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酸素吸入療法の看護|目的・適応・種類と副作用の看護観察項目と計画

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酸素吸入療法

呼吸は私たちが生きていく上で必要不可欠です。しかし病気や手術などの影響により、呼吸が障害され十分な酸素が身体に取り込まれなくなる場合があります。呼吸状態の悪化は死に直結することもあり、非常に危険です。それを補う方法のひとつとして、酸素吸入療法があります。

ここでは酸素吸入療法について説明していきます。注意点や観察ポイントをしっかり学習し、実際のケアに生かしていきましょう。

 

1、酸素吸入療法とは

酸素吸入療法とは、酸素欠乏状態の患者に対して、空気よりも高濃度の酸素を一時的または持続的に吸入させる療法のことを言います。

術後や肺疾患などが原因で、酸素が十分に取り込めず、動脈血や末梢組織中の酸素が欠乏した状態を酸素欠乏状態と言い、酸素欠乏状態になるとチアノーゼや頻脈、呼吸窮迫などの症状が出現し、重篤化すると意識状態や血圧低下などを引き起こし、死に至る場合もあります。

 

2、酸素吸入療法の目的と適応

素吸入療法の目的は、動脈血の酸素化を図り末梢組織への酸素供給を改善すること、酸素欠乏状態に伴う症状の軽減、心肺への負担を軽減することです。

酸素吸入療法は①室内気にてPaO2<60mmHgまたはSaO2<90%②低酸素症が疑われる③重症の外傷④急性心筋梗塞⑤短期的治療または外科的処置の場合などに適応となります。

 

3、酸素吸入療法の種類

酸素吸入療法には低流量システムと高流量システムがあります。

 

■低流量システム

低流量システムとは1回換気量以下の酸素ガスを供給し、不足分を鼻腔周囲の室内気で補う方法で、鼻カニューラ、簡易酸素マスク、リザーバー付酸素マスクがあります。

・鼻カニューラ

酸素吸入しながら、会話や食事をすることが可能です。酸素ガスによる鼻腔粘膜の乾燥を防ぐため、通常6L/分以下での使用が推奨されています。

・簡易酸素マスク

マスク内の呼気ガスを再吸入しないようにするため、5L/分以下の酸素流量で使用します。

・リザーバー付酸素マスク

高濃度酸素吸入が必要な場合に使用します。マスク内に溜まった呼気の再吸入を防ぐため6L/分以上に設定します。長期間の使用には適しておらず、高濃度酸素投与によるCO2ナルコーシスの出現にも注意が必要です。

 

■高流量システム

高流量システムとは1回換気量以上の酸素ガスを供給する方法で、患者の呼吸状態に関わらず安定した濃度の酸素を供給することができます。正確な酸素濃度のコントロールが必要な場合(COPDや慢性呼吸不全など)に使用されます。ベンチュリーマスク、ネブライザー付酸素吸入装置、ハイフロー経鼻カニューラなどがあります。

・ベンチュリーマスク

24~50%の酸素を供給することができます。ダイリュータと呼ばれるアダプタ部分に酸素濃度と流量が印字されており流量を設定することが可能ですが、加湿効果が低いという欠点があります。

・ネブライザー付酸素吸入装置

ベンチュリーマスクにネブライザー機能を付け加えたもので、十分な加湿が可能です。

・ハイフロー経鼻カニューラ

会話や食事を妨げず、加湿加温した酸素を経鼻的に高流量で流す方法で、加湿が十分にされているため、鼻腔粘膜の乾燥を防ぐことができ、精度の高いFiO2(Fraction of inspiration oxygen/吸入中酸素濃度)を維持することができます。

 

4、酸素吸入療法の注意点

酸素吸入療法は、呼吸器疾患の患者だけでなく術後管理などにも使用されます。空気よりも高濃度の酸素を使用するため、引火の危険性があります。火気の使用は現金とし、可燃物をそばに置かないように注意しましょう。

酸素ボンベを使用する場合は適切に取り扱い、日光や火気のある場所を避け冷暗所で保存するようにしましょう。

 

5、酸素吸入療法時の観察ポイント

酸素吸入療法時は患者の一般状態のほかに機器の観察や、患者の精神状態を観察する必要があります。

 

一般状態

・呼吸状態(呼吸数、深さ、リズム、チアノーゼの有無)

・バイタルサイン

・呼吸困難の有無

・SPO2

・意識レベル

・鼻口腔内の状態

 

機器の観察

・酸素流量や濃度が正しいか

・カニューレやマスクが正しく装着されているか

・チューブの屈曲、閉塞の有無

 

精神的状態

・患者の表情、言動

・ストレス・不安の有無

 

まとめ

酸素吸入療法では、指示通り確実な酸素吸入を行うことが重要です。安楽な体位を保持しながら、酸素吸入療法を受けられるように援助していきましょう。

呼吸状態が不安定な患者は、生命の危機を感じていることが多く、不安や精神的ストレスを抱えている場合があります。患者の精神状態にも目を向け、精神的ケアを行うことも看護の重要なポイントとなります。


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