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おむつ交換の看護|成人・新生児の目的と手順、看護技術の5つの視点

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おむつ交換の看護

おむつ交換は成人・小児問わず、どの年代の患者においても必要な看護技術です。介護士が行うことも多いですが、私達看護師はただ物理的にきれいなものに取り換えるだけではいけません。今回は排泄ケアの種類と目的、そしておむつ交換の手技についてまとめました。

 

1、おむつ交換の看護目的

1-1、排泄ケアの種類

看護師の行う排泄ケアには、排泄機能を援助するものと、排泄するための行動への援助があります。

<排泄ケアの種類>

①排泄機能を援助するもの

・導尿

・グリセリン浣腸

・摘便

・おむつ交換

②排泄行動を援助するもの

・床上排泄の援助(尿器・便器の使用)

・ポータブルトイレでの排泄援助

・トイレでの移動介助

 

1-2、おむつ交換の目的

本来はトイレで排泄することが自然な排泄行動ですが、尿便意を感じられない・意思を伝えることのできない患者がおむつを使用します。小児においてはトイレトレーニングが終了するまで健康な小児もおむつを着用します。小児と成人では着用の理由は違いますが、求める目的は同じです。

<おむつ交換の目的>

・臀部の清潔を保つ

・排泄後の不快感を取り除く

・おむつによる皮膚炎を防止する

・排泄物の観察(尿・便の回数、性状)

・気持ちよく食事を摂取するための準備(特に新生児・乳児)

吸水力などおむつ自体の機能性は高くなっていますが、排泄後のおむつを長時間着用すれば皮膚炎を起こしたり、不快感を伴います。排泄は食事にも影響しますから、すっきりと排泄して保清されることが、落ち着いた環境で食べることでの食欲増進につながります。また、おむつ交換は大切な情報収集の場でもあります。本人が訴えることのできない分、看護師はおむつ交換を通して尿・便の回数、水分出納バランスを把握することが必要です。

 

2、おむつ交換の看護技術

2-1、必要物品

おむつ交換は、汚染した尿パッドなどだけを交換する場合もあれば、便などの付着によって陰部洗浄と一緒に行うこともあります。陰部洗浄も行う場合の必要物品を挙げてみました。各医療機関・施設によって採用物品などに違いはありますが、応用してみてください。

<必要物品>

•おむつ

•トイレットペーパーや紙ガーゼなど、拭き取る物

•陰部洗浄用ボトル(38~40℃前後のお湯を入れる)

•使い捨て手袋

•ゴミ袋

•石鹸

・ガーゼ(手でなでて洗う場合は不要)

•防水シーツ(汚染の具合などを考慮して使用する)

また、おむつにはいくつものタイプがあり、患者に適したものを(小児の場合は、成長発達によって)選択します。

<おむつの種類と選択>

・テープ式おむつ

・パンツ式(リハビリ用)おむつ

・尿取りパッド

・板(フラットシート)おむつ

 

2-2、おむつ交換の基本的な看護手順(成人) *陰部洗浄を含む

①患者へおむつを交換することを説明し、同意を得る。

(コミュニケーションの取りにくい患者には忘れがちだが、必ず声掛けを行う。)

②物品をそろえる。

③カーテンやドアを閉め、プライバシーに配慮する。

④防水シーツを敷く(使用する場合は)。

⑤患者を側臥位にして、汚染したおむつを内側に丸めながら取り除く。

(そのまま取り除けないようであれば、新しいおむつを上に当ててから反対側を向いて取り除く。)

⑥新しいおむつもしくは陰部洗浄用の尿取りパッドや板おむつを敷き、仰臥位にする。

(それまで着用していたテープ式オムツで陰部洗浄を行ってもよい)

⑦陰部洗浄を行う

便が付着している場合など、汚れの落ちにくい場合はガーゼで軽くこする。

⑧洗浄後の臀部の水を拭き取る。

⑨洗浄で使用したおむつを、適宜側臥位をとりながら取り除く。

⑩中心と骨盤の位置・ギャザーが外側に出ていることを意識しながら、新しいオムツをあてる。

⑪衣類・寝具を整える。

⑫患者へおむつ交換が終わったことを伝える。

⑬必要に応じ窓を開けて換気し、環境を整備する。

⑭片付けをし、排泄物の量や性状を記録する。

 

成人のおむつ交換の技術は、介護業界でも積極的に研修を行っています。一般の人でもわかるように説明されているので、細かいポイント・コツを含めて大変参考になります。

 

 

引用:介護技術#19 排泄介助(オムツ交換編)介助方法(日本福祉アカデミー)

 

2-3、小児のおむつ交換手順(新生児・乳児)

新生児・乳幼児は膀胱の機能が不十分なため、排泄回数が成人よりも多い特徴があります。また便も柔らかく、特に新生児では日を追うごとに色・性状が変化していきます。身体が小さく柔軟性があるため、交換時には側臥位ではなく臀部を持ち上げて行います。

基本的な技術や必要物品は原則として成人と変わりませんが、小児の場合は授乳の前後や泣いている時など、交換のタイミングも大切です。2-2で紹介した成人のおむつ交換の手順を応用し、児の泣いている時間を短くして負担の少ないおむつ交換を行うように心がけましょう。

 

①声をかけてスキンシップをとりながら、児の状態を観察する。

②新しいおむつを広げておく。

③濡らした綿花もしくは拭き取りシートを用意しておく。

④臀部の下に手を入れ、軽く持ち上げる。

⑤新しいおむつを下に敷く。

⑥おむつを広げ、尿や便・皮膚の状態を観察する。

⑦汚染されたおむつを内側に丸めながら、きれいな面が臀部の下に来るように少しずらす。

⑦用意した綿花や拭き取りシートで、臀部を拭き取る。

⑧指が軽く2本入るくらいの余裕をもたせてテープを止める。

⑨衣類を整える。

⑩片づけを行う。

⑪便や尿など、排泄状況を記録する。

 

2-4、看護師がおむつ交換で注意すべき5つのポイント&5つの視点

小児の場合は成人に比べて便が柔らかく回数も多いため、その都度微温湯を使った陰部洗浄ではなく、綿花を濡らして使用したり赤ちゃん用の拭き取りシートを使用することがあります。しかし、擦ることの物理的刺激やアルコールによる弊害もありますので、注意が必要です。

 

<小児のおむつ交換 拭き取り時の注意点>

①拭き取るときは上→下が基本

②ひと拭きごとにきれいな面に替える。

③強くこすらない。

④男児の場合は陰嚢の下の汚れもしっかり拭き取る。

⑤アルコールを含む拭き取りシートの場合は皮膚炎を起こすことがあるので、特に注意して皮膚の状態を観察する。

また、おむつ交換全体を通して注意すべきこともあります。

<看護師がおむつ交換を行うときの5つの視点>

①汚染物は感染物であることを意識し、周囲への影響を最小限にする。

②患者のプライバシー・自尊心に十分配慮する。

③コミュニケーションがとれなくても必ず声掛けを行い、愛護的なケアを行う。

④おむつ交換は観察の場であることを意識する。

⑤患者に今備わっている(残されている)機能を活かし、足りないところだけ援助する。

 

3、おむつ交換の看護研究

高齢化が進んで寝たきり患者の増えている現代において、おむつ交換は看護師に必須の技術となりました。おむつ交換は排泄面だけではなく、皮膚の状態や食事への影響もあり、エビデンスをもとにした技術が求められます。皮膚損傷が少なく、漏れないようなおむつの当て方や業務の効率化・感染対策など、おむつ交換に対する研究もされています。これらの研究を読んで、日頃の自分のおむつ交換の手技や現状を振り返ってみるとよいでしょう。

 

退院時と1か月健診における新生児のおむつかぶれの実態

(日本助産学会誌 Vol. 29 No. 1 48-58|眞嶋 ゆか 小林 康江|2015年)

高齢者施設におけるおむつ交換時に補助者の手袋に付着した細菌の動向

(太成学院大学紀要 Vol. 16 135-146|尾上考利 豊留静香 他|2014年)

感染につながる看護師の習慣化された行動について

(第56回日本農村医学会学術総会|山田純子|2007年)

 

まとめ

おむつ交換はともすると、ただ汚れたものを取り除いたり、定時で行うルーティンワークとなりがちです。私達看護師はなぜおむつ交換が必要なのか、どこに注意して行うべきか、期待される効果は何かなど、看護師としておむつ交換における視点を忘れないように心がけたいものですね。

 

参考文献

看護技術がみえるvol.2 臨床看護技術(MEDIC MEDIA|医療情報科学研究所|2013年3月22日)


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