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整形外科の看護師が知って得する知識と技術のまとめ15選

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整形外科看護

スポーツ外傷、交通事故、老化による脊椎疾患など、扱う疾患が幅広い整形外科。手術を受け、鎮痛剤を使用しながら離床を進め、元気な姿で退院していく患者を見ることができるのが整形外科の看護師のやりがいとも言えるでしょう。術式により離床スピードもまちまちであるため、それゆえに整形外科は体力勝負。今回は、整形外科で働いている看護師あるいはこれから整形外科へ転職を考えている看護師の方に向けた、知って得する知識と技術をまとめたものをご紹介します。

 

1、整形外科でよく扱う疾患と術式

幅広い疾患の中でも、とりわけ扱うことが多い疾患と術式はこちらです。

圧迫骨折

年齢とともに骨密度が下がり骨がもろくなることを骨粗鬆症と呼びますが、骨粗鬆症により尻もちをついたり、重い物を持ち上げたり、自宅で物につまずいてこけたりするだけで、骨がつぶれることを圧迫骨折といいます。コルセットを着用し、自宅でも生活できそうなら外来通院で様子をみますが、痛みが強く生活困難な場合は安静目的で入院という形をとったりします。フォルテオという骨を強くする皮下注射や内服により骨折が良くなってくれば良いですが、圧壊がひどく進む場合は骨折部にセメントを入れ固定する手術を行う場合もあります。骨粗鬆症、圧迫骨折についての看護については、「骨粗鬆症の看護|治療における各種療法と骨折予防のための指導」「圧迫骨折の看護計画|原因や症状、コルセット治療について」を参照し知識を深めてください。

 

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症は、「広義の追求(椎間板・関節突起・椎弓根)の発育異常による骨性脊柱管前後径が減少した状態により下肢症状が惹起された状態」と定義されています。ほとんどの原因は退行性変化によって生じ、脊柱管の前方からは椎間板の膨隆により、後方からは変形・肥厚した椎間関節・黄色靭帯により狭窄が生じます。狭窄の状態は姿勢により影響されるため、後屈位で狭窄状態が悪化します。診断には単純X線、MRI脊髄造影ミエログラフィー)を用いますが、臥位でしか撮影できないMRIと比べて、脊髄造影では立位での狭窄を確認できるため、より精度の高い診断をすることが可能です。脊髄造影の詳細については「ミエログラフィー(脊髄造影)の看護|看護目的と適応方法、副作用について」を参照にしてください。腰部脊柱管狭窄症の症状としては神経根型、馬尾型、混合型の3種類あり、労作時に悪化し安静時には落ち着きます。治療としては保存療法と手術があり、一般的なNSAIDS鎮痛剤の使用に加えて、神経根型には神経根ブロックを行います。神経根ブロックの詳しい方法については「神経根ブロックの看護|看護ケアの手順・効果など具体的観察項目」をご覧ください。手術を行う場合は、どの部分にどのくらいの狭窄があるかによって術式は異なり、椎弓切除術、拡大開窓術、固定術が行われます。腰部脊柱管狭窄症の看護と手術については「腰部脊柱管狭窄症の看護|腰部脊柱管狭窄症に対する治療法と看護計画」「椎弓形成術の看護|症状や合併症、術後の看護計画と過程」を参照し知識を深めてください。

 

大腿骨頚部骨折

高齢化が進む日本では、大腿骨頚部骨折の多くは70歳以上の高齢者に発症し、男性よりも女性の発症率が高い傾向があります。転位の少ない大腿骨頚部骨折では、股関節運動時または荷重時の疼痛を訴え、転位の大きいものでは著しい疼痛の訴えがあり歩行困難となります。患肢の外旋がある場合は腓骨神経麻痺に気を付けなければいけません。大腿骨頸部骨折の骨折分類にはGarden分類が用いられ、ステージⅠ・Ⅱは骨接合術の適応であり、ステージⅢ・Ⅳは人工骨頭置換術が行われることが多いです。手術までに時間があり、足が外旋しやすい場合は、術前に牽引を行う場合も。大腿骨頚部骨折の看護については、「大腿骨頚部骨折の看護計画|症状、手術、看護問題・過程」「観血的整復固定術の看護|術後合併症と術後の看護計画のポイント」「牽引の看護計画|目的、適応、種類と介達・直達牽引の方法・観察項目」をご覧ください。

 

変形性膝関節症

変形性膝関節症とは膝の関節軟骨の変性と摩耗を基盤とした非炎症性の疾患です。病因は、原因が特定できない一次性と外傷・感染・骨壊死・代謝性疾患などが原因の二次性に分かれ、一次性が90%を占めている状態です。歩行時の膝の痛み、進行すると安静時の疼痛、さらには膝の屈曲・進展が不十分になり、屈曲位で立位をとるようになります。治療方法は保存療法と手術があり、変形性変化が重度である場合や高齢者の場合は人口膝関節全置換術(TKA)と呼ばれる手術を行います。さらに詳しい病態と、術後の観察ポイントについては「変形性膝関節症を有する患者の看護、術前・術後のケアと注意点」「人工膝関節置換術(TKA)の看護|手術後感染の看護問題・目標とリハビリ」をご覧ください。

 

脊髄損傷

脊髄損傷は脱臼や骨折などによって脊柱に強い外的な力が加わることや、脊髄腫瘍やヘルニアによって脊柱管が狭くなることなどの内的因子により、脊髄に損傷を受けた状態をさします。脊髄損傷を起こす原因として、最も多いのが交通事故での受傷で、その他には高所からの落下や、転倒、打撲、下敷き、スポーツによる受傷もあります。症状は損傷された部位により異なります。脊髄損傷の症状と治療、看護については「脊髄損傷の看護計画|損傷レベル・看護課程・看護問題とそのケア」をご覧ください。

 

関節リウマチ

関節リウマチは膠原病の一種で、罹患すると免疫細胞が身体の組織を攻撃することで関節内に炎症を引き起こします。炎症が発生してから関節が変形を起こすまで10年ほどの年月を有し、早期発見し治療を開始すれば、進行を抑えることも可能です。進行している場合や大きな変形が起こっている場合、手術適応にもなりえます。関節リウマチの看護計画は「関節リウマチの看護|寛解目指し、療養生活の局面のサポートを」をご覧ください。

 

2、整形外科のリハビリについて

整形外科のリハビリは、術式や筋力、疾患、回復段階により患者一人一人にあったリハビリが作成されます。骨折で手術を控えており、なおかつベッドから動けないような高齢者には、術前からリハビリを開始する場合もあります。リハビリを十分に行わなければ、術後合併症のリスクが高まるばかりか、筋肉や血管がかたまってしまう拘縮を起こし、ADLをさらに低下させてしまう恐れがあるからです。リハビリテーションについては、「リハビリテーションの看護計画|看護目標や定義と看護師の3つの役割」「拘縮の看護|原因と種類ごとの特徴および介助者が可能な援助」を参考にしてください。

 

まとめ

整形外科は取り扱う疾患は多いですが、慣れてくると疾患のパターンが掴みやすいのが魅力。辛そうにリハビリに臨む患者さんが、最後には元気な姿で退院していくのでやりがいも大きいです。既に整形外科で働いている看護師の方、あるいは今後整形外科で働きたい方は、ぜひ今回の記事で知識を身に着けて自信に繋げてくださいね。

 

参考文献

ビジュアル整形外科看護 ケアが見える疾患がわかる(株式会社照林社74、81、97-99|佐々木由美子、黒佐義郎|2012年5月23日)

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