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GE(グリセリン浣腸)の看護|GE(グリセリン浣腸)を安全に実施するための外せないポイント

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GEグリセリン浣腸看護

看護の基本技術である浣腸。いまさら浣腸を安全に実施するためのポイントなんて周囲に聞けない!という方にぜひ振り返ってほしい技術です。基本技術ですが観察ポイントや禁忌も多いため注意が必要です。また浣腸は羞恥心を伴う処置であるため、ベッドサイドに行ったときに手際よく作業できるよう、再度ここで復習しましょう!

 

1、GE(グリセリン浣腸)とは

GE(glycerin enema)とは、グリセリン浣腸のことを指します。グリセリン浣腸は臨床で最も使用されている浣腸であり、排便を促す目的で使用されています。浣腸器の種類には2種類あり、アコーディオン型と把持型です。アコーディオン型は把持型よりも新しい製品で注入しやすいというメリットがあります。浣腸器には、逆流防止弁がついているものもあり、患者の不快感の軽減にもつながります。

出典:製品シート(日医工株式会社)

 

2、GE(グリセリン浣腸)の適応

GEは、自然排便が困難な患者や、腸管の検査や手術前の患者など、排便を促す目的で使用されます。

 

3、GE(グリセリン浣腸)の作用

固形化した便のあるところにGEを注入すると、グリセリンが便に浸透し、浸透圧によって腸管内へ水分が移動していきます。徐々に便が軟らかくなっていき、腸管からの水分移動が刺激となって蠕動運動が亢進した結果、滑りの良くなった便がスムーズに排泄されるようになります。

 

4、GE(グリセリン浣腸)の注意点と禁忌

GEは、浣腸時の操作や効果から、以下の場合には実施できません。

■腸管穿孔の恐れがある場合

腸管穿孔の恐れがあると、浣腸液が腸管外に漏れだし腹膜炎を引き起こす恐れがあります。

■腸管内出血がある場合

グリセリンが吸収されると、溶血や腎不全を引き起こす恐れがあります。

■嘔気、嘔吐、腹痛などの急性腹部症状がある場合

上記症状の悪化する恐れがあります

■下部消化管術後

縫合部が解離し腸内容物が漏れ出す恐れがあります。

■体力が激しく低下している場合

強制的な排便が昏睡状態を悪化させ、ショックを引き起こします。

■脳圧亢進や重篤な心不全がある患者

GEの刺激により上記症状が悪化する可能性があります。

■妊娠中の方

子宮収縮を促して流早産を引き起こす可能性があります。

 

5、GE(グリセリン浣腸)の必要物品

 

・ディスポーザブル浣腸器(浣腸液の注入に使用します)

・湯煎用ピッチャー(浣腸器を温めます)

・温度計(湯煎する際の温度を測定します)

・手袋(処置時に使用します)

・エプロン

・患者のバスタオル(患者の羞恥心への配慮のため用意します)

・防水シーツ(処置時にベッドを汚さないために使用します)

・ビニール袋(ごみ入れとして使用します)

・差し込み便器

・トイレットペーパー

・おしりふきや濡れティッシュ

・尿器(排便と同時に排尿することがあるため念のため準備します)

・カインゼロゼリーまたはオリーブ油(潤滑油として安易にキシロカインゼリーを用いないようにしましょう!キシロカインショックを引き起こす恐れがあります)

・RDガーゼ

 

6、GE(グリセリン浣腸)の実施手順

6-1、医師の指示を確認する

・患者氏名

・実施日時

・薬剤名

・量

 

6-2、患者のアセスメントをする

・禁忌疾患の有無

・低血圧、貧血、低血糖の有無(転倒リスクがあります)

・易出血状態の有無(血小板減少や抗血栓薬の内服の有無)

・ステロイド使用状況(腸管粘膜の易損傷の可能性)

・痔核の有無(チューブ挿入時に注意が必要です)

・浣腸経験の有無(前回は気分不快があったか)

・体位制限(左側臥位の姿勢保持が可能か)

 

6-3、GE(グリセリン浣腸)を温める

患者に使用する際の温度が38度前後になるよう温めます。温度が低いと末梢血管収縮による血圧上昇や寒気を生じる場合があり、逆に温度が高いと粘膜に炎症を起こす場合があります。急いで準備しようと思ってレンジに入れるのは危険です。浣腸器を、温度計で50度前後に調整した湯が入ったピッチャーに入れ、40~41度になるよう温めます。前腕の内側で人肌程度であることを必ず確認します。

出典:看護学生のための看護技術 よくわかるBOOK第1版(メヂカルフレンド社|藤井徹也、佐藤道子|2012年)

 

6-4、患者への説明をする

患者の本人確認のため、フルネームで名乗らせ確認ができたら、浣腸の目的、必要性を説明し実施することの同意を得ます。事前に排尿を済ませてもらい、バイタルサインを確認します。

 

6-5、部屋の準備をする

大部屋の場合、カーテンを使い他の患者から見えないようにします。音や臭いなども考慮し、食事の時間帯や面会時間の実施は避けましょう。

 

6-6、患者の準備をする

患者を左側臥位にし、軽く膝を抱えるような体位になってもらいます。患者にバスタオルをかけ、その下でズボンと下着を下してもらいます。なぜ左側臥位になるかというと、解剖学的に浣腸液がスムーズに流入するからと、側臥位だと肛門が確認しやすいからです。

出典:国家試験を受験される方へ(アジアと日本の将来を担う看護・介護人材の育成)

 

特に動ける患者によっては、「トイレで浣腸してほしい、間に合わなかったら困る、もらしちゃったらどうしよう。」とトイレでの浣腸を訴える場合もあります。しかし立位による注入は、臥位と比べて肛門の緊張が高まりやすく、また実施者の視野が確保されず挿入したチューブの長さを確認しにくいため、チューブを無理矢理押し込んでしまい直腸穿孔などの危険性が高くなります。動ける患者でも必ず左側臥位で実施しましょう。左側臥位になれたら、臀部の下に防水シーツを引きます。

 

6-7、必要物品を配置する

チューブ抜去後に使うトイレットペーパーはあらかじめ切り、ゴミ袋と一緒に近くに置いておきます。潤滑油を使用する際は、RDガーゼの上に出しておきます。

 

6-8、浣腸器の準備をする

浣腸器にキャップを外し、ストッパーを5~6センチに調節します。ゴミ袋の上でグリセリン液を先端まで満たしてチューブ内の空気を抜きます。空気をしっかり抜いておかないと、患者の不快感が増します。準備ができたら、RDガーゼの上に出しておいた潤滑油をチューブの先につけます。

 

6-9、肛門内にチューブを挿入する

患者に大きく深呼吸するように説明します。口呼吸により腹圧が下がり、肛門括約筋の緊張が緩和し挿入しやすくなります。肛門内にチューブを挿入し、挿入したらまず臍の方に3センチ進めて、そのあと直腸の走行に沿ってチューブを2センチ回転させながら進めます。回転させながら進めることで、肛門括約筋の不随意な収縮を予防できます。挿入後臍部へ向けたまま進めてしまうと、粘膜損傷や腸管穿孔を引き起こす恐れがあります。

出典:ケンエーG浣腸液<直腸注入方法>(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)

 

6-10、浣腸液を注入する

ストッパーを押え、チューブが動かないように保持しながらゆっくりと浣腸液を注入していきます。強い圧力は腸管を傷つけてしまうため、60mlで約20秒かけてゆっくり注入します。

 

6-11、実施中の観察をする

・チューブ挿入時に強い疼痛や抵抗はないか

・出血はないか

・気分不快や冷汗はないか

訴えがあれば速やかに抜去し、バイタルサイン測定後、担当医に報告します。

 

6-12、チューブを抜去する

注入を終えたら、トイレットペーパーで肛門を押えながらチューブを抜きます。抜いたチューブに出血がないか確認しましょう。そのままの側臥位か仰臥位で3~5分排便を我慢するように説明し、排便の訴えが強くなったら差し込み便器を挿入します。トイレで排便する際は、慌ててトイレに行くと失禁したり転倒したりする恐れがあるので余裕をもって移動するよう説明します。トイレに行って満室だったということがないよう、トイレを確保しておきましょう。出た便の性状を確認するため、流さずナースコールしてもらうようにします。

 

まとめ

羞恥心や不快感を伴う手技だからこそ、安全に行いたい浣腸。基本の手技ではありますが、実施前から実施後まで、かなり多くの観察項目があるので手技が自立するまでに時間がかかるかもしれません。ここでしっかり復習して、臨床でてきぱき準備できるように頑張りましょう!

 

参考文献

看護技術がみえる②臨床看護技術第1版(メディックメディア|医療情報科学研究所|2013年3月22日)


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