長年、メディアでも度々取り上げられている“看護師不足“。ニュースや新聞などで、一度は耳にしたり目にしたりしたことがあるのではないでしょうか?
もともと、日本では戦後に保助看法が制定されて以降、看護師不足は常に問題となっており、問題を解消する目的で准看護師の制度が作られたりもしました。
しかしその後、2006年に導入された、7対1の入院基本料制度によってさらに看護師不足は進み、 厚生労働省では、2011年から2015年にかけての需要に対し、約1万5000人〜5万6000人もの看護師が不足するとのデータを出していました。
では、なぜ慢性的な看護師不足の状態に陥っているのでしょうか。
実は、日本では毎年2月に行われる看護師国家試験で、約45,000人以上の看護師が誕生しているのです。それなのに、解消されない看護師不足・・・その大きな原因の1つと言われているのが、「看護師の離職率が高いこと」です。つまり、看護師になる人よりも、看護師を辞める人の方が多いのです。
そうした、看護師の資格を持ちながら現在は看護師をしていない人を潜在看護師といいますが、その数は約55万人にのぼるそうです。
実際に看護師を辞めたことがある方や、現在看護師を続けるかどうか悩んでいる・・・という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、「看護師の離職率」について解説したいと思います。
離職率とは?
離職率は、日本看護協会が以下の算出方法に従って算出しています。
常勤看護師離職率(%)=その年度の総退職者数÷常勤看護師の数×100
新卒看護師離職率(%)=その年の新卒退職者数÷新卒採用者数×100
この方法で算出したデータを表しているのが、このグラフです。
年々、下がってきてはいるものの、2011年度でも10.9%という高い離職率です。これは例えば、30人のスタッフがいるところでは毎年3人以上の退職者がいるということになりますね。
全体で見てみると、国内で働く看護師が100万人ほどいる中で、毎年10万人以上が辞めているという計算です。毎年誕生する看護師が5万人とすると、10万人以上が離職し、6〜9万人くらいの人が転職や復職しているというイメージです。
とはいえ、確実に下がってきている離職率。
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では、どのような背景で離職率が下がってきているのでしょうか?また、全ての病院で離職率が下がっていると言えるのでしょうか?
離職の原因と対策
この「看護師あるある」でも“辞めたい理由”について触れてきましたが、やはり女性が多いという職場であるということで、退職理由も特有のが多いようです。
特に、激務と言われている看護師では結婚や妊娠・出産を機に職場を離れる人が多く、一度離職してしまうと現場復帰するまでも時間がかかります。
なかでも有床病院の看護師は「夜勤」がある場合が多く、不規則な労働時間の為、仕事と家庭、仕事と子育てを両立することは簡単なことではありません。
本来、看護師1人あたりの夜勤時間の月平均は“72時間以内”と定められていますが、実際にはその基準を上回って夜勤にあたる看護師が3割以上にのぼります。小規模な病院、人手の足りない病院では、一人一人の負担が大きいというのが現状のようです。
その結果、せっかく取った看護師の資格を持ちながら、働いていない人がいるのが現状です。
事実、看護師不足を解消する為には、潜在看護師が現場に復帰出来ることが一番の近道とも言われているのです。
下のグラフは、ひと月の夜勤時間と離職率の関連を表したものですが、 ひと月の夜勤時間が72時間超の看護師の割合が50%以上の病院では、10%未満の病院と比べて離職率がかなり上がることがわかります。
やはり夜勤が多くなると、働くことが難しいという人が増えるということがわかりますね。
では、この夜勤負担については、なにか軽減策が取られているのでしょうか?
実は、下記のグラフを見るとわかりますが、日本看護協会がまとめた調査結果では、休憩時間の確保や、夜勤回数の上限設定をはじめ、既に夜勤労働に対し、何かしらの対策を実施している施設が多くなってきているようです。
とくに入院設備のある病院では、必須となる夜勤。こうして、できるだけ看護師にとって負担のない体制作りが更に進めば、潜在看護師にとっても復帰しやすくなりますし、より働きやすくなることは間違いないですね。
現在眠ったままの看護師資格を活かせる人が増えるかもしれません。
中には夜勤でがっちり稼ぎたい!という人も多いかと思いますが、できれば無理のない環境で働きたいですよね?
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また夜勤に限らず、労働時間の問題は看護師にとって退職の際に大きな理由の1つになっています。
医療が進んだことで患者さんが増えたこと、また高齢化や認知症患者の増加で24時間看護の需要が上がったこと、書類作成などの雑務が増加したことで1人あたりの業務負担が大きくなっているのです。
そのような現状の中、 “1つの病院で看護師を長く続けたい“と考えている方にとっては、 労働時間の面での配慮がなされている病院は、安心して働ける最適の環境と言えます。
下のグラフは労働時間管理の取り組みに対する調査結果ですが、休日数や労働時間の短縮はまだ難しいものの、半数以上の病院で既に、労働時間ついての問題への取り組みがされていることがわかります。
このように、看護師にとって働きやすい環境が整えられてきたことによって、全体的な離職率の低下につながっていることがわかりますね。また、2010年以降は新人看護職員研修が努力義務化されたこともあり、新卒看護師の離職率は顕著に減少してきています。
ほかにも、産休や育休時の代替要員の確保、また夜勤減免者の代替要員の確保など、計画的な看護師配置の取り組みを進めている病院では、それぞれのライフスタイルに合わせて働くことが出来るので、離職率が低くなると予想されます。
これから先、ますます各医療施設の制度が充実すれば、潜在看護師の復職も進み、離職率も更に下がるかもしれません。
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離職率の低い病院で働く?高い病院で働く?
さて、全体的には離職率が低下してきているということについて解説してきましたが、病院ごとで見ると離職率の高い病院と低い病院があります。
では離職率が高い病院というのは、どのような病院でしょうか?
まずは設置主体別の離職率を見てみましょう。
日本看護協会の2011年度のデータによると、相対的に看護師の離職率が高い病院は、
1位 個人病院(15.4%)
2位 医療法人(13.5%)
3位 公益社団法人・財団法人(13.0%)
となっています。逆に、国立病院機構や国立大学法人、都道府県や地方組合などの公的医療機関や規模の大きい医療機関は離職率が低い傾向のようです。
ちなみに、病床規模別で見てみると、下のグラフのようになります。
このグラフで見ても、規模の大きい病院のほうが離職率が低いと言えますね。
これは、大学病院などの大規模病院では教育制度や研修制度が充実していたり、育休がとれる、保育所がある、また給与面でも充実しているといった、細かいところにまで配慮されている施設が多い、という理由があることが要因として考えられます。
とはいっても、大きい病院が合う人もいれば、合わない人もいるので、自分の働きたいスタイルに合っているかどうかを重視することが大事です。
次に、都道府県別に見てみると、特に離職率が高いのが、
1位 大阪府(14.3%)
2位 東京都(14.2%)
3位 神奈川県(13.6%)
4位 兵庫県(13.0%)
5位 千葉県(12.5%)
離職率が低いのは、
1位 島根県(6.0%)
2位 岩手県(6.3%)
3位 富山県(6.7%)
4位 福井県(6.9%)
となっており、都市部では高く、地方では低いという傾向にあることがわかります。
しかし、一概に離職率が高いからといって悪い訳ではありません。
都市部では病院の数も多いので、離職率が高くても再就職先の数も多く、スキルアップを目指したい方や、ライフプランに合わせフレキシブルに働きたい方には向いていると言えます。
一方で、離職率の低い地方では、落ち着いて長く続けたいと考えている方には、“働きやすくて、待遇も良い“という環境が期待出来るかもしれません。
数字だけで見れば、島根県や岩手県の病床規模が300床前後の病院が、離職率が一番低いということになりますね。実際に働いていらっしゃる方は、どう感じていらっしゃるでしょうか?
さて、離職率自体は年々減ってはきていますが、他の職種と比べればまだまだ離職率の高い看護師。
どのような環境で働きたいかは人それぞれですが、病院ごとに制度や環境に特色があるので、自分にとって環境がよく、長く働ける病院を探すことが大切です。
しかし自分で調べるだけでは、欲しい情報を得るのは難しいかもしれません。とくに転職を考えている方は、限られた時間で探さなければなりません。
長く働ける病院を見つけるには、掲載されている条件だけではなく、福利厚生制度や子育て環境の充実度、また内部の人間関係についても事前に知っておきたいですよね?
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