「看護師になりたい」という目標を叶えるためには、看護系の教育機関での学習を経て、看護師国家試験の受験資格取得を目指す進路が示されています。具体的には、進学先である看護大学や看護短期大学、看護専門学校を卒業するために、授業を履修して指定された単位を取得しなければいけません。
しかし、4年制である看護大学と、修学年数が3年の看護短期大学、看護専門学校では取得できる単位数も変わってきます。また、准看護師として働いている人が、看護師国家試験の受験を目指す場合も、教育機関で学習しながら一定の単位を取得する道を進むことになります。
看護師を目指す場合、取得単位について頭に入れておく必要がありそうです。看護師国家試験の受験資格取得を考えている人は、進学先や学校での授業や単位、科目についても、しっかりと把握しておきましょう。
1、看護の教育機関ごとの取得単位数と内容
看護師の国家試験を受験するためには、高校卒業後に看護大学や看護専門学校などに進学する進路があります。それぞれの機関ごとの取得単位の数や内容を見てみましょう。
1-1. 看護大学や大学の看護学部・看護学科の場合
看護大学や看護学部・看護学科を設置している大学に進学する場合、在学期間は4年間で取得単位数は124単位以上となります。看護師国家試験の受験資格のほか、学校によっては保健師や助産師の国家試験の受験資格を得られるカリキュラムが用意されているところもあります。
4年間通学するため取得単位数も多いですが、大学ならではの充実した一般教養科目を履修できる点が特徴的です。例えば、ある看護大学の授業科目の内容と、授業ごとに取得できる単位数の一部を挙げてみると、このようになります。
専門支持科目群 | 社会福祉学(1単位)、疫学(1単位)など |
専門科目群 | 看護倫理(1単位)、助産学実習(10単位)、在宅看護学概論(1単位)など |
教養・基礎科目群 | ドイツ語Ⅰ・Ⅱ(それぞれ1単位)などの外国語科目、政治学(2単位)、統計学(1単位)など |
総合科目群 | 看護総合実習(3単位)、卒業研究(4単位)など |
1-2. 看護短期大学の場合
看護短期大学に進学する場合、通学期間は3年間で、取得単位数は97単位以上になります。大学よりは通学期間が短くなるものの、短期大学に通う場合も看護以外の一般的な知識を幅広く身に着けることができる点が特徴です。
1-3. 看護専門学校の場合
看護短期大学と同様、通学期間は3年間で、取得単位数は97単位以上になります。看護師になるにあたって必要な実践力を養うことに重点を置いた教育を受けることができる点が特徴です。
例えばある看護専門学校では、チーム医療論・疾病論・生態の機能などを含む専門基礎分野に21単位、看護研究や成人・老年・小児・母性・精神看護学実習などを含む専門分野Ⅰ・Ⅱに計54単位、看護の現場での体験学習を行う統合分野に12単位、英語やカウンセリング理論を学ぶ基礎分野に13単位を配置しています。
2、准看護師から正看護師へ!看護師学校養成所での取得単位とは
ここまでは、高校を卒業してから看護師になるための教育機関で取得する単位について説明してきましたが、准看護師の人が看護師学校養成所に進学し、看護師国家試験の受験資格を得るという方法もあります。看護師学校養成所での授業や単位について、まとめてみましょう。
2-1. 看護師学校養成所
中学卒業後に高等学校衛生看護科を出るなどして、准看護師資格を持つ人が看護師国家試験の受験を目指す場合、看護師学校養成所に進学する方法があります。具体的に看護師学校養成所に進学するルートとしては、高等学校衛生看護科や、高校卒業後に准看護師学校養成所を経て准看護師資格を取得した人が入るケースなどがあります。
勤務をしながら看護師国家試験受験を目指す場合、通信課程の養成所に入学する方法もあります。通信課程であれば、多くの授業を動画視聴や通信教材を利用して、レポート添削や単位認定試験を受けながら、看護師国家試験の受験に必要とされる65単位の取得を目指すことができます。入学要件には、准看護師としての実務経験が7年以上であることが含まれます。
2-2. 看護師学校養成所での授業とは
看護師学校養成所の仕組みも全日制で通学期間が2年、夜間で3年…と学校により異なっており、取得単位数も変わってきます。授業内容としては英語、物理学、解剖生理学、保健医療論、在宅看護論実習などがあります。
2年制の通信課程の養成所の場合、一部の単位を放送大学を利用して履修する学校もあります。また、入学前に放送大学やほかの大学、専修学校などで履修した単位を養成所の卒業単位の一部として認定するケースもあるため、予め放送大学などで単位を修得しておく手段もとることができます。
ただし、それぞれの単位が養成所の卒業単位として認定されるかどうかは、学校によって判断が異なります。
3、看護師を目指す学生ライフとは
これまでに述べた通り、看護師を目指すにはさまざまなルートがありますが、いずれの道を選んだとしても、各教育機関できちんと授業を受けて課題や実習をこなすなどして、必要な単位を取得しなければいけません。
そんな学生たちが学校での単位を通して授業や学生生活についてどのようなことを感じ、または不安を抱いているのでしょうか。ここで、プロの看護師となるために学習生活を送っている学生たちの心境などを覗いてみましょう。
3-1. 単位取得への焦り・留年への不安
看護学生たちがネットなどの中で吐露する不安要素の一つに、「必要な単位を取れるだろうか」「留年しそう」という点があります。国家試験を受験するために必要な知識や技術を身に着け、将来的にプロの看護職を生み出すために実施されている授業ですから、努力を惜しまず真剣に取り組む姿勢が求められます。
授業の出席、予習復習、課題、実習、テスト、そして追試など、時には負担が続くことを覚悟する必要もあるでしょう。特に大学よりも在学期間が短く、短縮された期間の中で厳しい実習などをこなさなければいけない専門学校生の生活はハードと言えます。
留年すると当然ながら学費を含む金銭的な負担も大きくなってしまいますし、看護師国家試験へのプレッシャーをより一層強く感じてしまう可能性もあります。
3-2. 進路への迷い
現在通っている学校で留年したケースの場合、別の学校に入り直して再び看護師への道を目指すか、あるいは看護師の夢を断念するかどうか…といった迷いを吐露する学生もいます。
「単位が取れない」というところから、自身の進路について路線変更を試みるかどうかということを迷ったり、「そもそもどうして看護師になりたいのか」ということから考え直し、自身のことをもう一度見つめたり、今後の進路について改めて決断する機会になる場合も考えられます。
まとめ
プロの看護師になるための通過点であるとは言いながら、看護師を目指すための複数のルートから進学先を選び、必要単位を得るために懸命に研鑽を積んだりと、看護学生の生活はハードかつシビアな日々が続きます。
看護師国家試験に合格しプロとして現場で働くことになってからも、看護の知識や技術をアップさせるための努力を続ける態度が求められます。
「学生時代の努力が、将来に向けたステップになる」と信じてまい進する気持ちが、夢をつかむための後押しとなるのではないでしょうか。まずは、必要な単位数を確認して、取りこぼさず取得するという地道な努力が、重要となってくるでしょう。