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慶應卒の私より、アラサー看護師の友人がリッチなバリキャリになっていた

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バリキャリ

「久しぶりに飲もうよ」

 

アラサーになってから、こんな風に誘われる機会が増えている。結婚ラッシュが一山来て、飲み仲間が減ると寂しくなる時期なのかもしれない。私もまたその一人だ。急に疎遠になる既婚者の女性たちをまぶしい目で見つめながら、「でも私には仕事があるから」と奮い立たせる。

 

そのくせ会ったら話すのは「次の彼氏とは絶対結婚したい」「気になる人が私より年収低くてどうしよう」と、結婚を意識した会話ばかり。どんなにバリキャリでも、周囲が結婚していくにつれ焦りは募る。20代前半で結婚した主婦友達は「世田谷区だと3LDKのマンションが高くて」なんて何百歩も先の会話をしているのに、20代から変わらない、私たちの恋愛トーク。

 

久しぶりに看護師の友人から連絡が来た時も、これまでの恋愛のアップデートと、結婚トークでもするのかなと思っていた。結婚報告だったらどうしよう!なんて、一人でわくわくしていた。

 

その友人が看護師になる道を選んだとき、正直私は「そこまで結婚を意識しなくても」と止めた。看護師には結婚願望が強い人が多いと聞くが、彼女もそんなひとりだった。「結婚しても働けるから」と看護師資格が取れる道を選んだ彼女。理学部で研究職を選ぶことも、民間企業でバリキャリになることもできたはずなのにもったいない、と私は思っていた。そんな彼女だからきっとアラサーの今、結婚を前提にした彼がいるといったところだろう。パートタイム看護師なのかな、と思いはめぐる。

 

違和感は待ち合わせ場所で感じた。

 

「せっかくだし恵比須の美味しいお店で」と指定してきたレストランは、お酒を飲めば9000円くらいの予算。これくらいの金額を怖気づかずに払える女性を、私は商社かITでしか見ない。無理させていい店を彼女が選んでいたらどうしよう、いや正直私にも高い。おろおろしているうちに当日になってしまった。

 

彼女はシンプルながら、上質な私服でやってきた。そして、メニューの値段を見ずにホイホイ注文していった。私の看護師年収イメージが崩壊した。こいつの頼み方、絶対に年300万円で暮らしている生き方じゃない。

 

ワインのボトルを空けながら医者の愚痴を聞く。てっきり看護師は医者と結婚すると思ってたよ、と呟いたら「そんなこと絶対にない。あんな変な人たちと」と愚痴が始まった。しかし、医師に対する愚痴を話す彼女はまったく「一般職の私にセクハラをしてくる男」という口調ではなかった。「私のキャリアの邪魔をする邪魔な人材」として、彼女は医師を嫌っていた。

 

同じ「職場の嫌なやつ」の愚痴でも、キャリア志向の女性とそうでない女性では内容が変わる。キャリア志向の愚痴は「私のキャリアを邪魔する嫌な奴。さっさとこいつを潰して出世したい」という内容になる。非キャリアの女性は「平穏を脅かすヤツ。さっさと出世か異動で去ってほしい」が論旨になる。キャリア女子は、男子が去るのを待たずに潰さねばならないのだ。

 

「研修医のころはあんなにいい子たちなのに、どうして医師になると付け上がるのかしら」とののしる彼女はまぎれもなく、キャリアに属している人間だった。

 

「そういえばさ、最近ってどんな仕事してるの?」

 

ジャブのような質問に彼女はさらっと「主任っていって、下から数えてすぐの管理職。とりあえず年500~600万くらいもらえてるから、まあまあかな」と流した。

 

びっくりした。外資系や日系メーカーで総合職として働いて、ようやくもらえる金額だった。その頃の私は毎日24時まで働いていた。仕事に誇りを持っていた。そのうえで振り込まれるなけなしの給与はプライドのひとつだった。「女子でもまっとうに稼いで、食べていけるぞ」「いざとなったら相手を養えるぞ」という自負。

 

目の前の彼女は、それを当たり前のように、月数回の夜勤を引き換えに得ている。私ときたら、社会人になってもう数年になるのに、いまだに社会人の遊びを知らない。レストランが開いている時間になんて帰れない。コンビニのヤンキーが「そろそろ帰ろうぜ」と解散する深夜のコンビニに現れる亡霊のような自分。

 

対して、恵比須でさらっと美味しいお店を予約できて、仕事に同じくらい誇りをもって挑むことができる、高年収の彼女。結婚したければ、いつでもパートタイムに切り替えてゆるふわキャリアにも転換できる、彼女。

 

どこで間違ってたんだろう?と思ったところで「自分は間違っていた」と考えている自分に気づいてゾッとした。間違っていたなんて、思いたくない。

 

夜が明ければ、看護師の彼女は、白衣で戦うバリキャリ女子になるだろう。私もまた、スーツで戦うバリキャリ女子に戻るだけなのだ。きっとどっちも間違っていない。彼女も、私も。

 

☆個人の特定を避けるため、事実を一部改変しています。あらかじめご了承ください。

 

著者:トイアンナ(東京都在住)

就活・転職活動支援ライター。学生や転職希望者のキャリアを400名以上へコンサルティングしてきた実績から、ブログ『外資系OLのぐだぐだ』を中心にキャリア論を執筆し、月間50万PVを記録。

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