褥瘡(じょくそう)は、高齢者や寝たきりの患者に常につきまとう疾患であり、一度発症してしまうと完治に時間がかかるため、病院または医療関係者としては、発症を未然に防ぐのはもちろん、早期改善のために尽力を尽くさなければいけません。
褥瘡の発症を未然に防ぐため、完治に向けた適切な看護ケアを行うためには、まず褥瘡に関する知識を深めておく必要があります。当ページでは、褥瘡の概要や予防法・治療法、看護計画・アセスメントについて詳しく記載していますので、適切な看護ケアを行えるよう、最後までしっかり読んで、ぜひ参考にしてください。
1、褥瘡とは
褥瘡(じょくそう)とは、いわゆる“床ずれ”のことで、寝たきりなどによって、接地部位の血流が悪くなることで発症します。通常、人間の体は、苦痛に対して非常に敏感で、苦痛を避けるために脳から体の各部位に信号が送られ、苦痛を感じる部位を無意識的に動かそうとします。
しかしながら、寝たきりや身体に障害があり上手く体を動かせない(体位変換ができない)人は、脳から信号が送られているにも関わらず、それを体で対処することができません。その結果、体と各部位が床などに接地し続けることで、その部分の皮膚がただれたり、傷がついてしまい、この状態が進行することにより、褥瘡が発症します。
褥瘡は、圧迫性壊疽(えそ)の1つであるため、単なる皮膚炎とは異なります。皮膚炎の場合は、皮膚表面のみに炎症がみられるものですが、褥瘡の場合は、体組織の腐敗によって該当部位が壊死している状態であり、進行すれば皮下深くの組織が壊死するため、単なる皮膚炎よりさらに深刻な疾患なのです。
2、褥瘡の原因
褥瘡は体位変換ができず、寝たきり状態が続くことによって発症しますが、すべての人が同じような過程(時間・程度など)を踏んで、発症・進行するわけではありません。健康的な若年者よりも免疫力が低下している高齢者の方が発症しやすく、また、皮膚の状態や栄養状態によっても人それぞれ発症・進行の過程が異なります。
これらは主に「生理的要因」ですが、褥瘡発生の危険因子となる疾患、つまり寝たきりを誘引する「病的要因」も数多く存在するため、合わせて下記に列挙します。
生理的要因 | ①高齢者、②栄養状態が悪い、③皮膚が弱くなっている、④むくみが強い・浮腫がある、⑤免疫力が低下している |
病的要因 | ①骨盤骨折、②糖尿病、③脳血管疾患、④脊髄損傷、⑤悪性腫瘍、⑥アルツハイマー病、⑦うっ血性心不全、⑧関節リウマチ、⑨骨粗鬆症、⑩深部静脈血栓症、⑪パーキンソン病、⑫慢性閉塞性肺疾患、⑬末梢血管疾患、⑭尿路感染症、など |
3、褥瘡の好発部位
褥瘡を起こしやすい部位は、仰臥位や側臥位、座位において接地する皮膚面であり、中でも体重が乗りやすい部分(仰臥位:仙骨部、側臥位:腸骨、座位:尾骨)が好発部位と言えます。
出典:一般社団法人 日本褥瘡学会
なお、後頭部や耳など、意外な部分にも褥瘡が発症する可能性はあるため、患者の状態を観察する際には、体全体をくまなくチェックする必要があります。
4、褥瘡の予防
褥瘡が発症してしまうと完治までに時間がかかり、心身ともに患者に大きな負担がかかってしまいますので、看護師は患者の入院時には適切にケアを行うのはもちろん、在宅療養においても予防ができるよう、患者や家族に適切な予防法を指導する必要があります。
褥瘡の予防法には大きく分けて、「体位変換」、「栄養管理」、「スキンケア」の3つがあり、これらを総合的に行うことで初めて褥瘡の予防に効果があります。以下に各予防法の概要や注意点をご説明します。
4-1、体位変換
褥瘡は主に、継続的な圧迫による皮膚表面または皮下細胞の壊死によるものであるため、体位変換が最も重要な、最も直接的な予防法と言えるでしょう。
■可能な限り体圧分散寝具を使用する
エアマットレスやクッションなどの体圧分散寝具をベッド上またはベッド間に敷くことによって、体重が一点ではなく、さまざまな部位に均等に分散されるようになります。褥瘡は、ある特定の部位に体重がのり続けることにより発症するため、体圧分散寝具を使用することで、褥瘡のリスクを抑えることができます。特に褥瘡の発症率が高い高齢者には、早期からの体圧分散寝具の使用が推奨されています。
■2時間を目安に体位変換を行う
仰臥位→側臥位、側臥位→仰臥位のように、特定の部位にかかる体圧を分散させるために、2時間おきに体位変換を行いましょう。ただし、2時間というのはあくまで目安です。患者の健康状態や体位変換に伴う苦痛の有無・居心地など個人差があり、さらに介護者が2時間おきに患者の体位変換を行うのは困難であるため、必ずしも2時間間隔で行わなければいけないというわけではありません。
なお、体圧分散寝具を使用している場合には、人体科学においては4時間おきでも問題ありません。ただし、個人差があるということはしっかりと心に留めておきましょう。
■体位変換は30°側臥位が望ましい
仰臥位の場合は仙骨(尾骨)、側臥位の場合は腸骨周辺が褥瘡の発生リスクが高い部位になります。30°左側臥位または30°右側臥位にすることで、褥瘡の発生リスクが高い仙骨部や腸骨部の周辺筋肉に体圧が分散され、さらに30°側臥位は体位維持における負担が少ないため、患者にとって優しい体勢を言えます。なお、30°側臥位には、お尻に左または右側にクッションなどを敷いて体位を維持します。
※注意点
体位変換時には、患者を引きずらず持ち上げて行ってください。また、チューブやドレーンなどの医療器具を留置している場合には、それらの上に直接患者が乗る体位をとらないよう注意してください。 |
4-2、栄養管理
褥瘡の発生は、栄養状態に強く起因し、特に高齢者の場合は、栄養不良により褥瘡だけでなく、さまざまな合併症を発症する危険性があるため、栄養管理は徹底して行わなければいけません。
■朝、昼、夜の1日3食が理想
高齢者は消化機能の低下により、摂取した栄養素をうまく体内に取り込むことができず、また、一回に食べられる量はそれほど多くありません。それゆえ、食事の回数は非常に重要です。朝・昼・夜の3回の食事は、栄養管理上、有効なのはもちろん、不眠や過眠、ストレスの改善など、生活リズムを整える上でも有効です。発熱時や食欲がない場合には、スープやアイスクリームなど、食べやすいものを補食して、低栄養にならないように注意してください。
■バランスの良い食事を心がける
エネルギー(摂取カロリー)が不足することで、体内の蛋白質量が減少するため、年齢や健康状態に応じたエネルギー摂取量はしっかりと確保しておくのはもちろん、蛋白質や水分、鉄分、亜鉛、カルシウムなど、各栄養素をまんべんなくバランス良く摂取するよう心掛けましょう。褥瘡が継続化すると、栄養不良に陥りやすく、また、各栄養素はどれも皮膚の再生に必要不可欠なものであるため、褥瘡の予防だけでなく治療においても栄養管理は非常に重要です。
■必要に応じてサプリメントを使用する
褥瘡予防には1日3回、バランス良く食べることが必要不可欠ですが、十分な栄養素を確実に摂取するのは困難ですので、必要に応じてサプリメントの使用を検討します。ただし、常用薬との相互作用に注意する必要があるため、医師や栄養士と相談し、サプリメントの種類や使用の可否を決定してください。
4-3、スキンケア
褥瘡は、皮膚の摩擦、便失禁による湿潤などにより、発症のリスクが高まります。それゆえ、日常的なスキンケアは非常に重要です。
■体位変換時の皮膚の摩擦を防ぐ
体位変換時に、寝衣のシワなどにより皮膚が摩擦を起こし、皮膚表面が硬化または軟化し、徐々に皮膚状態が悪くなっていきます。皮膚の摩擦を防ぐためには、可能な限り、1人ではなく2人で介助し、体の部分を少しずつ移動させましょう。また、スライディングシートの使用も検討してください。
■ドレッシング材を用いる
ドレッシング材とは、創傷治療で用いられる保護テープのことで、褥瘡の予防にも効果的です。「フィルムドレッシング」、「ハイドロコロイド」、「ポリウレタンフォーム」、「ハイドロジェル」、「アルギン酸ドレッシング」、「ハイドロポリマー」など、さまざまなドレッシング材がありますが、褥瘡の予防には摩擦に強くスベリ止め機能がついている「フィルムドレッシング」が特に効果的です。
■排泄物による皮膚の湿潤・汚染を防ぐ
高齢者や排泄機能に障害がある患者は、尿や便の排泄自体を防止することは困難ですので、肛門や陰部周辺にクリームなどを塗布し、排泄物による皮膚トラブルの防止に努めましょう。また、排泄後は優しく洗浄し、肛門・陰部周辺の清潔保持に努めてください。
■保湿クリームを塗布する
乾燥により皮膚は容易に損傷してしまいます。少しでも乾燥しているようであれば、積極的に保湿クリームを使用しましょう。また、乾燥自体を防ぐために、ビタミンなどの栄養素や水分の摂取を心掛けてください。
※注意点
褥瘡予防のためのマッサージは推奨されていません。特に、急性炎症や血管損傷、または皮膚が脆弱になっている可能性がある場合には、褥瘡部位のマッサージは禁忌になります。 また、褥瘡発生の可能性がある皮膚を強くこすってはいけません。特に高齢者の場合は、若年者と比べて皮膚が脆弱になっているため、疼痛が生じるだけでなく、軽度の組織損傷が生じたり、炎症反応を引き起こす可能性があります。 |
5、褥瘡の治療
褥瘡の治療は主に、「洗浄・消毒」、「外用剤」、「手術」を実施します。また、“4、褥瘡の予防”で挙げた「体位変換」「栄養管理」「スキンケア」の各項目も同時進行で行っていきます。
褥瘡は、損傷深度の深さや発生原因などにより、完全に治るまでに時間がかかることが多いのが現状です。それゆえ、“日々のケア”が重要となります。まずは、「体位変換」や「栄養管理」、「スキンケア」を徹底し、褥瘡が悪化すれば洗浄や消毒、外用剤の使用、手術の実施など、保存的・外科的治療を行い、さらなる悪化を防いでいきます。
■洗浄・消毒の実施
1日1回、褥瘡の発生箇所を洗浄・消毒し、清潔状態を保持することで細菌の繁殖を抑え、褥瘡の早期改善を促します。
■外用剤の使用
外用剤は褥瘡の直接的な治療法です。褥瘡の程度や損傷深度に関わらず、褥瘡の発生箇所に塗布します。褥瘡治療に効果がある外用剤は数多く存在しますが、褥瘡の程度や損傷深度などによって効果が異なるため、状態に応じて使用する外用剤を決定します。
■手術の実施
細胞組織の死がい(壊死組織)が傷口に付着していると、治りが悪くなる(または治らない)ので、「外科的デブリードマン」などの手術を行い、これら細胞組織の死がいを取り除きます。
5-1、洗浄・消毒の実施
褥瘡を進行させる主な原因に、創部の細菌の繁殖が挙げられます。細菌は皮膚表面だけでなく、深部にまで繁殖し、この場合には褥瘡だけでなく、その他さまざまな感染症を招くため、創部の洗浄や消毒は必要不可欠です。
また、外用剤の効果を高めるためにも、創部の清潔を維持することが大切です。最低1日1回、傷の状況次第ではそれ以上の頻度で、洗浄・消毒を行ってください。
方法としては、注射器(針なし)に生理的食塩水または水道水を入れ、創部を洗い流し、ガーゼや綿棒などで拭き取ります。消毒剤には細胞に対する毒性を持っているため、基本的には洗浄のみで消毒の必要はありませんが、感染のある場合やポケット形成がある場合のみ消毒を行うようにしてください。
5-2、外用剤の使用
外用剤には、殺菌効果の高いもの、肉芽形成を促すもの、保湿により創部を保護するものなど、さまざまな種類が存在しますが、褥瘡の状態をもとに使い分けなければ、早期改善が困難です。状態に応じた適切な外用剤が確実に決定できるよう、よく用いられる外用剤の種類とその効能をしっかり把握しておきましょう。
一般名 | 商品名 | 効能 | |
水溶性 | ユーパスタコーワ軟膏 | ポビドンヨード・シュガー | ・殺菌作用
・肉芽の形成 ・吸水性 |
イソジンⓇシュガー パスタ軟膏 | |||
イソジンⓇゲル10% | ポビドンヨード | ・殺菌作用
・吸水性 |
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アクトシンⓇ軟膏3% | ブクラデシンナトリウム | ・局所の血液改善作用
・肉芽・表皮形成 ・吸水性 |
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ブロメライン軟膏 5万単位/g | ブロメライン | ・創傷面の壊死組織の除去
・痂皮除去効果 |
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カデックス軟膏0.9% | カデキソマー・ヨウ素 | ・殺菌作用
・創面の洗浄化 ・滲出液吸収作用 |
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油脂性 | プロペトⓇ | 白色ワセリン | ・皮膚保護作用 |
亜鉛華単軟膏 10% | 酸化亜鉛 | ・創面の保護作用
・局所収斂作用 ・痂皮の軟化 ・上皮の形成作用 |
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アズノールⓇ軟膏 0.033% | ジメチルイソプロピルアズレン | ・創面の保護作用
・抗炎症作用 ・ヒスタミン遊離抑制作用 |
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プロスタンディンⓇ軟膏 0.003% | アルプロスタジル アルファデクス | ・表皮形成促進作用
・皮膚血液増加作用 |
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乳剤性 | ゲーベンⓇクリーム 1% | スルファジアジン銀 | ・抗菌作用
・創面の清浄化 |
リフラップⓇ軟膏 5% | リゾチーム塩酸塩 | ・線維芽細胞の増殖促進
・表皮細胞の増殖促進 |
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噴霧剤 | フィブラストⓇスプレー 500 | トラフェルミン | ・血液新生作用
・肉芽形成 |
■各症状に適した外用剤
深部損傷褥瘡(DTI)が疑われる場合 | 毎日の局所観察を怠らないようにし、白色ワセリン、酸化亜鉛、ジメチルイソプロピルアズレンなどの油脂性基剤を用いる。 |
発赤・紫斑がみられる場合 | 創面を保護するために、白色ワセリン、ジメチルイソプロピルアズレンを用いる。 |
水疱がみられる場合 | 創の保護を目的に、白色ワセリン、酸化亜鉛を用いる。 |
びらん・浅い潰瘍の場合 | 一般的には、酸化亜鉛、ジメチルイソプロピルアズレンを用いるが、上皮形成の促進を期待して、ブクラデシンナトリウム、リゾチーム塩酸塩、アルプロスタジル アルファデクスを用いる場合もある。 |
滲出液が多い場合 | 滲出液吸収作用を有するポビドンヨード・シュガー、カデキソマー・ヨウ素を用いる。 |
滲出液が少ない場合 | スルファジアジン銀などの乳剤性基剤を用いる。 |
褥瘡に感染・炎症を伴う場合 | 感染制御作用を有するポビドンヨード・シュガー、カデキソマー・ヨウ素、スルファジアン銀を用いる。 |
肉芽形成が不十分な場合 | 肉芽形成促進作用を有するポビドンヨード・シュガー、ブクラデシンナトリウム、トラフェルミンなどを用いる。 |
壊死組織がある場合 | 痂皮・壊死組織の除去効果のあるポビドンヨード・シュガー、ブロメライン、スルファジアジン銀を用いる。 |
創部の状態は時間と共に変化していくため、状態に応じて外用剤を変更しましょう。治癒効果がみられないのに同一の外用剤を使用し続けていては早期改善は難しく、場合によっては悪化する可能性があります。創部の状態をしっかりと観察し、状態に応じて最適な外用剤を選択し、使用してください。
5-3、手術の実施
創に壊死組織や感染がみられる場合、壊死組織や感染組織を除去し清浄化する必要があります。各組織の除去には「外科的デブリードマン」と呼ばれる手技が用いられ、鋏、鉗子、メスなどの器具を用いて外科的に壊死組織や感染組織を切除・除去します。
褥瘡が重症化し、壊死細胞や感染細胞が滞留・残留している場合、傷の自然治癒は困難であり、各予防法を実践しつつ外用剤を使用し続けても改善することなく、悪化する可能性があります。壊死細胞や感染細胞は外用剤である程度除去することはできますが、それだけでは除去しきれない細胞が付着し続けている場合には、患者や家族との相談のもと、外科的デブリードマンを検討・実施します。
6、褥瘡ケアの看護手順
褥瘡ケアの看護手順を確認しておきましょう。
1.物品を準備する 2.患者さんに褥瘡ケアを行うことを説明する 3.体位を整える 4.ドレッシング剤などを剥がす 5.褥瘡部位や周りの皮膚の洗浄 6.洗い流す 7.水分を優しくふき取る 8.褥瘡の観察 9.薬剤の塗布 10.ドレッシング剤等の貼付 11.体位を戻す 12.片付け |
これが基本的な褥瘡ケアの看護手順です。
7、褥瘡の看護計画
褥瘡の看護計画は、発生要因や褥瘡の状態、健康状態などを適宜しっかりと観察し、予防・治療においてスケールなどをもとに評価した上で、適切に立案しなければいけません。
■褥瘡予防の看護目標・看護計画
看護目標 | ・適切な時間・頻度で体位変換(体圧分散)が行われる ・必要な栄養を摂ることが出来る。 ・スキンケア・清潔保持が適切に行われる |
OP(観察項目) | ・皮膚の状態(乾燥や湿潤の有無) ・皮膚の創傷や熱感、発赤、浮腫の有無 ・感覚の状態(触覚、圧痛、痛覚、振動覚、温度覚) ・骨突出の部位、程度 ・ADL ・安静度や体動制限 ・自力での寝返りが可能か ・臥床時間 ・離床への意欲 ・認知の状態、理解度 ・検査データ(総タンパク、アルブミン、その他) ・栄養状態 ・排泄状況(オムツかどうか)、排泄パターン ・失禁の有無 ・下痢かどうか ・抗生剤や抗がん剤の使用状況 |
TP(ケア計画) | ・エアマットの使用(必要時) ・自力での体位交換のための声掛け ・定期的な体位交換と除圧 ・長時間車イスに座る時には除圧マットを使用する ・オムツの場合は陰部洗浄を行う ・褥瘡のリスクが高い部位(剥離があるなど)はドレッシング剤の使用を考慮する ・撥水性のある保湿剤を塗布して皮膚を保護する ・栄養を取りやすい食事形態を工夫する ・薬剤・栄養剤による下痢がある場合は医師に報告・相談する ・排泄パターンを観察してトイレ誘導を行う |
EP(教育計画) | ・尿意・便意を感じたらナースコールを押すように伝える ・失禁等があれば、遠慮なく知らせるように伝える ・褥瘡のリスク軽減の方法を伝える ・自分で寝返り・体位交換をするように伝える ・車イスに長時間乗る時は可能ならば時々その場で立って除圧するように伝える ・食事をバランスをよく食べてもらうように説明する ・皮膚に異変を感じたら、すぐに教えてもらう |
■褥瘡発生後のの看護目標と看護計画
褥瘡発生後の看護は、次のような看護目標・看護計画を立案しましょう。
看護目標 | ・発生原因を判別し迅速な対処が為される ・必要な栄養を摂ることが出来る ・感染症を悪化させずに適切な処置が為される |
OP(観察項目) | ・バイタルサイン ・褥瘡の有無、程度 ・DESIGN-R、ブレーデンスケールなど客観的指標の経時的な推移 ・皮膚状態 ・骨突出の部位、程度 ・排泄状況(オムツ使用の有無、失禁・下痢など) ・排泄パターン ・安静度や体動制限 ・ADL ・臥床時間 ・離床への意欲 ・検査データ(総タンパク、アルブミン、電解質、炎症反応、赤血球、血小板、WBCなど) ・栄養状態 ・薬剤の使用状況(抗がん剤、抗生剤、その他) |
TP(ケア計画) | ・体位交換や除圧 ・自力で体位交換できる人には声掛け ・必要時はエアマットの使用 ・褥瘡の状態に応じたドレッシング剤の使用・交換 ・医師の指示に基づく褥瘡処置 ・必要時、皮膚・排泄ケア認定看護師へのコンサルト ・皮膚の清潔保持 ・オムツ使用の場合は陰部洗浄 |
EP(教育計画) | ・褥瘡の発生を患者や家族に説明する ・褥瘡が悪化する要因を説明する ・除圧・体位交換の必要性を説明する ・必要時は褥瘡の処置方法を患者・家族に説明する |
7-1、アセスメント
褥瘡をアセスメントには主にスケールと呼ばれる評価シートにより、点数ごとに重症度を判別し、重症度や患者の健康状態などから実施する看護ケアを決定していきます。褥瘡ケアの看護師の役割として、アセスメントは非常に重要なものです。
■褥瘡のリスクアセスメント
リスクアセスメントには以下のOHスケールなどを用いて発生のリスクを評価し、結果に応じて予防ケアを実施します。
危険要因 | 可否・重症度 | 点数 |
自力体位変換 | できる | 0点 |
どちらでもない | 1.5点 | |
できない | 3点 | |
病的骨突出
(仙骨部) |
なし | 0点 |
軽度・中等度 | 1.5点 | |
高度 | 3点 | |
浮腫 | なし | 0点 |
あり | 3点 | |
関節拘縮 | なし | 0点 |
あり | 3点 |
※褥瘡リスク|軽度(0~3点)、中等度(4~6点)、高度(7~10点)
■褥瘡の有無のアセスメント
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■褥瘡発生時のアセスメント
褥瘡をアセスメントする場合、次の項目についてDESIGN-Rを用いて評価します。
褥瘡発生後の観察項目をしっかり確認しておきましょう。
出典:日本褥瘡学会 DESIGN-R® 褥瘡経過評価用
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■緊急対応を要する褥瘡のアセスメント
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まとめ
褥瘡のリスクは高齢者や寝たきりの患者に常につきまとい、主に二次的に発症するため、発症してしまえば患者の負担は非常に大きいものです。それゆえ、入院時の褥瘡の発生は出来る限り防止しなければいけません。
外来においては、早期改善が図れるよう、日々の観察はもちろん、献身的な態度で看護を行い、患者の心と体の両方の負担を減らせるよう努めていきましょう。
参考文献
とこずれ(褥瘡) – 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)
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