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EUS(超音波内視鏡検査)の看護|目的や方法、看護のポイント

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EUS(超音波内視鏡検査)の看護

EUS(超音波内視鏡検査)は、上部消化管や下部消化管を消化管の中から超音波で検査する検査方法になります。粘膜下の腫瘍の精査やがんの浸潤の見極め等に用いられます。

EUSの基礎知識や目的、方法、看護のポイントをまとめました。EUSの介助・看護をする時の参考にして下さい。

1、EUS(超音波内視鏡検査)とは

EUS(Endoscopic Ultrasonography=超音波内視鏡検査)とは、消化管の中(内腔)から超音波検査(エコー検査)を行う方法です。

EUSは通常の内視鏡の先端に超音波装置がついているものを用いて行います。

出典:膵・胆道内視鏡|慶應義塾大学病院 KOMPAS

 

超音波装置がついている内視鏡を口または肛門から挿入することで、上部消化管(食道、胃、十二指腸)や下部消化管(結腸、直腸)の超音波検査を行います。また、上部消化管・下部消化管だけでなく、膵臓や胆のうなどの周辺臓器を詳細に検査することも可能です。EUSは消化管内部から超音波検査を行うことで、消化管の各臓器の内部や膵臓・胆のうなどの周辺臓器、周辺の血管やリンパ節の状態を詳細に検査できるのです。

体表からの超音波検査は、脂肪組織や骨、腹壁、腹腔、消化管内の空気などが画像化する時の妨げになるのですが、EUSは消化管内の至近距離から5~30MHzという高い周波の超音波で検査しますので、画像化の妨げになるものが少なく、鮮明な画像で検査できるというメリットがあります。

2、EUS(超音波内視鏡検査)の目的

EUSは食道、胃、十二指腸、大腸、膵臓、胆のうを詳細に検査する目的で行われますが、特に粘膜下腫瘍やがんの検査をする時には、EUSはよく用いられる検査です。

 

■粘膜下腫瘍

出典:超音波内視鏡検査(EUS)について|メディカルトピア草加病院

 

粘膜下腫瘍とは粘膜の表面に腫瘍ができるのではなく、粘膜の下、つまり粘膜下層や筋層に腫瘍ができる病変です。粘膜下に腫瘍ができると、通常の内視鏡では悪性腫瘍か良性腫瘍か、またどのくらい腫瘍が広がっているのかはわかりません。

EUSで検査をすることで、粘膜下腫瘍の状態がわかるので、治療方針を決めることができるのです。

 

■がんの検査

がん検査において、EUSは早期がんに対して行われます。

出典:がん総合診療体制  がんの3大治療法 前立腺がん|社会医療法人財団 石心会 川崎幸病院

 

どこまでがんが浸潤しているかを検査するために、EUSが用いられます。がんはどのくらい浸潤しているか、ステージはどのくらいかによって治療法が異なります。

一般的には粘膜内にとどまっている場合は、リンパ節への転移のリスクが低いため、内視鏡手術でがんの摘出をしますが、粘膜下層にまで浸潤していると、外科的手術を行わなくてはいけません。

そのため、EUSはがんのステージを見極め、治療方針を決める目的で行われることがあります。

また、すい臓がんは発見しにくいがんで、自覚症状が出てきた場合は、もう治療方法がないという状態にまで進行していることが多いのですが、EUSは通常の検査では発見できないような早期のすい臓がんでも発見することができます。

そのため、家族歴がある、遺伝性膵炎の既往がある、膵嚢胞性疾患の既往があるなど、すい臓がんのリスクが高い人や腫瘍マーカーで陽性が出た人などは、EUSを行って、すい臓がんがないかどうかを検査することもあります。

 

3、EUS(超音波内視鏡検査)の方法

EUS(超音波内視鏡検査)の方法を説明していきます。EUSは基本的に一般の内視鏡検査と同じような流れで行われます。今から説明する飲食制限等の内容は、あくまで一例です。病院によって詳細は異なります。

 

■検査前日~検査当日の朝

上部消化管のEUSの場合は、前日の夕食は22時までに済ませて、その後は水やお茶のみOKになります。そして、検査当日は朝から絶食で、水分は検査2時間前まで飲んで良いとしている医療施設が多いです。

下部消化管のEUSは前日の昼食と夕食は、事前に渡してある検査食を食べ、夜には下剤を服用します。夕食後は絶食で、水分のみ飲水可になります。検査当日は絶食で、下剤を服用します。

 

■検査中の流れ

①EUSの検査を行うことや検査手順などを説明し、同意を得る

②経口からの検査の場合は、キシロカインビスカスを口に含んでもらい、麻酔をする。

③検査台に左側臥位になって寝てもらう。

④キシロカインスプレーで追加の麻酔を行う。場合によっては鎮静剤を注射する。

⑤EUSを挿入し、目的の臓器まで進める

⑥病変部位に付着した粘液を洗い流し、脱気水を充満させて、超音波検査を行い観察をする。

⑦観察が終わったら、EUSを抜去して終了。

⑧鎮静剤の効果が残っているので、リカバリー室で2時間前後、安静にしてもらう。

 

4、EUS(超音波内視鏡検査)の看護のポイント

EUS(超音波内視鏡検査)を受ける患者の看護をする時のポイントを説明していきます。

 

■患者の理解度を考慮して説明を行う

EUSを行う場合には、前日から食事制限や下剤の服用などの前処置が必要になりますので、看護師は患者に対して、前日の夕食は何時までに終わらせるのか、水分は何を飲んで良いのかなどを詳しく説明しておく必要があります。

この時には、患者の理解度を考慮して説明をしなければいけません。高齢者の場合、説明しても、その重要性をきちんと理解することができず、検査当日も朝食を食べてしまったなど、適切な前処置が行えないケースがあります。

看護師は説明時に患者の理解度を観察して、必要であれば、家族にも同席してもらって前処置の説明をするようにしてください。

 

■合併症が起こらないかを観察する

EUSの検査中は合併症が起こる可能性がありますので、看護師は合併症が起こっていないかを観察しなければいけません。

EUSによって起こるリスクがある合併症には、次のようなものがあります。

 

・出血

・穿孔

・ショック

 

また、局所麻酔であるキシロカインや鎮静剤でアレルギーを起こすこともありますので、看護師は合併症のリスクを念頭に置いて観察するようにしてください。

特に、EUS-FNA(Endoscopic Ultrasound-Fine Needle Aspiration=超音波内視鏡下穿刺吸引法)を行う時には注意が必要です。

EUS-FNAとは、内視鏡で超音波検査をするのと同時に、消化管内から針を刺して、病変の組織を採取する検査方法になります。組織を採取し、病理検査を行うことで、より正確な診断をすることができます。

このEUS-FNAは針を刺しますので、EUSの合併症である出血や穿孔、ショック以外に感染のリスクがありますし、針を刺す部位によっては膵炎や門脈閉塞などのリスクがあります。

そのため、看護師はEUSを施行中には患者の様子やバイタルサインを確認しながら、合併症が起こっていないかを観察するようにしましょう。

 

■精神的なケアを行う

EUSを行う患者には、精神的なケアを行うことも大切です。上部消化管の検査を行う時には、口から内視鏡を挿入しますので、患者は「苦しいのではないか」とか「嘔吐いたらどうしよう」という不安があります。

下部消化管の検査の場合は、患者は検査に対する不安以外にも、羞恥心を持っています。

さらに、EUSは粘膜下腫瘍ががんかどうかを見極めるため、またはがんがどのくらい浸潤しているかを検査するために行いますので、EUSを受ける患者はがんに対する不安も持っているのです。

そのため、看護師は患者にEUSの検査について細かく説明し、検査中は声掛けをしたり、必要であれば手を握るなどの精神的なケアを行っていくようにしてください。

 

まとめ

EUS(超音波内視鏡検査)の基礎知識や目的、方法、看護のポイントをまとめました。EUSは消化管の粘膜下腫瘍の精査やがんの浸潤の程度を見極めたり、すい臓がんの早期発見のために行われる検査です。

基本的には内視鏡検査を同じような手順で行われますので、「胃カメラ検査(GIF)の看護|検査前~検査後における看護ケアと観察項目」や「CF(大腸内視鏡検査)の看護手順と留意すべき観察項目」も参考にしてください。

 

参考文献

膵・胆道内視鏡|慶應義塾大学病院 KOMPAS

超音波内視鏡検査(EUS)・検査と治療|中野胃腸病院 中野胃腸病院・健診センターなかの・訪問看護ステーションなかの 医療法人 社団 以心会

超音波内視鏡:EUS(すい臓・胆管検査)|消化器病・内視鏡センター 大分三愛メディカルセンター

超音波内視鏡検査(EUS)について|メディカルトピア草加病院


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