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尿毒症の看護|原因や症状、治療方法、看護計画のポイント

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尿毒症の看護

尿毒症は腎機能が低下することで、窒素成分などの老廃物が蓄積し、体内の水分や電解質のバランスが崩れて、様々な症状が現れる状態のことです。

尿毒症の患者は末期の腎不全に陥っていますので、腎不全に対する看護を中心に行っていくと良いでしょう。

尿毒症の基礎知識や原因、症状、治療方法、看護計画をまとめました。尿毒症の患者の看護をする時の参考にしてください。

 

1、尿毒症とは

尿毒症とは腎臓の機能が著しく低下することで、本来なら排出されるべき老廃物が体内に溜まってしまい、様々な症状が現れた状態のことです。

腎臓は窒素成分などの老廃物の排出や水分や電解質を調節、エリスロポエチンの産生などの役割があります。腎臓の機能が低下すると、これらの役割を果たすことができませんので、体内に老廃物が溜まり、水や電解質のバランスも崩れるのです。

腎臓の機能が正常の10分の1程度に低下すると、尿毒症の症状が現れます。腎臓の機能が10分の1まで低下するということは、末期の腎不全の状態であり、尿毒症は腎不全に伴う状態であると言えるでしょう。

 

2、尿毒症の原因

尿毒症の原因は腎機能の低下です。腎機能が低下することで、窒素成分が体内に溜まってしまうので、尿毒症が起こります。

腎機能の低下、つまり腎不全には急性腎不全と慢性腎不全の2種類があります。それぞれの主な原因は違います。

 

<急性腎不全の原因>

・脱水

・ショック

・薬物

・手術

・急速進行性糸球体腎炎

・急性間質性腎炎

 

<慢性腎不全の原因>

・糖尿病

・痛風

・腎盂腎炎

・糸球体腎炎

・紫斑性腎炎

・多発性嚢胞腎

・結石

・全身性エリテマトーデス

 

3、尿毒症の症状

出典:尿毒症 (にょうどくしょう) 病名から探す( 社会福祉法人 恩賜財団 済生会)

 

尿毒症になると、次のような症状が現れます。

 

■循環器症状

高血圧、心膜炎、心筋炎、尿毒症性肺

 

■消化器症状

食欲不振、悪心、嘔吐、口内炎、口臭、腸炎、消化管潰瘍

 

■内分泌・代謝異常症状

無月経、高脂血症、低栄養、生殖能低下

 

■神経・精神症状

睡眠障害、頭痛、傾眠、痙攣、イライラ感、うつ状態、不安感、錯乱、昏睡

 

■末梢神経症状

知覚異常、手足のしびれ、麻痺、筋力低下

 

■造血器症状

腎性貧血、出血傾向

 

■皮膚症状

色素沈着、掻痒感、皮下出血

 

■眼症状

網膜症、角膜症

 

■電解質異常

血清ナトリウム、カルシウムの低下、血清カリウム、マグネシウムの上昇

 

尿毒症になると、血液中に窒素成分が増えることで、頭痛やめまい、食欲低下等の症状が現れます。

また、腎機能の低下で体内に水が溜まりますので、浮腫が起こったり、肺に水が溜まることで、心不全が起こり、呼吸困難などの症状が現れます。これを尿毒症性肺と言います。

さらに腎臓では造血ホルモンであるエリスロポエチンが産生されていますので、腎機能が低下すると、エリスロポエチンの産生量が減少するため、腎性貧血を発症することもあります。

ただ、尿毒症になると、これらすべての症状が現れるわけではなく、腎臓の状態や尿毒症の原因となる基礎疾患によって、どのような症状が出るかは変わってきます。

 

4、尿毒症の治療

尿毒症の治療は、基本的に対症療法を行っていきます。尿毒症では腎機能が低下し、尿量が減少することで、老廃物が体内に溜まっているのですから、まずは利尿を促す治療を行います。

出血性ショックや脱水等で全身血流量が減少している場合は、輸液や輸血を行います。これで利尿が見られない場合は、マンニトールなどの利尿剤を投与します。

利尿剤を投与しても利尿が得られず、血液検査で尿素窒素(BUN)の低下が見られない場合は、人工透析を導入して、老廃物を除去し、水分や電解質の調整を行わなければいけません。

急性腎不全であれば、人工透析をすることで腎機能の回復は可能ですが、慢性腎不全の場合は腎機能の回復を見込むことはできません。

そのため、急性腎不全はシャントを造設せずに、CVのようなカテーテルを大腿静脈や内頸静脈に挿入して一時的なブラッドアクセスとして使います。

急性腎不全による尿毒症は、利尿や人工透析の治療を行って腎機能が回復すれば、尿毒症も治ります。

慢性腎不全の場合は腎機能の回復は見込めず、半永久的に人工透析を続けていきますので、シャントを造設して血液透析を導入するか、腹膜透析を行います。

また、慢性腎不全による尿毒症は、腎臓移植を検討することもあります。人工透析は合併症が多いですし、治療の限界がありますので、根本的な治療にはなりません。あくまで対症療法になります。

慢性腎不全による尿毒症を根本的に治療するためには、腎臓移植を行うしかありません。腎臓移植には家族や身内から2つの腎臓のうち1つを提供してもらう生体腎移植と、脳死や心臓死の人から提供を受ける献腎移植の2種類があります。

 

5、尿毒症の看護計画

尿毒症の患者の看護計画の一例をご紹介します。

 

■尿毒症の症状による苦痛がある

尿毒症では食欲低下や倦怠感、頭痛、呼吸困難などの症状が現れますので、それによる苦痛が生じます。

看護目標 身体的な苦痛が緩和する
OP(観察項目) ・尿毒症の症状の有無や種類、程度

・血液検査データ

・In/Outバランス

・食事摂取量、飲水量

・体重の増減

TP(ケア項目) ・医師の指示の薬剤を確実に投与する

・安楽な体位の工夫

・ADLに応じたセルフケアの介助

・温罨法を実施する

EP(教育項目) ・治療によって今の症状は改善することを説明する

・症状の増悪があれば、すぐに伝えてもらう

・飲水制限や食事制限があれば、その詳細や必要性を説明する

 

■透析に対する不安がある

尿毒症では末期の腎不全になっていますので、人工透析を導入して老廃物を除去しなければいけないケースが多いです。透析に対して不安を持っている患者が多いので、看護師はその不安を取り除くようなケアをしなければいけません。

看護目標 透析に対しての不安がなくなる
OP(観察項目) ・透析に対する不安の状態

・患者や家族の理解度

・病識の程度

・睡眠状況

・言動や表情

TP(ケア項目) ・不安の傾聴

・納得できるまで医師から説明してもらえるように調整する

・患者からの疑問はその都度対処する

EP(教育項目) ・透析の必要性を説明する

・慢性腎不全の場合は、透析室で透析の様子を見学してもらう機会を作る

・家族への協力を要請する

 

■退院後のセルフケアが困難である

慢性腎不全による尿毒症の場合は、退院後も人工透析を続け、慢性腎不全が悪化しないように自宅療養を続けていく必要があります。

看護目標 退院後の自宅療養への不安がなくなる
OP(観察項目) ・患者本人の病識や理解度

・家族の病識や理解度

・同居する家族の有無

・家族の協力度

TP(ケア項目) ・不安を傾聴する

・食事療法について栄養士が指導する機会を作る

EP(教育項目) ・規則正しい生活など自宅療養のポイントを指導する

・家族も一緒に指導を行う

・パンプレットなどを用いて、理解しやすいように工夫する

・定期的な外来受診が必要なことを説明する

・血液透析や腹膜透析について正しく理解してもらう

・医師が指示した食事療法を指導する

 

まとめ

尿毒症は末期の腎不全によって老廃物が蓄積することで、いろいろな症状が現れる状態のことです。尿毒症は利尿を促したり、人工透析を導入することで治療を行います。

慢性腎不全による尿毒症の場合、今後は人工透析を継続していかなくてはいけないので、透析や自宅療養に関する看護も行うようにしましょう。

 

参考文献

尿毒症 ( 社会福祉法人 恩賜財団 済生会)

急性腎不全(日腎会誌44巻2号|菱田 明|2002年)

慢性腎不全(医療法人仁友会 北彩都病院)

腎臓教室(そらまめ通信Vo.77号|NPO法人腎臓サポート協会)

尿毒症とは(医療法人社団 厚済会)


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