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マーゲンチューブの看護|種類や目的、看護技術(挿入・交換・固定方法)

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マーゲンチューブ看護

マーゲンチューブは、胃の中の減圧や排液、経管栄養の投与などを目的に、鼻腔から胃に挿入するチューブのことです。消化器外科の術後や経口摂取が不可能な患者に挿入され、病院だけではなく介護施設でも、挿入している患者は多いと思います。

マーゲンチューブの基礎知識や種類、目的、看護技術(挿入・交換・固定方法)をまとめました。マーゲンチューブを挿入する患者の看護をする時の参考にしてください。

 

1、マーゲンチューブとは

マーゲンチューブとは、主に鼻腔から胃に挿入するチューブのことで、NGチューブや胃管、胃チューブ、胃ゾンデ、マーゲンゾンデ、ストマックチューブ(STチューブ)と呼ばれることもあります。

サイズは10~18Fr(3Fr =1mm)を使うのが一般的ですが、目的・用途、患者の体格よって、使用するマーゲンチューブのサイズは異なります。

マーゲンチューブの看護とは

出典:ファイコンフィーディングチューブS マーゲンタイプ | 富士システムズ株式会社

素材はシリコン製やポリ塩化ビニル製のものが多く、先端はX線不透過の線が入っているものが一般的で、レントゲンでマーゲンチューブが胃に入っているかどうかを確認できるようになっています。

 

2、マーゲンチューブの種類

マーゲンチューブの種類は、主に減圧・排液目的のものと経管栄養目的のものに分けることができます。また、各医療機器メーカーによって特徴や呼び方などが少しずつ異なります。

 

■減圧・排液目的

減圧・排液目的のマーゲンチューブは、排液腔と空気腔の二重構造になっていて、空気腔があるために、吸引してもマーゲンチューブの先端が胃壁にくっつかないようになっています。

また、減圧・排液目的のマーゲンチューブは、逆流防止弁がついているものがあります。基本的に14~16Frなど太めのものを選びます。

 

■経管栄養目的

経管栄養目的は長期間留置することがありますので、患者への負担を減らせるように柔らかい素材のものが多く、ガイドワイヤー(スタイレット)がないと挿入できないものが多いです。経管栄養目的の場合は、12Fr以下の細いものを用います。

 

3、マーゲンチューブの目的

マーゲンチューブを挿入目的は、胃の洗浄と経管栄養の投与、胃液の検査、術後合併症の予防の4つがあります。

 

■胃の洗浄

マーゲンチューブを挿入する目的の1つ目は、胃の洗浄です。これは、救急外来や救命救急センターで行われることが多いのですが、睡眠薬などの薬物を大量服用した患者には、マーゲンチューブを挿入して、胃洗浄を行います。

その後、吸着作用のある活性炭を注入することもあります。

 

■経管栄養の投与

経口摂取ができない患者さんには、マーゲンチューブを挿入して、経管栄養を投与します。また、薬剤を水に溶いて、胃に注入することもできます。

 

■胃液の検査

胃液の検査や胃の内容物を採取する時にも、マーゲンチューブを挿入し、シリンジなどで吸引して採取します。

 

■術後合併症の予防・早期発見

消化器外科の術後は、マーゲンチューブが挿入されていることが多く、マーゲンチューブが挿入されていることで、術後合併症の予防や異常の早期発見につながります。

・排液の観察による術後出血の早期発見

・減圧することで吻合部への圧を減らし、縫合不全を予防する

・減圧することで、麻痺性イレウスによる嘔吐を予防

マーゲンチューブを入れることで、これらの術後合併症の予防や早期発見ができるのです。

 

4、マーゲンチューブの看護技術

マーゲンチューブの挿入方法、交換時期やタイミング、固定方法の注意点を確認していきましょう。

 

4-1、マーゲンチューブの挿入方法

マーゲンチューブを挿入するのは、医師が行う病院・施設もありますが、看護師が行うところもありますので、看護師はマーゲンチューブの挿入・挿入介助ができるように、必要物品と挿入方法を知っておく必要があります。

 

■必要物品

・マーゲンチューブ

・カテーテルチップ型シリンジ(50ml)

・キシロカインゼリー(潤滑剤)

・固定用テープ

・ディスポーサプル手袋、マスク、エプロン

・処置用シーツ

・ガーグルベースン

・聴診器

 

■挿入方法

①患者にマーゲンチューブを挿入することを説明する

②患者に座位、または仰臥位になってもらう

③マーゲンチューブの先端にキシロカインゼリーを塗布する

④嘔吐を誘発した時に備えて、処置用シーツを引き、患者にはガーグルベースンを持っていてもらう

⑤患者に顎を引いてもらう。顎を引くことで、食道が開き、挿入しやすくなる

⑥鼻腔から鼻腔底部に沿わせながら、ゆっくり挿入する

⑦咽頭に達したら、意識のある患者には嚥下してもらい、嚥下のタイミングに合わせて、挿入を進める

⑧成人の場合は45~65cm程度挿入すると、胃に達する。

⑨胃内にマーゲンチューブがあるかを確認したら、固定する

 

胃内にマーゲンチューブがあるかどうかを確認するのは、とても大切なことです。確認方法は、次の3つがあります。

・カテーテルチップで胃の内容物を吸引する

・カテーテルチップで空気を注入し、胃に聴診器を当てて「ゴボッ」という音が聞こえる

・レントゲンで胃内にマーゲンチューブがあること確認する

これをきちんと確認しないと、気管にマーゲンチューブが入っていて、経管栄養を落としたら、呼吸状態が一気に悪化したという事態になりかねません。

必ずマーゲンチューブは胃内に入っているかを確認してください。看護師が挿入する場合は、ダブルチェックだけではなく、最終確認は医師にしてもらったほうが良いでしょう。

 

4-2、マーゲンチューブの交換時期

マーゲンチューブは、特に交換時期が定められているわけではありませんので、「○日間で交換しなければいけない」という決まりはありません。頻回に交換していると、患者にも負担がかかります。

ただ、マーゲンチューブが原因で鼻翼に潰瘍ができたり、チューブが閉塞したり、明らかに汚染している場合は、交換するようにしましょう。

また、マーゲンチューブによっては、メーカーから「留置期間は2週間以内」と決められているものがありますので、その場合はその期間で交換するようにしてください。

 

4-3、マーゲンチューブの固定方法

マーゲンチューブの固定方法は、鼻翼で固定してから、頬に沿わせて頬でもう一度固定するのが一般的です。鼻翼での固定は、7cm程度の長さのテープの中央に切り込みを入れて、それを巻き付けるようにして、留めると良いでしょう。

頬での固定は、頬に直接チューブを当てて、その上からテープで固定するのではなく、テープでチューブを包み込むようにして固定するようにしてください。頬に直接チューブを当てて固定すると、固定力が弱いですし、頬に潰瘍ができるリスクがあります。

また、自己抜去の可能性が高い患者には、粘着力の高いテープでしっかりと固定する必要がありますが、皮膚トラブルの原因になったり、鼻翼に潰瘍ができることがありますので、注意が必要です。

必要であれば、頬に沿わせてから耳の後ろを通して固定、さらに病衣の中を通すなどの工夫をするようにしましょう。

 

まとめ

マーゲンチューブの基礎知識や種類、目的、看護技術(挿入・交換・固定方法)をまとめましたが、いかがでしたか?

マーゲンチューブが挿入されている患者は多く、看護師にとって、マーゲンチューブの患者の看護をすることは日常的で当たり前のことになっていると思います。

ただ、マーゲンチューブは間違って気管に入ってしまえば、医療事故につながるものですし、鼻翼に潰瘍を作ると、患者に苦痛を与えることになりますので、もう一度、マーゲンチューブの目的や看護技術を見直しておくようにしましょう。


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