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前立腺生検の看護|検査前から術後までの看護手順と看護計画

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前立腺生検看護

がんの発見に役立つ前立腺生検。比較的に簡単な検査であるものの、初めての方は実際にどのように検査を行うのか分からないと思います。そこで今回は、前立腺や前立腺生検の概要に加え、検査の手順・看護についてご紹介します。

 

1、前立腺とは

前立腺は男性のみにある器官です。精液の一部をつくる働きを持っていることで知られています。「恥骨」という、骨盤を形成する骨の一部の裏側に位置している臓器で、「栗の実」のような形をしています。

この前立腺の細胞が本来の正常な細胞増殖機能を失ってしまうことで、必要以上に無秩序な自己増殖を繰り返すことにより、がんが発生します。この発生のメカニズムは、ほかのほとんどのがんと共通しています。

アメリカでは10年ほど前から患者数が増え続けており、もともと患者数の多かった肺がんを抜き、現在では男性が罹患するがんのなかで発症率が1位となっています。

こうした動きに比べると、日本での前立腺がんは肺がん、胃がん、大腸がんといったがんに次ぐ4位の患者数で、全体のがん患者の9%であり、まだまだ患者数は少ないともいえます。

しかし、1975年には年間に約2000人ほどであった患者数が2000年には2万人以上に、そして2006年には4万人以上にと急激に増えてきており、2020年には8万人規模に達してしまうのではないかと推測されています。

 

2、前立腺がんの発症要因

前立腺がんの原因は、残念ながらまだ完全には解明されてはいません。ただ、食生活のような生活習慣や遺伝要素が原因のひとつなのではないかと推察されています。他のほとんどのがんの原因ともなっている生活習慣。前立腺がんの原因としても注目されています。

前立腺がん患者が北米や欧州に多いことからも、動物性の脂肪や乳製品の過剰摂取がリスク因子であると推察されており、日本の国立がん研究センターの大規模な調査によっても、乳製品を多く摂取するほどに前立腺がんのリスクがあがってしまうことが発見されました。

もともとは日本人に少なかった前立腺がんが戦後に急速に増えてきていることからも、だんだんと欧米化していた食生活が前立腺がんの原因になっていると考えていいでしょう。また、前立腺がんはがんの中でも遺伝的な要因が比較的強いものであるとも言われています。

高齢者に多い前立腺がんですが、比較的若い世代で発症するものは遺伝性の場合が多いといえます。親族に1人でも前立腺がんに罹患した人がいる場合の発症リスクは2倍に、そしてその人数が増えていくにつれ、リスクは9倍以上にも上昇するとされていますので、親族に前立腺がんの患者がいる場合には、検査を積極的に推奨しましょう。

 

3、検査をしっかり行い早期発見すれば怖いがんではない

最近、増加傾向にある前立腺がんではありますが、他のがんに比べると進行が遅く、予後もいいがんであることが知られています。

がんの予後を示す目安として用いられている「5年生存率」は、がんの診断を受けた時点から5年後に生存している人の割合を示すものです。

前立腺がんではこの5年生存率が、初期である「I期」の場合は90%、比較的に進行してししまった「Ⅲ期」でも80%近い数値です。

ただ、がんはそれ自体の悪性度とともに、他の器官への転移が危険な病気でもあります。ですので、前立腺がん自体が危険度の低いがんであったとしても、早期に発見・治療を行い、他の器官への転移を防ぐことが肝心であるともいえます。

 

4、前立腺生検の看護手順

そこで、ここからは前立腺がんの早期発見に有効な前立腺生検の具体的な看護についてご説明していきます。

前立腺生検とは、近年増加傾向にある前立腺がんの診断に不可欠な組織検査のことです。検査用の特殊な針を前立腺に刺し、組織の一部を採取し、検査をします。

万が一、前立腺にがんがあった場合に、その後の治療計画を適切に立てるためにとても重要な検査であるとともに、がんがあるかないかだけではなく、あった場合の腫瘍の悪性の度合いや大きさなどを測ることもでき、前立腺がんの対策としてとても重要な検査です。

前立腺生検には、2つの種類があります。陰嚢と肛門の間の「会陰」といわれる部分の皮膚を切開し、組織を採取する方法と、会陰部や直腸から針を用いて組織を摂取する方法の2つです。一般的には、まず直腸に超音波を当て、超音波の画像上に異変の見られる部分へ針を刺す手法が多く使われます。

前立腺生検を行う際は、前立腺に針を刺すため、出血や合併症の対策のためにも、入院検査が必須となります。ですので、看護計画をしっかり立て、患者さんを安心させてあげることが重要です。

一般的な前立腺生検の検査の看護手順は以下の通りです。

 

4-1、検査前の看護手順

■検査前の説明

検査をする目的や方法、所要時間やその他連絡事項を伝達し、患者の理解を深めます

 

■検査前の準備

  1. 患者に入浴を促したりすることで、陰部を清潔に保ちます。
  2. 麻酔の方法に応じて、飲食をしないように指示します。(脊椎麻酔を行う場合には飲食をすべて禁止しますが、麻酔をする予定がない場合は食事可能です)
  3. 検査前に排尿を済ませてもらいます。
  4. 超音波を当てる超音波プローブは、数回続けて検査する場合などはガス滅菌ができませんので、30分ほど消毒液に浸しておき、直前に注射用蒸留水などで洗浄しましょう。
  5. 下半身の衣類を脱いでもらいます。この際、なかなか脱ぐことをしない患者さんも中にいますが、患者さんのペースに合わせて、無理に急かしたりしないようにしましょう。
  6. グリセリン浣腸を行います。
  7. 医師が血管を確保する介助をします。
  8. 血圧計を患者に装着します。

 

4-2、検査中の看護手順

  1. 患者の状態を確認します。
  2. 麻酔の準備をします。その際、麻酔の種類によって患者に以下の体位になることを指示します。
・粘膜麻酔:砕石位

・仙骨麻酔:腹臥位(まくらを腹の下に入れ、仙骨裂孔が開くようにする)。

・脊椎麻酔:端座位(足台を置き前かがみの体勢をとる。)

また、粘膜麻酔の場合は浣腸器でベノキシールゼリーを直接肛門より直腸に注入し、15分待機します。仙骨麻酔や脊椎麻酔の場合は、麻酔を施術した後、仰臥位に変更するように注意しましょう。

  1. 医師が直腸内をイソジン消毒する介助をします。
  2. 医師が生検を行う介助を行います。(この際、採取するごとに生検に用いる針の先を生理食塩水で洗浄します。)
  3. 採取された組織に極小量の墨汁をつけ、ホルマリン液の入った標本瓶に早急に入れます。
  4. 針を刺した部分に消毒後も出血が見られる場合、直腸にイソジンガーゼを挿入します。
  5. 医師がバルーン・カテーテル留置をする介助をします。粘膜麻酔の場合は基本的に検査後のバルーン・カテーテル留置はしませんが、血尿が認められた場合に留置を行います。
  6. ストレッチャーにてベッドへ患者を移送します。

 

4-3、検査後の看護手順

  1. 主に血圧に注意して、患者の状態を観察します。特に、針を刺した部分の出血の有無や血尿、疼痛の有無に注目しましょう。
  2. 検査後に直腸へガーゼを挿入した場合は、検査の3時間後に抜去します。
  3. 患者への術後の説明を行います

検査後には水分を500~1000ml摂取することや、出血や疼痛などの異常が発生したときは、すぐに報告するように説明します。また、検査当日の入浴は禁止しましょう。

 

まとめ

検査後は特に検査結果を不安に思っていたり、慣れない患者が多いので、安心させてあげるように努めるとともに、しっかり観察し、変化を見落とさないように留意しましょう。


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