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観血的整復固定術の看護|術後合併症と術後の看護計画のポイント

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観血的整復固定術

観血的整復固定術とは骨折の治療法の1つで、手術によって骨折のずれを治して、金属のピンなどを用いて、直接骨を固定する治療法になります。

観血的整復固定術は早期離床が可能であるというメリットがあるので、高齢の患者にもよく用いられる骨折の治療法になります。観血的整復固定術の基礎知識や合併症、術後の看護計画をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

 

1、観血的整復固定術(ORIF)とは

観血的整復固定術(ORIF)とは、簡単に言うと、手術で骨を固定する骨折の治療法です。麻酔をして皮膚を切開し、骨のずれを治して整復してから、金属のピンやワイヤー、スクリュー、プレートなどを用いて、皮下で骨を直接固定します。

観血的整復固定術は、手術で観血的整復と内固定を一気に行う治療法なのです。内固定の方法は、主にピンニングとプレート固定、髄内釘固定の3つがあります。

観血的整復固定術(ORIF)とは

引用:大腿骨の骨折観血的手術について | 手術について | ご利用案内トップ | 社会医療法人財団 慈泉会 相澤病院

固定の種類 固定の方法
ピンニング Kワイヤーという針金を骨に刺して、骨折した部位をつなげて固定します。
プレート固定 骨折した部位に金属製のプレートを当てて、スクリューを打ち込んでプレートと骨を固定します。
髄内釘固定 髄内釘は大きな骨の骨幹部が折れた時に行われる固定法で、骨の中心部に金属製のロッドを打ち込んで固定します。

観血的整復固定術の看護

引用:関節外科センター/外傷、関節外科、骨軟部腫瘍における関節再建専門治療センター 千葉西総合病院

観血的整復固定術は、他の整復法や固定法に比べて、早期にリハビリを開始できるというメリットがあります。外固定による保存療法では数ヶ月間の安静が必要であり、その後のリハビリが困難になることがあります。

また、高齢者の場合はそのまま寝たきりになり、QOLが大きく低下することもありますが、観血的整復固定術は手術翌日から車椅子への移乗が可能になりますので、早期離床、早期の日常生活への復帰が可能なのです。

 

2、観血的整復固定術の合併症

観血的整復固定術の合併症は、深部静脈血栓症と術後の創部感染です。

 

■深部静脈血栓症

手術前後はベッド上で安静にする必要がありますので、下肢の静脈に血栓ができることがあります。深部静脈血栓ができると、肺塞栓症を発症して、呼吸苦や胸痛、血圧低下を引き起こす可能性があります。

 

■術後の創部感染

観血的整復固定術は、手術で皮膚を切開して、骨を修復し、金属製のピンやスクリュー、プレートを体内に入れて骨を直接固定します。

固定するピンなどはきちんと滅菌していても、100%感染を防ぐことはできず、たとえ抗生剤を使用しても、まれに感染を起こすことがあります。

 

■筋力低下や関節拘縮

観血的整復固定術は、手術翌日から離床を始めることができ、大腿骨骨折の場合でも術後2~3日目には少しずつ体重をかけて歩行訓練を開始することができます。

ただ、すぐには骨折前のように歩くことはできませんし、術前はベッド上安静を保つことになりますので、どうしても筋力は低下します。

特に、高齢者の場合は筋力低下が著しいことがありますし、関節拘縮が起こるリスクもあります。

 

3、観血的整復固定術の術後の看護計画

観血的整復固定術の術後の看護問題は、以下の4つが挙げられます。

・術後の急性疼痛

・深部静脈血栓症

・創部感染のリスク

・転倒のリスク

この4つの看護問題に対する看護目標と看護計画、ケアのポイントなどを説明していきます。

 

■術後の急性疼痛

観血的整復固定術の術後の看護問題の1つ目は、急性疼痛です。術後は麻酔の効果が消えた後は、創部の痛みが出現しますので、看護師は疼痛のアセスメントをしっかり行って、適切な疼痛緩和を行う必要があります。

看護目標=疼痛緩和がされることで早期離床を進めることができる
OP(観察項目) ・バイタルサイン

・痛みの強さや部位

・検査データ

・患者の表情や言動

TP(ケア項目) ・冷罨法

・良肢位の保持

・レスキュー薬の使用

EP(教育項目) ・痛みが強い時はレスキュー薬が使えることを説明する

・痛みは我慢する必要がないことを伝える

・良肢位の保ち方を説明する

術後の疼痛があると、早期離床の妨げになります。通常の観血的整復固定術は手術の翌日から離床することができますが、疼痛があると離床がなかなか進まず、リハビリすることができません。

また、我慢できないほどの疼痛が続くことは、患者にとって大きな苦痛になりますので、適切なケアで疼痛を緩和させるようにしましょう。

 

■深部静脈血栓症のリスク

観血的整復固定術の術後の看護問題の2つ目は、深部静脈血栓症のリスクがあることです。下肢の静脈に血栓ができると、それが肺に飛んで肺塞栓症を起こすことがあります。

術後は臥床している時間が長いですから、深部静脈血栓ができるリスクが高いため、看護師は予防に努めなければいけません。

看護目標=深部静脈血栓ができない
OP(観察項目) ・呼吸困難感やSpO2、呼吸数などの呼吸状態

・下肢の腫脹や疼痛、発赤の有無

・爪や皮膚などのチアノーゼの有無

・飲水量

・足背動脈の蝕知

・採血データ(Dダイマー)

TP(ケア項目) ・早期離床を促すための疼痛コントロール

・弾性ストッキングの使用

・必要があれば間欠的空気圧迫法

EP(教育項目) ・早期離床の必要性を説明する

・症状での自動運動を促す

・下腿の腫脹や呼吸困難などの症状が現れたら、すぐに知らせるように指導する

・飲水を促す

深部静脈血栓症の看護|発症の原因、検査と治療、予防を含むケア

 

■創部感染のリスク

創部感染のリスクも観血的整復固定術の術後の看護問題の1つです。ただ、創部は術後すぐに開けないことが多く、創部を観察できるのは手術の数日~1週間後になりますので、基本的に術後数日間は処置をすることはありません。

看護目標=創部感染を起こさない
OP(観察項目) ・バイタルサイン

・血液検査のデータ

・創部の疼痛の程度

・創部周辺の腫脹や発赤、熱感の有無

TP(ケア項目) ・指示通りに抗生剤を投与する
EP(教育項目) ・創部の腫脹や熱感を感じたら、伝えてもらうように指導する

滅菌物とはいえ、観血的整復固定術はスクリューなどの金属を体内に入れているので、術後感染を起こすリスクがあります。もし、術後感染が起こった時は早期に発見できるようにケアをしましょう。

 

■転倒のリスク

観血的整復固定術の術後の看護問題には、転倒のリスクもあります。手術の翌日には離床できますが、術後の痛みやバランスの変化、筋力の低下などで転倒しやすくなっています。

術後に転倒すれば、固定した部分がまたずれてしまう可能性がありますし、別の部位を骨折する可能性もありますので、転倒しないように看護介入する必要があります。

看護目標=転倒しない
OP(観察項目) ・バイタルサイン

・疼痛部位や疼痛の強さ

・術後の活動状況・行動の観察

・ベッドの高さや周囲の環境

TP(ケア項目) ・疼痛コントロール

・低いベッドを用意する

・周囲の環境整備をする

・必要な歩行具を用意する

・ナースコールをすぐに届く場所に設置する

・必要に応じて見守りや介助を行う

・頻回に訪室する

・必要に応じて離床センサーなどを使う

EP(教育項目) ・転倒しやすく注意が必要であることを伝える

・必要時は必ずナースコールを押すことを指導する

・靴は踵のある滑りにくいものを用意するように伝える

・医師の指示通りの安静度・患肢への負荷を詳細に説明する

 

まとめ

観血的整復固定術の詳細や合併症、術後の看護計画についてまとめました。観血的整復固定術は早期離床が可能ですので、看護師は早期離床を促せるように疼痛コントロールを行いながらも、患者の転倒には注意を払いましょう。

特に高齢の患者は進んで離床をしようとしない人が多いので、離床の必要性を説明し、廃用症候群予防のためにも離床を進めていきましょう。


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