮明に撮影することができます。詳細については「ERCP、ERBDの検査や合併症、適切な手技のための看護ケア・計画立案」、「EUSの看護|超音波内視鏡検査の目的や方法、看護のポイントを学ぶ」をご覧ください。

 

2、内視鏡検査の方法

上述のように、内視鏡検査には種類があり、種類によって検査の方法が異なります。ここでは、上部消化管内視鏡検査と下部消化管内視鏡検査の方法について記載していきます。

 

■上部消化管内視鏡検査

①検査前に、患者に消泡剤を服用してもらい、咽頭麻酔をします。(経鼻の場合は鼻の充血や腫れを抑え、取り通りを良くするため血管収縮剤の点鼻薬投与を行ったのち鼻腔麻酔を行います。)

②必要時、鎮痙剤の投与を行います。

③検査室へ移動し、患者を左側臥位にします。口から内視鏡を挿入する場合は、マウスピースを噛ませ、必要時追加で咽頭麻酔を行います。

④内視鏡を口または鼻からゆっくりと挿入していきます。身体の力を抜くように声かけし、モニターを確認しながら内視鏡を進めていきます。途中で体位を腹臥位へ変える場合もあります。

⑤食道、胃、十二指腸を十分に観察しながら写真撮影を行います。必要時、染色や生検を行います。

⑥通常検査は10~30分程度で終了しますが、検査時間には個人差があります。

 

■下部消化管内視鏡検査

①検査前に、患者に経口腸管洗浄剤を服用してもらう。排便状態が不十分の場合は下剤を追加したりや浣腸を追加することもあります。

②患者に検査着に着替えてもらい、必要時、鎮痛薬および鎮静薬の投与を行います。

③患者を左側臥位にし、肛門より内視鏡を挿入していきます。挿入時には、腹部に力を入れないよう声かけし口呼吸を促し内視鏡を進め、直腸、大腸等の観察を行っていきます。

④検査中、体位を変えて観察を行うこともあります。観察部位によっては、ガスの注入や脱気、染色を行うこともあります。必要時、生検で組織を一部採取したり、ポリープを内視鏡的に切除する場合もあります。

⑤通常検査は、10~30分程度で終了しますが個人差があります。

 

3、内視鏡検査の合併症

内視鏡検査を行う上で、合併症を引き起こす可能性はそれほど高くはありませんが、まれに出血や穿孔などが生じる場合があります。合併症による入院や緊急処置が必要となるケースは上部消化管検査では0.012%程度、下部消化管検査では0.011%程度と言われています。検査前には、合併症のリスクについても、十分に患者に説明することが大切です。

 

4、内視鏡検査時の看護のポイント

内視鏡検査では、いずれの場合も検査実施の前に、検査の目的や方法等を説明し、患者が理解した上で、同意書に署名をもらうことが必要となります。検査の日程が決まったら、検査日前日より、厳守する項目や注意するポイントがありますので、患者への注意喚起および適切な指導が必要となります。

 

■検査前日

・指定された時間までに食事を済ませるよう指導します。また夕食は消化の良いものとし、食べすぎないよう説明します。

・飲み物、食べ物の摂取可能時間を確認し、時間を厳守するよう指導します。時間が守られなかった場合は、検査ができない場合もあるので注意が必要です。

・前日は早めの就寝を心がけるよう説明します。

・下部消化管内視鏡検査の場合は、決められた時間に下剤の服用が必要になる場合があるため、服用時間、服用方法等の説明が必要となります。

 

■検査当日

・検査終了まで、飲食・喫煙禁止となります。常用薬の服用については、事前に医師へ確認を行い、指示通りに服用するよう説明が必要です。

・検査前に飲食時間の確認とバイタルサインの測定を行います。検査の内容によっては、血管確保が必要な場合がありますので、必要に応じて点滴を行います。

・下部消化管内視鏡検査の場合、経口腸管洗浄剤を服用してもらう必要がありますので、検査時間を確認し、服用開始時間に服用を開始するよう指導すます。排便状況の確認を行い、不十分な場合は医師に報告します。追加で下剤の投与が必要な場合もあります。

 

■検査中

・患者の状態を観察し、合併症の兆候がないか等確認を行います。

・不安や苦痛を和らげるよう、適宜声かけを行います。

・体位を変える場合、必要に応じて介助します。

 

■検査後

・安静が必要な場合は、安静時間を確認します。

・患者の状態や腹部症状等、合併症の有無を確認し、バイタルサインの測定を行います。

・食事や水分摂取の開始可能時間を確認し、時間を厳守するよう説明します。

・その他、患者の状態や検査の内容により、注意事項がある場合は医師へ確認を行い、患者に十分説明を行います。

 

まとめ

内視鏡検査に関わらず、検査を受ける患者は大きな不安を抱えています。検査前の十分な説明はもちろんのこと、検査中、検査後も、患者の状態を観察し、不安を最小限にとどめられるようサポートしていくことが必要となります。合併症の出現頻度が高い検査ではありませんが、使用する薬剤により副作用が出現するリスクもあり、まれに合併症を引き起こす可能性もあります。個々の患者の状況をしっかりと把握するとともに、万全な態勢で検査を受けることができるよう、しっかりと準備を整えることが大切です。検査の方法や、看護のポイントをしっかりとおさえ、適切な看護を提供できるよう学習を進めていきましょう。

 

参考文献

内視鏡の歴史(あなたの健康ドットコム|オリンパス)

上部消化管内視鏡検査(食道・胃・十二指腸内視鏡)と治療(2018年3月改訂|一般社団法人日本消化器内視鏡学会)

大腸内視鏡検査と治療(一般社団法人日本消化器内視鏡学会)


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