妊娠中に風邪の受診先は?(女性・25歳)
現在妊娠6カ月目の妊婦です。風邪をひいてしまい、高熱と喉の強い痛みに悩んでいます。薬を処方してもらおうと思うのですが、産婦人科を受診するべきなのか、喉の痛みが強いので耳鼻咽喉科を受診するべきなのか悩んでいます。
妊娠中の風邪(上気道炎)は産婦人科でも耳鼻科でも大丈夫です。しかし、妊婦の診察に消極的な耳鼻科医もいますから、まずは産婦人科を受診しましょう。とは言うものの、風邪はウイルスによるものがほとんどであり、風邪のウイルスに効果のある薬はありません。よって”風邪”の状態がひどくなければ病院に来る必要はありません。
また、”風邪”に対して抗生物質を処方する医師もいますが、ほとんどの風邪はウイルスによるものですから無駄です。二次的な感染予防の効果もほとんど期待できません。さらに不必要な抗生剤を飲むと抗生剤の効かないばい菌が増えることになり、本当に危険な細菌に感染したときに薬が効かなくなることがあります。
どんな薬にも副作用の問題があり、その危険を考慮しても必要な場合にのみ処方するものです。風邪と聞いただけで、すぐに薬を処方するような医師には気をつけた方が良いでしょうね。また、不勉強な医師は薬の処方だけして「飲んで良いかどうかは産婦人科で聞いてください」と言って、無責任な処方をする場合もあります。そういう病院も避けた方が良いでしょう。
一方で、39度を超えるような高熱やのどの痛みに対しては、病院に行って原因を調べてもらうとともに、熱冷ましや痛み止めを処方してもらうほうが良いでしょう。妊娠中や子供の場合には、アセトアミノフェン(カロナール、タイレノール)が処方されます。妊娠中にはボルタレン、ロキソニン、ポンタール、などの痛み止めは使ってはいけませんから、注意しましょう。
風邪に対しては、無理をせず、バランスの良い食事を摂り、水分をしっかりとって休養することです。無理をしておいて薬を飲むのでは本末転倒です。しっかり休んで早く治るようにしましょう。
薬が原因で流産?(29歳・女性)
生理痛がひどくて病院にかかっていて、子宮の収縮を抑えるズファジランという薬を処方してもらっています。下腹部が痛むので生理前だと思いズファジランを飲んだのですが、妊娠していました。病院ではこの薬は妊娠していても大丈夫だと聞いていたので、何も考えなかったのですが、妊娠3カ月で流産してしまいました。薬が原因で流産したのでしょうか?
流産すると、どうしても自分の行ったことが原因ではないかと考えてしまい、自分自身を責めてしまいますね。しかし、ほとんどの早期流産は受精したときの遺伝子の異常にあるとされます。生きていけないような遺伝子の異常があるために成長が止まり、成長が止まったために、流産になるということです。よって、何をしても流産を止めることはできませんし、逆に、普通の生活での行動によって流産を起こすこともできません。
また、ズファジランは妊娠初期にも良く処方される薬で、それが原因で流産になる可能性はゼロと言って良いでしょう。そもそも、普通に処方される薬で赤ちゃんに悪影響を及ぼす薬はほとんどありません。抗がん剤や一部の特殊な薬だけです。あ、一つだけありました。タバコです。タバコは手に入る薬の中で唯一、赤ちゃんに悪影響を及ぼす薬ですが、そのタバコでさえも流産率がすごく高くするわけではありません。
一回の流産の経験だけで、すべてがわかるわけではありませんが、妊娠初期のズファジランによって、流産が起こる可能性はほぼゼロです。自分を責める必要はありません。ちなみに、妊娠初期に下腹部痛を訴える妊婦は非常に多く、そのほとんどは治療が必要なものではありません。痛みが流産によるものであっても、治療はないのです。
流産は自分のせいにして責める必要はありません。
処女でも子宮頸がんになるの?(29歳・女性)
茶褐色のおりものが続くことと生理不順、ひどい生理痛のため、婦人科で検査を受けました。子宮内膜症と子宮筋腫の心配はないと言われたのですが、子宮頸がんの検査もすべきなのでしょうか。性行為の経験がないので、検査を受けるのが不安なことと、未経験だと検査できないと聞いたことがあるので受けていません。性行為の経験がなくても子宮頸がんになる可能性はあるのでしょうか。
子宮頸がんの原因のほとんどはセックスによるヒトパピローマウイルスの感染が原因だとわかっています。よって、セックス未経験の女性が子宮頸がんになる可能性はほとんどありません。そのため、「無症状であっても2年に一回受けるべき」とされている子宮頸がん検診の必要はありません。そもそも、セックスした経験がない女性は、子宮頸部を観察するために腟を拡げる処置自体が痛くて、検診が困難である可能性が高いという問題もあります。あなたの場合には、検診による害(苦痛や時間)のほうが、検診による効果を上回っています。
人間の体の全てがわかっているわけではなく、子宮頸がんの全てがわかっているわけではありません。従って、セックス未経験の女性が絶対に子宮頸がんにならないとは言えませんが、セックスの経験がない女性は子宮頸がん検診を受ける必要はありません。
子宮頸がんではありませんが、強い生理痛のある人は子宮内膜症が隠れていることがあり、それを放置していると、不妊につながることがあります。「子宮内膜症がない」という診断は簡単ではありません。超音波検査や採血、MRI検査で異常がないと診断されても、100%確実ではないのです。生理痛がひどい人は、低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤などを使って治療をしておいた方が、将来の妊娠に有利な場合が多いです。ぜひ、産婦人科で相談してください。
治療するにせよ、治療しないにせよ、生理痛がひどい人は妊娠しにくい確率が高いです。もし、子供を産む人生を考えているのであれば、早めに妊娠して、出産しておくことが有利です。自分がどんな人生を歩んでいくのか(特に妊娠と出産に関して)を、ここでもう一度、考えてみることをお勧めします。