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訪問看護の役割・目標・仕事内容|気になる給料事情と働く3つの利点

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訪問看護

在宅で医療を受ける訪問看護の利用者の増加とともに、訪問看護ステーションで働く看護師も増えてきています。訪問看護では、病院で治療している患者よりかは比較的病状の安定している人が多いですが、外来通院の人よりは虚弱で病気も重いといった特徴があります。病棟での勤務にも慣れ、違った看護の形を見てみたい、病院から在宅への流れを知りたいという看護師の方は、ぜひ参考にしてください。

 

1、在宅看護と施設内看護の違い

在宅看護とは、身体の機能が低下し、通院が困難な患者さんに自宅で医療を提供することです。在宅看護と施設内看護の違いについて以下の表にまとめます。

在宅医療 医療機関の看護
ケアの主体 療養者の主体的な生活 医療者の管理下で生活
家族の位置づけ 療養者とともにケアの支援 面会者
看護の関わり方 訪問時のみケア提供

電話での対応

ケアにあたる人の教育

24時間体制の看護
医療 生活背景をふまえた医療

急変時の対応には限界

医療的な管理が容易

急変時の対応が容易

ケア目標 QOLの向上

健康の維持・増進

病気の治療、検査

出典:在宅ケア論 第2回 施設と在宅を結ぶ看護(久保田正和|2013年10月10日)

 

病院では患者という呼び方も在宅では療養者に変わり、病院では治療を優先しますが在宅では本人の生活を優先するのが最も大きな違いです。

 

2、訪問看護ステーションの仕事内容

訪問看護では、1回の訪問時間は30分~1時間で、主治医の指示に基づいて療養者の自宅に家庭訪問し、健康チェックや療養上の世話などを行います。看護師は客として扱われるため、看護の決定権は家族にあります。清拭や入浴、浣腸、点滴などの看護ケアをすべて一人で行うため責任重大。また療養者ひとりを看護しているのではなく、療養者とその家族全体を対象とするのが病院での看護との違いです。病院にあるような物品は自宅にはないため、防水シーツのかわりに自宅の新聞紙を使ったり、陰部洗浄で使う容器をドレッシング入れのプラスチック容器で代用したりします。

 

3、訪問看護での指示書について

訪問看護は、医師による訪問看護指示書(6か月に1度)に基づいて実施され、看護師の業務は指示書に従い医師とは独立した形で行われます。訪問看護指示書は事前状況により発行されるので、訪問時の対象の状況により実施に問題発生が予測された場合は医師に状況を報告し、新たな支持を受ける必要があります。

 

4、訪問看護にむいている人

■技術面

訪問看護では看護技術を一人で行い、また訪問時間が決まっているため、ある程度の看護技術が自立しており、的確なアセスメントと実施がてきぱきと行える技量が必要です。人工呼吸器を扱う、ドレーンを抜くなどの特定の医療行為を行う特定看護師や、特定の分野に高い専門性をもつ専門看護師、認定看護師の資格のある看護師は重宝されます。

 

■性格面

訪問看護ではいかに療養者とその家族と円滑にコミュニケーションが図れるかが大切です。看護の場所は自宅であるため、プライバシーの配慮や、対象者の意向を尊重する心が必要です。少しでも気に障ることがあると、「もう次から来ないでください。」ときつい言葉を受けることも。自宅では医療よりも生活を大事にしているということを忘れずに。

 

5、訪問看護の実習内容

訪問看護実習では、看護師の受け持ちの1人か2人の自宅に一緒に訪問し、実際のケアが行われている様子を近くで見学したり、清拭などの学生が行える範囲のことは手伝うこともあります。受け持ちの療養者の自宅に行くまでは、訪問看護ステーションでカルテから情報収集したり、当日の目標を立てるなどして時間を有効に使いましょう。自宅に入る際は必ず療養者とその家族に丁寧に挨拶し、ケアに加わってもよいか、入浴介助などのプライベートな処置に入ってもよいか確認しましょう。また、訪問看護ステーションの看護師の交通手段はたいていバイクなのに対し、学生は自転車で移動するため、坂道の場合、バイクで登る看護師を必死で自転車で追いかけなければいけません。余裕をもって目的地に到着することと、自転車のメンテナンスを実習前に行っておくこと、ネット上での地図をあらかじめダウンロードしておくことをおすすめします。

 

6、訪問看護ステーションで働くメリット

訪問看護ステーションで働きたいけどなかなか病院から転職する勇気がないという方にはぜひ見てほしいメリットがこちらです。

 

■患者の思いや生活に寄り添った看護ができる

病院ではなかなか患者の退院後の生活がイメージできず、表面的な指導や説明になってしまいがちですが、自宅への訪問では、療養者がどのように生活しているかが直接的にわかるので、患者の思いや生活に寄り添った看護を行うことができます。病院で一方的に行われがちな看護も、家族や本人と相談して当日のケア内容を決めていくので、療養者の満足度も高くなります。

 

■看護技術の応用がきく

病院で特にコストを考えず使っていた手袋や防水シーツ、ナイロン袋なども、療養者の自宅では経済的・物質的に十分に使えるとは限りません。陰部洗浄や浣腸の時に使う医療用の防水シーツなどはないので新聞紙で代用したり、陰部洗浄に使用する容器もないのでかわりにドレッシング入れを使ったり、吸引に使うコップもコーヒーの空き瓶で代用したりと、どうしたら清潔面を損なわず病院で提供されるような看護技術が行えるか常時考えるので、看護技術の応用がきくようになります。

 

■ぎくしゃくするような人間関係が少ない

病棟では苦手な人がいても、同じ病棟内にいる以上何度も顔を合わせなければいけませんが、訪問看護ステーションでは看護師一人一人が療養者の自宅に外出し、また訪問時間もばらばらであるため、昼食時やカンファレンスの際しか顔を合わせません。スタッフ同士の人間関係でしんどくなってしまうことは訪問看護ステーションでは少ないのが利点です。病棟のようなパートナーシップ制をとらないため、パートナーにせかされることもなく、自分のペースで看護をすすめていけるのも魅力の一つです。

 

7、訪問看護ステーションで働く看護師の給料

訪問看護ステーションで働く看護師の給料は、ステーションやどれだけオンコールに入るかによってまちまちですが、月給の相場は25~35万で、日勤だけでこの月給は高いといえます。しかし夜勤はなくともオンコールや急変に備えた自宅待機の日が当番制で回ってくるため、土日が確実に休みではないステーションもあります。

 

まとめ

オンコールや自宅待機の当番が特徴的な訪問看護ステーションですが、病棟のような長時間夜勤もなく、土日が休みの日勤だけで高収入な訪問看護師は徐々に人気を集めています。在宅医療をうける療養者の増加から、人手不足でパート・アルバイトの看護師や1年目の看護師も積極的に採用しているため比較的転職もしやすいです。病棟での勤務にも慣れ、患者の退院後の生活を支えたいという気持ちが出てきたという方には、訪問看護ステーションでの勤務は必ず実りのあるものになります。今の技術を生かして、訪問看護ステーションでさらに応用のきく看護技術を磨いてみませんか。

 

参考文献

在宅ケア論 第2回 施設と在宅を結ぶ看護(久保田正和|2013年10月10日)


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