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血圧測定の看護|水銀血圧計での測定方法と手順やコツ

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血圧測定看護

血圧測定は、最も基本となる看護技術です。バイタルサインの一つである血圧は、循環動態を把握するために必要不可欠な情報であり、その値を正しく測定するのは看護師の役目です。

血圧測定にはいくつかの測定方法があり、血圧計にも種類があります。ここでは最も基本的手技である、水銀血圧計による聴診法を確認しましょう。

 

1、血圧測定とは

1-1、血圧測定と看護

血圧測定は様々な場で行います。近年は一般の家電製品と同じ扱いで、血圧計は電気量販店やネットでも販売されていますが、一般の人でも測定できる自動血圧計は、同じ患者でも測定方法によっては何十㎜Hgもの誤差を生じることになります。

看護師が臨床の場で測定する際には、正しい値を測定して医師に報告する必要があります。近年は水銀を使用しないアネロイドの血圧計を使用することが多くなりましたが、昔ながらの水銀血圧計は一番誤差が少なく、正確です。

ここでは水銀血圧計での測定方法を学ぶことにしましょう。

 

1-2、血圧測定が必要になる場面と目的

以下のような場合に

・急変時、緊急時の循環動態の把握

・侵襲の伴う処置や検査の前後における状態観察

・日々の状態観察

・治療方針の検討

・治療効果の評価

 

血圧は、1度測定して終わることはありません。日々の状態観察も、変動がないか必ず確認します。その上で定期の内服薬を調整し、状態を把握します。急変時や侵襲の加わる処置時には、前・中・後、随時状態に応じて測定することによって、経時的な状態の変化を素早くとらえることができます。

例えば、高血圧によって降圧薬を使用した場合、再度測定した値が下がっていたのなら治療効果ありと判断されますし、もし変化がないのであれば別の方法をとる必要が出てきます。

処置の前には150㎜Hgあった血圧が80㎜Hgに下がったのと、もともと90~100㎜Hgの血圧の患者では、現在の血圧が同じ80㎜Hgでも大きな違いがあります。ショック状態を起こしているのか、それとも安静によって多少血圧が下がっただけなのか、血圧は前回値と比較して初めて測定する意義があるのです。そのためには、いつ、誰が測定しても正しい血圧の値が得られるよう、誤差は少なくとどめなくてはなりません。

 

2、血圧測定の看護技術

2-1、血圧測定の方法と手順

血圧測定には、3つの方法があります。一般的に看護師が行うのは聴診法ですが、緊急時やイレギュラーな場面、物がそろっていないときなどは臨機応変に使い分ける必要がありますので、それぞれの特徴を覚えましょう。

測定方法の種類としては大きく分けて以下の三つが挙げられます。

 

・聴診法:聴診器を使って測定する

・触診法:聴診器を使わず、脈拍を触知することで測定する

・オシロメトリック法:血圧計の水銀の拍動を見て測定する

 

聴診法は、看護の現場で基本的に行う方法です。マンシェットを腕に巻いて空気を送り、大動脈の触れる位置に当てた聴診器から聞こえてくるコロトコフ音で、収縮期血圧と拡張期血圧を測定することができます。

しかし、急変時やショック状態のときなど血圧が低い場合や拍動の弱い場合は、上腕動脈のコロトコフ音は聴取できないことがあります。そのようなときには、触診法やオシロメトリック法が有用です。

聴診法で測定不可能な場合や聴診器がない場合などは、橈骨動脈を触知することで収縮期血圧を測定することができます。カフ圧を下げたときに脈拍が触れたところが、収縮期血圧です。

触診法でもどうしても脈拍の触知ができない場合や、拍動が弱すぎて自信が持てない場合には、カフ圧を下げたときに水銀が上下に振れた点を収縮期血圧とします。実際にカルテに記載する値をオシロメトリック法にすることはありませんが、おおよその血圧を知ることは可能です。

基本的には聴診法での血圧測定が望ましいのですが、患者の状態によっては触診法・オシロメトリック法を合わせるとよいでしょう。

 

2-2、血圧の測定方法 ~応用編~

突然のことで血圧計すら手元にないという場合には、どこの脈拍を触知できたかによって、血圧を推測することができます。

 

<脈拍だけでわかる血圧>

橈骨動脈でも触知可能:80㎜Hg以上

橈骨動脈で蝕知不可、大腿動脈で蝕知可能:70㎜Hg程度

頸動脈でのみ触知可能:60㎜Hg程度

 

頸動脈でも触れない場合は60㎜Hgもありませんから、極めて危険な状態です。いざという時のために、覚えておくと便利ですよ。

 

2-3、水銀血圧計の測定方法

 

➀血圧計を準備する

血圧計のコックを開いて水銀柱を満たします。

気泡が入っていないか確認し、もし入っていた場合は一度閉めて気泡を抜きます。

 

②患者の腕をまくる

マンシェットを巻く位置を露出するよう、腕をまくります。

服が上腕を閉めてしまうくらいにきついと血圧が高く出てしまうので、その場合には服を脱ぐか測定側のみ肩から袖を抜いてもらいます。

 

➂高さを合わせる

肘(マンシェットを巻く位置)と心臓の高さを合わせます。

 

➃マンシェットを巻く

大動脈の触れる少し上に、マンシェットを巻きます。

基本は素肌に巻きますが、どうしても服がきつい場合や周囲の目などがある場合には、薄手の肌着程度なら上から巻いてもいいでしょう。

 

➄橈骨動脈の拍動を確認しながら加圧する

まずは触診で収縮期血圧を測ります。脈が触れなくなったところから更に20㎜Hg加圧します。

 

➅減圧しながら橈骨動脈の拍動を確認する

脈が再度触れるまで、エアーをゆっくり抜きます。触れたときの値が収縮期血圧です。脈が触れるようになったら残りのエアーを抜き、マンシェットの中の空気も押し出します。

 

⑦聴診器を大動脈の触れる部分にあてる

マンシェットの2~3㎝下に聴診器を当てます。このとき、マンシェットの下に聴診器がもぐりこまないようにします。

 

⑧触診で測定した血圧+20㎜Hg加圧する

さきほど触診で測定した血圧より、更に20mmHg加圧します。このときにはまだ、コロトコフ音は聞こえません。

 

⑨減圧しながらコロトコフ音を確認する

聴診器を当てたまま、少しずつ減圧していきます。コロトコフ音の聞こえ始めた値が収縮期血圧、聞こえなくなった値が拡張期血圧です。

 

⑩残りのエアーを抜き、マンシェットを外す

残りのエアーを抜き、患者に衣服を整えてもらいます。マンシェットに残ったエアーは丸めて押し出します。

 

⑪血圧計をしまう

血圧計を傾けて、水銀柱から見えない位置になったらコックを閉じて、マンシェットを格納します。この作業をしておかないと、次に使用する際、水銀にエアーが入ってしまいます。

 

⑫記録をする

忘れないうちに、測定した値を記録します。患者にも結果を伝えます。

 

実際の測定方法は、北海道紋別地区消防組合消防署興部支署において行われている病院前救護(プレホスピタル・ケア)・救急医療勉強会の手技33:血圧測定のコツ~現場編~を参照してみてください。聴診法・触診法・オシロメトリック法や、下肢での血圧測定の方法も説明されています。

 

2-4、血圧測定のコツ

臨床の場で触診をしてから聴診をすることは、あまりありません。しかし、聴診法は減圧してこないとコロトコフ音が聞こえないので、どこまで加圧すべきかわかりません。そこで、実際はオシロメトリック法によって水銀が拍動する値を確認し、そこから20㎜Hg加圧してから減圧してきます。

また、患者の着ている服や腕の長さ・姿勢によっては、どうしてもマンシェットが肘にかかってしまうこともあります。その場合には、マンシェットの下に聴診器をすべりこませて測定します。原則は勧めませんが、膜型の聴診器なら測定は可能です。

医師兼漫画家で有名なねじ子さんが、「ねじ子Web」の帰ってきた完璧手技 第2回 バイタルで血圧測定のコツを公開しています。こちらも結構あるある!と実感できるので、参考になると思います。

 

3、血圧測定をするときの注意点

血圧測定はどちらの腕でやってもよいわけではありません。下のような場合には健側にマンシェットを巻きます。あらかじめ該当するものがないか、患者に確認しましょう。

・透析患者(シャントがある)

・片麻痺

・乳癌術後(リンパ郭清後)

・採血後

 

まとめ

基本的な手技であるからこそ、基本通り正しく測定できるようになりましょう。そして、血圧は測定して終わりではなく、その値から患者の状態がどうなのか、フィジカルアセスメントする癖を日頃からつけるようにしましょう。


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